電験三種の法規で出題される太陽光発電設備、風力発電設備の施設について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。
太陽光発電設備
太陽電池モジュールの絶縁性能は、電気設備技術基準の解釈 第16条、機械器具等の電路の絶縁性能で、次のように規定されています。
- 機械器具等の電路の絶縁性能(解釈 第16条)
太陽電池モジュールは、最大使用電圧の 1.5倍の直流電圧又は 1倍の交流電圧(500V未満となる場合は、500V)を充電部分と大地との 間に連続して 10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
太陽電池モジュールや燃料電池に施設する高圧の直流電路の電線は変圧器などとは異なった電圧が規定されています。電気設備技術基準の解釈 第46条では、太陽電池発電所等の電線等の施設について、次のように規定されています。
- 太陽電池発電所等の電線等の施設(解釈 第46条抜粋)
太陽電池発電所に施設する高圧の直流電路の電線(電気機械器具内の電線を除く。)は、高圧ケーブルであること。ただし、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じた場所において、次の各号に適合する太陽電池発電設備用直流ケーブルを使用する場合は、この限りでない。- 使用電圧は、直流 1,500V以下であること。
- 構造は、絶縁物で被覆した上を外装で保護した電気導体であること。
- 導体は、断面積 60mm2以下の別表第1に規定する軟銅線又はこれと同等以上の強さのものであること。
小出力発電設備である太陽電池発電設備は、生活環境に近接して施設されることが多く、また施設形態が電気使用場所の電気工作物と類似しています。電気設備技術基準 第200条では、小出力発電設備の施設について、次のように規定されています。
- 小出力発電設備の施設(解釈 第200条抜粋)
小出力発電設備である太陽電池発電設備は、次の各号により施設すること。- 充電部分が露出しないように施設すること。
- 太陽電池モジュールに接続する負荷側の電路(複数の太陽電池モジュールを施設する場合にあっては、その集合体に接続する負荷側の電路)には、その接続点に近接して開閉器その他これに類する器具(負荷電流 を開閉できるものに限る。)を施設すること。
- 太陽電池モジュールを並列に接続する電路には、その電路に短絡を生じた場合に電路を保護する過電流遮 断器その他の器具を施設すること。ただし、当該電路が短絡電流に耐えるものである場合は、この限りでない。
発電用風力設備の電気設備技術基準
「発電用風力設備の電気設備技術基準」は、電気事業法第39条に基づき制定された技術基準です。風力を原動力として電気を発生するために施設する電気工作物について適用されます。
- 風車(第4条)
- 風車は、次の各号により施設しなければならない。
- 負荷を遮断したときの最大速度に対し、構造上安全であること。
- 風圧に対して構造上安全であること。
- 運転中に風車に損傷を与えるような振動がないように施設すること。
- 通常想定される最大風速においても取扱者の意図に反して風車が起動することのないように施設すること。
- 運転中に他の工作物、植物等に接触しないように施設すること。
- 風車は、次の各号により施設しなければならない。
- 風車の安全な状態の確保(第5条)
- 風車は、次の各号の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならない。
- 回転速度が著しく上昇した場合
- 風車の制御装置の機能が著しく低下した場合
- 最高部の地表からの高さが二十メートルを超える発電用風力設備には、雷撃から風車を保護するような措置を講じなければならない。ただし、周囲の状況によって雷撃が風車を損傷するおそれがない場合においては、この限りでない。
- 風車は、次の各号の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならない。
- 風車を支持する工作物(第7条)
- 風車を支持する工作物は、自重、積載荷重、積雪及び風圧並びに地震その他の振動及び衝撃に対して構造上安全でなければならない。
- 発電用風力設備が一般用電気工作物である場合には、風車を支持する工作物に取扱者以外の者が容易に登ることができないように適切な措置を講じること
電験三種-法規(電気設備技術基準)過去問題
2004年(平成16年)問6
次の(ア),(イ),(ウ)及び(エ)は、発電用風力設備の風車に異常が生じた場合について記述したものである。
(ア)回転数が著しく上昇した場合
(イ)風車の制御装置の機能が著しく低下した場合
(ウ)軸受の温度が著しく上昇した場合
