シーケンス制御ではタイマーを使って入力と出力に時間差も持たす回路のことを、遅延回路といいます。タイムディレイ(time delay)回路ともいいます。このページでは、遅延回路の基本を理解してもらえるように、やさしく解説しています。
オンディレータイマー回路
オンディレータイマーは、入力の信号を受けると、セットした時間(整定時間)だけ遅れて、接点が動作するタイマーです。入力の信号がなくなると、接点の復帰は瞬時に行われます。
オンディレータイマーと自己保持回路を使ったシーケンスの基本回路を説明します。入力信号の押しボタンスイッチ[BS1]を押すと、タイマー[TLR]の駆動部が動作し付勢します。設定時間経過後に出力信号のランプ[L]が点灯します。ランプ[L]を消灯させるには、停止信号の押しボタンスイッチ[BS2]を押すとタイマーの駆動部が消勢し、瞬時に消灯します。この動作をシーケンス図にすると、次のようになります。
オンディレータイマー動作の順序
- 回路①の入力信号の押しボタンスイッチ[BS1]を押すと、そのメーク接点が閉じます。
- 回路①のリレー[R]に電流が流れ動作します。
- 回路②のタイマー[TLR]に電流が流れ付勢し、カウントを開始します。
- リレー[R]が動作したことで、回路③の自己保持用メーク接点[R-a]が閉じます。
- 入力信号の押しボタンスイッチ[BS1]を離しても、回路③を通ってリレー[R]とタイマー[TLR]に電流は流れ続けます。
- タイマー[TLR]の整定時間が経過すると、回路④の限時動作メーク接点[TLR-a]が閉じます。
- メーク接点[TLR-a]が閉じると、回路④のランプ[L]が点灯します。
オンディレータイマー復帰の順序
- 停止信号の押しボタンスイッチ[BS2]を押すと、そのブレーク接点が開き、回路③のリレー[R]に電流が流れなくなり、自己保持用メーク接点[R-a]が開きます。同時にタイマー[TLR]にも電流が流れなくなり消勢し、タイマーのメーク接点[TLR-a]が開き、ランプLが消灯します。
オンディレータイマー回路のタイムチャート
オンディレータイマーと自己保持回路を組み合わせたシーケンス回路をタイムチャートで表すと次のようになります。タイムチャートで時間経過ごとに各制御機器がどのような動きをしているかを追って見ていくことで、シーケンスの動作について理解しやすいと思います。
オフディレータイマー回路
オフディレータイマーは入力の信号を受けると同時に接点が動作するタイマーです。入力の信号がなくなり、接点が復帰するときは、セットした時間(整定時間)だけ遅れて、復帰します。
オフディレータイマーと自己保持回路を使ったシーケンスの基本回路を説明します。入力信号の押しボタンスイッチ[BS1]を押すと、タイマー[TLR]の駆動部が動作し付勢します。同時に出力信号のランプ[L]が点灯します。ランプ[L]を消灯させるには、停止信号の押しボタンスイッチ[BS2]を押すとタイマーの駆動部が消勢し、設定時間後に消灯します。この動作をシーケンス図にすると、次のようになります。
オフディレータイマー動作の順序
- 回路①の入力信号の押しボタンスイッチ[BS1]を押すと、そのメーク接点が閉じます。
- 回路①のリレー[R]に電流が流れ動作します。
- 回路②のタイマー[TLR]に電流が流れ動作します。
- リレー[R]が動作したことで、回路③の自己保持用メーク接点[R-a]が閉じます。
- 入力信号の押しボタンスイッチ[BS1]を離しても、回路③を通ってリレー[R]とタイマー[TLR]に電流は流れ続けます。
- 回路④の瞬時動作メーク接点[TLR-a]が閉じます。
- メーク接点[TLR-a]が閉じると、回路④のランプ[L]が点灯します。
オフディレータイマー復帰の順序
- 停止信号の押しボタンスイッチ[BS2]を押すと、そのブレーク接点が開き、回路③のリレー[R]に電流が流れなくなり、自己保持用メーク接点[R-a]が開きます。同時にタイマー[TLR]にも電流が流れなくなり消勢し、カウントを開始します。
- タイマー[TLR]の整定時間が経過すると、タイマーの限時メーク接点[TLR-a]が開き、ランプLが消灯します。
オフディレータイマー回路のタイムチャート
オフディレータイマーと自己保持回路を組み合わせたシーケンス回路をタイムチャートで表すと次のようになります。
タイマー回路(遅延回路)を使ったシーケンス図を理解するには、その接点が動くタイミングについて、タイムチャートを思い出すとわかりやすいと思います。シーケンス回路では、タイマーを単独で使うことは、特殊な回路以外はありません。タイマーを使ってシーケンスの動作をさせるには、自己保持回路と組み合わせています。