このページでは、導電材料について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の電力科目の試験で、実際に出題された導電材料の過去問題も解説しています。
導電材料の種類と特徴
導電材料に求める性能
- 導電率が大きい
- 加工性に優れている
- 耐食性に優れている
- 機械的強度が大きい
- 線膨張率が小さい
- 価格が安く、入手しやすい
導電材料の種類
電気をよく伝える材料は、導電率の高い順に並べると「 銀 ー 銅 ー 金 ー アルミニウム 」ですが、一般的には銅とアルミニウムまたはその合金が主として用いられています。
銅の特徴
- 加工性、機械的強度に優れている
- 銅線は硬銅線と軟銅線に分けられ、硬銅線は線引加工したままのもので、強度が大きい
- 軟銅線は、硬銅線を 300 ~ 600℃ で焼きなましたもので、硬銅線より軟らかく、伸びが大きい
- 導電率は軟銅線のほうが高い
- ケーブルには、一般的に軟銅が用いられている
アルミニウムの特徴
- 導電率は銅の約2/3
- 比重は銅の約1/3
- アルミニウム線は加工したままの硬アルミニウムと熱処理をした軟アルミニウムがある
- ケーブルには、一般に硬アルミニウムが用いられる
電験三種-電力(電気材料)過去問題
1999年(平成11年)問1
次の記述は、一般的な導電材料として必要な条件に関するものである。誤っているものは次のうちどれか。
- 導電率が大きいこと。
- 比較的張力強さが大きいこと。
- 線・板などに加工が容易なこと。
- 耐食性に優れていること。
- 線膨張率が大きいこと。
1999年(平成11年)問1 過去問解説
線膨張率が大きと、温度上昇に比例してその固体の体積が変化することになります。材料として使用できない場合がありますので(5)は誤りです。
答え (5)
2006年(平成18年)問11
電線の導体に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。
- 地中ケーブルの銅導体には、伸びや可とう性に優れる軟銅線が用いられる。
- 電線の導電材料としての金属には、資源量の多さや導電率の高さが求められる。
- 鋼心アルミより線は。鋼より線の周囲にアルミ線をより合わせたもので、
- 軽量で大きな外径や高い引張強度を得ることができる。
- 電気用アルミニウムの導電率は銅よりも低いが、電気抵抗と長さが同じ電線の場合、アルミニウム線の方が銅線より軽い。
- 硬銅線は軟銅線と比較して曲げにくく、電線の導体として使われることはない。
2006年(平成18年)問11 過去問解説
硬銅線は各家庭の引き込み線などに使用されています。したがって(5)は誤りです。
答え (5)
2012年(平成24年)問14
導電材料としてよく利用される銅に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 電線の導体材料の銅は、電気銅を精製したものが用いられる。
- CVケーブルの電線の銅導体には、軟銅が一般に用いられる。
- 軟銅は、硬銅を 300 ~ 600 [℃] で焼きなますことにより得られる。
- 20 [℃] において、最も抵抗率の低い金属は、銅である。
- 直流発電機の整流子片には、硬銅が一般に用いられる。
2012年(平成24年)問14 過去問解説
最も電気を通しやすいのは「銅」ではなく「銀」ですので(4)の記述は誤りです。ただし、銀は高価なので、一般的には銅がよく使われます。
答え (4)
2016年(平成28年)問14
送電線路に用いられる導体に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 導体の特性として、一般に導電率は高く引張強さが大きいこと、質量及び線熱膨張率が小さいこと、 加工性及び耐食性に優れていることなどが求められる。
- 導体には、一般に銅やアルミニウム又はそれらの合金が用いられ、それらの導体の導電率は、温度や不純物成分、加工条件、熱処理条件などによって異なり、標準軟銅の導電率を100%として比較した百分率で表される。
- 地中ケーブルの銅導体には、一般に軟銅が用いられ、硬銅と比べて引張強さは小さいが、伸びや可とう性に優れ、導電率が高い。
- 鋼心アルミより線は、中心に亜鉛めっき鋼より線、その周囲に軟アルミ線をより合わせた電線であり、アルミの軽量かつ高い導電性と、鋼の強い引張強さとをもつ代表的な架空送電線である。
- 純アルミニウムは、純銅と比較して導電率が2/3程度、比重が1/3程度であるため、電気抵抗と長さが同じ電線の場合、アルミニウム線の質量は銅線のおよそ半分である。
2016年(平成28年)問14 過去問解説
鋼心アルミより線で使われているのは「硬アルミ線」ですので(4)の記述は誤りです。
答え (4)