配電線の供給方式【電験3種-電力】

電力

電験3種の電力で出題される配電線の供給方式について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

配電線の供給方式

配電とは、送電系統から送られてきた電力を、電力使用者である需要家へ送り届ける最終部分の電力系統のことです。日本で使われている配電方式としては次の5種類があります。

  •  樹枝状(放射状)配電方式
  •  環状(ループ)配電方式
  •  低圧バンキング方式
  •  低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式)
  •  スポットネットワーク方式

樹枝状(放射状)配電方式

樹枝状配電方式は、高低圧配電線で多く採用されている方式です。幹線と分岐線を適当に区分する区分開閉器、区分された区間に隣接幹線から電気を送受する連絡開閉器などで構成されています。この方式は需要家に樹枝状に電気を供給するもので、構造が単純であり、容易に需要増に対応できます。

樹枝状

  • 構成が単純で、建設費が安価。
  • 需要家増に対して、容易に対応が可能。
  • 他の配電方式と比べると供給信頼度は低い。

環状(ループ)配電方式

2つの配電線を結合開閉器で結び、ループ状に構成したものです。事故等が発生した場合は、事故点両側の区分開閉器を「開」にします。結合開閉器を常時「開」にしておき、故障発生時に「閉」にする常時開路式と、結合開閉器を常時「閉」にしておく常時閉路式があります。

環状

  • 故障が発生しても,その区間を除けば、健全部には常に電力が供給されます。
  • 電力供給信頼度が高い。
  • 常時閉路式では、電圧降下や電力損失が軽減されます。

低圧バンキング方式

低圧バンキング方式は、同一の高圧配電線に接続されている2台以上の変圧器の二次側を、低圧配電線で並列に接続し配電する方式のことです。

低圧バンキング

  • 電圧降下や電力損失の軽減が図れます。
  • 負荷増加に対する融通性があります。
  • 電力供給信頼度は高い。
  • 保護協調が適切でない場合、カスケーディングにより広範囲の停電を起こすおそれがあります。
カスケーディングとは、何かの原因で高圧ヒューズが溶断したり低圧配電線に短絡電流が流れたりした際、ほかの区分の変圧器にまで短絡電流が流れて、広い範囲で次々に停電を起こしてしまうことです。

低圧レギュラーネットワーク方式

同一バンクから2回線以上のフィーダを引き出し、各フィーダからT分岐して、断路器からネットワーク変圧器を経由し低圧側はネットワークプロテクタを介して格子状に接続されて、負荷に電力を供給する方式です。一般的には、ネットワーク変圧器の一次側の遮断器は省略されます。

1つのフィーダが故障しても、他のフィーダで電気を供給できるので、需要家においては、ほぼ無停電化が実現できます。

 

低圧レギュラーネットワーク

  • 電力供給信頼性が非常に高い。
  • 電圧変動、電圧降下、電力損失が少ない。
  • 建設費が非常に高いので、負荷密度の高い地域に採用されます。
ネットワークプロテクタ
プロテクタヒューズ、プロテクタ遮断器と内部にリレー(ネットワークリレー)を有する自動開閉装置です。一次側事故時に二次側からの逆電流を関知し、プロテクタ遮断器を開き、故障回復後は、自動的に閉じます。

スポットネットワーク方式

スポットネットワーク方式は、大規模ビルなどの1箇所に集中した負荷(大口需要家)で高信頼度性が要求される施設に導入される方式です。地中配電線の2または3回線からT分岐して引き込み、それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続し、各低圧側はネットワークプロテクタを経て並列に接続して、ネットワーク母線を構成するものです。

スポットネットワーク

  • 電力供給信頼性が非常に高い。
  • 特高側の受電用遮断器が省略されて断路器のみとなり、受電設備が簡素化されます。
  • ネットワークプロテクタの自動制御機構により、事故等の対応が自動化できます。

電験3種-電力(送配電)過去問題

2000年(平成12年)問8

低圧ネットワーク配電方式に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)低圧ネットワーク配電方式には、スポットネットワーク方式とレギュラーネットワーク方式がある。
(2)レギュラーネットワーク方式は、大工場や高層ビル等、一箇所に集中した負荷(大口需要家)に供給する方式である。
(3)ネットワーク変圧器の一次側に接続される配電線の供給電圧は、一般的に22[kV]又は33[kV]である。
(4)一般的にネットワーク変圧器の一次側には断路器が設置され、遮断器は省略される。
(5)ネットワーク変圧器二次側に、保護装置としてネットワークプロテクタが設置される。

