三相同期発電機の原理と構造

機械

このページでは、三相同期発電機の原理と構造について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の機械科目で、実際に出題された三相同期発電機の原理と構造の過去問題の解き方も解説しています。

三相同期発電機の原理

図1は、三相同期発電機の原理図です。電機子巻線は電気角で $ \displaystyle\frac{2}{3}π$[rad]ずつへだてて巻いた三相巻線で、磁極は外部の直流電源からブラシとスリップリングを通して励磁されています。

三相同期発電機の原理図
図1 三相同期発電機の原理図

対称三相起電力の発生

原動機によって、磁極を図1(a)の矢印の向きに回転させると、図(b)に示すように各相に $e_a,e_b,e_c$ の起電力が誘導され、対称三相起電力が発生します。

同期速度

極数が $p$ の同期発電機の同期速度 $n_s$[min-1]は、周波数を $f$[Hz]とするとき、三相誘導電動機の回転磁界の回転速度と等しく、次の式で表すことができます。

$n_s=\displaystyle\frac{120f}{p}$ … (1)

式(1)から、極数 $p$ の交流発電機で一定周波数 $f$[Hz]の交流を発生させるには、式(1)の同期速度 $n_s$ [min-1]で交流発電機を回転させる必要があります。このような発電機を同期発電機といいます。

回転界磁形

同期発電機は、ごく小型のものを除き、図2のように電機子巻線は固定子に設け、絶縁が容易で大きな電流が取り出せるようになっています。一方、界磁巻線は回転子に設け、スリップリングを通して直流の励磁電流が供給されます。このように、磁極が回転している発電機を回転界磁形同期発電機といいます。

回転界磁形
図2 回転界磁形

起電力の大きさ

同期発電機の起電力の大きさは、直流発電機の起電力と同じく、界磁磁束の回転による周速度を $u$[m/s]、磁束密度の瞬時値を $B$[T]、導体の長さを $l$[m]とすると、導体1本に生ずる起電力の瞬時値 $e$[V]は、次の式で表すことができます。

$e=Blu$ … (2)

図3に示すように、磁束密度が $B=B_msinωt$[T]、極ピッチ が $τ$[m]であるとすると、磁界の周速度 $u$ は $2τ$ となり、その導体に誘導される誘導起電力の周波数は 1Hz であるから、$f$[Hz]に対しては、$u=2τf$[m/s]の周速度を必要とします。したがって、誘導起電力の瞬時値 $e$[V]は、$e=2τflsin ωt$ となります。ここで、$2τflB_m=E_{1m}$[V]とおくと、次のようになります。

誘導起電力の波形
図3 誘導起電力の波形

$e=E_{1m}sin ωt$ … (3)

式(3)から磁束密度の分布が正弦波であれば、1本の導体に生ずる起電力も正弦波となることがわかります。次に、起電力の実効値を $E_1$[V]とすると、

$E_1=\displaystyle\frac{E_{1m}}{\sqrt{2}}=\displaystyle\frac{2}{\sqrt{2}}τflB_m$

磁束密度の平均値を $B_a$[T]とすると、$B_a=\displaystyle\frac{2}{π}B_m$ ですので、 極の磁束 $ϕ$[Wb]は、$ϕ=B_aτl=\displaystyle\frac{2}{π}B_mτl$ となり、$E_1$[V]は、次のようになります。

$E_1=\displaystyle\frac{π}{\sqrt{2}}fϕ=2.22fϕ$

電機子巻線法には、図4のように全節巻と短節巻とがあります。また、1相のコイルを一つの溝に集中させる集中巻と、いくつかの溝に分けて配置する分布巻とがあります。図4のように、 1回巻きのコイル辺は二つあるので、巻線の端子に誘導される起電力は1本の導体の2倍、すなわち $2E_1$ となります。

全節巻と短節巻
図4 全節巻と短節巻

1相当たりの直列に接続されている巻線の巻数を $w$ とすれば、1相当たりの誘導起電力 $E$[V]は、次のようになります。

$E=2wE_1=4.44fϕw$ … (4)

式(4)で表される誘導起電力の大きさは、各極各相のスロットが一つの場合ですが、実際の発電機では図4のような各極各相のコイルは二つ以上のスロットに分けて巻く方法が使われています。そのため、1相の誘導起電力の実効値は式(4)よりも減少して、

$E=4.44k_wfϕw$ … (5)

となります。ここで、$k_w$ は巻線係数です。

なお、図(b)の短節巻の分布巻は、誘導起電力は低くなりますが、コイル端を短くでき、電圧波形が改善できるなどの利点があるため、 よく用いられます。

三相同期発電機の構造

一般に、回転機械の構成は,大きく分けると、回転子(回転する部分)と固定子(静止している部分)とになります。図5(a)は、回転界磁形同期発電機の固定子の断面の一部です。

電機子巻線
図5 電機子巻線

電機子巻線

あらかじめ巻枠に絶縁銅線を巻いて絶縁処理をしたコイルを型巻コイルといいます。このコイルを固定子のスロットに収めるとき、二層巻にしています。図5(b)は、 4極分布短節二層巻の例です。

一般に、発電機の端子電圧は、各巻線の直列回路の合成電圧です。これを大きくするには、それに応じた絶縁材料を用いる必要があり、一般に、20000Vが限度とされています。

電機子鉄心

電機子鉄心は、電機子巻線を保持し、図6に示すように、磁束の通路の役目をもっています。鉄心の材料はヒステリシス損を少なくするため、電磁鋼板が用いられています。また、渦電流損を少なくするため、厚さ0.35~ 0.5mmの薄い鉄心を必要な厚さに積み重ねた積層鉄心が、固定子枠に組み込まれて用いられています。

磁極による磁束分布
図6 磁極による磁束分布

回転子

回転子は、図6,7に示すように、回転軸・継鉄・磁極などからできています。回転軸と継鉄はスパイダで連結され、継鉄と磁極はボルト締め、またはくさび止めで取り付けられています。磁極は、磁極鉄心と界磁巻線からできています。磁極鉄心は、電機子鉄心に比べて少し厚い、厚さ1.6~3.2mmの電磁鋼板を積み重ねたものが用いられています。界磁巻線は、丸銅線または平角銅線が用いられています。

回転子
図7 回転子


機械電験3種
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