合格率から見る電験三種の難易度

合格率から見る電験三種の難易度について 電験3種

「電験三種の資格を取得しよう」と思ったことがある人は分かると思いますが、非常に難易度の高い資格です。でも、「本当にそんなに難易度の高い資格なのでしょうか?」「どれだけ難しいのでしょうか?」といった疑問を持たれた方も多いと思います。そのあたりを試験の合格率から検証してみたいと思います。

電験三種の合格率の推移

下の表は、電気試験技術センターが公表している電験三種の実施状況表です。科目合格制度が始まった平成7年度より抜粋しています。

電験三種の合格率

受験者数は1科目でも受験した人の合計です。合格者は4科目合格者です。科目合格者は4科目合格者を除いた科目合格者数です。

平均合格率について

平成7年度から平成29年度までの平均合格率は9.8%です。ここ数年は平均合格率を大幅に下回る年もあります。また科目合格についても、平均34.3%の割合で、ここ数年は30%に届かない年もあります。7割ほどの人が1科目も合格していないといった現状です。たしかに、合格率だけを見ると相当難易度が高いと感じられます。

しかしここで着目してほしいのが、受験者数です。上でも書きましたが、「受験者数は1科目でも受験した人の合計」です。

毎年平均して63,000人ほどが試験に申し込み、48,000人ほどが1科目以上の試験を受けています。逆を言いますと、「毎年15,000人ほどの人が試験の申し込みをしたにも関わらず、1科目も試験を受けていない」といったことが言えます。

この数字ってかなり異様だと思いませんか? 率にして2割以上の人が、申し込みをしたにも関わらず試験会場にすら行かなかったのです。

中には試験の当日に、仕事や用事が入ってしまった方や体調不良など、やむを得ない理由があった方もおられると思います。しかしそのような方は極少数ではないかと思います。

受験率の低さについて

何故、このように受験率が低くなっているのでしょうか? 恐らく考えられるのは、なんとなく「資格でも取ろうかな…」という軽い気持ちで考えている受験生が多いからだと思います。

そして、「申し込みはしたものの、勉強を全くしないまま試験日になってしまい、全く勉強していないので、受かる訳がない」といった自分都合の理由をつけて、未受験になるのではと考えられます。

また、試験は受けに来てはいるけれども、「なんちゃって受験」の方も、かなりいるのではと考えられます。受験者のモチベーションを想定してみると、一般的には

1. 初試験ということで、様子見の受験
2. せっかく申し込んだので、記念に受験
3. 業務命令により、仕方なく受験
4. とりあえず過去問だけは一通り勉強を行って受験
5. かなり本格的に勉強を行って受験

試験会場には来ているものの1~3のようなモチベーションの方が、かなり多いのではないかと予想します。「受験料がもったいないのでとりあえず受けておこう」や「会社の命令なのでとりあえず受けておこう」といったケースです。恐らく、受験会場にすら来ていない「未受験者以上」に潜在しているのではないかと考えられます。

本気受験者数について

また、かなり本格的に勉強をしてきた人の割合は、どのような資格試験であっても言えると思うのですが、「全受験者の半数もいない」と思います。電験三種は合格率が10%の試験ですが、数字はあくまでも全受験生に対する比率です。本気で勉強をしている人を母集団にすると、もっと高くなります。

「とりあえず過去問だけは一通り勉強を行って受験」をしただけでも、合格する可能性はかなりあると思います。だだし、電験三種は年に1度の試験です。受からないと免状を手にするのは、1年先伸ばしになってしまいます。それがまた電験三種の難易度を上げる原因になっているのですが、確実に合格する可能性をどこまで高められるのかが、合否を分けるポイントになっていると思います。最後まで学習を諦めずに続けられることが必要です。

電験三種の本気合格率について

次の表は、「なんちゃって受験者数=未受験者数」と想定し、本気で勉強をしてきた方の合格率の想定です。あくまでも参考値ですが、実際にはもう少し、合格率が高いのではないかと思います。

本気合格率

電験三種の本気受験者合格率

あくまでも参考値ですが、とりあえず過去問だけは一通り勉強を行って受験するだけでも50%以上の人が1科目以上合格する可能性があります。この合格率を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、それなりの数値に収束したと思えます。

電験二種と難易度の比較

その理由として、次の表は「電験二種の一次試験の合格率推移」を現したものです。電験二種は電験三種の上位資格であるため、当然ながら難易度も上位になります。ここでまず、電験二種の受験者の傾向を知っておいていただきたいのですが、「電験三種免状をもっている受験者が8割」を超えています。電験三種のステップアップに上位資格を狙うといった、本気受験者の集まりであると考えられます。

電験二種の合格率

ここで、注目してほしいのは「科目合格率」です。ほぼ電験三種の本気科目合格率と変わりません。恐らく母集団が同じ本気受験者であるなら、どの資格試験もこのような合格率に収束するのではないでしょうか?

電験三種の科目合格率の推移

次の表は電験三種の科目合格率を示しています。電気試験技術センターが公表している試験科目別内訳データより抜粋しています。

試験科目別内訳

電験三種の科目合格率

受験者数は受験した人の合計です。合格者は4科目合格者です。科目合格者数は4科目合格者を除いた科目合格者数です。

この数値をみると、難易度ランキングが科目合格率に表れているように思います。尚、こちらの表も本気受験者の母集団に換算してみました。

電験三種の科目別本気合格率について

電験三種の本気受験者科目合格率

こちらも参考値となりますが、注目していただきたいのが、「合格率」です。その年にその科目を受験した方の合格率を現しているのですが、年度ごとに各科目についての合格率がかなりの振れ幅で上下しています。

特に機械に注目してみれば、平成28年度は85.6%と最も合格率が高く、平成22年度は26.9%と低くなっています。その理由としては、明確に読み取ることができませんが、何らかの調整があるのでは? と予想されます。この傾向は受験者にとって、ありがたいと言えます。なぜなら、「非常に難易度の高いといわれている電験三種の試験は、科目合格を狙いやすい年が周期的に発生する!!」 と言えるのではないでしょうか。いつ狙った科目の合格率が高くなるのかは、受けてみないと解りませんが、諦めずに続けることで合格のチャンスがやってくるのではと思います。

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