絶縁材料

電力

このページでは、絶縁材料について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の電力科目の試験で、実際に出題された絶縁材料の過去問題も解説しています。

絶縁材料の種類と特徴

絶縁材料に求める性能

  • 絶縁耐力が高い
  • 絶縁抵抗が大きい
  • 誘電正接が小さく、誘電損が少ない
  • コロナの発生が小さい
  • 湿気を吸収しにくい
  • 機械的強度が大きい

絶縁材料の種類

気体絶縁材料

気体の絶縁材料には、空気,六ふっ化硫黄(SF6)ガス,水素ガスなどがあります。

六ふっ化硫黄(SF6)ガスは、無色、無臭で、空気より重い気体です。化学的に安定しており、絶縁耐力が空気と比較して高く、アークを消弧する能力に優れています。尚、地球温暖化に及ぼす影響が大きいという問題点があります。

一般的に気体絶縁材料は、固体や液体の絶縁材料に比べて絶縁耐力は劣りますが、次のような性質があります。

  • 軽い
  • 圧力を上げると絶縁性能が高くなる
  • 熱的・化学的に安定度が高い
  • 不燃性が高い
  • 熱伝導率が小さいので冷却性能は劣る

液体絶縁材料

液体の絶縁材料は、一般的に絶縁と冷却を目的に使用されます。そのため、比熱と熱伝導率が大きく冷却性能に優れていることが要求されます。

油入変圧器に使用されている鉱油は、原油を精製して作られています。鉱油は空気中の水分や、酸素と熱による酸化などで劣化します。絶縁油中の水分は絶縁破壊電圧に大きく左右しますので、吸湿装置を取り付けたり、隔膜を設けて絶縁油と空気が触れないような構造にするなど、対策が図られています。

固体絶縁材料

固体絶縁材料は磁器,絶縁紙,プラスチック,合成ゴムなど非常に多くの材料が使用されています。耐熱性や耐候性など各材料の特性を考慮して使用することが重要です。

  

電験三種-電力(電気材料)過去問題

1997年(平成9年)問10

発電機巻線の絶縁材料に要求される性質として、不適当なものは次のうちどれか。

  1. 誘電損が小さい
  2. コロナの発生が小さい
  3. 湿気を吸収しにくい
  4. 機械的強度が大きい
  5. 熱の伝導率が小さい

1997年(平成9年)問10 過去問解説

熱の伝導率が小さいと、熱が機器内に溜り高温になって、絶縁破壊や電気抵抗の増大をもたらします。したがって(5)が誤りです。

答え (5)

1998年(平成10年)問10

変圧器の絶縁油は、変圧器内部の絶縁及び( ア )のために使用され、現在、主に( イ )系絶縁油が用いられている。変圧器の絶縁油として、最も重要な特性は( ウ )であり、これは絶縁油中の( エ )に大きく左右される。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)冷却合成油帯電度二酸化炭素
(2)冷却鉱油絶縁破壊電圧水分
(3)防錆合成油帯電度二酸化炭素
(4)冷却鉱油帯電度水分
(5)防錆合成油絶縁破壊電圧水分

1998年(平成10年)問10 過去問解説

変圧器の絶縁油は、変圧器内部の絶縁及び( 冷却 )のために使用され、現在、主に( 鉱油 )系絶縁油が用いられている。変圧器の絶縁油として、最も重要な特性は( 絶縁破壊電圧 )であり、これは絶縁油中の( 水分 )に大きく左右される。

答え (2)

2002年(平成14年)問10

絶縁材料の基本的性質に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

  1. 絶縁材料は熱的、電気的、機械的原因などにより変化する。
  2. 気体絶縁材料は圧力により絶縁耐力が変化する。
  3. 液体絶縁材料には比熱容量、熱伝導率の小さいものが適している。
  4. 電気機器に用いられる絶縁材料は、一般には許容最高温度で区分されており、日本工業規格(JIS)では耐熱クラスHの許容最高温度は180[℃]である。
  5. 真空は絶縁性能に優れており、遮断器などに利用される。

2002年(平成14年)問10 過去問解説

液体絶縁材料は比熱容量、熱伝導率の大きいものが適していますので(3)が誤りです。

答え (3)

2004年(平成16年)問1

変圧器に使用する絶縁油に必要な性状として、誤っているのは次のうちどれか。

  1. 絶縁耐力が大きいこと。
  2. 引火点が高いこと。
  3. 粘度が高いこと。
  4. 比熱が大ききこと。
  5. 化学的に安定であること。

2004年(平成16年)問1 過去問解説

絶縁油は循環することによって、巻線等から熱エネルギーを奪って温度を下げています。粘度が高いと絶縁油は循環しにくくなりますので、温度を下げることができなくなる。したがって(3)が誤りです。

答え (3)

2005年(平成17年)問14

電気絶縁材料に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。

  1. 六ふっ化硫黄(SF6)ガスは、絶縁耐力が空気や窒素と比較して高く、アークを消弧する能力に優れている。
  2. 鉱油は、化学的に合成される絶縁材料である。
  3. 絶縁材料は、許容最高温度によりA,E,B等の耐熱クラスに分類されている。
  4. ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル等は熟可塑性(加熱することにより柔らかくなる性質)樹脂に分類される。
  5. 磁器材料は、一般にけい酸を主体とした無機化合物である。

2005年(平成17年)問14 過去問解説

鉱油は、原油を精製して作られています。化学合成されたものではありません。したがって(2)が誤りです。

答え (2)

