FET増幅回路【電験3種-理論】

理論

電験3種の理論で出題されるFET増幅回路について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

FETのバイアス回路

FET増幅回路を安定して動作させるためには、適切な動作点( $I_D$ , $V_{GD}$ , $V_{DS}$)を設定することが重要です。FETのバイアス回路には、固定バイアス回路と自己バイアス回路があります。

固定バイアス回路

接合形FETの固定バイアス回路
接合形FETの固定バイアス回路

接合形FETの固定バイアス回路では、ドレインーソース間の電圧 $V_{DS}$ は次の式で求めることができます。

$V_{DS}=V_{DD}-R_DI_D$

例えば、$V_{DD}=12$ [V]、$R_D=10$ [kΩ]とすると、次の図のような負荷線 AB が引けます。

FETの動作点
FETの動作点

この中心付近を動作点 Q とすると、$I_D=0.6$ [mA]、$V_{GS}=-0.5$ [V]になります。したがって、$V_{GG}$ は、$0.5$ [V]の電源を用いれば良いということになります。抵抗 $R_G$ には、電流がほとんど流れません。$I_D$ と $V_{GS}$ の関係は、

$I_D=I_{DSS}\left(1-\displaystyle\frac{V_{GS}}{V_p}\right)^2$

となります。ここで、$I_{DDS}$ は、$V_{GS}=0$ のときのドレイン電流、$V_P$ はピンチオフ電圧です。

固定バイアス回路は、ソースの電圧がゼロなので電源の利用率が良いのですが、2個の電源が必要なことと、$I_{DSS}$ と $V_P$ のばらつきがそのまま $I_D$ に反映してしまうといった欠点があるため、実際にはあまり利用されていません。

自己バイアス回路

接合形FETの自己バイアス回路
接合形FETの自己バイアス回路

接合形FETの自己バイアス回路では、抵抗 $R_S$ による電圧降下がバイアス電圧 $V_{GS}$ となります。

$V_{GS}=-R_SI_D$

また、ドレーンーソース間の電圧 $V_{DS}$ は、次の式で求めることができます。

$V_{DS}=V_{DD}-(R_D+R_S)I_D$

例えば、$R_D+R_S=10$ [kΩ]とすると、次の図のような負荷線 AB が引けます。

FETの動作点

また、$R_D>>R_S$ であることを考えると、

$V_{DS}≒V_{DD}-R_DI_D$

に近似すると考えることができます。

電験3種-理論(電子回路)過去問題

2000年(平成12年)問13

 図1は、MOS形FET増幅回路を示し、図2は、そのFETの静特性を示す。ただし、R1=10 [kΩ]、R2=20 [kΩ]、RL=4 [kΩ]、VDD=12 [V]とするとき、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a)ゲート・ソース間電圧 VGS [V]の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)2 (2)3 (3)4 (4)5 (5)6

(b)入力交流電圧 $v_i$ [V]の最大値が 1 [V]のときの出力交流電圧 $v_o$ [V]を、図2の静特性曲線から求めた場合、$v_o$ [V]の最大値の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5

2000年(平成12年)問13 過去問解説

(a)ゲート・ソース間電圧 $V_{GS}$ [V]は、$R_1$ [Ω]の電圧に等しいので、

$V_{GS}=V_{DD}×\displaystyle\frac{R_1}{R_1+R_2}=12×\displaystyle\frac{10}{10+20}=4$ [V]

(b)負荷線を引いて考えます。問題からトランジスタの靜特性曲線が与えられているので、これを使います。 まずドレイン・ソース間電圧ですが、ドレイン電流が流れないとき、つまり ドレインにかかる最大値は $V_{DD}$ であり12 [V]ですので、この点を選びます。 次に、ドレイン電流の最大値は、

$I_D=\displaystyle\frac{V_{DD}}{R_L}=\displaystyle\frac{12}{4×10^{-3}}=3$ [mA]

この2点を直線で結ぶと次の図のようになります。

ゲート・ソース間の電圧 $V_{GS}=4$ [V] に注目すると、入力交流電圧 $v_i$ [V]の最大値が 1 [V]のときの出力交流電圧 $v_o$ [V]は 2 [V]になります。

答え(a)-(3)、(b)-(2)

2005年(平成17年)問17

図のようなFET増幅回路がある。次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、RA、RB、RC、RD、RE は抵抗、C1、C2、C3 はコンデンサ、VDD は直流電圧源、ID はドレーン電流、v1、v2 は交流電圧とする。

(a)図の増幅器のトランジスタは、接合形の( ア )チャネルFETであり、結合コンデンサは、コンデンサ( イ )である。
また、抵抗( ウ )は、温度変化に対する安定性を高める役割を果たしている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に記入する記号として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

(ア)(イ)(ウ)
(1)nC1、C3RA、RB
(2)pC1、C2RB、RC
(3)nC1、C2RB、RD
(4)pC2、C3RA、RB
(5)nC1、C3RB、RC

(b)ドレーン電流 ID=6 [mA]、直流電圧源 VDD=24 [V]とし、ゲート・ソース間電圧 VGS=-4 [V]で動作させる場合、抵抗 RA、RB の比 RA/RB の値として、最も近いのはどれか。
ただし、抵抗 RC=1.6 [kΩ]とする。

