PLCに入力機器を接続する方法

PLCシーケンス

PLC(プログラマブルロジックコントローラー)の入力仕様について説明します。PLCの入力には「シンクタイプ 」と「ソースタイプ」があり、その違いについてや入力端子にスイッチやセンサなど外部からの入力信号機器を接続する方法などについて詳しく説明しています。

PLCの入力仕様(シンクタイプとソースタイプ)

 PLCでスイッチやセンサから信号を取り込むには、入力端子に外部機器を接続します。入力端子には、AC入力タイプとDC入力タイプがあります。また、DC入力タイプには、マイナスコモンとプラスコモンのものがあります。

 DC入力タイプのマイナスコモンタイプのものを「シンクタイプ 」ともいいます。また、プラスコモンタイプのものを「ソースタイプ」ともいいます。

シンク・ソース
シンクタイプとソースタイプ

 次の図は、プラスコモンタイプの入力ユニットに、いくつかの外部機器を接続した例です。コモン端子(COM)には、外部電源(DC24V)のプラス側を接続します。入力端子には、外部機器の信号線を接続します。入力端子には0から順に入力番号が割り振られています。この番号が、入力リレー番号に対応します。

ソースタイプの入力ユニット
ソースタイプの入力ユニット

各種方式の入力信号を接続する方法

有接点信号との接続

 リレー接点や押しボタンスイッチなどのON/OFF信号は、プラスマイナスの極性を持たない信号です。これらのような無極性の有接点信号をPLCに入力する場合は、PLCの入力インターフェースにある発光ダイオード(フォトカプラ)の向きに合わせて、電源の極性を決めます。

 PLCの入力インターフェースにある発光ダイオードをONにすると入力リレーがONになります。この発光ダイオードを点灯させるために、電源が必要になります。この電源は、DC12~24Vの直流電圧が主流で、外部電源もしくは内蔵電源を入力端子とCOM間に印加します。

 尚、LEDや保護用ダイオード付きの有接点信号をPLCに取り込む場合は、接点自身に極性や電圧の指定があるものがありますので、選定には注意が必要です。また、入力インターフェースが双方向性のタイプもあります。双方向性タイプでは、極性を気にしなくても大丈夫です。

シンク入力配線とソース入力配線
シンク入力配線とソース入力配線

無接点信号との接続

 半導体素子のトランジスタを使用して接点を出力する方法があります。この接点出力は、スイッチ部に相当するような実接点がないことから無接点出力と呼ばれています。また、トランジスタを使用した出力をオープンコレクタ出力ともいいます。

 トランジスタはベース、コレクタ、エミッタと呼ばれる3端子で構成されており、ベースに電流を流すことでコレクタ、エミッタ間に電流が流れ、ベースに電流が流れていないときはコレクタ、エミッタ間がオープン状態になる特性を持っています。この特性を利用してトランジスタのベースへの電流を制御することでスイッチとして使用している出力がオープンコレクタ出力です。

トランジスタ
トランジスタ

 PLCとオープンコレクタ出力機器とを接続するときは、PLCの入力タイプとトランジスタ出力のタイプを合わせなければなりません。トランジスタ出力のタイプとしては、PNPトランジスタ出力タイプとNPNトランジスタ出力タイプの2種類があります。この2つのタイプの違いは、負荷を接続する位置が異なることです。

 NPNトランジスタ出力タイプは接続先の回路において、電源のプラスとセンサからの出力間に負荷を接続する場合に用いられます。負荷をPLCの入力端子に見立てると、マイナス側(0V) を共通線(コモン)に利用できることがわかります。つまり、PLCのマイナスコモンタイプ(シンクタイプ)と接続します。

 PNPトランジスタ出力タイプは接続先の回路において、センサからの出力と電源のマイナス(0V)間に負荷を接続する場合に用いられます。負荷をPLCの入力端子に見立てると、プラス側を共通線(コモン)に利用できることがわかります。つまり、PLCのプラスコモンタイプ(ソースタイプ)と接続します。

トランジスタ出力タイプとシンクソースタイプの結線
トランジスタ出力タイプとシンクソースタイプの結線

 無接点信号がPNPトランジスタタイプとNPNトランジスタタイプでは、接続方法が違いますので、同じPLC入力ユニットに混在して配線することができません。日本で使われているセンサなどの無接点信号は、NPNトランジスタ型のものが大半です。つまり、マイナスコモンタイプ(シンクタイプ)のPLC入力ユニットと接続するのが一般的です。

IC出力信号との接続

 トランジスタやダイオード、コンデンサなどを一つのパッケージとした集積回路(IC)といいます。デジタルICを半導体的構造や電気的特性から分類すると、CMOSタイプとTTLタイプに分類することができます。CMOSは、中身がnチャンネルとpチャンネルのMOS-FETを組み合わせて作られているデジタルICです。TTLは、中身がバイポーラトランジスタで作られているデジタルICです。

 CMOSやTTLなどのICからの出力信号は3.3V系や5V系が一般的です。この出力信号をPLC入力ユニットで受け取るには、DC5V入力タイプの入力ユニットで受け取ることができます。ただし、実際に機器を接続する場合は、他のセンサー類と混在して配線することが多いので、一般的にはインターフェースを介して、CMOSやTTLなどのIC出力信号を増幅し、DC24V系の入力ユニットに接続しています。

アナログ計装信号との接続

 温度や圧力、ポテンションメーターなどのアナログ計装信号は、変換器を通して出力がON/OFFの信号ではなく、DC1-5VやDC4-20mAのように、電圧や電流値として出力しています。そのようなアナログ計装信号を、PLC入力ユニットで受け取るには、PLCのアナログ入力ユニットを使って接続することができます。アナログ入力ユニットはアナログ信号をデジタルデータに数値変換し、PLCへ渡してくれます。

 アナログ入力ユニットを使わずに、計装信号をON-OFF信号に変換するコンパレータ―を使う方法もあります。コンパレータ―は比較演算器のことで、入力されたアナログ信号を大小で比較し、ON/OFF信号に変換してくれます。ただし、コンパレーターを使うと、元の数値がON/OFFの2数値になってしまいます。ON/OFF信号を元のデーターに変換してヒストリカルデータとして取り出したい場合や、他のデータと比較したりするのには、不向きです。

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