三相交流回路【電験3種-理論】

理論

電験3種の理論で出題される三相交流回路の計算問題について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

三相交流の瞬時値

磁界の中でコイルを回転させると、正弦波交流が発生します。このときコイルを 120°ずつずらして回転させると、同じ周波数で3つの正弦波交流が発生します。

 この3つの起電力の瞬時値を $e_a$、$e_b$、$e_c$ とし、 $e_a$ を基準にとり、 $t=0$ のときの位相角を $0$ とすると、各相の起電力は次のように表すことができます。

$e_a=\sqrt{2}Esinωt$
$e_b=\sqrt{2}Esin(ωt-\displaystyle \frac{ 2}{ 3 }π)$
$e_c=\sqrt{2}Esin(ωt-\displaystyle \frac{ 4}{ 3 }π)$

 このように、3つの相の角速度 $ω$ が同じで、位相の違う起電力を1つのものとして取り扱う場合を三相交流といいます。周波数が等しく、位相の異なる3個の起電力を含む回路といえます。尚、おのおのの最大値が等しく、位相が互いに120°ずつ異なるものを特に対称三相交流といいます。対称三相交流では、どの時刻においても、各交流の大きさの和は $0$ になります。つまり、瞬時値 $e_a$、$e_b$、$e_c$ の和は $0$ になります。

$e_a+e_b+e_c=0$

三相交流のベクトル表示と複素数表示

 三相交流の各相の瞬時値 $e_a$、$e_b$、$e_c$ をベクトル $\dot{ E _a}$、$\dot{ E _b}$、$\dot{ E _c}$ で表すと次のようになります。尚、$\dot{ E _a}$ を基準に考えています。

$\dot{ E _a}=E∠0$
$\dot{ E _b}=E∠-\displaystyle \frac{ 2}{ 3 }π$
$\dot{ E _c}=E∠-\displaystyle \frac{ 4}{ 3 }π$

 複素数表示では、次のように表すことができます。

$\begin{eqnarray}\dot{ E _a}&=&E∠0\\&=&E(cos0+jsin0)\\&=&E\end{eqnarray}$

$\begin{eqnarray}\dot{ E _b}&=&E∠-\displaystyle \frac{ 2}{ 3 }π\\&=&E(cos(-\displaystyle \frac{ 2}{ 3 }π)+jsin(-\displaystyle \frac{ 2}{ 3 }π))\\&=&E(-\displaystyle \frac{ 1}{ 2 }-j\displaystyle \frac{ \sqrt{3}}{ 2 })\end{eqnarray}$

$\begin{eqnarray}\dot{ E _c}&=&E∠-\displaystyle \frac{ 4}{ 3 }π\\&=&E(cos(-\displaystyle \frac{ 4}{ 3 }π)+jsin(-\displaystyle \frac{ 4}{ 3 }π))\\&=&E(-\displaystyle \frac{ 1}{ 2 }+j\displaystyle \frac{ \sqrt{3}}{ 2 })\end{eqnarray}$

 対称三相交流では、どの時刻においても、各交流の大きさの和は $0$ になります。このことは、次のように計算で確認することができます。

$\begin{eqnarray}\dot{ E _a}+\dot{ E _b}+\dot{ E _c}&=&E+E(-\displaystyle \frac{ 1}{ 2 }-j\displaystyle \frac{ \sqrt{3}}{ 2 })+E(-\displaystyle \frac{ 1}{ 2 }+j\displaystyle \frac{ \sqrt{3}}{ 2 })\\&=&E-\displaystyle \frac{ 1}{ 2 }E-\displaystyle \frac{ 1}{ 2 }E+E(-j\displaystyle \frac{ \sqrt{3}}{ 2 }+j\displaystyle \frac{ \sqrt{3}}{ 2 })\\&=&0\end{eqnarray}$

 電流も同様に、大きさの和は $0$ になります。

三相交流回路の結線方式

 三相交流回路の結線方式のに、Y(スター)結線とΔ(デルタ)結線があります。三相電源の各相に $\dot{ Z }=∠θ$ のインピーダンスを持った負荷を接続した場合の、電圧と電流について考えてみます。