2000年(平成12年)問8 過去問解説

一箇所に集中している負荷は、複数の配電設備から供給されるスポットネットワーク方式が適しています。

答え(2)

2002年(平成14年)問8

配電系統の構成方法の一つであるスポットネットワーク方式に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)都市部の大規模ビルなど高密度大容量負荷に供給するための、2回線以上の配電線による信頼度の高い方式である。
(2)万一、ネットワーク母線に事故が発生したときには、受電が不可能となる。
(3)配電線の1回線が停止するとネットワークプロテクタが自動開放するが、配電線の復旧時にはこのプロテクタを手動投入する必要がある。
(4)配電線事故で変電所遮断器が開放すると、ネットワーク変圧器に逆電流が流れ、逆電力継電器により事故回線のネットワークプロテクタを開放する。
(5)ネットワーク変圧器の一次側は、一般には遮断器が省略され、受電用断路器を介して配電線と接続される。

2002年(平成14年)問8 過去問解説

ネットワークプロテクタリレーは、一次側事故時に二次側からの逆電流を関知し、プロテクタ遮断器を開き、故障回復後は、自動的に閉じます。

答え(3)

2004年(平成16年)問13

図のように、二つの高圧配電線路A及びBが連系開閉器M(開放状態)で接続されている。いま、区分開閉器Nと連系開閉器Mとの間の負荷への電力供給を、配電線路Aから配電線路Bに無停電で切り替えるため、連系開閉器Mを投入(閉路)して短時間ループ状態にした後、区分開閉器Nを開放した。
このように、無停電で配電線路の切替作業を行う場合、考慮しなくてもよい事項は次のうちどれか。

2004年問13

(1)ループ状態にする前の開閉器NとMの間の負荷の大きさ
(2)ループ状態にする前の連系開閉器Mの両端の電位差
(3)ループ状態にする前の連系開閉器Mの両端の位相差
(4)ループ状態での両配電系統の短絡容量
(5)ループ状態での両配電系統の電力損失

2004年(平成16年)問13 過去問解説

ループ状態の2つの配電線路を無停電で切替作業を行う場合、次の点について考慮しなければなりません。

  • 電圧が等しい
  • 周波数が等しい
  • 位相が等しい
  • 波形が等しい

また、負荷の大きさに差があると、負荷の分担にアンバランスを生じます。両配電系統の短絡容量に差があると、短絡事故が起こったとき短絡電流がアンバランスとなり、大きな事故となる恐れがあります。

電力損失に差があったとしても、特に大きな支障はありません。

答え(5)

2006年(平成18年)問10

図に示すスポットネットワーク受電設備において、(ア)、(イ)及び(ウ)の設備として、最も適切なものを組み合わせたのは次のうちどれか。

2006年問10

2006年(平成18年)問10 過去問解説

(ア)は断路器、(イ)はネットワークプロテクタ (ウ)は幹線保護装置です。

ネットワーク母線はネットワーク変圧器の二次側を連系すると同時に低圧フィーダの引出点となります。ネットワーク母線で短絡事故等が起こると、プロテクタヒューズが遮断し全停電になるので、母線の信頼度は十分高くしておく必要があります。そのため幹線保護装置で、各フィーダごとに保護を設けています。

答え(5)

2011年(平成23年)問12

次の文章は、スポットネットワーク方式に関する記述である。
スポットネットワーク方式は、ビルなどの需要家が密集している大都市の供給方式で一つの需要家に( ア )回線で供給されるのが一般的である。
機器の構成は、特別高圧配電線から断路器、( イ )及びネットワークプロテクタを通じて、ネットワーク母線に並列に接続されている。また、ネットワークプロテクタは、( ウ )、プロテクタ遮断器、電力方向継電器で構成されている。
スポットネットワーク方式は、供給信頼度の高い方式であり、( エ )の単一故障時でも無停電で電力を供給することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)ネットワーク変圧器断路器特別高圧配電線
(2)ネットワーク変圧器プロテクタヒューズネットワーク母線
(3)遮断器プロテクタヒューズネットワーク母線
(4)遮断器断路器ネットワーク母線
(5)ネットワーク変圧器プロテクタヒューズ特別高圧配電線

