シーケンスの基本回路についてやさしく解説しています。一見、複雑そうに思えるシーケンス図ですが、実は基本となる回路をいくつか組み合わせて構成されていることがほとんどです。シーケンス制御には、基本回路と呼ばれる回路がいくつかあります。このページでは基本回路の一つである「インターロック回路」について説明しています。
インターロック回路とは
シーケンス制御の対象となる機械が安全に運転できるようにするために、シーケンス動作の進行を阻止したり、運転状態の回路を初期状態に戻すことを目的としたものを、インターロック回路といいます。
インターロック回路は、「起動インターロック」「停止インターロック」「相互インターロック」に大別することができます。
起動インターロック
起動インターロックは、機械を始動させる直前の初期状態の時だけ条件が成立し、機械が運転に入ると、その条件が不成立になるものをいいます。電源投入時または電源復帰時に機械が自動的に起動するのを防ぐ手段です。
起動インターロックは、次の図の接点Aに相当します。シーケンス回路への組み込みは、電磁接触器MCの自己保持回路の中にいれなければなりません。
停止インターロック
運転中の機械を人の操作により停止させる以外に、機械の保護装置が作動したときに、機械を自動的に停止させるようにしたものを停止インターロックといいます。
停止インターロックは、次の図の接点Bに相当します。機械を始動させる初期状態において、条件が成立していなければ始動不可であるので、運転インターロックという場合もあります。
相互インターロック
相互インターロックは、電磁接触器を2個を使用して、モーターの正転・逆転の操作を行う場合などに使っています。例えば、正転側の電磁接触器がオンの時に、逆転側の電磁接触器がオンしないようにするため、相互に電磁接触器のb接点をコイルと直列にいれるようにしたものです。
相互インターロック回路は、2つの入力信号のうち、先に動作したほうが優先し、他方の動作を禁止する回路のことをいいます。2つの入力信号がいっしょに入ると異常が発生する場合、機器の保護と操作者の安全のために、誤って2つの入力信号をいっしょに入れても、先に動作したほうを優先し、他方は動作しないようにした回路です。尚、相互インターロック回路のことを、先行優先回路ともいいます。相互インターロックのシーケンス回路の例を示します。
相互インターロックの動作
リレーXが先行したときの動作
① 押しボタンスイッチBSxを押すことにより、リレーXのコイルに電流が流れます。
② リレーXのコイルに電流が流れると、可動鉄片の吸引により、リレーXのa接点が閉じ、リレーXのb接点が開きます。
③ リレーXのa接点が閉じると、ランプLxが点灯します。
押しボタンスイッチBSyを押しても、リレーXのb接点が開いているので、リレーYは動作しません。これをリレーYがインターロックしたといいます。
リレーYが先行したときの動作
① 押しボタンスイッチBSyを押すことにより、リレーYのコイルに電流が流れます。
② リレーYのコイルに電流が流れると、可動鉄片の吸引により、リレーYのa接点が閉じ、リレーYのb接点が開きます。
③ リレーYのa接点が閉じると、ランプLyが点灯します。
押しボタンスイッチBSxを押しても、リレーYのb接点が開いているので、リレーXは動作しません。これをリレーXがインターロックしたといいます。
相互インターロックの動作は論理回路の「AND回路」と「NOT回路」を理解していると簡単にわかると思います。相互インターロックの使いどころは、例えば№1と№2の2台のポンプを運転させる場合、先に№1のポンプを運転させた時、次に№2のポンプのスタートボタンを押しても、起動させたくない回路に利用されています。このように安全を考慮した回路などに応用されています。