電路の絶縁【電験三種-法規(電気設備技術基準)】

法規

電験三種の法規で出題される電路の絶縁について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

電路の絶縁

電気設備技術基準 第5条では、電路の絶縁について、次のように規定されています。

  • 電路の絶縁(電技 第5条)
    電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。

電路は原則として大地と絶縁しなければなりませんが、保安のために電路の一部を接地する箇所や、機器の構造上絶縁ができない箇所については絶縁しなくてもよいことになっています。

電路が絶縁されているかどうかを判定する基準は、使用電圧の種別によって異なります。具体的には次のとおりになります。

  • 低圧の電路 … 絶縁抵抗の大きさ 
  • 高圧・特別高圧の電路 … 絶縁耐力試験

絶縁の性能

低圧電路の絶縁抵抗

低圧の電路の電線相互間および電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の表の値以上でなければならないとされています。

低圧屋内配線の絶縁抵抗

ただし、絶縁抵抗の測定が困難な場合は、使用電圧の区分に応じて、漏れ電流が1mA以下であればよいことになっています。

また、電気設備技術基準 第22条では、低圧電線路の絶縁性能について、次のように規定されています。

  • 低圧電線路の絶縁性能(電技 第22条)
    低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2000分の1を超えないようにしなければならない。

最大供給電流とは、使用電圧に対する定格電流のことです。最大供給電流を $I_m$[A]とすると、漏えい電流を $I_g$[A]は、

$I_g≦\displaystyle \frac{ I_m }{ 2000 }$[A]

となります。電路の電圧を $V$[V]とすると、絶縁抵抗値を $R$[Ω]は、

$R≧\displaystyle \frac{ V }{I_g }$[Ω]

変圧器の容量を $P$[VA]、低圧側の線間電圧を $V$[V]とすると、最大供給電流を $I_m$[A]は次式で求めることができます。

三相変圧器$I_m=\displaystyle \frac{ P }{\sqrt{ 3}V }$[A]
単相2線式変圧器$I_m=\displaystyle \frac{ P }{V }$[A]
単相3線式変圧器$I_m=\displaystyle \frac{ P }{2V }$[A]
(Vは、低圧側の中性線との電圧)

高圧・特別高圧の絶縁耐力試験

高圧・特別高圧の絶縁性能は、電路と大地間に一定の電圧を10分間加え、絶縁破壊がおきないかどうかを調べる、絶縁耐力試験を受けなければなりません。

絶縁耐力試験で電路に加える試験電圧は、電路の最大電圧ごとに、次のように規定されています。

電路の種類試験電圧
最大使用電圧が 7,000V以下の電路 最大使用電圧の1.5倍
(直流の電路では、1倍の交流電圧でも可能)
最大使用電圧が 7,000Vを超え、60,000V以下の電路 最大使用電圧の1.25倍の電圧 (最小 10,500V)

尚、電線にケーブルを使用する交流の電路は、試験電圧の2倍の直流電圧で試験を行うことが認められています。

変圧器や回転機などの絶縁耐力試験

絶縁耐力試験は、変圧器・遮断器・開閉器・計器用変成器や回転機(発電機・電動機)などの電気機械器具についても行います。

試験電圧は、機械器具の最大使用電圧に応じて規定されています。回転機以外の絶縁耐力試験は、試験する巻線と他の巻線、鉄心及び外箱との間に連続して10分間加えたとき、絶縁破壊がおきないかどうかを調べます。

回転機については、規定する試験電圧を巻線と大地との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有することが必要です。

尚、回転変流機を除く交流の回転機は、試験電圧の1.6倍の直流電圧で試験を行うことが認められています。

巻線の種類 試験電圧
最大使用電圧が 7,000V以下のもの 最大使用電圧の1.5倍の電圧(最小500V)
最大使用電圧が 7,000Vを超え、60,000V以下の電路 最大使用電圧の1.25倍の 電圧(最小10,500V)

