検出器(センサ)とは?

自動制御と計装

自動制御や計装を理解する上で「センサー」について理解しましょう。自動制御系は 「検出部」「操作部」「制御部」といった3つの分野で構成されています。その中で「センサー」は検出部を構成する重要な役目を担っています。このページでは、初心者の方でもわかりやすいように、センサーについてやさしく解説しています。

検出器(センサ)の役割

人間の五感は大変優れた複雑な機能を持っています。例えば,味覚,嗅覚,触覚等です。ロボット用としても,人間並みの能力を持ったセンサの研究開発が進められていますが,人間の五感と比べるとまだ程遠い感があります。工業用のセンサとしては,①温度センサ,②光センサ,③磁気センサの3種類が最も基本的なものです。

うまく使いこなせばかなりの仕事がこなせるため広く使用されています。この中で,磁気センサは人間の五感では感じられないものを検知するセンサですが,自動改札,現金自動引出し,クレジットカード,防犯システム等,社会生活の根幹を支えているセンサといえます。

自動制御における検出器は、温度や圧力などの物理量を検知する部分と、検知したデータを電気信号に変換する部分から成り立っています。検知したデータは遠方にある制御装置に渡されます。

温度や圧力などの物理量を電気信号に変換する主な技術として、起電力変換法・インピーダンス変換法・パルス変換法があります。変位や圧力に換算(1次変換)してから電気量に変換(2次変換)するものと、直接物理量を電気量に変換するものがあります。

検出器(センサ)の動作原理

起電力変換法

ホール素子という磁気センサを利用しています。半導体のY軸方向に電流(I)、Z軸方向から磁界(B)を与えると、X軸方向に電流と磁束密度に比例した起電力(E)が発生するホール効果を利用して電圧を誘起しています。

起電力変換法

抵抗変換法

導体の抵抗とその断面積、長さには次の関係式が成り立ちます。

 R=ρl/A (Ω)
 ρ: 導体の固有抵抗(Ω/m)、l: 長さ(m)、A : 断面積(㎡)

この関係を利用して、変位を抵抗線の長さに変換する方法です。

抵抗変換法

インダクタンス変換法

差動変圧器という、可動鉄心をもつ変圧器のコイルに誘起する起電力を利用しています。1次コイルに交流電圧を印加すると、2次コイルにe1、e2の電圧が発生します。鉄心が中心にある時は、e1=e2となり、E=0となります。

鉄心が上に動くとe1>e2、鉄心が下に動くとe1<e2となり、e1とe2の差を電圧として取り出すことができます。

差動変圧器を利用した方法は、精度が高く、安定しており、測定範囲も自由にとれるなど、利点があり広く用いられています。

インダクタンス変換法

静電容量変換法

コンデンサは、電極間隔・電極面積・電極間の誘電体の状態によって、静電容量が変化します。その特性を利用して検出する方法です。

(a)3枚の電極で2個のコンデンサを構成したもので、中央の電極を上下すると、一方のコンデンサの静電容量が増加し、他方は減少します。

(b)一方の電極を水平に動かすと、電極面積が変化し静電容量が増減します。

(c)2枚の電極間に誘電体を挿入し、水平に動かすと静電容量が増減します。

静電容量変換法

パルス変換法

光源と受光部の間に固定・移動の2枚のスリットを設けます。測定対象を移動スリット側におくと、スリットを通過する光が断続し、受光部は変位に比例したパルスが現れます。このパルスをデジタルカウンターで計数し、変位を求めます。

センサーの種類と特徴

温度センサ

一般用負特性(NTC)サーミスタ

サーミスタという名称は, もともとthermal sensitive resistorの略語ですが,今日では略語というイメージはなくなるほどよく知られています。温度が上昇すると,電気抵抗値が減少するものと増加するものがあります。前者を負特性,後者を正特性と呼んで区別しています。

負特性サーミスタは,酸化ニッケルや四三酸化マンガン,酸化第二鉄,酸化第二銅,酸化コバルトの組合せを高温で焼成したセラミックで作られます。-30℃ ~130℃ 程度の温度範囲で使用されるものが多く,100℃ の温度変化に対しおおよそ数十倍程度の抵抗値変化があります。電気回路の温度補償用やエアコン,ファンヒータ,冷蔵庫,電子体温計等の温度センサとして広く使用されています。

高温用負特性(NttC)サーミスタ

酸化ジルコニウムを主成分とする材料を利用すると,1000℃ 付近まで使用できるサーミスタが得られます。これは,ガス調理器,風呂釜,ファンヒータ等の点火検出に用いられています。

