原子力発電の仕組み

電力

このページでは、原子力発電の仕組みについて、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の電力科目の試験で、実際に出題された、原子力発電の仕組みの過去問題も解説しています。

原子力発電の仕組み

原子のエネルギー

核分裂

物質の原子は、中心にある原子核とその周囲をまわる電子から構成されています。さらに、原子核は、正の電荷をもつ陽子と電荷をもたない中性子とが結合したものです。

原子核の質量は、陽子と中性子の個々の質量の合計より小さく、この質量の差は、質量欠損と呼ばれています。質量欠損は、陽子と中性子を結びつける結合エネルギーと考えられています。

ウラン235やプルトニウム239の原子核に熱中性子という低速の中性子を入射すると、原子核は2つに分裂します。このとき、2~3個の高速中性子(速度が速い中性子)やγ線とともに質量欠損に相当する約200[MeV]の膨大なエネルギーが放出されます。このような現象を原子核分裂といいます。

尚、200[MeV]の単位[eV]は、1個の電子が電位差 1[V]の電界から得るエネルギーを表しています。

アインシュタインの相対性理論

質量欠損を m[kg]とすれば、核分裂によって放出されるエネルギー E[J]は次の式で求めることができます。

E=mc2

E:核分裂によって放出されるエネルギー[J]
m:質量欠損[kg]
c:光速(約3.0×108[m/s])

発電原理

原子力発電

原子力発電は、核分裂の際に生じる熱を利用して蒸気を作り、蒸気タービンで熱エネルギーを機械エネルギーに変えて、発電機を回転させ電気エネルギーを得るシステムです。

原理的には汽力発電と同じで、石油,石炭,LNG等をボイラで燃焼する代わりに、原子炉を使ってウラン等の原子燃料を核分裂させています。

原子炉の構成

原子炉の構成

核燃料

ウランは核分裂を起こすウラン235と核分裂を起こさないウラン238があります。天然ウランの 99%以上がウラン238で、約 0.7%がウラン235です。

現在、運用されている商用原子炉の燃料としては、低濃縮ウラン(ウラン235を約 3%に濃縮したもの)が使用されています。核燃料としては、濃縮されたウランを二酸化ウランに転換し焼き固めてペレット状にし、これをジルコニウム合金の被覆管に入れて燃料棒としています。

ウラン238は中性子を吸収すると、プルトニウム239に変わるので、親物質と呼ばれています。プルトニウム239も核分裂性物質であり、核燃料として利用されています。

減速材

ウランの核分裂の際に発生する中性子は高速中性子のため、核分裂を起こしにくいといった性質があります。連鎖的に核分裂を継続させるには、速度が遅い熱中性子が必要です。そのため、減速材で核分裂によって生じた高速中性子を、質量数の小さい原子に衝突させて、熱中性子に変え、他の原子核に分裂を起こさせ、これを繰り返しています。この現象を連鎖反応といいます。

減速材は軽水や重水、黒鉛などが利用されています。減速材に必要な条件は次の通りです。

  • 質量数が1に近い物質であること
  • 中性子の吸収が少ないこと
  • 熱や放射線に対し安定であること

制御材

原子炉内の熱中性子の数を調整し、核分裂反応を制御する働きを持つのが制御材です。制御材は、核分裂の引き金となる熱中性子を吸収することにより、過大な核反応を抑制します。また、発電に必要なだけの熱が発生するように制御・調整する物質です。

