直流送電【電験3種-電力】

電力

電験3種の電力で出題される直流送電について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

直流送電

静岡県の富士川を境として、東と西とで基準周波数が異なりますが、この2交流系統を交直変換器を用いて連系するのに直流送電が使われています。また、ケーブルで電気を送る際、交流送電で問題となるような充電電流がないため損失面、電圧面で有利となるため、北海道と本州とをつなぐ海底ケーブルに直流送電が採用されています。

直流送電

直流送電の利点

  •  絶縁が容易
  •  電圧降下や線路損失が小さい
  •  フェランチ効果が起こらない
  •  異周波数の連系や非同期連系が簡単
  •  充電電流が生じない
  •  ケーブルが安い

直流送電の欠点

  • 変圧が容易にはできない
  • 交直交換設備の設置が必要
  • 電流の遮断が難しい

電験3種-電力(送配電)過去問題

2003年(平成15年)問8

直流送電に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)交流送電と比べて、送電線路の建設費は安いが、交直変換所の設置が必要となる。
(2)交流送電のような安定度の問題がないので、長距離送電に適している。
(3)直流の高電圧大電流の遮断は、交流の場合より容易である。
(4)直流は、変圧器で簡単に昇圧や降圧ができない。
(5)交直変換器からは高調波が発生するので、フィルタ設備等の対策が必要である。

2003年(平成15年)問8 過去問解説

直流の高電圧大電流の遮断は、常時大電流が流れているため、瞬時値が瞬間的にでも零になる交流の場合より難しくなります。

答え(3)

2009年(平成21年)問9

電力系統における直流送電について交流送電と比較した次の記述のうち、誤っているのはどれか。
(1)直流送電線の送・受電端でそれぞれ交流一直流電力変換装置が必要であるが、交流送電のような安定度問題がないため、長距離・大容量送電に有利な場合が多い。
(2)直流部分では交流のような無効電力の問題はなく、また、誘電体損がないので電力損失が少ない。そのため、海底ケーブルなど長距離の電カケーブルの使用に向いている。
(3)系統の短絡容量を増加させないで交流系統間の連系が可能であり、また、異周波数系統関連系も可能である。
(4)直流電流では電流零点がないため、大電流の遮断が難しい。また、絶縁については、公称電圧値が同じであれば、一般に交流電圧より大きな絶縁距離が必要となる場合が多い。
(5)交流一直流電力変換装置から発生する高調波・高周波による障害への対策が必要である。また、漏れ電流による地中埋設物の電食対策も必要である。

2009年(平成21年)問9 過去問解説

直流の最大電圧値を1とすると、交流の最大電圧値は$\sqrt{ 2 }$となります。直流のほうが絶縁は容易です。

答え(4)

2012年(平成24年)問7

送電線の送電容量に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)送電線の送電容量は、送電線の電流容量や送電系統の安定度制約などで決定される。
(2)長距離送電線の送電電力は、原理的に送電電圧の2乗に比例するため、送電電圧の格上げは、送電容量の増加に有効な方策である。
(3)電線の太線化は、送電線の電流容量を増すことができるので、短距離送電線の送電容量の増加に有効は方策である。
(4)直流送電は、交流送電のような安定度の制約がないため、理論上、送電線の電流容量の限界まで電力を送電することができるので、長距離・大容量送電に有効な方策である。
(5)送電系統の中性点接地方式に抵抗接地方式を採用することは、地絡電流を効果的に抑制できるので、送電容量の増加に有効な方策である。

2012年(平成24年)問7 過去問解説

(5)の記述で「送電容量の増加に有効な方策」とありますが、抵抗接地方式の採用で送電容量は増減しません。

答え(5)

2012年(平成24年)問9

直流送電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)直流送電線は、線路の回路構成をするうえで、交流送電線に比べて導体本数が少なくて済むため、同じ電力を送る場合、送電線路の建設費が安い。
(2)直流は、変圧器で容易に昇圧や降圧ができない。
(3)直流送電は、交流送電と同様にケーブル系統での交流電流の補償が必要である。
(4)直流送電は、短絡容量を増大させることなく異なる交流系統の非同期連系を可能とする。
(5)直流系統と交流系統の連系点には、交直変換所を設置する必要がある。

2012年(平成24年)問9 過去問解説

直流送電は充電電流が生じないため、無効電力の補償が必要ありません。

答え(3)

2017年(平成29年)問6

電力系統で使用される直流送電系統の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)直流送電系統は、交流送電系統のように送電線のリアクタンスなどによる発電機間の安定度の問題がないため、長距離・大容量送電に有利である。
(2)一般に、自励式交直変換装置では、運転に伴い発生する高調波や無効電力の対策のために、フィルタや調相設備の設置が必要である。一方、他励式交直変換装置では、自己消弧形整流素子を用いるため、フィルタや調相設備の設置が不要である。
(3)直流送電系統では、大地帰路電流による地中埋設物の電食や直流磁界に伴う地磁気測定への影響に注意を払う必要がある。
(4)直流送電系統では、交流送電系統に比べ、事故電流を遮断器により遮断することが難しいため、事故電流の遮断に工夫が行われている。
(5)一般に、直流送電系統の地絡事故時の電流は、交流送電系統に比べ小さいため、がいしの耐アーク性能が十分な場合、がいし装置からアークホーンを省くことができる。

2017年(平成29年)問6 過去問解説

他励式交直変換装置は運転に伴って発生する高調波や無効電力の対策のため、フィルタや調相設備の設置が必要です。自励式交直変換装置は自己消弧形整流素子を用いることなどによって、フィルタや調相設備の設置が必要なくなります。

答え(2)

電力電験3種
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