正特性(PttC)サーミスタ

コンデンサの材料として知られているチタン酸バリウムに微量のイットリウム,ランタン, トリウム等の酸化物を添加すると,チタン酸バリウムのキュリー点(120℃ 近辺)で急激に, しかも大幅に電気抵抗が増加する現象を示します。そして,このキュリー点は,バリウムを鉛,ストロンチウム,カルシウム等で置換すると,高温傾1にも低温側にもシフトさせることができます。過大な電流が回路に流れると,サーミスタ自身の発熱で抵抗値が急増して電流を制限するので,モーターのロック時の焼損防止や過大電流から回路や素子を保護するため,種々の使い方がされています。

熱電対

ゼーベック効果を利用して温度を測定するのに用いられます。ゼーベック効果とは, 2種類の金属をそれぞれの両端で接合してループを作り,両方の接合部に温度差を作るとループに電流が流れる現象のことです。

温度差と熱起電力の関係を調べておき,一方の接合部を開いて,ここに精密級のメータや電気計器を接続して温度測定を行います。起電力は,高温側の接点(異種金属の接合部)と低温側の接点の温度差にほぼ比例しています。したがって,低温側接点の温度を一定に保持しないと高温側の温度は測定できません。

熱電対が普及した初期の頃には,低温側接点に0℃ の氷水がよく用いられましたが,最近では低温側の接点温度(基準接点温度)の変化を自動補償する電気回路を内蔵した計器が一般に使われています。

熱電対の材質としては,高温用(常用1400~ 1500° C)の白金/ロジウム系(JISC1602,材質構成記号B,R,Sの3種類),中温用(常用450~ 1000°C)のニッケル/クロム系(同K,Eの2種類),低温用(常用200~ 600°C)の銅/ニッケル系(同J,Tの2種類)が規格化されています。

熱電対の使用上,補償導線についてはよく理解しておく必要があります。測定点から計器の端子部までの距離が長い場合,高価な長い熱電対材料を使用せずに,引き回しの部分に代用線を使用します。

この代用線は,室温からせいぜい100℃ 付近までの熱起電力が,熱電対のそれと等しい,安価な合金線を選んであります。したがって,100℃ を超えるような部分まで補償導線を延長することはできません。また,基準温度(冷接点温度)の変化を補償する機能があるわけでもありません。

光センサ

可視光線センサ

可視光線を検出する素子としては,①硫化カドミウム(CdS)セル,② ホトダイオード,③ ホトトランジスタがあります。いずれも電圧をかけた待機状態で光が当たると電流が急増します。

最近では,微小電流ですが照度とのリエアリティ(直線性)がよく,動作速度の速いホトダイオードと電気回路を一体化してIC化した光センサICが市販されており,個人でも入手できるほど一般化しています。

また,照度センサICも同様で,出力電圧/照度の関係も明示されています。スイッチ用のものは当然デジタル出力ですが,ON-OFFを過度に繰り返さないようにヒステリシス特性をもたせて信頼性を上げる必要があります。

赤外線センサ

可視光線より長波長の光(0.78μm~ lmm)は赤外線と呼ばれ,熱作用が強いのが特徴です。強誘電体に高い電界(数千V/mm)をかけて熱処理し分極処理をすると分子の電荷が偏るため,片面にプラス,反対傾1にマイナスの電荷が生じます。このため,空気中のプラスイオンがマイナス側に,マイナスイオンがプラス側に吸着され,結果的には外側には電荷は現れません。この状態の強誘電体に赤外線が当たると分極の状態が変化し,その瞬間吸着されていたイオンが離脱できるので電流が取り出せます。これは赤外線の変化分を検出するものです。

このような性質をもつ強誘電体を焦電体といいます。焦電体としては,ニオブ酸リチウム, タンタル酸リチウム,チタン酸ジルコン酸鉛,ポリふつ化ビニリデン(プラスチツク)等があります。

赤外線センサとしては,目的とする波長を透すシリコンやポリエテレンで窓を作る技術,高インピーダンスであるため誘導雑音を拾わないようにする回路技術等の工夫がされています。また焦電型のセンサの特性として,赤外線の急変をキャッチするので,動かない被測定物に対しては機械的チョッパを使用します。また動くものの有無だけを検知するという逆の使い方(防犯用)もあります。

磁気センサ

磁気を検出できるものとしては,①磁気ヘッド,②ホール素子,③ MR素子があります。①は磁界の変化分をコイルのインダクタンスで検出しますが,②と③は静的な磁界の強さを直接測定できます。