制御材はカドニウムやホウ素、銀、ハフニウム、サマリウムなどが利用されています。制御材に必要な条件は次の通りです。

  • 中性子の吸収が大きいこと
  • 長期間効果を失わないこと
  • 熱や放射線に対し安定であること

冷却材

核分裂で発生した熱を原子炉外に運び出し、原子炉の温度を適当に保つと共に、その熱を発電に利用する働きを持つのが冷却材です。

冷却材は軽水や重水、炭酸ガス、ヘリウムなどが利用されています。冷却材に必要な条件は次の通りです。

  • 比熱、熱伝導率、熱伝達率が大きいこと
  • 中性子の吸収が少ないこと
  • 熱や放射線に対し安定であること

反射材

原子炉から中性子が外部に漏れるのを防止し、炉心へ戻す働きを持つのが反射材です。反射材により、炉心内の中性子分布が一様となり、核反応が安定します。

反射材には軽水や重水、黒鉛などが利用されています。

遮へい材

原子炉内で発生する放射線を遮へいして、外部に漏れないようにする働きを持つのが遮へい材です。原子炉内では、核分裂により中性子、ガンマ線、ベータ線等が放出します。これらの放射線は人体等に悪影響を及ぼすため、原子炉の周りを遮へい材で覆い、放射線の炉外放出を防止します。

遮へい材には重コンクリートやステンレス鋼、鉛などが利用されています。

軽水炉の自己制御性

日本の原子力発電所のほとんどは、軟水炉と呼ばれる形式です。軽水炉では、水が冷却材と減速材を兼ねています。もし、何らかの原因で核分裂反応が増大し出力が増加して水の温度が上昇すると、水の密度が減少し、中性子の減速効果が低下します。その結果、核分裂に寄与する熱中性子が減少し、核分裂は自動的に抑制されます。このような特性を軽水炉固有の自己制御性といいます。

自己制御性

原子炉内で温度が過度に上昇すると、核分裂反応が自動的に抑制される効果があります。

減速材温度効果(ボイド効果)

何らかの原因で温度が異常上昇すると水が沸騰します。沸騰により気泡が増加すると、高速中性子の減速作用が低下します。減速作用が低下すると、熱中性子の数が減り核分裂の連鎖反応が鈍り、温度上昇が抑えられます。このような効果を減速材温度効果(ボイド効果)といいます。

負の温度効果

核燃料のウラン235は、過度に温度が上昇すると、中性子の吸収が悪くなる性質があります。これにより連鎖反応が鈍り、温度上昇が抑えられます。このような効果を負の温度効果といいます。

  

電験三種-電力(原子力発電)過去問

2000年(平成12年)問5

ウラン235の原子核1個に( ア )を入射すると、( イ )種類の原子核に分裂する。このとき( ア ) や、γ線とともに( ウ )に相当する約200( エ )の膨大なエネルギーが放出される。このような現象を原子核分裂という。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句、数値又は記号として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)中性子4質量欠損[MW]
(2)陽 子4質量欠損[MeV]
(3)陽 子2質量増分[MeV]
(4)中性子2質量欠損[MeV]
(5)中性子4質量増分[MW]

2000年(平成12年)問5 過去問解説

ウラン235の原子核1個に( 中性子 )を入射すると、( 2 )種類の原子核に分裂する。このとき( 中性子 ) や、γ線とともに( 質量欠損 )に相当する約200( [MeV] )の膨大なエネルギーが放出される。このような現象を原子核分裂という。

答え (4)

2001年(平成13年)問3

原子核は、正の電荷をもつ陽子と電荷をもたない( ア )とが結合したものである。原子核の質量は、陽子と( ア )の個々の質量の合計より( イ )。この差を( ウ )といい、結合時にはこれに相当する結合エネルギーが放出される。この質量の差を [kg]、光の速度を [m/s]とすると、放出されるエネルギーE[J]は( エ )に等しい。
原子力発電は、ウラン等原子燃料の( オ )の前後における原子核の結合のエネルギーの差を利用したものである。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に記入する語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)電子小さい質量欠損mc核分裂
(2)電子大きい質量増加mc核融合
(3)中性子大きい質量増加mc2核融合
(4)中性子小さい質量欠損mc2核分裂
(5)中性子小さい質量欠損mc核分裂