Y(スター)結線

 次の図のように電源がY結線、負荷がY結線された回路を考えます。電源の $O$ 点と負荷の $O’$ 点を中性点といい、 $O$ 点と $O’$ 間を結ぶ線を中性線といいます。中性線を流れる電流は、各相の電流の和であり、平衡負荷の時は 0 となります。そのため、取り外しても全体の回路の電流分布には変化がありませんので、省略できます。このときは、単相交流回路が3つあるものとして考えることができます。

 ここで、電源側に注目してみます。相電圧($\dot{ E _a}$、$\dot{ E_b}$、$\dot{ E _c}$)と線間電圧($\dot{ V_{ab}}$、$\dot{ V_{bc}}$、$\dot{ V_{ca}}$ )の関係は次のようになります。

$\dot{ V_{ab}}=\dot{ E _a}-\dot{ E _b}$
$\dot{ V_{bc}}=\dot{ E _b}-\dot{ E _c}$
$\dot{ V_{ca}}=\dot{ E _c}-\dot{ E _a}$

 線間電圧 $\dot{ V_{ab}}$ を相電圧 $\dot{ E _a}$ で表わします。相電圧 $\dot{ E _a}$ を基準にしたベクトル図は次のようになります。尚、Y結線では、 相電流($\dot{ I_a’}$、$\dot{ I_b’}$、$\dot{ I _c’}$)と線電流($\dot{ I_{a}}$、$\dot{ I_{b}}$、$\dot{ I_{c}}$ )は等しくなります。

$\dot{ V_{ab}}=\dot{ E _a}cos\displaystyle \frac{ π}{ 6 }×2∠\displaystyle \frac{ π}{ 6 }=\sqrt{3}\dot{ E _a}∠\displaystyle \frac{ π}{ 6 }$

となります。つまり、Y結線の線間電圧の大きさは、相電圧の $\sqrt{3}$ 倍で、位相は相電圧より \displaystyle \frac{ π}{ 6 } 進みます

Δ(デルタ)結線

 次の図のように電源がΔ結線、負荷がΔ結線された回路を考えます。Δ結線では、 相電圧($\dot{ E _a}$、$\dot{ E_b}$、$\dot{ E _c}$)と線間電圧($\dot{ V_{ab}}$、$\dot{ V_{bc}}$、$\dot{ V_{ca}}$ )は等しくなります。

 ここで、電源側に注目してみます。線電流( $\dot{ I _a}$、$\dot{ I _b}$、$\dot{ I _c}$)と相電流($\dot{ I _{ab}}$、$\dot{ I _{bc}}$、$\dot{ I _{ca}}$ )の関係は次のようになります。

$ \dot{ I _a}=\dot{ I _{ab}}-\dot{ I _{ca}}$
$ \dot{ I _b}=\dot{ I _{bc}}-\dot{ I _{ab}}$
$ \dot{ I _c}=\dot{ I _{ca}}-\dot{ I _{bc}}$

 線電流 $\dot{ I _a}$ を相電流 $\dot{ I _{ab}}$ で表わします。相電流 $\dot{ I _{ab}}$ を基準にしたベクトル図は次のようになります。尚、各相の電流の大きさは同じですので、相電流の大きさを $I_p$ とします。

$\dot{ I _a}=\dot{ I_p}cos\displaystyle \frac{ π}{ 6 }×2∠-\displaystyle \frac{ π}{ 6 }=\sqrt{3}\dot{ I_p}∠-\displaystyle \frac{ π}{ 6 }$

 となります。つまり、Δ結線の線電流の大きさは、相電流の $\sqrt{3}$ 倍で、位相は相電圧より $\displaystyle \frac{ π}{ 6 }$ 遅れます。

負荷のYーΔの相互変換

 三相回路で、電源と負荷の結線方法が異なる場合には、負荷側を Y⇒ΔまたはΔ⇒Yに変換して、計算を簡単にすることができます。

Y⇒Δに変換

$\dot{ Z _{ab}}=\displaystyle \frac{ \dot{ Z _a}\dot{ Z _b}+ \dot{ Z _b}\dot{ Z _c}+\dot{ Z _c}\dot{ Z _a}}{ \dot{ Z _c} }$

$\dot{ Z _{bc}}=\displaystyle \frac{ \dot{ Z _a}\dot{ Z _b}+ \dot{ Z _b}\dot{ Z _c}+\dot{ Z _c}\dot{ Z _a}}{ \dot{ Z _a} }$