磁気ヘッド

磁気テープ,磁気デイスク,磁気カードは日常生活に欠かせない存在になっています。この記録と再生にはほとんど磁気ヘッドが使用されています。磁気ヘッドの基本構造は,コイルを巻いたリング状の磁気コアーの一か所にギヤップを設けたものです。コイルを流れる信号電流は,ギヤツプ部から外部に漏れる磁気に変換され,これでテープを磁化して記録します。ギャップ部がテープに接触して走行すると,テープに記録されている磁気がギヤツプで拾われ,コイルのインダクタンスによつて起電力に変換されます。

この起電力(磁気のセンシング能力)は,テープやカードの走行が速いほど大きくなり,走行が停止すると何も検出しなくなります。高周波特性は,ギヤップが狭く走行速度が速いほどよくなります。

ホール素子

磁気ヘッドを別にすると,磁気センサの代表格はホール素子です。半導体の四角な薄板の向かい合った辺に電極を付けて電圧をかけると,P形半導体の場合,ホールはプラス極からマイナス極に向かって走行します。この状態で,薄板に直交するように磁界をかけるとホールの走行はフレミングの左手の法則によつて曲げられます。その結果,電極とは別の向かい合った辺の間に起電力を生じます。これがホール効果と呼ばれる現象です。P形とN形では起電力は逆になり,いずれも磁界を逆転させると起電力も逆転します。

ホール素子の出力は,磁界の強さとセンシングのため流しておく電流の積にほぼ比例するという,使い勝手のよい特長を持っています。ホール素子は,シリコンでも化合物半導体(GaAs)でも作られていますが,動作可能温度がシリコンでは75℃ 程度であるのに対し,化合物半導体ではこれよりかなり高温の250℃ 程度まで使用できます。一方,ホール素子と電子回路 を一体化してIC化するのはシリコンのほうが容易です。

MR素子

ホール素子の他に,磁気抵抗効果を利用したMR素子も磁気センサとして使用されます。磁気抵抗効果(Magnetoresistance Effect)とは,磁界中に入ると強磁性体の電気抵抗値が変わる現象です。

材料としては,磁気をよく透す合金,例えばニッケル・鉄系の合金(パーマロイ)等がよく用いられています。モータの回転速度を読み取るセンサとして使われています。

非接触で静的な磁界の強さが検知できるという特長があるため,周速度の遅い小型磁気デイスクの再生用磁気ヘッドとして注目されてきました。しかし,抵抗値の変化率が小さいため,工業的には主流にはなれませんでした。最近,原子あるいは分子レベルでコントロールできる製膜技術の実用化によって,次に述べる巨大磁気抵抗効果のセンサが実用化されています。

GMR素子

製膜技術の進歩と人工格子材料の開発によって抵抗値変化の大きいものが開発され,ハードディスクドライブ(HDD)の再生用(読取り用)磁気ヘツドとして普及しています。

デイスクの小型化で周速度が遅くなると,磁界の変化を検知するリング型の磁気ヘッドでは記録の読取りが困難になりますので,MR素子のほうが原理的に有利になります。

MR材料には,強磁性金属と非磁性金属を積層した構造や人工格子に類する積層構造が使われており,数10%にもおよぶ抵抗変化率を示すものも報告されています。巨大磁気抵抗効果を略してGMR(ジャイアントMRの意味)と呼ばれています。

超音波センサ

チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛等のセラミックの両面に電極を付け,両面から押さえると両極間に電圧が発生(ピエゾ電気効果)します。逆に,両極間に電圧をかけるとセラミック板はわずかですが変形(ピエゾ電気逆効果)します。このような性質をもった物質を圧電体といいます。ロッシェル塩や水晶もまぎれもない圧電体です。

両極を発振回路に接続し,圧電体の固有振動数に近い周波数をかけると,圧電体は安定した発振を始めます。周波数が2万Hz以上になると,超音波の領域になります。チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛を用いるどμmのオーダーの振幅の超音波発振子が得られます。この発振子と同じ素子に超音波を当てて両極に発生する電圧を増幅すると,超音波センサになることは容易に理解できます。このようなことから,超音波の送波用と受波用には,基本的には同じ素子が使用されています。

超音波センサはリモコン,距離計(液面計等),魚群探知機,防犯用動体検出装置(ドップラー効果利用),医療用超音波診断装置など超音波独特の利用分野が形成されています。

ジャイロセンサ

慣性航法用のジャイロスコープ(玩具の地球こまと同じ原理)は,質量の大きい円盤を高速回転させて,その回転軸が向きを変えようとしない性質を利用するものです。振動体でも同じ性質があり,向きを変えようとすると反発力が働きますから,これを検出すると慣性を検知するセンサになります。図は,圧電式振動ジャイロの構造の一例です。