2001年(平成13年)問3 過去問解説

原子核は、正の電荷をもつ陽子と電荷をもたない( 中性子 )とが結合したものである。原子核の質量は、陽子と( 中性子 )の個々の質量の合計より( 小さい )。この差を( 質量欠損 )といい、結合時にはこれに相当する結合エネルギーが放出される。この質量の差を [kg]、光の速度を [m/s]とすると、放出されるエネルギーE[J]は( mc2 )に等しい。
原子力発電は、ウラン等原子燃料の( 核分裂 )の前後における原子核の結合のエネルギーの差を利用したものである。

答え (4)

2002年(平成14年)問3

我が国の原子力発電所で用いられる軽水炉では、水が( ア )と減速材を兼ねている。もし、何らかの原因で核分裂反応が増大し出力が増加して水の温度が上昇すると、水の密度が( イ )し、中性子の減速効果が低下する。その結果、核分裂に寄与する( ウ )が減少し、核分裂は自動的に( エ )される。このような特性を軽水炉の固有の安全性又は自己制御性という。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)冷却材減少熱中性子抑制
(2)遮へい材減少熱中性子加速
(3)遮へい材減少高速中性子抑制
(4)冷却材増加熱中性子抑制
(5)遮へい材増加高速中性子加速

2002年(平成14年)問3 過去問解説

我が国の原子力発電所で用いられる軽水炉では、水が( 冷却材 )と減速材を兼ねている。もし、何らかの原因で核分裂反応が増大し出力が増加して水の温度が上昇すると、水の密度が( 減少 )し、中性子の減速効果が低下する。その結果、核分裂に寄与する( 熱中性子 )が減少し、核分裂は自動的に( 抑制 )される。このような特性を軽水炉の固有の安全性又は自己制御性という

なお、水の温度が上昇すると、水の密度は減少します。

答え (1)

2003年(平成15年)問4

軟水炉で使用されている原子燃料に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

  1. 中性子を吸収して核分裂を起こすことのできる核分裂性物質には、ウラン235やプルトニウム239がある。
  2. ウラン燃料は、二酸化ウランの粉末を焼き固め、ペレット状にして使用される。
  3. ウラン燃料には、濃縮度 90[%]程度の高濃縮ウランが使用される。
  4. ラン235は中性子を吸収してプルトニウム239に変わるので、親物質と呼ばれる。
  5. 天然ウランは約 0.7[%]のウラン235を含み、残りはほとんどウラン238である。

2003年(平成15年)問4 過去問解説

(3) 軟水炉で使用されるのは 2~3[%]の低濃縮ウラン235です。

答え (3)

2004年(平成16年)問4

1[g]のウラン235が核分裂し、0.09[%]の質量欠損が発生したとき、発生するエネルギーを石炭に換算した値[kg]しとて、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、石炭の発熱量を 25,000[kJ/kg]とする。

(1) 32 (2) 320 (3) 1600 (4) 3200 (5) 6400

2004年(平成16年)問4 過去問解説

質量欠損 0.09%の 1gのウラン235が核分裂をして発生するエネルギーをE1[J]とすると、

E1=mc2=0.09×10-2×1×10-3×(3×108)2=8.1×1010[J]

発熱量 25000[kJ/kg]の石炭 M [kg]を燃焼させたときのエネルギーを E2[J]とすると、

E2=25000×103×M[J]

題意より、E1=E2なので、

8.1×1010=25000×103×M

M=3240[kg]

答え (4)

2006年(平成18年)問13

原子力発電に用いられる 5.0[g]のウラン235を核分裂させたときに発生するエネルギーを考える。ここで、想定する原子力発電所では、上記エネルギーの 30[%]を電気量として取り出すことができるものとする。これを用いて、揚程 200[m]、揚水時の総合的効率 84[%]としたとき、揚水発電所で揚水できる水量[m3]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、ここでは原子力発電所から揚水発電所への送電で生じる損失は無視できるものとする。
なお、計算には必要に応じて次の数値を用いること。

