基礎からの電験3種【理論-静電気(クーロンの法則)】

電験3種の理論で出題される静電気について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。このe-ラーニング講座ではクーロンの法則を理解し、点電荷どうしに働く力の計算が出来るようになるのが目的です。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題もたくさん解説しています。

電気を帯びた物質の間に働く力

静電気は二つの物質を摩擦することなどによって発生します。静電気などによって物質に、電気を帯びることを「帯電」といいます。また、物質が帯びている電気の量を「電荷」といいます。尚、大きさを考えない点状の電荷のことを「点電荷」といいます。

「電荷」はすべての電気的な現象の元となるものです。電荷には正(プラス)と負(マイナス)の2種類があり、単位はクーロン[C]です。1クーロン[C]は1アンペア[A]の電流が1秒間に運ぶ電荷の量です。

帯電(電気を帯びた)した物質間には力が働きます。この力は引力になるときと、反発力になるときがあります。引力は物質が「互いに引っぱりあう力」、反発力は物質が「互いに離れようとする力」です。

この帯電した物質間に働く力が、引力になるのか、反発力になるのかを決める元になるのが、電荷が持っている電気の符号です。電荷の符号が同符号の場合は反発力、異符号の場合は引力が働きます。このように電荷の間にはたらく力のことを「静電気力」といいます。

静電気力の大きさは2つの電荷の持つ電気量が大きいほど、また電荷間が近いほど大きくなります。

斥力

二つの電荷の符号が同じとき、静電気力は反発力となります。

引力

二つの電荷の符号が異なるとき、静電気力は引力となります。

  • 物質が電気を帯びることを「帯電」といい、帯びている電気の量を「電荷」といいます。
  • 電荷が持つ電気の量の単位はクーロン[C]です。
  • 静電気力は同種の電荷の場合は反発力、異種の電荷の場合は引力が働きます。
  • 2つの電荷の持つ電気量が大きいほど、静電気力は大きくなります。
  • 2つの電荷の距離がが近いほど、静電気力は大きくなります。

クーロンの法則

帯電した二つの物質間に働く力の大きさは、それぞれが持つ電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例します。これをクーロンの法則といい、次の式で表します。

クーロンの法則

$ F=\displaystyle \frac{ 1 }{ 4πε_{ 0 } }\frac{ Q_{ 1 }Q_{ 2 } }{ r^2}$

$ F$ :力の大きさ 単位:ニュートン[N]
$ Q_{ 1 }、Q_{ 2 }$ :二つの電荷の量 単位:クーロン[C]
$ r$ :二つの電荷間の距離 単位:メートル[m]

記号$ π$ は円周率、$ ε_{ 0 }$ (イプシロンゼロ)は真空の誘電率と呼ばれる定数です。誘電率を簡単に説明しますと、電荷の貯め易さを表わす物理定数です。誘電率が高い物質ほど、電荷を貯め易いといえます。真空の誘電率は真空中での電荷の貯め易さです。空気中でもほぼ同じ値です。
 
真空の誘電率は$ ε_{ 0 }=8.85×10^{ -12}$ 単位:ファラド/メートル[F/m]ですが、計算式で使う場合は
 
$  ε_{ 0 } =\displaystyle \frac{ 1 }{ 4π×9.0×10^9}$ [F/m]
 
を使うと便利です。

二つ以上の電荷の間の静電気力

図のように電荷$ q$[C]が二つの電荷$ Q_{ 1 }$[C]、$ Q_{ 2 }$[C]から受ける静電気力$ F$[N]の大きさを考えます。ただし、$ q・Q_{ 1 }・Q_{ 2 }$はいずれも正電荷とします。

静電気力は、力学で学ぶ力と同様にベクトルで、ベクトルの和が合力となります。$ q$が$ Q_{ 1 }$から受ける静電気力を$ F_{ 1 }$[N]、$ q$が$ Q_{ 2 }$から受ける静電気力を$ F_{ 2 }$[N]とすると、静電気力の合力$ F$[N]は、ベクトルの合成より平行四辺形の対角線となります。

合成

電験3種-理論(静電気)過去問題

2002年(平成14年)問2

図のように、真空中の 3[m]離れた2点 A , B にそれぞれ $ 3×10^{ -7}$ [C]の正の点電荷がある。A点とB点とを結ぶ直線上のA点から 1[m]離れたP点に Q[C]の正の点電荷を置いたとき、その点電荷にB点の方向に $ 9×10^{-3}$ [N]の力が働いた。この点電荷 Q[C]の値として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、真空中の誘電率を $ ε_{ 0 } =\displaystyle \frac{ 1 }{ 4π×9.0×10^9}$[F/m]とする。

