電験三種の法規で出題される保安規定について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。
保安規定
事業用電気工作物を設置する者に対しては、その工事・維持・運用に関する保安を確保するため、保安規定の作成が必要とされています。事故があってはいけないので、事前にきちんとしたマニュアルを作っておくわけです。
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用の開始前に、主務大臣に届け出なければならない。
事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を主務大臣に届け出なければならない。
主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。
事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない
電気事業法第42条
保安規程に定めるべき事項
保安規定に定めるべき事項は電気事業法施行規則第50条で定められています。次に一部抜粋して示します。
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
- 事業用電気工作物の運転又は操作に関すること。
- 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
- 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。
電験三種-法規(電気関係法令)過去問題
1999年(平成11年)問7
「電気事業法」では、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規定に関して次のように規定している。
- 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、
主務省令で定めるところにより、保安規定を定め、事業用電気工作物の使用の( ア )、主務大臣に届出なければならない。 - 事業用電気工作物を設置する者は、保安規定を変更したときは、( イ )、変更した事項を主務大臣に届出しなければならない。
- 主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規定を( ウ )すべきことを命ずることができる。
- 事業用電気工作物を設置する者及びその( エ )は、保安規定を守らなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 開始前に | 遅滞なく | 変更 | 従業者 |
(2) | 開始後すみやかに | 直ちに | 訂正 | 従業者 |
(3) | 開始前に | 直ちに | 変更 | 担当者 |
(4) | 開始後すみやかに | 遅滞なく | 改善 | 責任者 |
(5) | 開始後直ちに | 速やかに | 改善 | 責任者 |
1999年(平成11年)問7 過去問解説
- 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、
主務省令で定めるところにより、保安規定を定め、事業用電気工作物の使用の( 開始前に )、主務大臣に届出なければならない。 - 事業用電気工作物を設置する者は、保安規定を変更したときは、( 遅滞なく )、変更した事項を主務大臣に届出しなければならない。
- 主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規定を( 変更 )すべきことを命ずることができる。
- 事業用電気工作物を設置する者及びその( 従業者 )は、保安規定を守らなければならない。
答え (1)
2000年(平成12年)問7
「電気事業法施行規則」では、自家用電気工作物を設置する者が保安規程に定めるべき事項を規定しているが、次の事項のうち、規定されていないものはどれか。
- 電気工作物の運転又は操作に関すること。
- 電気エネルギーの使用の合理化に関すること。
- 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
- 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のために巡視、点検及び検査に関すること。
- 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。
2000年(平成12年)問7 過去問解説
「電気事業法施行規則」では、電気エネルギーの使用の合理化に関することは、規定されていません。
答え (2)
2004年(平成16年)問1
次の文章は、「電気事業法」に基づく保安規程に関する記述である。
- ( ア )電気工作物を設置する者は、( ア )電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体化に確保することが必要な( ア )電気工作物の( イ )ごとに保安規定を定め、当該組織における( ア )電気工作物の使用の開始前に主務大臣に届けでなければならない。
- ( ア )電気工作物を設置する者は、保安規定を変更したときは、( ウ )、変更した事項を主務大臣に届けでなければならない。
- ( ア )電気工作物を設置する者及びその( エ )は、保安規程をまもらなければならない。
上記の記述の空欄箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句として、正しいものを組合せたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 一般用 | 事業用 | 変更の日から30日以内に | 使用者 |
(2) | 一般用 | 組織 | 遅滞なく | 管理者 |
(3) | 自家用 | 事業用 | 遅滞なく | 管理者 |
(4) | 事業用 | 事業用 | 変更の日から30日以内に | 管理者 |
(5) | 事業用 | 組織 | 遅滞なく | 従業者 |
2004年(平成16年)問1 過去問解説
- ( 事業用 )電気工作物を設置する者は、( 事業用 )電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体化に確保することが必要な( 事業用 )電気工作物の( 組織 )ごとに保安規定を定め、当該組織における( 事業用 )電気工作物の使用の開始前に主務大臣に届けでなければならない。
- ( 事業用 )電気工作物を設置する者は、保安規定を変更したときは、( 遅滞なく )、変更した事項を主務大臣に届けでなければならない。
- ( 事業用 )電気工作物を設置する者及びその( 従業者 )は、保安規程をまもらなければならない。
答え (5)
2008年(平成20年)問4
次の文章は、受電電圧 6.6[kV]、受電設備容量 2500[kV・A]の需要設備である自家用電気工作物(一の産業保安監督部の管轄区域内のみにあるものとする。)を設置する場合の、保安規定についての記述である。