$\dot{ Z _{ca}}=\displaystyle \frac{ \dot{ Z _a}\dot{ Z _b}+ \dot{ Z _b}\dot{ Z _c}+\dot{ Z _c}\dot{ Z _a}}{ \dot{ Z _b} }$

尚、各相のインピーダンスが等しいときは、$\dot{ Z _Y}=\dot{ Z _a}=\dot{ Z _b}=\dot{ Z _c}$、$\dot{ Z _Δ}=\dot{ Z _{ab}}=\dot{ Z _{bc}}=\dot{ Z _{ca}}$ とすると、

$\dot{ Z _Δ}=3\dot{ Z _Y}$

Δ⇒Yに変換

$\dot{ Z _a}=\displaystyle \frac{ \dot{ Z _{ca}}+\dot{ Z _{ab} } }{ \dot{ Z _{ab}} +\dot{ Z _{bc}}+\dot{ Z _{ca} } }$

$\dot{ Z _b}=\displaystyle \frac{ \dot{ Z _{ab}}+\dot{ Z _{bc} } }{ \dot{ Z _{ab}} +\dot{ Z _{bc}}+\dot{ Z _{ca} } }$

$\dot{ Z _c}=\displaystyle \frac{ \dot{ Z _{bc}}+\dot{ Z _{ca} } }{ \dot{ Z _{ab}} +\dot{ Z _{bc}}+\dot{ Z _{ca} } }$

尚、各相のインピーダンスが等しいときは、$\dot{ Z _Y}=\dot{ Z _a}=\dot{ Z _b}=\dot{ Z _c}$、$\dot{ Z _Δ}=\dot{ Z _{ab}}=\dot{ Z _{bc}}=\dot{ Z _{ca}}$ とすると、

$\dot{ Z _Y}=\displaystyle \frac{\dot{ Z _Δ}}{3}$

電源のYーΔの相互変換

 三相回路で、電源と負荷の結線方法が異なる場合には、電源側を Y⇒ΔまたはΔ⇒Yに変換して、計算を簡単にすることもできます。

 Y結線側の相電圧が $\dot{ E _a}$,$\dot{ E _b}$,$\dot{ E _c}$ のとき、これと等価なΔ結線の相電圧 $\dot{ E _a′}$,$\dot{ E _b’}$,$\dot{ E _c’}$ は次のようになります。

$\dot{ E _a’}=\dot{ V _{ab}}=\sqrt{3}\dot{ E _a}∠\displaystyle \frac{\dot{ π}}{6}$

$\dot{ E _b’}=\dot{ V _{bc}}=\sqrt{3}\dot{ E _b}∠\displaystyle \frac{\dot{ π}}{6}$

$\dot{ E _c’}=\dot{ V _{ca}}=\sqrt{3}\dot{ E _c}∠\displaystyle \frac{\dot{ π}}{6}$

尚、Y結線の相電圧の大きさを $E_Y$、Δ結線の相電圧の大きさを $E_Δ$とすると、

$E_Δ=\sqrt{3}E_Y$
$E_Y=\displaystyle \frac{E_Δ}{\sqrt{3}}$

電験3種-理論(三相交流回路)過去問題

1998年(平成10年)問8

図のような平衡三相回路において、線電流の値が 60[A]のとき、電源の相電圧 $V$[V]の大きさとして、正しいのは次のうちどれか。

(1)116 (2)140 (3)200 (4)245 (5)346

1998年(平成10年)問8 過去問解説

負荷側をΔ⇒Y変換すると、各相のインピーダンスが等しいので、インピーダンスは $\displaystyle \frac{1}{3}$になります。電源の相電圧 $V$[V]の大きさは、

$V=IZ=I×\sqrt{r^2+x^2}=60×\sqrt{\left(\displaystyle \frac{8}{3}\right)^2+\left(\displaystyle \frac{6}{3}\right)^2}=200$[V]

答え(3)

2000年(平成12年)問6

図のような平衡三相回路において、線電流 $I$[A]の値として、正しいものは次のうちどれか。

(1)14.0 (2)17.3 (3)24.2 (4)30.6 (5)42.0

2000年(平成12年)問6 過去問解説

電源側をΔ⇒Y変換すると、Yに変換後の相電圧 $E_Y$[V]は、

$E_Y=\displaystyle \frac{E_Δ}{\sqrt{3}}=\displaystyle \frac{420}{\sqrt{3}}≒242$[V]

