変電所の変圧器【電験3種-電力】

電力

電験3種の電力で出題される変電所に設置されている変圧器について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

変圧器

変電所は構外から送られてきた電気を、変圧器やその他の電気機械器具等により変成し、変成した電気を構外に送っています。また、変電所は送配電線の保護や電力潮流の調整、無効電力の配分や制御なども行い、電気を安全、円滑に供給する役割を持っています。

変圧器の結線方式

Y-Y結線
  • 1次、2次間に位相差がありません。
  • 送電圧に第3調波を含むひずみ波形が発生します。
  • 1次側、2次側の中性点を接地できるので、故障検出や異常電圧の保護がしやすくなります。
  • 中性点を接地すると、第3調波電流が線路の静電容量を介して大地に流れるので、通信線への電磁誘導障害の原因になります。
Y-Δ結線

Δ-Y結線

  • 1次、2次間に30°の位相差が発生します。
  • Δ結線で第3調波を循環させ、波形のひずみを少なくします。
  • Y結線の中性点を接地し、異常電圧を軽減できます。
  • Y-Δ結線は変電所の降圧用変圧器として使われています。
  • Δ-Y結線は発電所の昇圧用変圧器として使われています。
Δ-Δ結線
  • 1次、2次間に位相差がありません。
  • Δ結線で第3調波を循環させ、波形のひずみを少なくします。
  • 中性点を接地できないので、異常電圧が発生しやすいです。
  • 地絡保護を行うには、接地変圧器が必要となります。
  • 77kV以下の回路で使用されています。
Y-Y-Δ結線
  • 1次、2次間に位相差がありません。
  • 3次巻線のΔ結線で第3調波を循環させ、波形のひずみを少なくします。
  • 1次側、2次側の中性点を接地できるので、故障検出や異常電圧の保護がしやすくなります。
  • 3次巻線(Δ結線)は、調相設備を接続し、線路損失の軽減や電圧調整に利用します。また、所内電源用に利用されます。
  • 高電圧大容量変電所の主変圧器の結線として広く用いられています。
高調波は、周波数が整数倍の交流のことをいいます。基本波から周波数が2倍のものを「第2高調波」、3倍のものを「第3高調波」といいます。基本波と高調波が合成されることによって「ひずみ波」になります。

高調波は正弦波の周波数より高い周波数です。周波数が高くなると、コンデンサに流れる電流が増えます。また、直列リアクトルの異音や振動、過熱等も発生します。そのため、高調波はできるだけ取り除くようにしなければなりません。

高調波の中でも奇数倍の高調波は、波形を大きく乱します。特に、第3高調波は、影響が大きいので、三相変圧器をΔ結線するといった対策などで、取り除くようにしています。

負荷時タップ切換変圧器

負荷電流が流れている状態のままで、タップを切り換えることができる変圧器です。タップを切り換えることによって、二次側の電圧を調整することができます。

電験3種-電力(変電所)過去問題

2000年(平成12年)問6

電力系統における変電所の役割に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)変圧器により昇圧または降圧して、送配電に適した電圧に変換する。
(2)負荷時タップ切り替え変圧器などにより電圧を調整する。
(3)軽負荷時には電力用コンデンサ、重負荷時には分路リアクトルを投入して無効電力を調整する。
(4)送変電設備の過負荷運転をさけるため、開閉装置により系統切り替えを行って電力潮流を調整する。
(5)送配電線に事故が発生したときは、遮断器により事故回線を切り離す。

2000年(平成12年)問6 過去問解説

通常、重負荷時は遅れ力率となるので、電力コンデンサで力率を改善します。軽負荷時は分路リアクトルを投入して無効電力を調整します。

答え(3)

2006年(平成18年)問4

変電所に設置される機器に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。

(1)活線洗浄装置は、屋外に設置された変電所のがいしを常に一定の汚損度以下に維持するため、台風が接近している場合や汚損度が所定のレベルに達するとき等に充電状態のまま注水洗浄が行える装置である。
(2)短絡、過負荷、地絡を検出する保護継電器は、系統の機器に事故や故障等の異常が生じたとき、速やかに異常状況を検出し、異常箇所を切り離す指示信号を遮断器に送る機器である。
(3)負荷時タップ切り替え変圧器は、電源電圧の変動や負荷電流による電圧変動を補償して、負荷側の電圧をほぼ一定に保つために、負荷状態のままタップ切り替えを行える装置を持つ変圧器である。
(4)避雷器は、誘導雷及び直撃雷による雷過電圧や電路の開閉等で生じる過電圧を放電により制限し、機器を保護するとともに直撃雷の進入を防止するために設置される機器である。
(5)静止形無効電力補償装置(SVC)は、電力用コンデンサと分路リアクトルを組み合わせ、電力用半導体素子を用いて制御し、進相から遅相までの無効電力を高速で連続制御する装置である。

2006年(平成18年)問4 過去問解説

避雷器は、直撃雷の侵入を防止することはできません。放電によって機器の保護を行います。

答え(4)