2007年(平成19年)問14

六ふっ化硫黄(SF6)ガスに関する記述として、誤っているのは次のうちどれか

  1. 絶縁破壊電圧が同じ圧力の空気より高い。
  2. 無色、無臭であり、化学的にも安定である。
  3. 温室効果ガスの一種として挙げられている。
  4. 比重が空気に比べて小さい。
  5. アークの消弧能力は空気よりも高い。

2007年(平成19年)問14 過去問解説

SF6(六ふっ化硫黄)ガスは、空気の約5倍の重さです。

答え (4)

2009年(平成21年)問14

固体絶縁材料の劣化に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

  1. 膨張、収縮による機械的な繰り返しひずみの発生が、劣化の原因となる場合がある。
  2. 固体絶縁物内部の微小空げきで高電圧印加時のボイド放電が発生すると、劣化の原因となる。
  3. 水分は、CVケーブルの水トリー劣化の主原因である。
  4. 硫黄などの化学物質は、固体絶縁材料の変質を引き起こす。
  5. 部分放電劣化は、絶縁体外表面のみに発生する。

2009年(平成21年)問14 過去問解説

部分放電劣化とは、絶縁物の内部にある空隙(ボイド)に放電が起こり劣化する現象です。したがって(5)が誤りです。

答え (5)

2010年(平成22年)問14

絶縁油は変圧器や OFケーブルなどに使用されており、一般に絶縁破壊電圧は大気圧の空気と比べて( ア )、誘電正接は空気よりも( イ )。電力用機器の絶縁油として古くから( ウ )が一般的に用いられてきたが、OFケーブルやコンデンサでより優れた低損失性や信頼性が求められる仕様のときには( エ )が採用される場合もある。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)低く小さい植物油シリコーン油
(2)高く大きい鉱物油重合炭化水素油
(3)高く大きい植物油シリコーン油
(4)低く小さい鉱物油重合炭化水素油
(5)高く大きい鉱物油シリコーン油

2010年(平成22年)問14 過去問解説

絶縁油は変圧器や OFケーブルなどに使用されており、一般に絶縁破壊電圧は大気圧の空気と比べて( 高く )、誘電正接は空気よりも( 大きい )。電力用機器の絶縁油として古くから( 鉱物油 )が一般的に用いられてきたが、OFケーブルやコンデンサでより優れた低損失性や信頼性が求められる仕様のときには( 重合炭化水素油 )が採用される場合もある。

答え (2)

2011年(平成23年)問14

電気絶縁材料に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 直射日光により、絶縁物の劣化が生じる場合がある。
  2. 多くの絶縁材料は温度が高いほど、絶縁強度の低下や誘電損の増加が生じる。
  3. 絶縁材料中の水分が少ないほど、絶縁強度は低くなる傾向がある。
  4. 電界や熱が長時間加わることで、絶縁強度は低下する傾向がある。
  5. 部分放電は、絶縁物劣化の一要因である。

2011年(平成23年)問14 過去問解説

絶縁材料中の水分が少ないほど、絶縁強度は高くなる傾向があります。

答え (3)

2013年(平成25年)問14

絶縁材料の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 絶縁油は、温度や不純物などにより絶縁性能が影響を受ける。
  2. 固体絶縁材料は、温度変化による膨張や収縮による機械的ひずみが原因で劣化することがある。
  3. 六ふっ化硫黄 (SF6) ガスは、空気とくらべて絶縁耐力が高いが、一方で地球温暖化に及ぼす影響が大きいという問題点がある。
  4. 液体絶縁材料は気体絶縁材料と比べて、圧力により絶縁耐力が大きく変化する。
  5. 一般に固体絶縁材料には、液体や気体の絶縁材料と比較して、絶縁耐力が高いものが多い。

2013年(平成25年)問14 過去問解説

気体絶縁材料は、圧力を上げることで絶縁耐力を高められるという特徴があります。

答え (4)

2014年(平成26年)問14

六ふっ化硫黄(SF6)ガスに関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. アークの消弧能力は、空気よりも優れている。
  2. 無色、無臭であるが、化学的な安定性に欠ける。
  3. 地球温暖化に及ぼす影響は、同じ質量の二酸化炭素と比較してはるかに大きい。
  4. ガス遮断器やガス絶縁変圧器の絶縁媒体として利用される。
  5. 絶縁破壊電圧は、同じ圧力の空気と比較すると高い。

2014年(平成26年)問14 過去問解説

六ふっ化硫黄(SF6)ガスは、無色、無臭で、化学的に安定しています。

答え (2)

2017年(平成29年)問14

電気絶縁材料に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. ガス遮断器などに使用されているSF6ガスは、同じ圧力の空気と比較して絶縁耐力や消弧能力が高く、反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスである。しかし、SF6ガスは、大気中に排出されると、オゾン層破壊への影響が大きいガスである。
  2. 変圧器の絶縁油には、主に鉱油系絶縁油が使用されており、変圧器内部を絶縁する役割のほかに、変圧器内部で発生する熱を対流などによって放散冷却する役割がある。
  3. CVケーブルの絶縁体に使用される架橋ポリエチレンは、ポリエチレンの優れた絶縁特性に加えて、ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とすることによって、耐熱変形性を大幅に改善した絶縁材料である。
  4. がいしに使用される絶縁材料には、一般に、磁器、ガラス、ポリマの3種類がある。我が国では磁器がいしが主流であるが、最近では、軽量性や耐衝撃性などの観点から、ポリマがいしの利用が進んでいる。
  5. 絶縁材料における絶縁劣化では、熱的要因、電気的要因、機械的要因のほかに、化学薬品、放射線、紫外線、水分などが要因となり得る。

2017年(平成29年)問14 過去問解説

SF6ガスは、化学的に安定した気体ですので、オゾン層の破壊を起こしません。

答え (1)

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