(エ)運転中に風車が著しく振動した場合
上記の(ア),(イ),(ウ)及び(エ)の現象のうち、「発電用風力設備技術基準」において、「風車が安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならないもの」として定められているものの組合せは次のうちどれか。
- (イ)及び(ウ)
- (ア)及び(エ)
- (ア)及び(イ)
- (イ)及び(エ)
- (ウ)及び(エ)
2004年(平成16年)問6 過去問解説
発電用風力設備の電気設備技術基準 第5条「風車の安全な状態の確保」の規定です。
風車は、次の各号の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならなのは、
(ア)回転数が著しく上昇した場合
(イ)風車の制御装置の機能が著しく低下した場合
の場合です。
答え (3)
2006年(平成18年)問6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく太陽電池モジュールの絶縁耐力に関する記述の一部である。
太陽電池モジュールは、最大使用電圧の 1.5倍の直流電圧又は( ア )倍の交流電圧{( イ )[V]未満となる場合、( イ )[V]}を充電部分と大地の間に連続して( ウ )分間加えて絶縁耐力を試験したとき、これに耐えること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる数値として、正しいものを組み合わせたものは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 1 | 500 | 10 |
(2) | 1 | 300 | 10 |
(3) | 1.1 | 500 | 1 |
(4) | 1.1 | 600 | 1 |
(5) | 1.1 | 300 | 1 |
2006年(平成18年)問6 過去問解説
電気設備技術基準の解釈 第16条「機械器具等の電路の絶縁性能」の規定です。
太陽電池モジュールは、最大使用電圧の 1.5倍の直流電圧又は( 1 )倍の交流電圧{( 500 )[V]未満となる場合、( 500 )[V]}を充電部分と大地の間に連続して( 10 )分間加えて絶縁耐力を試験したとき、これに耐えること。
答え (1)
2008年(平成20年)問6
次の文章は、「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」の風車に関する記述の一部である。
- 負荷を遮断したときの最大風速に対し( ア )であること。
- 風圧に対して( ア )であること。
- 運転中に風車に損傷を与えるような( イ )がないように施設すること。
- 通常想定される最大風速においても取扱者の意図に反して風車が起動することのないように施設すること。
- 運転中に他の工作物、植物等に( ウ )しないように施設すること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 安全 | 変形 | 影響 |
(2) | 構造上安全 | 変形 | 接触 |
(3) | 安全 | 振動 | 影響 |
(4) | 構造上安全 | 振動 | 接触 |
(5) | 安全 | 変形 | 接触 |
2008年(平成20年)問6 過去問解説
発電用風力設備の電気設備技術基準 第4条「風車」の規定です。
- 負荷を遮断したときの最大風速に対し( 構造上安全 )であること。
- 風圧に対して( 構造上安全 )であること。
- 運転中に風車に損傷を与えるような( 振動 )がないように施設すること。
- 通常想定される最大風速においても取扱者の意図に反して風車が起動することのないように施設すること。
- 運転中に他の工作物、植物等に( 接触 )しないように施設すること。
答え (4)
2009年(平成21年)問8
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、太陽電池発電所に施設する太陽電池モジュール等に関する記述の一部である。
- ( ア )が露出しないように施設すること。
- 太陽電池モジュールに接続する負荷側の電路(複数の太陽電池モジュールを施設した場合にあっては、その集合体に接続する負荷側の電路)には、その接続点に近接して( イ )その他これに類する器具(負荷電流を開閉できるものに限る。)を施設すること。
- 太陽電池モジュールを並列に接続する電路には、その電路に( ウ )を生じた場合に電路を保護する過電流遮断器その他の器具を施設すること。
