地中電線路の布設方式

電力

このページでは、地中電線路の布設方式について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の電力科目の試験で、実際に出題された地中電線路の布設方式の過去問題も解説しています。

地中電線路の布設方式

地中電線路は架空電線路に比べて、台風や雷などの自然災害に強く、都市の景観を損なわないといった利点があります。

しかし、電力需要が増加した場合、増強するのは容易ではなく、またケーブルの対地静電容量によるフェランチ効果の影響が大きいといった欠点があります。

地中電線路の布設方式には、直接埋設式、管路式、暗きょ式があります。

直接埋設式

ケーブルを直接地中に埋設する方式です。一般的にはケーブルの保護のために、トラフなどに納めて埋設します。埋設深さは電気設備基準により定められています。

直接埋設式
直接埋設式

直接埋設式の特徴

  • 工事費が安い
  • 工事期間が短い
  • 埋設ケーブルの熱放射が良好
  • 埋設ケーブルが外傷を受けやすい

管路式

鋼管、硬質ビニル管、可とう電線管などを地中に埋設し、所定の長さごとにマンホールを設けて、管路中にケーブルを挿入する方式です。ケーブル条数の多い場合や、交通事情などから再度掘削工事による増設が困難な場所に採用されます。

管路式
管路式

管路式の特徴

  • ケーブルの増設や撤去に有利
  • 埋設ケーブルの熱放射は良くない
  • 埋設ケーブルが外傷を受けにく

暗きょ式

洞道(とうどう)や共同溝をあらかじめ整備し、この中にケーブル等を布設する方式です。変電所の引出口など、ケーブル条数が多い場合や、ケーブルの増設等が多い場所に採用されます。大規模なものとしては、電気、通信、ガス、水道などを同一の共同溝に布設し、多目的に利用する共同溝方式もあります。

暗きょ式
暗きょ式

暗きょ式の特徴

  • ケーブルの増設や撤去がしやすい
  • 埋設ケーブルの熱放射は良い
  • 多条数のケーブルの埋設に良い

  

電験三種-電力(送配電)過去問題

2001年(平成13年)問8

地中送配電線の主な布設方式である直接埋設式、管路式及び暗きょ式について、各方式の特徴に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

  1. 直接埋設式は、他の方式と比較して工事費が少なく、工事期間が短い。
  2. 管路式は、直接埋設式と比較してケーブル外傷事故の危険性が少なく、ケーブルの増設や撤去に便利である。
  3. 管路式は、他の方式と比較して熱放散が良く、ケーブ条数が増加しても送電容量の制限を受けにくい。
  4. 暗きょ式は、他の方式と比較して工事費が多大であり、工事期間が長い。
  5. 暗きょ式は、他の方式と比較してケーブルの保守点検作業が容易であり、多条数の布設に適している。

2001年(平成13年)問8 過去問解説

管路式は埋設ケーブルの熱放射は良くありません。

答え (3)

2006年(平成18年)問8

地下ケーブルの布設方法には、大別して直接埋設式、管路式、暗きょ式などがある。これらに関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 工事費並びに工期は直接埋設式が最も安価・短期であり、次に管路式、暗きょ式の順になる。
  2. 直接埋設式では、管路あるいは暗きょといった構造物を伴わないので、事故復旧は管路式、暗きょ式よりも容易にできる。
  3. 直接埋設式では、ケーブル外傷等の被害は管路式と暗きょ式と比べてその機会が多くなる。
  4. 暗きょ式、管路式は、布設後の増設が直接埋設方式に比べると一般に容易である。
  5. 暗きょ式の一種である共同溝は、電力ケーブル、電話ケーブル、ガス管、上下水道管などを共同の地下溝に施設するものである。

2006年(平成18年)問8 過去問解説

直接埋設式は事故発生時に目視ができないので、復旧箇所の特定が困難です。

答え (2)

2008年(平成20年)問12

架空配電線路と比較したときの地中配電線路の一般的な特徴に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

  1. 架空設備が地中化されることにより、街並みの景観が向上する。
  2. 設備の建設費用は、架空配電線より高額である。
  3. 変圧器等を施設するためのスペースが歩道などに必要である。
  4. 台風や雷に際しては、架空配電線路より設備事故が発生しにくいため、供給信頼度が高い。
  5. いったん線路の損壊事故が発生した場合の復旧は、架空配電線路の場合より短時間で済む場合が多い。

2008年(平成20年)問12 過去問解説

損壊事故の復旧作業は架空配電線路に比べて、困難ですので長時間要します。

答え (5)

2014年(平成26年)問10

次の文章は、地中送電線の布設方式に関する記述である。

地中ケーブルの布設方式は、直接埋設式、( ア )、( イ )などがある。直接埋設式は( ア )や( イ )と比較すると、工事費が( ウ )なる特徴がある。
( ア )や( イ )は我が国では主流の布設方式であり、直接埋設式と比較するとケーブルの引き替えが容易である。( ア )は( イ )と比較するとケーブルの熱放散が一般に良好で、( エ )を高くとれる特徴がある。( イ )ではケーブルの接続を一般に( オ )で行うことから、布設設計や工事の自由度に制約が生じる場合がある。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)暗きょ式管路式高く送電電圧地上開削部
(2)管路式暗きょ式安く許容電流マンホール
(3)管路式暗きょ式高く送電電圧マンホール
(4)暗きょ式管路式安く許容電流マンホール
(5)暗きょ式管路式高く許容電流地上開削部

2014年(平成26年)問10 過去問解説

地中ケーブルの布設方式は、直接埋設式、( 暗きょ式 )、( 管路式 )などがある。直接埋設式は( 暗きょ式 )や( 管路式 )と比較すると、工事費が( 安く )なる特徴がある。
( 暗きょ式 )や( 管路式 )は我が国では主流の布設方式であり、直接埋設式と比較するとケーブルの引き替えが容易である。( 暗きょ式 )は( 管路式 )と比較するとケーブルの熱放散が一般に良好で、( 許容電流 )を高くとれる特徴がある。( 管路式 )ではケーブルの接続を一般に( マンホール )で行うことから、布設設計や工事の自由度に制約が生じる場合がある。

答え (4)

2015年(平成27年)問11

次の文章は、地中配電線路の得失に関する記述である。
地中配電線路は、架空配電線路と比較して、( ア )が良くなる、台風等の自然災害発生時において( イ )による事故が少ない等の利点がある。
一方で、架空配電線路と比較して、地中配電線路は高額の建設費用を必要とするほか、掘削工事を要することから需要増加に対する( ウ )が容易ではなく、またケーブルの対地静電容量による( エ )の影響が大きい等の欠点がある。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)都市の景観他物接触設備増強フェランチ効果
(2)都市の景観操業者過失保護協調フェランチ効果
(3)需要率他物接触保護協調電圧降下
(4)都市の景観他物接触設備増強電圧降下
(5)需要率操業者過失設備増強フェランチ効果

2015年(平成27年)問11 過去問解説

地中配電線路は、架空配電線路と比較して、( 都市の景観 )が良くなる、台風等の自然災害発生時において( 他物接触 )による事故が少ない等の利点がある。
一方で、架空配電線路と比較して、地中配電線路は高額の建設費用を必要とするほか、掘削工事を要することから需要増加に対する( 設備増強 )が容易ではなく、またケーブルの対地静電容量による( フェランチ効果 )の影響が大きい等の欠点がある。

答え (1)

電力電験3種
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