図は音叉型ですが,四角柱や三角柱の側面に振動駆動用の圧電素子と検知用の圧電素子を貼り付けた構造のものもあり,目的に応じて多様な構造が可能です。カメラやビデオカメラの手ぶれ防止機構やカーナビゲータに使用されています。

湿度センサ

温度と湿度は常に肌で感じている刺激です。湿度に関しては,古くから乾湿球湿度計と毛髪湿度計が身の周りで使用されていますが,電子的な湿度センサにはほとんどセラミックが使用されています。

非加熱型

水分吸着による電気抵抗の変化をそのまま測定するタイプで,酸化亜鉛系の多孔質焼結体が主として使用されています。原理・構造とも最も簡単なものですが,空気中の油分やほこりによる汚れが信頼性を低下させます。

加熱再生型

上記の欠点を除くもので,センサのセラミックの外周にヒータを配置して定期的に通電して加熱して汚れを分解して使用するものです。通電は短時間ですが,400~ 500℃ までカロ熱します。クロム酸マグネシウムと酸化チタン系の混合焼結体が一般的に使用されています。電子レンジの自動調理用には,この手のものが使用されます。

常時加熱型

酸化ジルコニウム系のセンサは,高温で安定に動作し,ヒータで加熱された状態で水分を検出できるので,悪い環境の中でも使用できる常時加熱型としてよく使用されています。

センサを組み込んだスイッチ

発光素子と受光素子,発振素子と受信素子等を組み合わせて一体化した各種スイッチが,広く使用されています。

光電スイッチ

発光素子と受光素子をペアーにして使用します。素子を対向させて配置し,光路を物体が遮断しているか否かを検知するものです。発光素子と受光素子を一体化して同じ方向に向けて被検出体からの反射を検知する方式のものもあります。

発光素子には発光ダイオードかレーザダイオードが,受光素子にはホトダイオードかホトトランジスタが使用されます。表はこれらの応用例を示したものです。

近接スイッチ

光電スイッチと同様に非接触で物体を検知するセンサに近接スイッチがあります。検出方式には高周波発振形,静電容量形,磁気形,差動コイル形,超音波形があります。高周波発振形は,発振回路のコイルをヘッドとして使います。磁界に金属が入り金属に渦電流が流れることによリエネルギーが奪われ発振が停止することを利用します。

静電容量形は,高周波発振回路のコンデンサをヘッドとして使います。電界中に物体が入つて静電容量が増加すると,発振振幅が増加して物体を検知するように設計されています。

磁気形は,マグネットの近接によりその磁力でリードスイッチを作動させるものです。表は一般的な形状と応用について示したものです。

エンコーダ

エンコーダとは角度や回転数の計測に最もよく使用されているセンサで,各種機械やモータのシャフトに取り付けて信号を検出します。角度については,アナログ検出器としてポテンショメータやシンクロ検出器があり, ともに多回転になっています。

ポテンショメータは直流電圧で使用し,小型軽量化が要求されるところで使用します。シンクロ検出器は,交流電圧を供給し角度に対して出力された正弦波電圧の0~90度の範囲を整流し,検出信号とします。耐久性が要求されるところに使用します。特にシンクロ検出器は産業界でよく使用されています。

高精度の角度検出器には,機械などのシャフトに取り付けるロータリエンコーダがあります。これは1回転当たりの発生パルス数〔P/R〕が3600,6000などがあり,分解能が高いため多く使用されています。

また,回転数の検出としてアナログではタコジェネレータがあり,これは3000〔rpm〕でDC110〔V〕の電圧を発生するものが普通です。高精度または高回転数用はディジタルのパルスジェネレータがあります。これはロータリエンコーダそのものですが,用途からパルスジェネレータと呼んでいます。このパルスをF/V変換したリパルスカウントしたりして回転数制御を行いますが,F/V変換では周波数の定格を考慮して低回転数では高発生パルス数300〔P/R〕を,高回転数では低発生パルス数60〔P/R〕を使用します。

レゾルバ

レゾルバは回転角度検出器の一部で,次のように分けられます。

レゾルバの動作原理はシンクロ検出器と同じですが,違いはシンクロ検出器が3相巻きであるのに対し, 2本目巻きになっていることです。別名シンクロレゾルバと呼ばれ,米国の航空局規格,軍規格, 日本の防衛省規格に性能などが定められています。それゆえ,一般的にはレゾルバをシンクロ検出器と呼んでいます。

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