電験三種の法規で出題される配線の危険防止について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。
電線の保安原則
電線は、電気設備技術基準で「強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体」と定義されています。保安の原則では、電線について次のように規定されています。
- 断線の防止(電技 第6条)
通常の使用状態において断線のおそれがないように施設しなければならない。
- 電線の接続(電技 第7条)
電線を接続する場合は、接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続しなければならない。また、絶縁性能の低下や通常の使用状態において断線のおそれがないように接続しなければならない。
- 電線の規格
通常の使用状態における温度に耐えること。
線心が2本以上のものにあっては、色分けその他の方法により線心が識別できること。
電線の接続法
電気設備技術基準の解釈 第12条では、電線の接続方法について、次のように規定されています。
- 電線の接続方法(解釈 第12条)
- 電線の電気抵抗を増加させない。
- 接続部で電線の引張強さを 20%以上 減少させない。
- 接続部分には、接続管その他の器具を用いるか、ろう付けをする。
- 接続部は、電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使用するか、同等以上の絶縁効力のあるもので十分に被覆する。
- コード相互、キャブタイヤケーブル相互を接続する場合は、コード接続器などの器具を使用する。ただし、断面積 8mm2 以上のキャブタイヤケーブル相互を接続する場合においてはこの限りではない。
- アルミ線と銅線を接続する場合は、接続部分に電気的腐食が生じないようにする。
電気使用場所に施設する配線
電気設備技術基準 第56、57条では、電気使用場所に施設する配線について、次のように規定されています。
- 配線の感電、火災の防止(電技 第56条)
- 配線は、施設場所の状況や電圧に応じて、感電や火災のおそれがないように施設しなければならない。
- 移動電線を電気機械器具と接続する場合には、接続不良による感電や火災のおそれがないように施設しなければならない。
- 特別高圧の移動電線は、施設してはならない。ただし、充電部分に人が触れた場合に人体に危害を及ぼすおそれがなく、移動電線と接続することが必要不可欠な電気機械器具に接続するものについては、この限りではない。
- 配線の使用電線(電技 第57条)
- 配線の使用電線(裸電線及び特別高圧で使用する接触電線を除く。)には、感電や火災のおそれがないよう、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。
- 配線には、裸電線を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、絶縁性がないことを考慮して、配線が感電や火災のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
- 特別高圧の配線には、接触電線を使用してはならない。
他の電線や工作物への危険の防止
電気設備技術基準 第62条と電気設備技術基準の解釈 第28、29条では、他の電線や工作物への危険の防止について、次のように規定されています。
- 配線による他の配線等又は工作物への危険の防止(電技 第62条)
- 配線は、他の配線、弱電流電線等と接近したり交さする場合は、混触による感電や火災のおそれがないように施設しなければならない。
- 配線は、水道管、ガス管など接近したり交さする場合は、放電によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく、漏電や放電によりこれらの工作物を介して感電や火災のおそれがないように施設しなければならない。
- 電線の混触の防止(解釈 第28条)
電線は、他の電線や弱電流電線等と接近したり交さする場合には、他の電線や弱電流電線等を損傷するおそれがなく、接触や断線によって発生する混触により、感電や火災のおそれがないように施設しなければならない。
- 電線による他の工作物等への危険の防止(解釈 第29条)
電線は、他の電線や弱電流電線等と接近したり交さする場合には、他の工作物や植物を損傷するおそれがなく、接触や断線によって発生する感電や火災のおそれがないように施設しなければならない。
電験三種-法規(電気設備技術基準)過去問題
1999年(平成11年)問5
「電気設備技術基準」では、配線による感電等の防止に関し、次のように規定している。
- 配線は、施設場所の状況及び( ア )に応じ、感電又は( イ )のおそれがないように施設しなければならない。
- 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、接続不良による感電又は( イ )のおそれのないように施設しなければならない。
- ( ウ )の移動電線は、上記1及び2の規定にかかわらず、施設してはならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 環境 | 損傷 | 高圧又は特別高圧 |
(2) | 環境 | 事故 | 特別高圧 |
(3) | 電圧 | 火災 | 特別高圧 |
(4) | 電圧 | 事故 | 高圧又は特別高圧 |
(5) | 電流 | 火災 | 特別高圧 |
1999年(平成11年)問5 過去問解説
電気設備技術基準第56条「感配線の感電又は火災の防止」の規定です。
- 配線は、施設場所の状況及び( 電圧 )に応じ、感電又は( 火災 )のおそれがないように施設しなければならない。
- 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、接続不良による感電又は( 火災 )のおそれのないように施設しなければならない。
- ( 特別高圧 )の移動電線は、上記1及び2の規定にかかわらず、施設してはならない。
答え (3)
1998年(平成10年)問6
電気設備技術基準では、次のように規定している。
電気使用場所に施設する電気機械器具又は接触電線は、電波、( ア )等が発生することにより、( イ )の機能に( ウ )かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 高周波電流 | 弱電流設備 | 突発的 |