線電流 $I$[A]は、

$I=\displaystyle \frac{E_Y}{Z}=\displaystyle \frac{242}{\sqrt{8^2+6^2}}=24.2$[A]

答え(3)

2001年(平成13年)問11

図のような平衡三相回路の負荷において、誘導性リアクタンス $X_L$[Ω]に流れる電流の大きさを $I_L$[A]、容量性リアクタンス $X_C$[Ω]に流れる電流の大きさを $I_C$[A]とするとき、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a)$X_L$[Ω]によるΔ結線の負荷をこれと等価なY結線の負荷に変換したとき、変換後の1相の誘導性リアクタンス $X_L’$[Ω]に流れる電流 $I_L’$[A]の大きさとして、正しいのは次のうちどれか。

(1)$\sqrt{3}I_L$ (2)$\sqrt{2}I_L$ (3)$I_L$ (4)$\displaystyle \frac{ 1 }{ \sqrt{2} }I_L$ (5)$\displaystyle \frac{ 1 }{ \sqrt{3} }I_L$

(b)図の回路において、電流 $I_L$ と$I_C$ が $I_L=\displaystyle \frac{ 2 }{ \sqrt{3} }I_C$の関係にあるとき、 $X_L$[Ω]の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)5 (2)10 (3)15 (4)20 (5)25

2001年(平成13年)問11 過去問解説

(a)Δ結線で、誘導性リアクタンス $X_L$[Ω]に流れる電流の大きさを $I_L$[A]は、

$I_L=\displaystyle \frac{V}{X_L}$[A]

誘導性リアクタンス $X_L$[Ω]をΔ⇒Y変換したときのリアクタンスを ${X_L}’$[Ω]とすると、各相のインピーダンスは等しいので、

${X_L}’=\displaystyle \frac{X_L}{3}$

相電圧は $E=\displaystyle \frac{V}{\sqrt{3}}$[V]ですので、Y回路に流れる電流 ${I_L}’$ は、

${I_L}’=\displaystyle \frac{E}{\displaystyle \frac{X_L}{3}}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{V}{\sqrt{3}}}{\displaystyle \frac{X_L}{3}}=\sqrt{3}\displaystyle \frac{V}{X_L}=\sqrt{3}I_L$[V]

(b)$I_C=\displaystyle \frac{E}{X_C}$ ですので、題意より

$I_L=\displaystyle \frac{ 2 }{ \sqrt{3} }I_C$

$\displaystyle \frac{V}{X_L}=\displaystyle \frac{ 2 }{ \sqrt{3} }\displaystyle \frac{E}{X_C}=\displaystyle \frac{ 2 }{ 3 }\displaystyle \frac{V}{X_C}$

$X_L=\displaystyle \frac{ 3 }{ 2 }X_C=\displaystyle \frac{ 3 }{ 2 }×10=15$[Ω]

答え(a)-(1)、(b)-(3)

2002年(平成14年)問7

図のように、三つの交流電圧源から構成される回路において、各相の電圧 $\dot{ E_a }$[V]、$\dot{ E_b }$[V]、及び$\dot{ E_c }$[V]は、それぞれ次のように与えられる。 ただし、式中の $∠Φ$は、$(cosΦ+jsinΦ)$ を表す。

$\dot{ E_a }=200∠0$[V]
$\dot{ E_b }=200∠-\displaystyle \frac{ 2π }{ 3 }$[V]
$\dot{ E_c }=200∠\displaystyle \frac{ π }{ 3 }$[V]

このとき、図中の線間電圧 $\dot{ V }_{ca}$[V] と $\dot{ V }_{bc}$[V] の大きさ(スカラ量)の値として、 正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

線間電圧 $\dot{ V }_{ca}$[V] の電圧線間電圧 $\dot{ V }_{bc}$[V] の電圧
(1)$200$$0$
(2)$200\sqrt{3}$$200\sqrt{3}$
(3)$200\sqrt{3}$$400\sqrt{3}$
(4)$200\sqrt{3}$$400$
(5)$200$$400$

2002年(平成14年)問7 過去問解説

問をベクトル図で示します。

図より、線間電圧 $\dot{ V }_{ca}$の電圧は200[V]、線間電圧 $\dot{ V }_{bc}$の電圧は400[V]

答え(5)