2011年(平成23年)問12 過去問解説

スポットネットワーク方式は、ビルなどの需要家が密集している大都市の供給方式で一つの需要家に( 3 )回線で供給されるのが一般的である。
機器の構成は、特別高圧配電線から断路器、( ネットワーク変圧器 )及びネットワークプロテクタを通じて、ネットワーク母線に並列に接続されている。また、ネットワークプロテクタは、( プロテクタヒューズ )、プロテクタ遮断器、電力方向継電器で構成されている。
スポットネットワーク方式は、供給信頼度の高い方式であり、( 特別高圧配電線 )の単一故障時でも無停電で電力を供給することができる。

答え(5)

2015年(平成27年)問12

スポットネットワーク方式及び低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式ともいう)の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)一般的に複数回線の配電線により電力を供給するので、1回線が停電しても電力供給を継続することができる配電方式である。
(2)低圧ネットワーク方式では、供給信頼度を高めるために低圧配電線を格子状に連系している。
(3)スポットネットワーク方式は、負荷密度が極めて高い大都市中心部の高層ビルなど大口需要家への供給に適している。
(4)一般的にネットワーク変圧器の一次側には断路器が設置され、二次側には保護装置(ネットワークプロテクタ)が設置される。
(5)スポットネットワーク方式において、ネットワーク変圧器二次側のネットワーク母線で故障が発生したときでも受電が可能である。

2015年(平成27年)問12 過去問解説

ネットワーク変圧器二次側のネットワーク母線で故障が発生したときは受電できません。

答え(5)

2016年(平成28年)問12

次の文章は、低圧配電系統の構成に関する記述である。

放射状方式は、( ア )ごとに低圧幹線を引き出す方式で、構成が簡単で保守が容易なことから、我が国では最も多く用いられている。
バンキング方式は、同一の特別高圧又は高圧幹線に接続されている2台以上の配電用変圧器の二次側を低圧幹線で並列に接続する方式で、低圧幹線の( イ )、電力損失を減少でき、需要の増加に対し融通性がある。しかし、低圧側に事故が生じ、1台の変圧器が使用できなくなった場合、他の変圧器が過負荷となりヒューズが次々と切れ広範囲に停電を引き起こす( ウ )という現象を起こす可能性がある。
この現象を防止するためには、連系箇所に設ける区分ヒューズの動作時間が変圧器一次側に設けられる高圧カットアウトヒューズの動作時間より( エ )なるよう保護協調をとる必要がある。
低圧ネットワーク方式は、複数の特別高圧又は高圧幹線から、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて低圧幹線に供給する方式である。特別高圧又は高圧幹線側が1回線停電しても、低圧の需要家側に無停電で供給できる信頼度の高い方式であり、大都市中心部で実用化されている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)配電用変電所電圧降下ブラックアウト長く
(2)配電用変電所フェランチ効果ブラックアウト長く
(3)配電用変圧器電圧降下カスケーディング短く
(4)配電用変圧器フェランチ効果カスケーディング長く
(5)配電用変圧器フェランチ効果ブラックアウト短く

2016年(平成28年)問12 過去問解説

放射状方式は、( 配電用変圧器 )ごとに低圧幹線を引き出す方式で、構成が簡単で保守が容易なことから、我が国では最も多く用いられている。
バンキング方式は、同一の特別高圧又は高圧幹線に接続されている2台以上の配電用変圧器の二次側を低圧幹線で並列に接続する方式で、低圧幹線の( 電圧降下 )、電力損失を減少でき、需要の増加に対し融通性がある。しかし、低圧側に事故が生じ、1台の変圧器が使用できなくなった場合、他の変圧器が過負荷となりヒューズが次々と切れ広範囲に停電を引き起こす( カスケーディング )という現象を起こす可能性がある。
この現象を防止するためには、連系箇所に設ける区分ヒューズの動作時間が変圧器一次側に設けられる高圧カットアウトヒューズの動作時間より( 短く )なるよう保護協調をとる必要がある。
低圧ネットワーク方式は、複数の特別高圧又は高圧幹線から、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて低圧幹線に供給する方式である。特別高圧又は高圧幹線側が1回線停電しても、低圧の需要家側に無停電で供給できる信頼度の高い方式であり、大都市中心部で実用化されている。

答え(3)

電力電験3種
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