(2) | 高周波電流 | 無線設備 | 継続的 |
(3) | 第三調波電流 | 弱電流設備 | 間欠的 |
(4) | 第三調波電流 | 無線設備 | 突発的 |
(5) | 高周波電流 | 通信設備 | 間欠的 |
1998年(平成10年)問6 過去問解説
電気設備技術基準 第67条「電気機械器具又は接触電線による無線設備への障害の防止」の規定です。
電気使用場所に施設する電気機械器具又は接触電線は、電波、( 高周波電流 )等が発生することにより、( 無線設備 )の機能に( 継続的 )かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
答え (2)
2000年(平成12年)問1
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、絶縁電線の接続法に関する記述である。絶縁電線相互又は絶縁電線とコード、キャブタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合は、次によること。
- 電線の( ア )を、原則として増加させないように接続すること。
- 電線の引張強さを、原則として( イ )[%]以上減少させないこと。
- 接続部分には、原則として接続管その他の器具を使用し、又は( ウ )すること。
- 接続部分は、その部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の( エ )のあるもので十分被覆すること。(当該絶縁物と同等以上の( エ )のある接続器を使用する場合を除く。)
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句又は数値として、適切なものを組み合せたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 絶縁抵抗 | 30 | 圧着 | 厚み |
(2) | 電気抵抗 | 50 | ろう付け | 厚み |
(3) | 絶縁抵抗 | 20 | 圧着 | 絶縁効力 |
(4) | 電気抵抗 | 20 | ろう付け | 絶縁効力 |
(5) | 電気抵抗 | 30 | ろう付け | 絶縁抵抗 |
2000年(平成12年)問1 過去問解説
電気設備技術基準の解釈 第12条「電線の接続法」の規定です。
- 電線の( 電気抵抗 )を、原則として増加させないように接続すること。
- 電線の引張強さを、原則として( 20 )[%]以上減少させないこと。
- 接続部分には、原則として接続管その他の器具を使用し、又は( ろう付け )すること。
- 接続部分は、その部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の( 絶縁効力 )のあるもので十分被覆すること。(当該絶縁物と同等以上の( 絶縁効力 )のある接続器を使用する場合を除く。)
答え (4)
2000年(平成12年)問2
「電気設備技術基準」では、電気使用場所の配線による他の配線等又は工作物への危険の防止について、次のように規定している。
- 配線は、他の配線、弱電流電線等と接近し、又は交さする場合は、( ア )による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
- 配線は、水道管、ガス管又はこれらに類するものと接近し、又は交さする場合は、( イ )によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく、かつ、( ウ )又は( イ )によりこれらの工作物を介して感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に記入する語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 混触 | 誘導 | 短絡 |
(2) | 混触 | 放電 | 漏電 |
(3) | 放電 | 混触 | 短絡 |
(4) | 誘導 | 放電 | 漏電 |
(5) | 誘導 | 混触 | 地絡 |
2000年(平成12年)問2 過去問解説
電気設備技術基準 第62条「配線による他の配線等又は工作物への危険の防止」の規定です。
- 配線は、他の配線、弱電流電線等と接近し、又は交さする場合は、( 混触 )による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
- 配線は、水道管、ガス管又はこれらに類するものと接近し、又は交さする場合は、( 放電 )によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく、かつ、( 漏電 )又は( 放電 )によりこれらの工作物を介して感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
答え (2)
2002年(平成14年)問5
次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく電線の混触の防止に関する記述である。
電線路の電線、電力保安通信線又は( ア )等は、他の電線又は( イ )と接近し、若しくは交さする場合又は同一支持物に( ウ )する場合には、他の電線又は( イ )を損傷するおそれがなく、かつ、( エ )、断線等によって生じる混触による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 電車線 | 弱電流電線等 | 施設 | 接触 |
(2) | 架空地線 | き電線 | 添架 | 短絡 |
(3) | 架空地線 | 電話線 | 供架 | 振動 |
(4) | き電線 | 弱電流電線等 | 施設 | 接触 |
(5) | 電車線 | き電線 | 添架 | 振動 |
2002年(平成14年)問5 過去問解説
電気設備技術基準 第28条「電線の混触の防止」の規定です。
電線路の電線、電力保安通信線又は( 電車線 )等は、他の電線又は( 弱電流電線等 )と接近し、若しくは交さする場合又は同一支持物に( 施設 )する場合には、他の電線又は( 弱電流電線等 )を損傷するおそれがなく、かつ、( 接触 )、断線等によって生じる混触による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
答え (1)
2005年(平成17年)問7
