電磁接触器(コンタクター)と電磁開閉器(マグネットスイッチ)はプランジャ形リレーと呼ばれる制御機器です。プランジャ形リレーは、電気的に接点の開閉容量が大きく、絶縁耐力も優れているいます。電磁接触器(コンタクター)と電磁開閉器(マグネットスイッチ)は、モーターなどの大電流をON-OFFさせることができる制御機器です。コイル端子に電流を流せば、主接点と補助接点が同時に動作する構造になっています。このページでは、プランジャ形リレーである、電磁接触器と電磁開閉器の基礎知識について、やさしく解説します。
電磁接触器(コンタクター)の特徴
電磁接触器(コンタクター)は、プランジャ形をした電磁石の力によって駆動し、接点の開閉を行う機器です。
電磁接触器(コンタクター)は、主に接点部、電磁石部、外部接続端子で構成されています。動作原理は、電磁コイルが「励磁」や「消磁」することによって、その磁力によって可動鉄心が固定鉄心に引き寄せられ、それに連動して直接または間接的に接点を開閉します。電磁リレーと同じような原理です。
ただし、電磁リレーと異なるところは、モーターのような大電流が必要な機器の接点として使用することができる主接点と、電磁リレーのように制御回路に使うことができる小電流用の補助接点を有しているところです。
電磁接触器(コンタクター)とは?
電磁接触器とは、電動機など主回路の電流を遠方操作により開閉することで、始動や停止をさせる制御機器です。また、電磁接触器の補助接点を使って表示灯回路のランプを点灯させたり、自己保持回路を作成したりします。
電磁接触器は、電磁リレーと動作原理を同じくしますが、開閉する回路の電力が大きい電力回路に用いられます。電磁コイルに電流が流れると下図のように、固定鉄心が電磁石となり、可動鉄心を吸引し、これに連動して主接点および補助接点の開閉が行われます。
電磁接触器の特徴
電磁接触器は、外部から電気エネルギーを入力し、コイルを励磁させて電磁石化させるためのコイル端子部と、接点部の動作状況を外部へ出力する接点端子部を持っています。
電磁接触器には、外部へ出力するための接点端子には、モーターなどの大電流をONやOFFすることができる主接点と、制御回路用とて使用するa接点やb接点を持っています。接点は2点で入切を行っており、ヒンジ形リレーと比べて、高電圧大容量の回路でも利用が可能です。また、機械的寿命も長いのが特徴です。
接点は点検や交換が容易になっていますが、露出部分が多いため埃っぽい箇所などでは、外部環境の影響を受けやすいため、その影響を少なくするため、電磁接触器は防じんカバーを取り付けたものが主流となっています。
電磁接触器の電磁コイルに電流が流れると、電磁リレーと同じように可動鉄心が磁力で、引き寄せられます。その時、連動して主接点と補助接点は同時に動き、主接点なら閉、補助接点のa接点は閉、b接点は開となります。
電磁接触器の寿命と故障
電磁接触器は、電動機主回路の電流を遠方操作により、開閉することによって、電動機を始動・停止するはたらきをするとともに、その補助接点により、表示灯回路のランプを点滅して、運転表示を行います。また、電磁接触器は、電動機を運転・停止する開閉器ですから、電動機の始動電流を投入およびしゃ断ができ、多数回の始動・停止に耐える充分な寿命のあるものを用いる必要があります。
電磁接触器は、使用条件から定格電圧、定格電流、適切な電動機容量などが定められています。規定の条件下では、最大開閉速度が1200回/時で機械的な寿命は500万~1000万回と定められています。
電磁接触器の接点は、酸化や硫化で変色したり、すすがついたように黒ずんだりしますが、性能はあまり低下しません。やすりなどで、むやみに削るのはかえって良くない結果になることの方が多いです。極端に大きなバルなどがある場合には、それを取り除く程度にしておきます。尚、サンドペーパーを使用すると研磨砂が残留して、接触不良になることがあります。
電磁接触器の接点をきれいに成型するために削りすぎると、接点の高さが減り、ワイプ距離が減少して寿命を縮めます。ワイプ距離とは、接点が接触してからさらにバネが押し縮められる距離です。ワイプ距離で、接触圧力を適正に保っています。
電磁開閉器とは?(マグネットスイッチ)
電磁接触器は、単に電気回路の開閉を行うもので過負荷に対する保護がありません。そこで、過負荷保護が行えるように熱動形過負荷継電器(サーマルリレー)と組み合わせたものを電磁開閉器(マグネットスイッチ)といいます。電磁開閉器は一般的に「マグネット」と呼ばれています。
電磁開閉器(マグネットスイッチ)は、主に電動機(モータ負荷)の開閉に使用しています。
サーマルリレーはモーターなどの負荷を保護するために、定格電流以上の電流が流れると反応します。バイメタルと呼ばれる、熱膨張率が異なる2枚の金属板を貼り合わせたものに電流を流し、そのわん曲が一定以上になると、連動して接点が動作する構造になっています。
モーターは起動するときに、定格電流の数倍の大電流が流れますが、サーマルリレーが反応すると困るので、短時間では反応しないように整定します。また、サーマルリレーの機能としては「過負荷検出」するだけで、ブレーカーのように「遮断」する機能はありません。
サーマルリレーで検出された「過負荷信号」は、シーケンス回路内で「モーターの異常信号」として、停止させる回路や警報回路などに利用されます。
サーマルリレーの故障
サーマルリレーは回路に過大電流が流れた場合、ヒータが溶断したり、バイメタルが過大に変形してリセットができなくなることがあります。また、電磁開閉器(マグネットスイッチ)の開閉頻度が多すぎるとサーマルリレーのヒータの熱が蓄積して、接点が溶着してしまうことがあります。
また、サーマルリレーはバイメタルの変形で特性のずれが発生しやすいので、定期的に交換する必要があります。
電磁開閉器(マグネットスイッチ)の保守点検
電磁開閉器(マグネットスイッチ)の保守点検は、感電や誤作動の恐れがありますので、安全のために電源を切ってから行います。電磁開閉器(マグネットスイッチ)の保守・点検のポイントは次のとおりです。
- 締付ねじのゆるみはないか
- 水、油の付着、じんあいによる不具合はないか
- モールドの破損、変色、変形はないか
- 金属部に腐食、発錆はないか
- 可動部を手動または電磁操作して円滑に動くか
電気用図記号
マグネットスイッチ(電磁接触器とサーマルリレー)の電気用図記号です。
電磁接触器は主接点部と補助接点部を別々に書きます。マグネットスイッチを使ったシーケンス回路のページを参照してもらえれば、理解しやすいと思います。