核分裂時のウラン235の質量欠損 0.09[%]
ウランの原子番号 92
真空中の光の速度 c=3.0×108[m/s]

(1) 2.6×104 (2) 4.2×104 (3) 5.2×104 (4) 6.1×104 (5) 9.7×104

2006年(平成18年)問13 過去問解説

質量欠損 0.09%の 5gのウラン235が核分裂をして発生するエネルギーを E とすると、

E=mc2=0.09×10-2×5×10-3×(3×108)2=4.05×108[kJ]

電力量を W[kW・h]とすると、30[%]を電気量として取りだし、また 1kW・h=3600kJ ですので、

$W=\displaystyle \frac{ 4.05×10^{8} }{ 3600}×0.3=33750$[kW・h]

揚水量を QP[m3/s]、有効揚程を H[m]、ポンプ効率を ηP[%]、電動機効率 ηM[%]、電動機電力を PP [kW・s]とすると、

$P_P$ [kW・s]=$33750$[kW・h]×$3600$[s]

$P_P=\displaystyle \frac{ 9.8Q_PH }{ η_Pη_M}$

$33750×3600=\displaystyle \frac{ 9.8×Q_P×200 }{ 0.84}$

$Q_P=52100$[㎥/s]

答え (3)

2009年(平成21年)問4

原子力発電は、原子燃料が出す熱で水を蒸気に変え、これをタービンに送って熱エネルギーを機械エネルギーに変えて、発電機を回転させることにより電気エネルギーを得るという点では、( ア )と同じ原理である。原子力発電では、ボイラの代わりに( イ )を用い、( ウ )の代わりに原子燃料を用いる。現在、多くの原子力発電所で燃料として用いている核分裂連鎖反応する物質は( エ )であるが、天然に産する原料では核分裂連鎖反応しない( オ )が 99[%]以上を占めている。このため、発電用原子炉にはガス拡散法や遠心分離法などの物理学的方法で( エ )の含有率を高めた濃縮燃料が用いられている。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

 (ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)汽力発電原子炉自然エネルギープルトニウム239ウラン235
(2)汽力発電原子炉化石燃料ウラン235ウラン238
(3)内燃力発電原子炉化石燃料プルトニウム239ウラン238
(4)内燃力発電燃料棒化石燃料ウラン238ウラン235
(5)太陽熱発電燃料棒自然エネルギーウラン235ウラン238

2009年(平成21年)問4 過去問解説

原子力発電は、原子燃料が出す熱で水を蒸気に変え、これをタービンに送って熱エネルギーを機械エネルギーに変えて、発電機を回転させることにより電気エネルギーを得るという点では、( 汽力発電 )と同じ原理である。原子力発電では、ボイラの代わりに( 原子炉 )を用い、( 化石燃料 )の代わりに原子燃料を用いる。現在、多くの原子力発電所で燃料として用いている核分裂連鎖反応する物質は( ウラン235 )であるが、天然に産する原料では核分裂連鎖反応しない( ウラン238 )が 99[%]以上を占めている。このため、発電用原子炉にはガス拡散法や遠心分離法などの物理学的方法で( ウラン235 )の含有率を高めた濃縮燃料が用いられている。

答え (2)

2011年(平成23年)問4

ウラン235を 3[%]含む原子燃料が 1[kg]ある。この原子燃料に含まれるウラン235がすべて核分裂したとき、ウラン235の核分裂により発生するエネルギー[J]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、ウラン235が核分裂したときには、0.09[%]の質量欠損が生じるものとする。

(1) 2.43×1012 (2) 8.10×1013 (3) 4.44×1014 (4) 2.43×1015 (5) 8.10×1016

2011年(平成23年)問4 過去問解説

質量欠損 0.09%のウラン235が核分裂をして発生するエネルギーを E とすると、

E=mc2 =0.09×10-2×1×0.03×(3×108)2=2.43×1012[J]

