回路計算の定理【電験3種-理論】

理論
電験3種の理論で出題される回路計算の定理について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

定電圧源と定電流源

定電圧源とは負荷の大きさが変動しても、一定の電圧を供給できる電源のことです。定電流源とは負荷の大きさが変動しても、一定の電流を供給できる電源のことです。電源には必ず内部抵抗があるのですが、定電圧源と定電流源では、内部抵抗がどのようになっているのかを説明します。

定電圧源

電圧源とは、ある電源に抵抗を接続し、抵抗値を変化させたとしても、電源の端子電圧が一定で、電流が変化する電源のことです。

電圧源

通常、電圧源は内部抵抗を持っています。図のように可変抵抗 $R$ に電流を流すと直列に接続されている内部抵抗 $r$ の電圧降下により端子電圧 $V$ は低下します。

もし内部抵抗が $r=0$ の理想的な電源なら、端子電圧 $V$ は可変抵抗 $R$ の値に関係なく一定の電圧を供給できます。つまり定電圧源とは、内部抵抗が $0$ の電圧源のことです。

定電流源

電流源とは、ある電源に抵抗を接続し、抵抗値を変化させたとしても、電源から流れ出る電流が一定で、電圧が変化する電源のことです。

電流源

通常、電流源は内部抵抗を持っています。図のように可変抵抗 $R$ を接続すると、並列に接続されている内部抵抗 $r$ にも電流が流れ、可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I$ は低下します。

もし内部抵抗が $r=∞$ の理想的な電源なら、内部抵抗 $r$ には電流が流れずに、可変抵抗 $R$ に流れる電流 $I$ は一定を保ちます。つまり電流源とは、内部抵抗が $∞$ の電流源のことです。

重ね合わせの理

重ねの理

重ね合わせの理とは、電源が複数ある回路の電圧・電流は、電源が1個だけの回路に分解した電圧・電流の和に等しいというものです。

図の回路の $R_3$ に流れる電流 $I$ は、分解した(1)の回路の $R_3$ に流れる電流 $I’$ と(2)の回路の $R_3$ に流れる電流 $I”$ の和に等しいので

$I=I’+I”$

となります。電流源と電圧源が複数ある場合でも、重ね合わせの理は成立します。

重ねの理
電圧源を除去する場合は回路を短絡します。電流源を除去する場合は回路を開放します。

テブナンの定理

テブナンの定理

図のような電源を含んだ回路中の端子 ab 間に抵抗 $R$[Ω]を接続すると、抵抗 $R$ に流れる電流 $I$ [A]は次の式で表すことが出来ます。

テブナンの定理

$I=\displaystyle \frac{ V_0 }{ R_0+R }$

$V_0$:端子 ab 間を開放したときの端子間電圧
$R_0$:電圧源は短絡し、電流源は開放したときの、端子 ab から回路を見た合成抵抗

テブナンの定理は、等価定電圧源に対応します。

テブナンの定理 例題

図の回路の端子電圧 $V$[V]の値を求めてみます。

テブナンの定理 例題

まずは次の図のように、2.5[Ω]の抵抗を開放したときの端子間電圧 $V_0$ [V]を求めます。回路に流れる電流を $I’$[A]とすると、

テブナンの定理 例題

$I’=\displaystyle \frac{ 27-22 }{ 1+2 }=\displaystyle \frac{ 5 }{ 3 }$[A]

回路に流れる電流と抵抗から電圧降下を求めることができますので、$V_0$ は次のとおりになります。尚、27[V]と 22[V]のどちらの電源電圧で計算しても、同じ結果になります。

$V_0=27-1×\displaystyle \frac{ 5 }{ 3 }=\displaystyle \frac{ 76 }{ 3 }$[V]
$V_0=22+2×\displaystyle \frac{ 5 }{ 3 }=\displaystyle \frac{ 76 }{ 3 }$[V]

次に、電圧源を短絡し、開放した端子から見た合成抵抗 $R_0$ を計算します。

テブナンの定理 例題

$R_0=\displaystyle \frac{ 1×2 }{ 1+2 }=\displaystyle \frac{ 2 }{ 3 }$[Ω]

テブナンの定理より、2.5[Ω]の抵抗に流れる電流 $I$[A]を求めることができます。

テブナンの定理 例題

$I=\displaystyle \frac{ V_0 }{ R_0+R }=\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ 76 }{ 3 } }{ \displaystyle \frac{ 2 }{ 3 }+2.5 }=\displaystyle \frac{ 76 }{ 9.5 }$[A]

求める電圧 $V$[V]は、

$V=2.5×I=2.5×\displaystyle \frac{ 76 }{ 9.5 }=20$[V]

ノートンの定理

ノートンの定理

図のような回路網中の端子 ab 間にコンダクタンス $G$[S]を接続したとき、コンダクタンス $G$ の端子間に表れる電圧 $V$ [V]は次の式で表すことが出来ます。

