自動制御は 「検出部」「操作部」「制御部」といった3つの分野で構成されています。人間に例えると「検出部」は目や鼻などの目や鼻などの感覚器官、「操作部」は手や足などの運動器官、「制御部」は中枢器官に該当します。このページでは、初心者の方でもわかりやすいように、自動制御における回路の構成ついて、簡単な例で解説しています。
各部の構成について
調節器
調節器とは、センサからの信号を受け、設定値になるように操作器に信号を送る機器です。例えば温度制御をする際は、設定温度以下ではヒーターをONにする信号を送り、設定温度以上では、ヒーターをOFFにする信号を送ります。
この調節器の特性により、ON-OFFや比例制御などの方式が決定されます。自動制御の「制御部」にあたる箇所です。
操作器
調節器から信号を受け取り、修正動作をする機器です。温度制御の場合は、ヒーターとヒーターをON-OFFさせる機器に当たります。
又、操作器からは、現在どれぐらいの量で動作をしているのか、調節器にフィードバックします。
検出器
自動制御における検出器とは、温度や圧力などの物理量を検知する部分と、検知したデータを電気信号に変換する部分から成り立っています。検知したデータは遠方にある制御装置に渡されます。自動制御の「検出部」にあたる箇所です。
指示計器
センサからの信号を、人間が見やすいようにしたメーターで表します。温度制御の場合は、温度計に当たります。
簡単な制御回路の例
熱電対をセンサーとした温度調節器からの命令で、調節器となるSSR(ソリッドステートリレー)を動かし、水槽をヒーターで加熱する制御回路の一例です。
すべての機器は配線でつながれており、ループしているのがわかると思います。自動制御は関連する機器全てが統一された電気信号で命令の受け渡しをしながら、各機器が自分の仕事を行いながら全体としての仕事を行っているのです。
熱電対には種類を表す記号があります。 『K, J, T, E, R, S, B,・・・』などのアルファベットで記載され、日本工業規格(JIS)や国際電気標準会議(IEC)等で規格化されています。
SSR(ソリッドステートリレー)とは、可動接点部分がないリレー(無接点リレー)のことです。動作的には有接点リレーと変わりません。サイリスタ、トライアック、ダイオード、トランジスタなど、半導体スイッチング素子を使用したリレーを言います。
補償導線とは、熱電対とほぼ同等の熱起電力特性の金属を使用した導線です。熱電対の種類に合わせて専用の補償導線を使用します。
簡単な自動制御の例でしたが、回路がどのように構成されているのかが、理解できたと思います。複雑そうに思う工業計装も基本は同じようなものです。検出したい箇所に即した「検出部」と機器を「操作」するためのアクチュエータ及び、それらに見合った「制御部」をうまく選定することにより、成り立っているのです。
電子式調節計
調節計は,温度・圧力・流量などの工業量を,発信器・変換器などで計測してその測定信号と設定値を比較し,その偏差値に種々の演算を行って調節弁・電磁弁などの操作端に制御信号を出力するものです。調節計についてもマイクロプロセッサが組み込まれ,機能の高度化が進んでいます。
調節方式
電子式調節計には,指示・記録計を基本にして調節部を付加したものと,調節部に指示部を付加したものがあります。前者に属する電子式調節計は,可動コイル形指示計の指針の動きをとらえ,調節動作を行わせるものと,電子式自
動平衡形記録計のフィードバック抵抗(または電圧)と結合された抵抗を使用して,調節動作を行わせるものがあります。この種の調節計は, 1台の計器で受信計のすべての機能をもつことができるので,簡易計装に多用されます。
しかし,調節部の前に機構部を介在しているため,信頼度の点で完全な電子式より劣るおそれがあります。
一方,後者の調節器に指示部を付加した形のものは,完全な意味での電子式調節計で,入力の増幅,偏差の増幅,演算などすべてを電子回路で行うものであり,指示や警報回路を制御回路から一部分離するようになっています。この種の調節計は,IC化された演算増幅器を主体に構成されており,制御動作も多種類のものがあります。
マイクロプロセッサを使用した電子式調節計,いわゆるディジタル調節計は,ソフトウェアで調節機能を実現するもので,従来にない高度で複雑な制御動作を行わせたり,また従来は別個の演算器で処理していたような演算機能を調節計内にもてるようになっています。
現在の調節計の主流はこの形のもので,またこの種のものには中央管理のための通信機能をもっています。精密温度調節を目的としたディジタル指示調節計の仕様例を表に示します。
制御動作
制御動作にはオン・オフ動作式のもの,比例(P)・積分(I)・微分(D)の演算を行うP動作,PI動作,PID動作などがあります。オン・オフ動作は制御量が目標値より小さいか大きいか,すなわちその偏差の極性に応じて弁を全開・全閉する方式です。
PID調節器は,PI動作とPD動作の欠点を除くようにしたものです。プロセス制御の分野では,古くからPID動作が圧倒的で,現在でもそれは変わっていません。しかし,マイクロプロセッサの演算機能を利用して,定数を自動的に設定するディジタル式自動調節計が発展してきています。高精度のPID動作が得られるオートチューニングPID機能,ファジー演算によるオーバーシュート抑制機能を備えたものもあります。
また,調節計の制御信号(出力)には,連続出力のほか,パルス幅出力,接点信号出力方式のものもあります。ほとんどの調節計は,主設定と別に警報用の設定をもち,警報信号を出せるようになっています。