2002年問2

(1)$1.2×10^{-9}$ (2)$1.8×10^{-8}$ (3)$2.7×10^{-7}$ (4)$4.4×10^{-6}$ (5)$7.3×10^{-5}$

2002年(平成14年)問2 過去問解説

AP間に働く力 $ F_{ AP }$は

$ \begin{eqnarray}F_{ AP }&=&9.0×10^9×\displaystyle \frac{ 3×10^{-7}×Q}{ 1^2}\\&=&27.0Q×10^2\end{eqnarray}$ 

BP間に働く力 $ F_{ BP }$は

$ \begin{eqnarray}F_{ BP }&=&9.0×10^9×\displaystyle \frac{ 3×10^{-7}×Q}{ 2^2}\\&=&6.75Q×10^2\end{eqnarray}$

P点に働く力は $ F=9×10^{-3}=F_{ AP }-F_{ BP }$ なので

$ \begin{eqnarray}F&=&9×10^{-3}\\&=&27.0Q×10^2-6.75Q×10^2\\&=&20.25Q×10^2\end{eqnarray}$

$ Q=4.44×10^{-6}$

答え(4)

2013年(平成25年)問2

図のように真空中の直線上に間隔 r[m]を隔てて、点 A , B , Cがあり、各点に電気量 $ QA=4×10^{ -6}$[C]、QB[C]、QC[C]の点電荷を置いた。これら三つの点電荷に働く力がそれぞれ零になった。このとき、QB[C]及び QC[C]の値の組み合わせとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、真空中の誘電率を $ ε_{ 0 } =\displaystyle \frac{ 1 }{ 4π×9.0×10^9}$[F/m]とする。

2013年(平成25年)問2 過去問解説

各点に働く力を $ F_{ AB }$、$ F_{ AC }$、$ F_{ BC }$とすると

$ F_{ AB }=k\displaystyle \frac{Q_{ A }Q_{ B } }{ r^2}$
$ F_{ AC }=k\displaystyle \frac{Q_{ A }Q_{ C } }{ (2r)^2}$
$ F_{ BC }=k\displaystyle \frac{Q_{ B }Q_{ C } }{ r^2}$

ただし、$ k=\displaystyle \frac{ 1 }{ 4πε_{ 0 } }$

$ F_{ AB }= F_{ AC }$ なので

$ Q_{ A }Q_{ B } = \displaystyle\frac{1}{ 4 }Q_{ A }Q_{ C } $
$ Q_{ B } = \displaystyle\frac{1}{ 4 }Q_{ C } $

$ F_{ AB }= F_{ BC }$ なので

$ Q_{ A }Q_{ B } = Q_{ B }Q_{ C } $
$ Q_{ A } = Q_{ C } $

力の向きを考えてみると、$ Q_{ A }$は+の電荷なので、図から判断すると、$ Q_{ C }$は+の電荷、$ Q_{ B }$は-の電荷になります。

よって
$ Q_{ B } = -1×10^ { -6 }$
$ Q_{ C } = 4×10^ { -6 }$

答え(3)

2005年(平成17年)問1

真空中において、図に示すように一辺の長さが 30[cm]の正三角形の各頂点に $ 2×10^ {–8}$[C]の正の点電荷がある。この場合、各点電荷に働く力の大きさ F[N]の値として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、真空中の誘電率を$ ε_{ 0 } =\displaystyle \frac{ 1 }{ 4π×9.0×10^9}$[F/m]とする。

2005年問1

2005年(平成17年)問1 過去問解説


点電荷A,B,Cに働く力は同じですので、点電荷Aに働く力について考えます。点電荷AC間に働く力$ F_{ CA } $,点電荷AB間に働く力$ F_{ BA } $[N]とすると,$ F_{ CA } =F_{ BA }$[N]が成り立ちます。

ここで$ F_{ CA } と F_{ BA }$[N]がつくる合成抵抗 F[N]は

$ F=F_{ CA } ×cos30°×2$[N]

クーロンの法則より

$ \begin{eqnarray}F_{ CA } &=&\displaystyle \frac{ 1 }{ 4πε_{ 0 } }\frac{ Q_{ 1 }Q_{ 2 } }{ r^2}\\&=& 9.0×10^9×\displaystyle\frac{ (2×10^{ -8})^2 }{ (0.3)^2}\\&=&4×10^{ -5}\end{eqnarray}$

よって

$ \begin{eqnarray}F&=&4×10^{ -5} ×cos30°×2\\&=&4×10^{ -5} ×\frac{ \sqrt{ 3 } }{ 2 }×2\\&=&6.92×10^{ -5} [N]\end{eqnarray}$

答え(1)

 

 

理論電験3種
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