電動機の許容温度と温度測定方法【電気設備】

電気設備

これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「電動機の許容温度と温度測定方法」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。

電動機の絶縁の種類

電動機を運転すると、巻線に生ずる銅損および鉄心中に生ずる鉄損により、内部から熱を発生して温度が上昇し、この熱により絶縁物が劣化します。したがって、電動機には許される最高使用温度が決められており、その温度にみあった絶縁材料が使用されています。

電動機の絶縁の種類については、JIS C 4003(電気機器絶縁の種類)に規定されており、その構成絶縁材料の耐熱特性によって、第1表のように区分されています。一般に、市販されている汎用電動機は、E種絶縁を施してあります。

電動機の温度上昇限度

電動機は絶縁の種類によって、その許容最高温度が定められていることから、電動機各部分の温度上昇の限度についても、規定されています。JIS4004(回転電気機械通則)によれば、電動機を定格負荷状態で運転したときの温度上昇は、第2表の限度以内でなければならないとされています。

温度上昇とは、電動機各部分の測定温度と基準周囲温度との差をいい、絶縁の許容最高温度より、いくらか低く定められています。この理由は、温度計法はもとより、抵抗法でも巻線の平均温度上昇を測定しているので、電動機内部の測定困難な個所には、これより高い温度のところがあると想定しているからです。この場合、基準周囲温度は40℃ と規定されています。

許容最高温度とは、この温度に達すると、すぐに電動機が焼損してしまうというのではなく、これ以上の温度が長く続くと、電動機つまり、絶縁材料の寿命が短くなるということです。実際の電動機の使用状況では、周囲温度も変化し、負荷にも変動があるので、各部分の温度が常に許容最高温度にあるとは限らないので、長年の経験から、普通の使用状況で適当な寿命が期待できる温度として定められています。

電動機各部の温度測定法

電動機各部の温度の測定方法には、温度計法・抵抗法・埋込温度計法と三つの方法がある.

温度計法による温度測定法

温度計法とは、測定箇所に直接温度計を取り付けて温度を測定する一般的な方法です。温度計としてはアルコール温度計や水銀温度計などの棒状温度計、熱電温度計や放射温度計などが用いられます(第1図)。温度計法による温度上昇値の方が、抵抗法より低い値に規定されているのは、温度計法では温度を電動機外部から測定するためです。

温度計法
第1図 温度計法

抵抗法による温度測定方法

抵抗法とは、電動機巻線の温度による抵抗の増加を測定して、巻線の温度上昇を次式によって算出する方法をいいます(第2図)。

抵抗法による温度測定
第2図 抵抗法による温度測定

温度上昇$=t_2-t_1=\displaystyle\frac{R_2-R_1}{R_1}(234.5+t_1)$〔℃〕
$t_1$:試験最初における巻線温度〔℃〕
$t_2$:試験直後における巻線温度〔℃〕
$R_1$:$t_1$における巻線抵抗〔Ω〕
$R_2$:$t_2$における巻線抵抗〔Ω〕

電動機巻線の抵抗を測定するには、直読式の抵抗計を用いるとよいです。電動機巻線がY結線の場合は、順次2端子間を、△結線の場合は2線間を一括し、他の1端子との間の抵抗を順次に測定し、これを $R_{uv}$ , $R_{vw}$ , $R_{wu}$ として、次の計算を行います。

Y結線の場合

$R_u=\displaystyle\frac{R_{uv}-R_{vw}+R_{wu}}{2}$

$R_v=\displaystyle\frac{R_{uv}+R_{vw}-R_{wu}}{2}$

$R_w=\displaystyle\frac{-R_{uv}+R_{vw}+R_{wu}}{2}$

Δ結線の場合

$R_u=\displaystyle\frac{2R_{uv}R_{vw}R_{wu}}{R_{vw}(R_{uv}+R_{wu})-R_{uv}R_{wu}}$

$R_v=\displaystyle\frac{2R_{uv}R_{vw}R_{wu}}{R_{wu}(R_{uv}+R_{vw})-R_{uv}R_{vw}}$

$R_w=\displaystyle\frac{2R_{uv}R_{vw}R_{wu}}{R_{uv}(R_{wu}+R_{vw})-R_{wu}R_{vw}}$

電動機の温度を触手で調べる方法

電動機のフレームあるいは軸受の温度を触手により測温するときは、不用意に手を当てると非常に熱いため、ビックリして手を放したとき、周囲の回転物や充電部に触れないよう注意する必要があります。素手といっても、人によって差異がありますが、 一般的な感度と温度の目安を示します。

温度触手した感じ備考
30℃やや冷たい人の体温が36.5℃前後なので,やや冷たく感じる
40℃ややあたたかい手は体全体に対し,鈍感に温度を感じる
50℃やや熱いじっと触れていられるが,手が赤くなる
60℃熱い3~ 5秒ぐらい手を触れていられる
70℃非常に熱い人差指で約3秒ぐらい触れていられる
80℃非常に熱い人差指で約1秒くらい触れていられる
90℃非常に熱い触れた瞬間,反射的に手が放れる
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