スターデルタ始動法による電動機のシーケンス回路

リレーシーケンス

 定格出力3.7KWを超える三相誘導電動機は、始動装置を使用し始動電流を抑えることと定められています。このページでは基本回路の一つであり、またよく利用されている始動方式である、スターデルタ(Y-Δ)始動法による電動機のシーケンス回路についてやさしく解説しています。

スターデルタ(Y-Δ)始動法とは?

 電動機を始動するとき、電流は定格電流の8~10倍ほど多く流れます。そのため、始動時の電流に耐えれるように、ブレーカーや配線の容量を大きなものにしなければなりません。

 電動機の容量は大きくなればなるほど、始動電流も大きくなります。つまり容量が大きな電動機を始動させたい時に、始動時に耐えれるようにブレーカーや配線の容量も大きなものにしなければなりません。しかし、始動時という短い時間だけの為に、容量の大きなブレーカーや配線を設置するのは経済的ではありません。

 そこで、ある規模以上の電動機を使うときには、始動電流を押さえる方法が用いられています。その方法の一つとして、スターデルタ(Y-Δ)始動法があります。

スターデルタ(Y-Δ)始動法
スターデルタ(Y-Δ)始動法

 直入れ専用の小容量の電動機は各相の固定子巻線から、口出し線が3本出ており電源を接続します。電動機内部ではデルタに接続されていて接続の変更はできません。

 スターデルタ用の電動機は、電動機の各相の固定子巻線両端から口出し線を6本引き出しておき、外部に接続した電磁接触器でスター(Y)配線とデルタ(Δ)配線が切り替えられるようになっています。

スターデルタ用の電動機の口出し線
スターデルタ用の電動機の口出し線

 始動時には電動機の巻線をスター(Y)結線して、各相の巻線に電源電圧の1/√3に等しい電圧をかけることにより、始動電流を小さくします。この方法で始動電流は定格電流の3倍程度に軽減できます。

 電動機が回転し加速すれば、デルタ(Δ)結線に切り替えて通常運転に入ります。デルタ(Δ)に切り替えた直後にも始動電流は流れますが、すでに電動機はある程度の速度で回っているので起動電流は小さいものになります。

始動時と通常運転時の電動機結線
始動時と通常運転時の電動機結線

 電動機を始動してから、規定の回転速度になるまでの時間を始動時間といい、この時間に合わせてスター(Y)用の電磁接触機を開き、デルタ(Δ)用の電磁接触機に切り替えます。この時限設定には、タイマーを制御回路に使います。全体として、始動電流は定格電流の3倍程度に抑えられます。

スターデルタ(Y-Δ)始動法の特徴

  • スターデルタ用の電動機は電源用の配線が6本ある
  • 始動時は電磁接触器でスター(Y)に接続する
  • 電動機が回転し加速すれば、電磁接触器でデルタ(Δ)に接続する
  • スター(Y)⇒デルタ(Δ)への切り替えはタイマーを使う
  • 始動電流は定格電流の3倍程度に抑えられる

スターデルタ(Y-Δ)始動法のシーケンス回路図

スターデルタ(Y-Δ)始動のシーケンス
スターデルタ(Y-Δ)始動のシーケンス
  1. 押しボタンスイッチBS-1を押すと、始動用リレー88Rが動作します。
  2. BS-1と並列に接続されている、88Rのa接点により、自己保持されます。
  3. 限時回路中にある、88Rのa接点により、タイマーTLRが付勢されます。
  4. TLRは限時動作接点を使用しているため、スター用の電磁接触器52Y-MCが動作しモーターがスター結線で動き出します。
  5. タイマ設定時間後、TLRの接点が動き、52Y-MCが開となり、52Δ-MCが閉となります。モーターはデルタ結線での動作となります。
  6. この運転は押しボタンスイッチBS-2を押すまで、継続されます。
    尚、二つある電磁接触器の一方の動作回路中に、他方の電磁接触器のb接点を入れることにより、同時に回路が働かないようにインターロックしています。

 以上がスターデルタ(Y-Δ)始動法によるシーケンスの基本回路図です。回路をスター(Y)からデルタ(Δ)に切り替えるにはタイマーを用います。また、スター(Y)とデルタ(Δ)回路が同時に働かないように、必ずインターロック回路を入れます。この回路を基本にして、運転中や停止中のランプを点灯させたり、警報回路を組んだりして、実際に使用できる回路へと豊富化を図ります。

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