答え (1)

2012年(平成24年)問4

0.01[kg]のウラン235が核分裂するときに 0.09[%]の質量欠損が生じるとする。これにより発生するエネルギーと同じだけの熱を得るのに必要な重油の量[ℓ]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、重油発熱量を 43000[kJ/ℓ]とする。

(1) 950 (2) 1900 (3) 9500 (4) 19000 (5) 38000

2012年(平成24年)問4 過去問解説

質量欠損 0.09%の 0.01kgのウラン235が核分裂をして発生するエネルギーを E とすると、

E=mc2 =0.09×10-2×0.01×(3×108)2=8.1×108[kJ]

重油発熱量は 43000[kJ/ℓ]なので、

$B=\displaystyle \frac{ 8.1×10^{8}}{ 43000}=18800$

答え (4)

2014年(平成26年)問4

原子力発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 現在、核分裂によって原子エネルギーを取り出せる物質は、原子量の大きなウラン(U)、トリウム(Th)、プルトニウム(Pu)であり、ウランとプルトニウムは自然界にも十分に存在している。
  2. 原子核を陽子と中性子に分解させるには、エネルギーを外部から加える必要がある。このエネルギーを結合エネルギーと呼ぶ。
  3. 原子核に何らかの外力が加えられて、他の原子核に変換される現象を核反応と呼ぶ。
  4. ウラン235U235を 1g核分裂させたとき、発生するエネルギーは、石炭数トンの発熱量に相当する。
  5. ウランに熱中性子を衝突させると、核分裂を起こすが、その際放出する高速中性子の一部が減速して熱中性子になり、この熱中性子が他の原子核に分裂を起こさせ、これを繰り返すことで、連続的な分裂が行われる。この現象を連鎖反応と呼ぶ。

2014年(平成26年)問4 過去問解説

核分裂によって原子エネルギーを取り出せるウラン235は自然界には少ない。またプルトニウムは自然界には存在しません。

答え (1)

2017年(平成29年)問4

原子力発電に用いられるM [g]のウラン235を核分裂させたときに発生するエネルギーを考える。ここで想定する原子力発電所では、上記エネルギーの 30%を電力量として取り出すことができるものとし、この電力量をすべて使用して、揚水式発電所で揚水できた水量は 90000m3であった。このときのMの値[g]として、最も近い値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、揚水式発電所の揚程は 240m、揚水時の電動機とポンプの総合効率は 84%とする。また、原子力発電所から揚水式発電所への送電で生じる損失は無視できるものとする。
なお、計算には必要に応じて次の数値を用いること。

核分裂時のウラン235の質量欠損 0.09%
ウランの原子番号 92
真空中の光の速度 3.0×108m/s

(1) 0.9 (2) 3.1 (3) 7.3 (4) 8.7 (5) 10.4

2017年(平成29年)問4 過去問解説

質量欠損 0.09%の M[g]のウラン235が核分裂をして発生するエネルギーを E とすると、

E=mc2=0.09×10-2×M×10-3×(3×108)2=0.81M×108[kJ]

電力量を W[kW・h]とすると、30[%]を電気量として取りだし、また 1kW・h=3600kJ ですので、

$W=\displaystyle \frac{ 0.81M×10^{8} }{ 3600}×0.3=6750M$[kW・h]

揚水量を QP[m3/s]、有効揚程を H[m]、ポンプ効率を ηP[%]、電動機効率 ηM[%]、電動機電力を PP [kW・s]とすると、

$P_P$ [kW・s]=$6750M$[kW・h]×$3600$[s]

$P_P=\displaystyle \frac{ 9.8Q_PH }{ η_Pη_M}$

$6750M×3600=\displaystyle \frac{ 9.8×90000×240 }{ 0.84}$

$M≒10.37$[%]

答え (5)

電力電験3種
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