  

電験三種-法規(電気設備技術基準)過去問題

1997年(平成9年)問1

最大使用電圧が 400[V]の交流発電機を直流電圧で絶縁耐力試験を行う場合、その試験電圧として適切な値は次のうちどれか。ただし、試験電圧は巻線と大地との間に連続して10分間加えるものとする。

(1) 500[V] (2) 600[V] (3) 800[V] (4) 960[V] (5) 1200[V]

1997年(平成9年)問1 過去問解説

最大使用電圧が 7000[V]以下の交流回転機器の試験電圧は交流電圧で絶縁耐力試験を行う場合は、最大使用電圧の 1.5倍の電圧を印加しますが、これを直流電圧で行う場合は、さらに 1.6倍の電圧で行います。

$400×1.5×1.6=960$[V]

答え (4)

1998年(平成10年)問2

電気設備基準では、次のように規定されている。

電路は、大地から( ア )しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は( イ )による高電圧の侵入等の以上が発生した際の危険を回避するための( ウ )その他保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

(ア)(イ)(ウ)
(1)隔離事故遮断
(2)隔離短絡遮断
(3)絶縁短絡隔離
(4)絶縁混触接地
(5)遮断混触接地

1998年(平成10年)問2 過去問解説

電気設備技術基準 第5条「電路の絶縁」の規定です。

電路は、大地から( 絶縁 )しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は( 混触 )による高電圧の侵入等の以上が発生した際の危険を回避するための( 接地 )その他保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。

答え (4)

1998年(平成10年)問4

電気使用場所における使用電圧が低圧の電路(開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごと)の、電線相互間又は電路と大地との間の絶縁抵抗値に関する次の記述のうち、電気設備技術基準に適合していないのはどれか。

  1. 100[V]単相2線式電路の電線相互間の絶縁抵抗値は、0.1[MΩ]以上でなければならない。
  2. 200[V]単相3線式電路の中性線を除く他の電線間の絶縁抵抗値は、0.2[MΩ]以上でなければならない。
  3. 200[V]三相3線式電路の電線と大地との間の絶縁抵抗値は、0.2[MΩ]以上でなければならない。
  4. 415[V]三相4線式電路の中性線を除く他の電線間の絶縁抵抗値は、0.4[MΩ]以上でなければならない。
  5. 415[V]三相4線式電路の中性線を除く他の電線相互間の絶縁抵抗値は、0.4[MΩ]以上でなければならない。

1998年(平成10年)問4 過去問解説

200[V]単相3線式電路の中性線を除く他の電線間の絶縁抵抗値は、対地電圧が 150[V]以下となります。したがって、絶縁抵抗値は 0.1[MΩ]以上となります。

電気設備技術基準 第58条「低圧電路の絶縁抵抗値」の規定

答え (2)

1999年(平成11年)問9

「電気設備技術基準」の記述に基づき、最大使用電圧 6900[V]の高圧受電設備の絶縁耐力を行う場合の方法として、誤っているのは次のうちどれか。

  1. 高圧電路部分に印加する試験電圧は、交流 10350[V]とした。
  2. 避雷器については、所定の規格に適合していることを確認したので高圧電路から分離し、試験電圧を印加しなかった。
  3. 高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の高圧側に試験電圧を印加する際に、低圧側端子を短絡して大地から絶縁した。
  4. 引き込み用高圧ケーブルに印加する試験電圧は、直流 20700[V]とした。
  5. 引き込み用高圧トリプレックスブルの試験は、金属遮へい層を接地して三相一括で試験電圧を印加した。

1999年(平成11年)問9 過去問解説

絶縁耐力試験において、高圧巻線と接地した外箱および外箱に接続した低圧巻線の端子間に加えられるため、大地と絶縁してはいけません。

電気設備技術基準の解釈 第15条「高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能」の規定

答え (3)