2008年(平成20年)問6

変電所に設置される機器に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)周波数変換装置は、周波数の異なる系統間において、系統又は電源の事故後の緊急応援電力の供給や電力の融通等を行うために使用する装置である。
(2)線路開閉器(断路器)は、平常時の負荷電流や異常時の短絡電流及び地絡電流を通電でき、遮断器が開路した後、主として無負荷状態で開路して、回路の絶縁状態を保つ機器である。
(3)遮断器は、負荷電流の開閉を行うだけでなく、短絡や地絡などの事故が生じたとき事故電流を迅速確実に遮断して、系統の正常化を図る機器である。
(4)三巻線変圧器は、一般に一次側及び二次側をY結線、三次側をΔ結線とする。三次側に調相設備を接続すれば、送電線の力率調整を行うことができる。
(5)零相変流器は、三相の電線を一括したものを一次側とし、三相短絡事故や3線地絡事故が生じたときのみ二次側に電流が生じる機器である。

2008年(平成20年)問6 過去問解説

三相短絡時は各相の電流の大きさが等しいので、零相変流器の二次側には電流は流れません。

答え(5)

2009年(平成21年)問6

電力系統における変電所の役割と機能に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)構外から送られる電気を、変圧器やその他の電気機械器具等により変成し、変成した電気を構外に送る。
(2)送電線路で短絡や地絡事故が発生したとき、保護継電器により事故を検出し、遮断器にて事故回線を系統から切り離し、事故の波及を防ぐ。
(3)送変電設備の局部的な過負荷運転を避けるため、開閉装置により系統切換を行って電力潮流を調整する。
(4)無効電力調整のため、重負荷時には分路リアクトルを投入し、軽負荷時には電力用コンデンサを投入して、電圧をほぼ一定に保持する。
(5)負荷変化に伴う供給電圧の変化時に、負荷時タップ切換変圧器等により電圧を調整する。

2009年(平成21年)問6 過去問解説

通常、重負荷時は遅れ力率となるので、電力コンデンサで力率を改善します。軽負荷時は分路リアクトルを投入して無効電力を調整します。

答え(4)

2010年(平成22年)問7

大容量発電所の主変圧器の結線を一次側三角形、二次側星型とするのは、二次側の線間電圧は相電圧の( ア )倍、線電流は相電流の( イ )倍であるため、変圧比を大きくすることができ、( ウ )に適するからである。また、一次側の結線が三角形であるから、( エ )電流は巻線内を環流するので二次側への影響がなくなるため、通信障害を抑制できる。
一次側を三角形、二次側を星型に接続した主変圧器の一次電圧と二次電圧の位相差は、( オ )[rad]である。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる語句、式又は数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

2010年問7

2010年(平成22年)問7 過去問解説

大容量発電所の主変圧器の結線を一次側三角形、二次側星型とするのは、二次側の線間電圧は相電圧の( √3 )倍、線電流は相電流の( 1 )倍であるため、変圧比を大きくすることができ、( 昇圧 )に適するからである。また、一次側の結線が三角形であるから、( 第3調波 )電流は巻線内を環流するので二次側への影響がなくなるため、通信障害を抑制できる。
一次側を三角形、二次側を星型に接続した主変圧器の一次電圧と二次電圧の位相差は、( π/6 )[rad]である。

答え(1)

2013年(平成25年)問6

変圧器の結線方式として用いられるY-Y-Δ結線に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 高電圧大容量変電所の主変圧器の結線として広く用いられている。
(2) 一次若しくは二次の巻線の中性点を接地することができない。
(3) 一次-二次間の位相変位がないため、一次-二次間を同位相とする必要がある場合に用いる。
(4) Δ結線がないと、誘導起電力は励磁電流による第三調波成分を含むひずみ波形となる。
(5) Δ結線は、三次回路として用いられ、調相設備の接続用、又は、所内電源用として使用することができる。

2013年(平成25年)問6 過去問解説

一次と二次はY結線ですので、中性点接地が可能です。三次はΔ結線なので中性点接地はできません。

答え(2)

2017年(平成29年)問7

次の文章は、変圧器のY‐Y結線方式の特徴に関する記述である。
一般に、変圧器のY‐Y結線は、一次、二次側の中性点を接地でき、1線地絡などの故障に伴い発生する( ア )の抑制、電線路及び機器の絶縁レベルの低減、地絡故障時の( イ )の確実な動作による電線路や機器の保護等、多くの利点がある。
一方、相電圧は( ウ )を含むひずみ波形となるため、中性点を接地すると、( ウ )電流が線路の静電容量を介して大地に流れることから、通信線への( エ )障害の原因となる等の欠点がある。このため、( オ )による三次巻線を設けて、これらの欠点を解消する必要がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1) 異常電流 避雷器 第二調波 静電誘導 Δ結線
(2) 異常電圧 保護リレー 第三調波 電磁誘導 Y結線
(3) 異常電圧 保護リレー 第三調波 電磁誘導 Δ結線
(4) 異常電圧 避雷器 第三調波 電磁誘導 Δ結線
(5) 異常電流 保護リレー 第二調波 静電誘導 Y結線

2017年(平成29年)問7 過去問解説

一般に、変圧器のY‐Y結線は、一次、二次側の中性点を接地でき、1線地絡などの故障に伴い発生する( 異常電圧 )の抑制、電線路及び機器の絶縁レベルの低減、地絡故障時の( 保護リレー )の確実な動作による電線路や機器の保護等、多くの利点がある。
一方、相電圧は( 第三調波 )を含むひずみ波形となるため、中性点を接地すると、( 第三調波 )電流が線路の静電容量を介して大地に流れることから、通信線への( 電磁誘導 )障害の原因となる等の欠点がある。このため、( Δ結線 )による三次巻線を設けて、これらの欠点を解消する必要がある。

答え(3)

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電力 電験3種
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