2003年(平成15年)問7

図の対称三相交流電源の各相の電圧は、それぞれ $\dot{ E _a}=200∠0$[V]、 $\dot{ E _b}=200∠-\displaystyle \frac{ 2π }{ 3 }$[V]及び $\dot{ E_c }=200∠-\displaystyle \frac{ 4π }{ 3 }$[V]である。この電源には、抵抗 40[Ω]をΔ結線した三相平衡負荷が接続されている。このとき、線間電圧 $\dot{ V }_{ab}$[V]と線電流 $\dot{ I_a}$[A]の大きさ(スカラ量)の値として、最も近いものを組み合わせたのは次のうちどれか。

線間電圧 $\dot{ V }_{ab}$[V]の大きさ線電流 $\dot{ I_a}$[A]の大きさ
(1)2835
(2)2838.7
(3)3468.7
(4)34615
(5)40015

2003年(平成15年)問7 過去問解説

線間電圧 $\dot{ V_{ab} }$[V] の大きさは、相電圧$\dot{ E _a}$[V] の $\sqrt{3}$ 倍ですので、

$ V_{ab}=\sqrt{3} E _a=\sqrt{3}×200=346$[V]

相電流を $I_p$[A]とすると、

$I_p=\displaystyle{ V_{ab}}{R}=\displaystyle{ 346}{40}=8.65$[A]

線電流 $I_a$[A]と、相電流を $I_p$[A]は、$I_a=\sqrt{3}I_p$[A]の関係がありますので、

$I_a=\sqrt{3}I_p=\sqrt{3}×8.65=15$[A]

答え(4)

2009年(平成21年)問16

平衡三相回路について、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a)図1のように、抵抗 $R$ [Ω]が接続された平衡三相負荷に線間電圧 $E$ [V]の対称三相交流電源を接続した。この時、図1に示す電流 $\dot{ I_1}$[A]の大きさの値を示す式として、正しいのは次のうちどれか。

(b) 次に、図1を図2のように、抵抗 $R$ [Ω] をインピーダンス $\dot{ Z}=12+j9$ [Ω] の負荷に置き換え、線間電圧 $E=200$ [V]とした。このとき、図2に示す電流 $\dot{ I_2}$[A]の大きさの値として、最も近いのは次のうちどれか。

2009年(平成21年)問16 過去問解説

(a)抵抗負荷の中央部分をΔ⇒Y変換すると、抵抗値は $\displaystyle \frac{R}{3}$になります。一相分の抵抗は、 $R+\displaystyle \frac{R}{3}$ ですので、電流 $\dot{ I_1}$[A]は、

$\dot{ I_1}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{E}{\sqrt{3}}}{R+\displaystyle \frac{R}{3}}=\displaystyle \frac{\sqrt{3}E}{4R}$[A]

(b)中央部分をΔ⇒Y変換すると、次の図のようになります。 電流 $\dot{ {I_2}’}$[A]は、

$\dot{ {I_2}’}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{200}{\sqrt{3}}}{(12+j9)+(4+j3)}=\displaystyle \frac{200}{\sqrt{3}(16+j12)}$

$\dot{ {I_2}’}$ の大きさは

$ {I_2}’=\displaystyle \frac{200}{\sqrt{3}×\sqrt{16^2+12^2}}=5.77$[A]

${I_2}’$は線電流ですので、相電流の大きさ $I_2$ は、

$I_2=\displaystyle \frac{5.77}{\sqrt{3}}=3.3$[A]

答え(a)-(3)、(b)-(2)

2012年(平成24年)問16

図のように、相電圧200 [V] の対称三相交流電源に、複素インピーダンス $\dot{ Z}=5\sqrt{3}+j5$ [Ω] の負荷がY結線された平衡三相負荷を接続した回路がある。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)電流 $I_1$ [A] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)$20.00∠-\displaystyle \frac{ π }{ 3 }$ (2)$20.00∠-\displaystyle \frac{ π }{ 6 }$ (3)$16.51∠-\displaystyle \frac{ π }{ 6 }$ (4)$11.55∠-\displaystyle \frac{ π }{ 3 }$ (5)$11.55∠-\displaystyle \frac{ π }{ 6 }$