2000年(平成12年)問4

「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、最大使用電圧 23[kV]の電線路に接続する受電用変圧器の絶縁耐力試験を、最大使用電圧に所定の係数を乗じた試験電圧を印加する方法により行う場合、試験電圧と試験時間に関する記述として、適切なのは次のうちどれか。

  1. 最大使用電圧の 1.1倍である 25,300[V]の電圧を連続して1分間加える。
  2. 最大使用電圧の 1.25倍である 28,750[V]の電圧を連続して1分間加える。
  3. 最大使用電圧の 1.25倍である 28,750[V]の電圧を連続して10分間加える。
  4. 最大使用電圧の 1.5倍である 34,500[V]の電圧を連続して1分間加える。
  5. 最大使用電圧の 1.5倍である 34,500[V]の電圧を連続して10分間加える。

2000年(平成12年)問4 過去問解説

電気設備技術基準の解釈 第14条「電路の絶縁抵抗及び絶縁耐力」の規定です。

  1. 下表に規定する試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との 間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
  2. 電線にケーブルを使用する交流の電路においては、下表に規定する試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
電路の種類試験電圧
最大使用電圧が 7,000V以下の電路 交流の電路:最大使用電圧の 1.5倍の交流電圧
直流の電路:最大使用電圧の 1.5倍の直流電圧 又は1倍の交流電圧
最大使用電圧が 7,000Vを超え、60,000V以下の電路 最大使用電圧の 1.25倍の電圧(10,500V未満となる場合は、10,500V)

したがって (3)が正しい記述になります。

答え (3)

2001年(平成13年)問2

「電気設備技術基準」では、電気の供給のための低圧電線路の絶縁性能について、次のように規定している。

低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、( ア )に対する漏えい電流が( イ )の( ウ )分の1を超えないようにしなければならない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に記入する語句又は数値として、正しいものを組み合わせたのは 次のうちどれか。                      

 (ア)(イ)(ウ)
(1)使用電圧最大供給電流2,000
(2)最大使用電圧供給電流2,000
(3)使用電圧使用電流1,000
(4)対地電圧最大供給電流1,000
(5)対地電圧使用電流2,000

2001年(平成13年)問2 過去問解説

電気設備技術基準 第22条「低圧電線路の絶縁性能」の規定です。

低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、( 使用電圧 )に対する漏えい電流が( 最大供給電流 )の( 2,000 )分の1を超えないようにしなければならない。

答え (1)

2001年(平成13年)問6

次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく、電気使用場所における配線の使用電線及び低圧の電路の絶縁性能に関する記述である。

  1. 電線には( ア )を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な ( イ )を有し、かつ、絶縁性が( ウ )ことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないよう に施設する場合は、この限りでない。
  2. 電気使用場所における使用電圧が 300[V]を超える低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、( エ )[MΩ]以上でなければならない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句又は数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)弱電流電線難燃性低い0.2
(2)弱電流電線強度低い0.4
(3)コード難燃性低い0.2
(4)裸電線強度ない0.4
(5)裸電線安全性ない0.2

2001年(平成13年)問6 過去問解説

電気設備技術基準第57条「配線の使用電線」、第58条「低圧の電路の絶縁性能」の規定です。

  1. 電線には( 裸電線 )を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な ( 強度 )を有し、かつ、絶縁性が( ない )ことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないよう に施設する場合は、この限りでない。
  2. 電気使用場所における使用電圧が 300[V]を超える低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、( 0.4 )[MΩ]以上でなければならない。

答え (4)

2004年(平成16年)問3

次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく電気使用場所における低圧の電路の絶縁性に関する記述である。

電気使用場所における使用電圧が低圧電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は( ア )で区切ることのできる電路ごとに、次に揚げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ次に揚げる値以上でなければならない。

