電線・ケーブルの特徴と用途【電気設備】

電気設備

これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「電線・ケーブルの特徴と用途」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。

電線

電線の導電材料は、導電率の大きいこと、機械的強度の大きいこと、価格が安いことなどの条件を有していることが必要です。この条件を具備しているものに軟銅線、硬銅線、アルミ線があります。硬銅線(抵抗率1/55 Ω・㎟/m)は架空電線などのように、大きな張力を必要とするものに使われ、一般の内線工事には軟銅線 (抵抗率1/58 Ω・㎟/m)が多く使われています。最近ではアルミ導体(抵抗率1/35Ω・㎟/m)を使用するものが増加する傾向にあります。

なお、住宅やビル、工場などの屋内に施設される電線は、感電や漏電による火災を防止するため、一般に絶縁物により被覆された絶縁電線が用いられ、特別の場合を除き裸電線の使用は禁じられています。

内線工事に使われる絶縁電線(ケーブル)

絶縁電線やケーブルには絶縁物あるいは外装の種類、構造等によりいろいろのものがありますが、施設場所の環境(温度,湿気,腐食性ガスの有無,外圧あるいは外傷を受け易い場所か,等)、工事方法(金属管工事,ケーブルエ事,地下埋設工事等)、電圧の高低、使用方法(移動用,仮設用,固定用など)などにより、使いわけられています。

絶縁電線

低圧回路の配線に使われる絶縁電線には、絶縁被覆の種類(ビニル,ポリエチレン,ゴムなど)によりいろいろのものがあります。このうち、600Vビニル絶縁電線(IV電線)は配線に最も使われ、第1図に示すように単線あるいは、より線の心線に塩化ビニル樹脂を被覆したものですが、高温になるとビニルは軟化する欠点がありますので、導体温度が60℃以上になるおそれのある場合は、絶縁物に耐熱ビニル(最高許容温度75 ℃)や架橋ポリエチレン(90℃)、ふっ素樹脂(200℃)なでを用いた絶縁電線が使用されています。

第1図

ケーブル

ケーブルは、絶縁電線よりもさらに絶縁を強化し、これを金属あるいは非金属の外被で覆い、電気的にも機械的にも強固にしたものです。絶縁電線は外傷を受け易く、金属管などに収めて施設されますが、ケーブルは、それ自身が絶縁強さと機械的強さとを有していますので、造営材に直接取り付けて施設したり、移動用電気機器の配線などに使用することができます。

非金属外装ケーブル

心線の絶縁および外装 (シース)に、ビニルやクロロプレンなどの非金属を用いたケーブルで、33 kV以下の電圧に広く使われています。このうち、600Vビニル絶縁ビニル外装ケーブル(VVケーブル)は低圧屋内配線に最も多く使用されるもので、第2図に示すように、ビニル絶縁電線2~ 4本をまとめ、その上からビニル混合物の外装を施したものです。

第2図

その他に、絶縁や外装の組合せにより架橋ポリエチレン絶縁ビニル外装ケーブル(CVケーブル)やポリエチレン絶縁ビニル外装ケーブル(EVケーブル)、ブチルゴム絶縁クロロプレン外装ケーブル(BNケーブル)などがありますが、第3図にビル等の低圧幹線によく使われるCVケーブルを示します。

第3図

金属ケーブル

外装に鉛や鋼帯等の金属を用いたものです(地中埋設等の外圧を受ける場合に使用)。

キャブタイヤケーブル

軟銅より線をゴム混合物で絶縁した心線を数本より合わせ、その上にキャブタイヤゴムの外装を施したもので、可とう性(柔軟性)があり、外傷や湿気に強く、移動用電気機器の配線に用いられます(第4図)。

第4図

その他の電線

コード

家庭用電気機械器具等に付属する移動電線として用いられ、十分な可とう性のある各種のコードがあります。

特殊電線

高温になる場所や高熱を発する機器に接続される電線、あるいはネオン管灯回路のように高電圧を使用する部分の電線は、これらに耐えられるような特殊電源が用いられます。第5図にMIケーブル(連続250℃の使用に耐えられる)を示します。

第5図

受配電設備各部の使用電線と施設方法

第6図にビル等の標準的受変電、配電構成を示したます。この電気回路に使われる電線や工事方法などについて説明します。

第6図

高圧引込線、高圧母線、高圧配電線

高圧関係の電線には、高圧用のBNケーブル、EV ケーブル、CVケーブルあるいは鉛被などの金属外装ケーブルなどの電カケーブルが使われ、母線には銅バーを使用する場合もあります。

高圧変圧器二次および動力照明幹線

変圧器二次側やNFB二次側の幹線には、IV線あるいは、低圧用CVケーブルなどのケーブルを金属電線管に収めて配線するか、配線ピットや電線ダクトに収めて配線されます。なお、動力負荷のように変圧器二次低圧母線の電流が大きいものには、電線として銅バーを用い、これを金属ダクトに収めてたバスダクト方式を用いる場合があります。

電動機配線

電動機の配線は、コンクリートに埋込まれた金属電線管に収めて配線される場合が多いですが、その他の場合でも、金属電線管あるいは合成樹脂管(機械的衝撃や外圧をうけるおそれのない場所に使用)に、IV電線、引込用ビニル絶縁電線、あるいはCVケーブル、VVケーブル等を収めて配線し、電動機の接続部分には柔軟性のある可とう電線管に収めて施設されます。

また、天井クレーンなどの移動電気機器には、キャブタイヤケーブルを使用します。

電灯、コンセント配線

分電盤からの立上り部分、コンクリート埋込部分には金属管にIV電線、VVケーブルを収めて施設し、天井でのジョイントボックスから照明器具に至る配線は、VVケーブルをころがして配線する場合が多いです。

なお、非常誘導灯、火災報知器,、あるいは炭酸ガス室、ボイラー室等の消防法の規制をうける部分には、600V耐熱ビニル絶縁電線(HIV電線)等の耐熱電線を使用する必要があります。

低圧屋内配線の使用電線

幹線、分岐線の電線の太さは、その部分を流れる最大負荷電流を安全に流し、この電流が流れたときの電圧降下が、幹線および分岐線で2%以内(100V回路で2V、200V回路で4V)に収まるような太さの電線を選定するとともに、その回路を保護する過電流しゃ断器の定格電流以上の許容電流のものでなければなりません。

また、低圧屋内配線に使用する最低電線太さが、電気設備技術基準に規定されており、制御回路等の電線を除き、直径1.6mmの軟銅線もしくは、これと同等以上の強さと太さのものを使用しなければなりません。

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