(b)電流 $I_{ab}$ [A] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)$20.00∠-\displaystyle \frac{ π }{ 6 }$ (2)$11.55∠-\displaystyle \frac{ π }{ 3 }$ (3)$11.55∠-\displaystyle \frac{ π }{ 6 }$ (4)$6.67∠-\displaystyle \frac{ π }{ 3 }$ (5)$6.67∠-\displaystyle \frac{ π }{ 6 }$

2012年(平成24年)問16 過去問解説

(a)電源側をΔ⇒Y変換し、Δ側の相電圧 $\dot{ E _a} を基準にしたベクトル図を示します。

図より、Δ結線をY結線に変換すると、相電圧は線間電圧の $\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}$ になり、位相は $\displaystyle \frac{π}{6}$ 遅れます。

$\dot{ E _{Ya}}=\displaystyle \frac{\dot{ E _a}}{\sqrt{3}}∠-\displaystyle \frac{π}{6}=\displaystyle \frac{200}{\sqrt{3}}∠(0-\displaystyle \frac{π}{6})=\displaystyle \frac{200}{\sqrt{3}}∠-\displaystyle \frac{π}{6}$

一相分の負荷のインピーダンス $\dot{Z}$[Ω]は、大きさが10[Ω]で、インピーダンス角が $\displaystyle \frac{π}{6}$ ですので、

$\dot{Z}=10∠\displaystyle \frac{π}{6}$[Ω]

したがって、電流 $I_1$ [A] は、

$I_1=\displaystyle \frac{\dot{ E _{Ya}}}{\dot{Z}}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{200}{\sqrt{3}}∠-\displaystyle \frac{π}{6}}{10∠\displaystyle \frac{π}{6}}=11.55∠-\displaystyle \frac{π}{3}$ [A]

(b)a相の電流をの関係をベクトル図を示します。

図より、相電流は線電流の $\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}$ になり、位相は $\displaystyle \frac{π}{6}$ 進みます。

$\dot{I_{ab}}=\displaystyle \frac{\dot{I_{1}}}{\sqrt{3}}∠\displaystyle \frac{π}{6}=\displaystyle \frac{11.55}{\sqrt{3}}∠-\displaystyle \frac{π}{3}+\displaystyle \frac{π}{6}=6.67∠-\displaystyle \frac{π}{6}$ [A]

答え(a)-(4)、(b)-(5)

2016年(平成28年)問15

図のように、$r $[Ω] の抵抗6個が線間電圧の大きさ$V$ [V] の対称三相電源に接続されている。b相の×印の位置で断線し、c-a相間が単相状態になったとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、電源の線間電圧の大きさ及び位相は、断線によって変化しないものとする。

(a)図中の電流 $I$ の大きさ [A] は、断線前の何倍となるか。その倍率として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.50 (2)0.58 (3)0.87 (4)1.15 (5)1.73

(b)×印の両側に現れる電圧の大きさ [V] は、電源の線間電圧の大きさ $V$ [V] の何倍となるか。その倍率として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)0 (2)0.58 (3)0.87 (4)1.00 (5)1.15

2016年(平成28年)問15 過去問解説

(a)断線前の負荷側をΔ⇒Y変換した一相分の等価回路は、次の図のようになります。断線前では、相電流の大きさ $I_p$[A]は、

$I_p=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{V}{\sqrt{3}}}{r+\displaystyle \frac{r}{3}}=\displaystyle \frac{\sqrt{3}V}{4r}$[A]

Δ結線の電流 $I$[A]は、

$I=\displaystyle \frac{I_p}{\sqrt{3}}=\displaystyle \frac{V}{4r}$[A]

b相の×印の位置で断線した時の等価回路を示します。流れる電流の大きさを $I’$[A]とすると、

$I’=\displaystyle \frac{V}{2r+\displaystyle \frac{r×2r}{r+2r}}×\displaystyle \frac{r}{r+2r}=\displaystyle \frac{V}{8r}$

したがって、断線前の倍率は、

$\displaystyle \frac{I’}{I}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{V}{8r}}{\displaystyle \frac{V}{4r}}=0.5$

(b)電圧のベクトル図を示します。

断線後、断線部の両側の電圧は、点aと点cの中点Pの電位と、点bの電位差になります。線間電圧の大きさを $V$ とすると、点Pの電位と、点bの電位差 OP は $\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}V$ ですので、その倍率は、

$\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}V}{V}=0.87$

答え(a)-(1)、(b)-(3)

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