(1)1.2 (2)1.9 (3)2.4 (4)3.8 (5)4.7

2005年(平成17年)問17 過去問解説

(a)図の増幅器のトランジスタは、接合形の( n )チャネルFETであり、結合コンデンサは、コンデンサ( C1、C3 )である。
また、抵抗( RA、RB )は、温度変化に対する安定性を高める役割を果たしている。

(b)抵抗 $R_B$ の両端の電圧を $V_B$ とすると、

$V_B=\displaystyle\frac{R_B}{R_A+R_B}V_{DD}$

$V_B$ は、$V_B=V_{GS}+I_DR_C$ の関係にありますので、

$V_{GS}+I_DR_C=\displaystyle\frac{R_B}{R_A+R_B}V_{DD}$

$-1.4+6×10^{-3}×1.6×10^{3}=\displaystyle\frac{R_B}{R_A+R_B}×24$

$\displaystyle\frac{R_A+R_B}{R_B}=\displaystyle\frac{24}{8.2}$

$\displaystyle\frac{R_A}{R_B}+1≒2.93$

$\displaystyle\frac{R_A}{R_B}≒1.9$

答え(a)-(1)、(b)-(2)

2009年(平成21年)問13

図1にソース接地のFET増幅器の静特性に注目した回路を示す。この回路のFETのドレーン-ソース間電圧 $V_{DS}$ とドレーン電流 $I_D$ の特性は、図2に示す。図1の回路において、ゲート-ソース間電圧 $V_{GS}=-0.1$〔V〕のとき、ドレーン-ソース間電圧 $V_{DS}$〔V〕、ドレーン電流 $I_D$〔mA〕の値として、最も近いものを組み合わせたのは次のうちどれか。
ただし、直流電源電圧 $E_2=12$〔V〕、負荷抵抗 $R=1.2$〔kΩ〕とする。

  $V_{DS}$ $I_D$
(1) 0.8   5.0
(2) 3.0   5.8
(3) 4.2   6.5
(4) 4.8   6.0
(5) 12    8.4

2009年(平成21年)問13 過去問解説

負荷線を引いて考えます。図1の回路より、ドレーン電流 $I_D$ は、

$I_D=\displaystyle\frac{E_2-V_{DS}}{R}$

$V_{DS}=12$ [V]のときは、

$I_D=\displaystyle\frac{12-12}{1.2×10^3}=0$ [mA]

$V_{DS}=0$ [V]のときは、

$I_D=\displaystyle\frac{12-0}{1.2×10^3}=10$ [mA]

この2点を直線で結ぶと次の図のようになります。

この直線は負荷線で、ゲート-ソース間電圧 $V_{GS}=-0.1$〔V〕のとき、ドレーン電流 $I_D=6$〔mA〕になります。そのときの、ドレーン-ソース間電圧 $V_{DS}$〔V〕は、

$V_{DS}=E_2-RI_D=12-1.2×10^3×6×10^{-3}=4.8$〔V〕

答え(4)

2012年(平成24年)問18

図1は、飽和領域で動作する接合形FETを用いた増幅回路を示し、図中の vi 並びに vo はそれぞれ、入力と出力の小信号交流電圧 [V] を表す。また、図2は、その増幅回路で使用するFETのゲートソース間電圧 Vgs [V] に対するドレーン電流 Id [mA] の特性を示している。抵抗 RG=1 [MΩ]、RD=5 [kΩ]、RL=2.5 [kΩ]、直流電源電圧 VDD=20 [V] とするとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)FETの動作点が図2の点Pとなる抵抗 RS [kΩ] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.1 (2)0.3 (3)0.5 (4)1 (5)3

(b)図2の特性曲線の点Pにおける接線の傾きを読むことで、FETの相互コンダクタンスが gm=6 [mS] であるとわかる。この値を用いて、増幅回路の小信号交流等価回路をかくと図3となる。ここで、コンデンサ C1、C2、CS のインピーダンスが使用する周波数で十分に小さいときを考えており、FETの出力インピーダンスが RD [kΩ] や RL [kΩ] より十分大きいとしている。この増幅回路の電圧増幅度 $A_V=\left|\displaystyle\frac{v_o}{v_i}\right|$ の値として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)10 (2)30 (3)50 (4)100 (5)300

2012年(平成24年)問18 過去問解説

(a)動作点Pは直流回路ですので、コンデンサーはないものとして考えます。図1の等価回路は次のようになります。

$R_S$ に流れる電流は $I_d$ ですので、$R_S$ の端子電圧 $V_{RS}$ は、

$V_{RS}=I_dR_S$

また、等価回路図より、

$V_G=V_{gs}+V_{RS}$

動作点Pでは$V_{gs}=-1.8$ [V]のとき、$I_d=1.8$ [mA]ですので、

$V_G=V_{gs}+V_{RS}$
$V_G=V_{gs}+I_dR_S$
$0=-1.8+1.8×10^{-3}×R_S$
$R_S=1$[kΩ]

(b)図(3)より

$v_o=-\displaystyle\frac{R_DR_L}{R_D+R_L}i_d=-\displaystyle\frac{R_DR_L}{R_D+R_L}g_mv_i$

$\begin{eqnarray}A_V&=&\left|\displaystyle\frac{v_o}{v_i}\right|\\\\&=&\displaystyle\frac{R_DR_L}{R_D+R_L}g_m\\\\&=&\displaystyle\frac{5×10^3×2.5×10^3}{5×10^3+2.5×10^3}×6×10^{-3}\\\\&=&10\end{eqnarray}$

答え(a)-(4)、(b)-(1)

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