- 自家用電気工作物を設置する者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する( ア )を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、( ア )を一体的に確保することが必要な自家用電気工作物の組織ごとに保安規定を定め、当該組織における自家用電気工作物の使用の( イ )に、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長(那覇産業保安監督事務所長を含む。以下同じ。)( ウ )なければならない。
- 自家用電気工作物を設置する者は、保安規定を変更したときは、( エ )、変更した事項を電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に届け出なければならない。
- 自家用電気工作物を設置する者及びその従事者は、保安規定を守らなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 安全 | 直後 | の認可を受け | 30日以内に |
(2) | 保安 | 開始前 | に届け出 | 遅滞なく |
(3) | 保安 | 開始前 | の認可を受け | 遅滞なく |
(4) | 保安 | 直後 | に届け出 | 30日以内に |
(5) | 安全 | 直後 | に届け出 | 30日以内に |
2008年(平成20年)問4 過去問解説
- 自家用電気工作物を設置する者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する( 保安 )を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、( 保安 )を一体的に確保することが必要な自家用電気工作物の組織ごとに保安規定を定め、当該組織における自家用電気工作物の使用の( 開始前 )に、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長(那覇産業保安監督事務所長を含む。以下同じ。)( に届け出 )なければならない。
- 自家用電気工作物を設置する者は、保安規定を変更したときは、( 遅滞なく )、変更した事項を電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に届け出なければならない。
- 自家用電気工作物を設置する者及びその従事者は、保安規定を守らなければならない。
答え (2)
2009年(平成21年)問3
次の文章は、「電気事業法施行規則」における、保安規定において定めるべき事項の記述の一部である。
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の( ア )及び組織に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する( イ )に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての( ウ )に関すること。
- 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 職務 | 保安教育 | 記録 |
(2) | 職務 | 指導 | 監視 |
(3) | 資格 | 訓練 | 記録 |
(4) | 資格 | 保安教育 | 監視 |
(5) | 職務 | 訓練 | 記録 |
2009年(平成21年)問3 過去問解説
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の( 職務 )及び組織に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する( 保安教育 )に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
- 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての( 記録 )に関すること。
- 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
答え (1)
2016年(平成28年)問10
次の文章は、「電気事業法施行規則」に基づく自家用電気工作物を設置する者が保安規程に定めるべき事項の一部に関しての記述である。
- 自家用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の( ア )に関すること。
- 自家用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する( イ )に関すること。
- 自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための( ウ )及び検査に関すること。
- 自家用電気工作物の運転又は操作に関すること。
- 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
- 災害その他非常の場合に採るべき( エ )に関すること。
- 自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての( オ )に関すること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) | |
(1) | 権限及び義務 | 勤務体制 | 巡視、点検 | 指揮命令 | 記録 |
(2) | 職務及び組織 | 勤務体制 | 整備、補修 | 措置 | 届出 |
(3) | 権限及び義務 | 保安教育 | 整備、補修 | 指揮命令 | 届出 |
(4) | 職務及び組織 | 保安教育 | 巡視、点検 | 措置 | 記録 |
(5) | 権限及び義務 | 勤務体制 | 整備、補修 | 指揮命令 | 記録 |
2016年(平成28年)問10 過去問解説
- 自家用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の( 職務及び組織 )に関すること。
- 自家用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する( 保安教育 )に関すること。
- 自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための( 巡視、点検 )及び検査に関すること。
- 自家用電気工作物の運転又は操作に関すること。
- 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
- 災害その他非常の場合に採るべき( 措置 )に関すること。
- 自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての( 記録 )に関すること。
答え (4)