ただし、当該電路が( ウ )電流に耐えるものである場合は、この限りでない。 - 電線を屋内に施設する場合に合っては、( エ )、金属管工事、可とう電線管工事又はケーブル工事により施設すること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 充電部分 | 開閉器 | 短絡 | 合成樹脂管工事 |
(2) | 充電部分 | 遮断器 | 過負荷 | 合成樹脂管工事 |
(3) | 接続部分 | 遮断器 | 短絡 | 金属ダクト工事 |
(4) | 充電部分 | 開閉器 | 短絡 | 金属ダクト工事 |
(5) | 接続部分 | 開閉器 | 過負荷 | 合成樹脂管工事 |
2009年(平成21年)問8 過去問解説
電気設備技術基準の解釈 第200条「小出力発電設備の施設」の規定です。
- ( 充電部分 )が露出しないように施設すること。
- 太陽電池モジュールに接続する負荷側の電路(複数の太陽電池モジュールを施設した場合にあっては、その集合体に接続する負荷側の電路)には、その接続点に近接して( 開閉器 )その他これに類する器具(負荷電流を開閉できるものに限る。)を施設すること。
- 太陽電池モジュールを並列に接続する電路には、その電路に( 短絡 )を生じた場合に電路を保護する過電流遮断器その他の器具を施設すること。
ただし、当該電路が( 短絡 )電流に耐えるものである場合は、この限りでない。 - 電線を屋内に施設する場合に合っては、( 合成樹脂管工事 )、金属管工事、可とう電線管工事又はケーブル工事により施設すること。
答え (1)
2012年(平成24年)問4
次の文章は、「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」における、風車を支持する工作物に関する記述である。
- 風車を支持する工作物は、自重、積載荷重、( ア )及び風圧並びに地震その他の振動及び( イ )に対して構造上安全でなければならない。
- 発電用風力設備が一般用電気工作物である場合には、風車を支持する工作物に取扱者以外の者が容易に( ウ )ことができないように 適切な措置を講じること。
上記の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 飛来物 | 衝撃 | 登る |
(2) | 積雪 | 腐食 | 接近する |
(3) | 飛来物 | 衝撃 | 接近する |
(4) | 積雪 | 衝撃 | 登る |
(5) | 飛来物 | 腐食 | 接近する |
2012年(平成24年)問4 過去問解説
発電用風力設備の電気設備技術基準 第7条「風車を支持する工作物」の規定です。
- 風車を支持する工作物は、自重、積載荷重、( 積雪 )及び風圧並びに地震その他の振動及び( 衝撃 )に対して構造上安全でなければならない。
- 発電用風力設備が一般用電気工作物である場合には、風車を支持する工作物に取扱者以外の者が容易に( 登る )ことができないように 適切な措置を講じること。
答え (4)
2016年(平成28年)問6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく太陽電池モジュールの絶縁性能及び太陽電池発電所に施設する電線に関する記述の一部である。
- 太陽電池モジュールは、最大使用電圧の( ア )倍の直流電圧又は( イ )倍の交流電圧(500V未満となる場合は、500V)を充電部分と大地との間に連続して( ウ )分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
- 太陽電池発電所に施設する高圧の直流電路の電線(電気機械器具内の電線を除く。)として、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じた場所において、太陽電池発電設備用直流ケーブルを使用する場合、使用電圧は直流( エ )V以下であること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 1.5 | 1 | 1 | 1000 |
(2) | 1.5 | 1 | 10 | 1500 |
(3) | 2 | 1 | 10 | 1000 |
(4) | 2 | 1.5 | 10 | 1000 |
(5) | 2 | 1.5 | 1 | 1500 |
2016年(平成28年)問6 過去問解説
電気設備技術基準の解釈 第16条「機械器具等の電路の絶縁性能」、第46条「太陽電池発電所等の電線等の施設」の規定です。
- 太陽電池モジュールは、最大使用電圧の( 1.5 )倍の直流電圧又は( 1 )倍の交流電圧(500V未満となる場合は、500V)を充電部分と大地との間に連続して( 10 )分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