  1. 電路の使用電圧の区分が( イ )[V]以下で対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧をいう。)が 150[V]以下の場合の絶縁抵抗値は( ウ )[MΩ]以上でなければならない。
  2. 電路の使用電圧が( イ )[V]以下で、上記 a. 以外の場合の絶縁抵抗値は、( エ )[MΩ]以上でなければならない。

上記の記述の空欄箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句として、正しいものを組合せたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)過電流遮断器3000.10.2
(2)過電流遮断器3000.20.1
(3)配線用遮断器3000.10.2
(4)配線用遮断器6000.20.4
(5)漏電遮断器6000.20.4

2004年(平成16年)問3 過去問解説

電気設備技術基準 第58条「低圧電路の絶縁抵抗値」の規定です。

電気使用場所における使用電圧が低圧電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は( 
過電流遮断器 )で区切ることのできる電路ごとに、次に揚げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ次に揚げる値以上でなければならない。

  1. 電路の使用電圧の区分が( 300 )[V]以下で対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧をいう。)が 150[V]以下の場合の絶縁抵抗値は( 0.1 )[MΩ]以上でなければならない。
  2. 電路の使用電圧が( 300 )[V]以下で、上記 a. 以外の場合の絶縁抵抗値は、( 0.2 )[MΩ]以上でなければならない。

答え (1)

2007年(平成19年)問4

「電気設備技術基準」では、低圧電線の絶縁性能として、「低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の( ア )を超えないようにしなければならない。」と規定している。
いま、定格容量 75[kV・A],一次電圧 6600[V],二次電圧 105[V]の単相変圧器に接続された単相2線式 105[V]1回線当たりの漏えい電流[A]の許容最大値を求めることとする。

上記の空白箇所(ア)に当てはまる語句と漏えい電流[A]の許容最大値との組み合わせとして、最も適切なのは次のうちどれか。

(ア)漏えい電流[A]の許容最大値
(1)1000分の10.714
(2)1000分の11.429
(3)1500分の10.476
(4)2000分の10.357
(5)2000分の10.179

2007年(平成19年)問4 過去問解説

電気設備技術基準 第22条「低圧電線路の絶縁性能」の規定です。

「電気設備技術基準」では、低圧電線の絶縁性能として、「低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の( 2000分の1 )を超えないようにしなければならない。」と規定している。

変圧器の容量を $P$[VA]、低圧側の線間電圧を $V$[V]とすると、最大供給電流を $I_m$[A]は、

$I_m=\displaystyle \frac{ P }{V }=\displaystyle \frac{ 75×1000 }{105 }≒714.3$[A]

漏えい電流を $I_g$[A]は、

$I_g≦\displaystyle \frac{ I_m }{ 2000 }≦\displaystyle \frac{ 714.3 }{ 2000 }≦0.357$[A]

答え (4)

2008年(平成20年)問7

次の文章は「電気設備技術基準の解釈」に基づく、電線にケーブルを使用する交流の電路の絶縁耐力試験に関する記述の一部である。

電線にケーブルを使用する高圧及び特別高圧の交流の電路は、下表の左欄に揚げる電路の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に揚げる交流の試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して( ア )分間加えて絶縁耐力を試験したとき、これに耐えること。
ただし、表の左欄に揚げる電路の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に揚げる試験電圧の( イ )倍の直流電圧を電路と大地間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して( ア )分間加えて絶縁耐力を試験したときこれに耐えるものについては、この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)51.521.25
(2)1021.51.25
(3)52.521.5
(4)1021.51.5
(5)101.51.51.5

2008年(平成20年)問7 過去問解説

電気設備技術基準の解釈 第15条「高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能」の規定です。

電線にケーブルを使用する高圧及び特別高圧の交流の電路は、下表の左欄に揚げる電路の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に揚げる交流の試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して( 10 )分間加えて絶縁耐力を試験したとき、これに耐えること。
ただし、表の左欄に揚げる電路の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に揚げる試験電圧の( 2 )倍の直流電圧を電路と大地間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して( 10 )分間加えて絶縁耐力を試験したときこれに耐えるものについては、この限りでない。