ノートンの定理

$V=\displaystyle \frac{ I_0 }{ G_0+G }$

$I_0$:端子 ab 間を短絡したときの端子に流れる電流
$G_0$:電圧源は短絡し、電流源は開放したときの、端子 ab から回路網を見たコンダクタンス

ノートンの定理は、等価定電流源に対応します。

電験3種-理論(直流回路)過去問題

1997年(平成9年)問5

図のような直流回路において、3[Ω]の抵抗を流れる電流[A]の値として、正しいのは次のうちどれか。

1995年問5

(1)0.35 (2)0.45 (3)0.55 (4)0.65 (5)0.75

1997年(平成9年)問5 過去問解説

問題の図を(1)と(2)のように分解し、重ね合わせの理を使います。1997年問5解

(1)の回路より

$(3+5)I’=4$

$I’=0.5$[A]

(2)の回路より、分流の法則を当てはめると

$-I”=\displaystyle \frac{ 5 }{ 3+5 }×2=1.25$

$I”=-1.25$

よって

$I=I’+I”=0.5-1.25=-0.75$[A]

答え(5)

1999年(平成11年)問7

図の直流回路において、二つの電流源の電流 $I_1$[A]及び $I_2$[A]の値の組み合わせてして、正しい値は次のうちどれか。

1999年問7

(1)$I_1= 0$    $I_2=10$
(2)$I_1= 4$    $I_2=6$
(3)$I_1= 5$    $I_2=5$
(4)$I_1= 6$    $I_2=4$
(5)$I_1=10$   $I_2=0$

1999年(平成11年)問7 過去問解説

1999年問7解

図のように 1[Ω]の抵抗に、左から右に流れる電流を $I$ [A]とし、A点,B点にキルヒホッフの第1法則、A→B→C→Dループにキルヒホッフの第2法則を適用します。

$I_1=6+I$ … (1)

$I_2=4-I$ … (2)

$I+4×2-6×1=0$ … (3)

(1),(2),(3)を解くと、$I_1=4$,$I_2=6$。

答え(2)

2006年(平成18年)問5

図のように内部抵抗 $r$[Ω]、起電力 $E$[V]の電池に抵抗 $R$[Ω]の可変抵抗器を接続した回路がある。$R=2.25$[Ω]にしたとき、回路を流れる電流$I=3$[A]であった。つぎに、$R=3.45$[Ω]にしたとき、回路を流れる電流 $I=2$[A]となった。この電池の起電力 $E$[V]の値として、正しいのは次のうちどれか。

2006年問5

2006年(平成18年)問5 過去問解説

$R=2.25$[Ω]のときは

$E=3×(2.25+r)$ … (1)

$R=3.45$[Ω]のときは

$E=2×(3.45+r)$ … (2)

(1)、(2)式より

$3×(2.25+r) =2×(3.45+r)$

$r=0.15$

$E=3×(2.25+0.15)=7.2$[V]

答え(4)

2012年(平成24年)問5

図1のように電圧が $E$[V]の直流電圧源で構成される回路を、図2のように電流が $I$ [A]の直流電流源(内部抵抗が無限大で、負荷変動があっても定電流を流出する電源)で構成される等価回路に置き替えることを考える。この場合、電流 I[A]の大きさは図1の端子a-bを短絡したとき、そこを流れる電流の大きさに等しい。また、図2のコンダクタンス $G$[S]の大きさは図1の直流電圧源を短絡し、端子a-bからみたコンダクタンスの大きさに等しい。$I $[A]と $G$[S]の値を表す式の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

2012年問5

2012年(平成24年)問5 過去問解説

図1の端子a-bを短絡したときの合成抵抗を $R$ とすると、

$R=R_1+\displaystyle \frac{ R_2R_3 }{ R_2+R_3 }$

$R_1$に流れる電流を $I_1$ とすると、オームの法則より

$I_1=\displaystyle \frac{E}{R_1+\displaystyle \frac{ R_2R_3 }{ R_2+R_3 }}$

端子a-bに流れる電流 $I$ は、分流の法則より、

$\begin{eqnarray}I&=&\displaystyle \frac{ R_2}{ R_2+R_3 }×I_1\\\\&=&\displaystyle \frac{ R_2}{ R_2+R_3 }×\displaystyle \frac{E}{R_1+\displaystyle \frac{ R_2R_3 }{ R_2+R_3 }}\\\\&=&\displaystyle \frac{ R_2 }{ R_1R_2+R_1R_3+R_2R_3 }E\end{eqnarray}$

図2のコンダクタンス $G$[S]の大きさは図1の直流電圧源を短絡し、端子a-bからみたコンダクタンスの大きさに等しい。コンダクタンスは、端子 a-b からみた合成抵抗の逆数ですので、

$\begin{eqnarray}G&=&\displaystyle \frac{ 1}{\displaystyle \frac{ R_1R_2 }{ R_1+R_2 }+R_3}\\\\&=&\displaystyle \frac{ R_1+R_2 }{ R_1R_2+R_1R_3+R_2R_3 }E\end{eqnarray}$

答え(2)

理論電験3種
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