- 太陽電池発電所に施設する高圧の直流電路の電線(電気機械器具内の電線を除く。)として、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じた場所において、太陽電池発電設備用直流ケーブルを使用する場合、使用電圧は直流( 1500 )V以下であること。
答え (2)
2017年(平成29年)問5
次の文章は、「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」に基づく風車の安全な状態の確保に関する記述である。
- 風車(発電用風力設備が一般用電気工作物である場合を除く。以下aにおいて同じ。)は、次の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならない
- ( ア )が著しく上昇した場合
- 風車の( イ )の機能が著しく低下した場合
- 最高部の( ウ )からの高さが 20mを超える発電用風力設備には、( エ )から風車を保護するような措置を講じなければならない。ただし、周囲の状況によって( エ )が風車を損傷するおそれがない場合においては、この限りでない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 回転速度 | 制御装置 | ロータ最低部 | 雷撃 |
(2) | 発電電圧 | 圧油装置 | 地表 | 雷撃 |
(3) | 発電電圧 | 制御装置 | ロータ最低部 | 強風 |
(4) | 回転速度 | 制御装置 | 地表 | 雷撃 |
(5) | 回転速度 | 圧油装置 | ロータ最低部 | 強風 |
2017年(平成29年)問5 過去問解説
発電用風力設備の電気設備技術基準 第5条「風車の安全な状態の確保」の規定です。
- 風車(発電用風力設備が一般用電気工作物である場合を除く。以下aにおいて同じ。)は、次の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならない
- ( 回転速度 )が著しく上昇した場合
- 風車の( 制御装置 )の機能が著しく低下した場合
- 最高部の( 地表 )からの高さが 20mを超える発電用風力設備には、( 雷撃 )から風車を保護するような措置を講じなければならない。ただし、周囲の状況によって( 雷撃 )が風車を損傷するおそれがない場合においては、この限りでない。
答え (4)
2017年(平成29年)問10
次のa,b,c及びdの文章は、再生可能エネルギー発電所等を計画し、建設する際に、公共の安全を確保し、環境の保全を図ることなどについての記述である。
これらの文章の内容について、「電気事業法」に基づき、適切なものと不適切なものの組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 太陽電池発電所を建設する場合、その出力規模によって設置者は工事計画の届出を行い、使用前自主検査を行うとともに、当該自主検査の実施に係る主務大臣が行う審査を受けなければならない。
- 風力発電所を建設する場合、その出力規模によって設置者は環境影響評価を行う必要がある。
- 小出力発電設備を有さない一般用電気工作物の設置者が、その構内に小出力発電設備となる水力発電設備を設置し、これを一般用電気工作物の電線路と電気的に接続して使用する場合、これらの電気工作物は自家用電気工作物となる。
- 66000Vの送電線路と連系するバイオマス発電所を建設する場合、電気主任技術者を選任しなければならない。
a | b | c | d | |
(1) | 不適切 | 適 切 | 適 切 | 適 切 |
(2) | 適 切 | 不適切 | 適 切 | 不適切 |
(3) | 適 切 | 適 切 | 不適切 | 不適切 |
(4) | 適 切 | 適 切 | 不適切 | 適 切 |
(5) | 不適切 | 不適切 | 適 切 | 不適切 |
2017年(平成29年)問10 過去問解説
- 太陽電池発電所を建設する場合、その出力規模によって設置者は工事計画の届出を行い、使用前自主検査を行うとともに、当該自主検査の実施に係る主務大臣が行う審査を受けなければならない。( 適切 )
- 風力発電所を建設する場合、その出力規模によって設置者は環境影響評価を行う必要がある。( 適切 )
- 小出力発電設備を有さない一般用電気工作物の設置者が、その構内に小出力発電設備となる水力発電設備を設置し、これを一般用電気工作物の電線路と電気的に接続して使用する場合、これらの電気工作物は自家用電気工作物となる。( 不適切:一般用電気工作物です。 )
- 66000Vの送電線路と連系するバイオマス発電所を建設する場合、電気主任技術者を選任しなければならない。( 適切 )
答え (4)