電路の種類試験電圧
最大使用電圧が 7,000V以下の電路交流の電路:最大使用電圧の1.5倍の交流電圧
直流の電路:最大使用電圧の1.5倍の直流電圧 又は1倍の交流電圧
最大使用電圧が 7,000Vを超え、 60,000V以下の電路最大使用電圧の1.25倍の電圧 (10,500V未満となる場合は、 10,500V)

答え (2)

2010年(平成22年)問8

次の文章は「電気設備技術基準の解釈」に基づく、特別高圧の絶縁耐力試験に関する記述である。
公称電圧 22000[V]、三相3線式電線路のケーブル部分の心線と大地との間の絶縁耐力試験を行う場合、試験電圧と連続印加時間の記述として、正しいのは次のうちどれか。

  1. 交流 23000[V]の試験電圧を 10分間印加する。
  2. 直流 23000[V]の試験電圧を 10分間印加する。
  3. 交流 28750[V]の試験電圧を 1分間印加する。
  4. 直流 46000[V]の試験電圧を 10分間印加する。
  5. 直流 57500[V]の試験電圧を 10分間印加する。

2010年(平成22年)問8 過去問解説

公称電圧が 1000[V]を超え、500[kV]以下の電路の最大使用電圧 $V_m$[V]は、

$V_m=公称電圧×(1.15/1.1)$
  $=22000×(1.15/1.1)=23000$[V]

最大使用電圧が 7,000Vを超え、60,000V以下の電路の試験電圧は、最大使用電圧の 1.25倍の電圧を 10分間加えますので、

$23000×1.25=28750$[V]

電線にケーブルを使用する場合は、交流の試験電圧の 2倍の直流電圧で試験してもいいので、

$28750×2=57500$[V]

答え (5)

2012年(平成24年)問5

次の文章は、「電気設備技術基準」における電路の絶縁に関する記述の一部である。

”電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。”

次の a から d のうち、下線部の場合に該当するものの組合せを、「電気設備技術基準の解釈」 に基づき、下記の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 架空単線式電気鉄道の帰線
  2. 電気炉の炉体及び電源から電気炉用電極に至る導線
  3. 電路の中性点に施す接地工事の接地点以外の接地側電路
  4. 計器用変成器の 2次側電路に施す接地工事の接地点

(1) a,b (2) b,c (3) c,d (4) a,d (5) b,d

2012年(平成24年)問5 過去問解説

電路の絶縁の例外規定(解釈 第13条)は次のとおりです。

  1. 接地工事を施す場合の接地点
  2. 次に掲げるものの絶縁できないことがやむを得ない部分
    • 接触電線、エックス線発生装置、試験用変圧器、電力線搬送用結合リアクトル、電気さく用電源装置、電気防食用の陽極、単線式電気鉄道の帰線、電極式液面リレーの電極等、電路の一部を大地から絶縁せずに電気を使用することがやむを得ないもの
    • 電気浴器、電気炉、電気ボイラー、電解槽等、大地から絶縁することが技術上困難なもの

答え (4)

2014年(平成26年)問6

次の文章は、「電気設備技術基準」における低圧の電路の絶縁性能に関する記述である。

電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び( ア )と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は( イ )で区切ることのできる電路ごとに、次の表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以上でなければならない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)電線配線用遮断器400公称電圧0.3
(2)電路過電流遮断器300対地電圧0.4
(3)電線路漏電遮断器400公称電圧0.3
(4)電線過電流遮断器300最大使用電圧0.4
(5)電路配線用遮断器400対地電圧0.4

2014年(平成26年)問6 過去問解説

電気設備技術基準の解釈 第58条「低圧電路の絶縁抵抗値」の規定です。

電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び( 電路 )と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は( 過電流遮断器 )で区切ることのできる電路ごとに、次の表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以上でなければならない。

答え (2)

法規電験3種
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