次の文章は、裸電線及び絶縁電線の接続法の基本事項について「電気設備技術基準の解釈」に規定されている記述の一部である。
- 電線の電気抵抗を( ア )させないように接続すること。
- 電線の引張強さを( イ )[%]以上減少させないこと。
- 接続部分には、接続管その他の器具を使用し、又は( ウ )すること。
- 絶縁電線相互を接続する場合は、接続部分をその部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の( エ )のあるもので十分被覆すること(当該絶縁物と同等以上の( エ )のある接続器を使用する場合を除く。)。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句又は数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 変化 | 30 | ろう付け | 絶縁効力 |
(2) | 増加 | 30 | 圧着 | 絶縁抵抗 |
(3) | 増加 | 20 | ろう付け | 絶縁効力 |
(4) | 変化 | 20 | ろう付け | 絶縁抵抗 |
(5) | 増加 | 15 | 圧着 | 絶縁抵抗 |
2005年(平成17年)問7 過去問解説
電気設備技術基準の解釈 第12条「電線の接続法」の規定です。
- 電線の電気抵抗を( 増加 )させないように接続すること。
- 電線の引張強さを( 20 )[%]以上減少させないこと。
- 接続部分には、接続管その他の器具を使用し、又は( ろう付け )すること。
- 絶縁電線相互を接続する場合は、接続部分をその部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の( 絶縁効力 )のあるもので十分被覆すること(当該絶縁物と同等以上の( 絶縁効力 )のある接続器を使用する場合を除く。)。
答え (3)
2006年(平成18年)問5
次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく配線の感電又は火災に関する記述である。
- 配線は、施設場所の状況及び( ア )に応じ、感電又は火災の恐れがないように施設しなければならない。
- 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、( イ )による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
- ( ウ )の移動電線は、上記a及びbの規定にかかわらず、施設してはならない。ただし、( エ )に人が触れた場合に人体に危害を及ぼすおそれがなく、移動電線と接続することが必要不可欠な電気機械器具に接続するものは、この限りでない。
上記の記述の空欄箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組合せたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 環境 | 漏電 | 高圧又は特別高圧 | 露出部分 |
(2) | 電流 | 漏電 | 特別高圧 | 充電部分 |
(3) | 電圧 | 接続不良 | 特別高圧 | 充電部分 |
(4) | 電圧 | 漏電 | 高圧又は特別高圧 | 充電部分 |
(5) | 環境 | 接続不良 | 特別高圧 | 露出部分 |
2006年(平成18年)問5 過去問解説
電気設備技術基準 第56条「感配線の感電又は火災の防止」の規定です。
- 配線は、施設場所の状況及び( 電圧 )に応じ、感電又は火災の恐れがないように施設しなければならない。
- 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、( 接続不良 )による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
- ( 特別高圧 )の移動電線は、上記a及びbの規定にかかわらず、施設してはならない。ただし、( 充電部分 )に人が触れた場合に人体に危害を及ぼすおそれがなく、移動電線と接続することが必要不可欠な電気機械器具に接続するものは、この限りでない。
答え(3)
2013年(平成25年)問3
次の文章は、「電気設備技術基準」における、電気使用場所での配線の使用電線に関する記述である。
- 配線の使用電線( ア )及び特別高圧で使用する( イ )を除く。)には、感電又は火災のおそれがないよう、施設場所の状況及び( ウ )に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。
- 配線には、( ア )を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び( ウ )に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、 絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
- 特別高圧の配線には、( イ )を使用してはならない。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 接触電線 | 移動電線 | 施設方法 |
(2) | 接触電線 | 裸電線 | 使用目的 |
(3) | 接触電線 | 裸電線 | 電圧 |
(4) | 裸電線 | 接触電線 | 使用目的 |
(5) | 裸電線 | 接触電線 | 電圧 |
2013年(平成25年)問3 過去問解説
電気設備技術基準 第57条「配線の使用電線」の規定です。
- 配線の使用電線(( 裸電線 )及び特別高圧で使用する( 接触電線 )を除く。)には、感電又は火災のおそれがないよう、施設場所の状況及び( 電 圧 )に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。
- 配線には、( 裸電線 )を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び( 電 圧 )に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、 絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
- 特別高圧の配線には、( 接触電線 )を使用してはならない。
答え (5)