指示計器の構成【電気・電子計測】

計測

指示計器は次の六つの要素から構成されています。「駆動装置」「制御装置」「制動装置」「支持装置」「読取り装置」「外箱など」。特に駆動装置、制御装置、制動装置を指示計器の3要素といいいます。 このページでは、初心者の方でもわかりやすいように、指示計器の構成についてやさしく解説しています。

駆動装置

駆動装置は測定量に応じて駆動トルクを発生させ、可動部を変位させる装置です。これは、磁極の反発力や電荷間の力を利用するものなど種々の方法があります。

図1(a)は可動鉄片形計器と呼ばれるもので、コイルに電流を流すと磁界が発生し、鉄片を磁化します。磁化された鉄片の磁極間に反発力が生じ、指針を回転させます。

図1

制御装置

可動部の変位に応じて、これを零位置にもどそうとする制御トルクを発生させ、可動部の変位を測定量に応じて制御する装置です。図2に示すような、うず巻ばねやトートバンドなどが用いられています。

ばね材料は非磁性体で、弾性が強く疲労の少ないものが使われます。また、可動部への電流通路となりますので、抵抗の少ない、リン青銅や白金ニッケルなどが用いられています。

図2

制動装置

可動部に適当な制動トルクを与え、振動を抑えて指示の読み取りを容易にする装置です。これには、空気制動、電磁制動、うず電流制動などがあります。

空気制動

図1に示したような羽根が移動するときの空気抵抗を利用するもので、制動トルクは回転速度に比例します。制動トルクの係数は、羽根の大きさなどによって決まります。

電磁制動

図3に示すように、磁界内でコイルが回転すると誘導電流が流れ、磁界との間に力が生じます。この力はコイルの運動を妨げる向きに働き、制動トルクとなります。

図3

うず電流制動

図4に示すように軸に取り付けられた制動板が、磁界の中で回転すると、うず電流が発生し、磁界との間に力が生じます。この力は制動板の動きを妨げる向きに働き、制動トルクとなります。

図4

支持装置

可動部を支持する装置で、代表的なものとして、ピボット支持方式とトートバンド支持方式があります。

トートバンド支持方式は、 トートバンドで可動部を支持するので摩擦がなく、高感度の計器ができます、また、衝撃や振動に強い計器をつくることもできます。

図5

読取り装置

読み取り装置は、指針と目盛り板からなります。

指針

指針は使用目的によって形状が異なり、精密測定用には刃形指針を、配電盤用には、遠方から読み取れるように槍形指針を用います。指針にはジュラルミンのような軽くてじょうぶな素材を用い、おもりで平衡をとって、計器の姿勢の影響を受けにくくしています。

目盛板

目盛板にはアルミニウム板などが用いられ、正確に読み取るためのいろいろな工夫がされています。目盛は、駆動装置と制御装置の組み合わせによって、平等目盛や不平等目盛があります。一般には平等目盛が読みやすく望ましいですが、抵抗計などの測定範囲の広い計器には対数日盛(テスターの抵抗目盛など)も用いられています。目盛板には階級や動作原理、使用回路などが表示されています。

外箱

携帯用容器には合成樹脂のものが広く用いられ、配電盤用にはシールド効果のある鉄製のものが用いられています。

指示計器の機械的良度

計器は機械的にも優れていなければなりません。運搬などによって損傷を受けると、摩擦が増し、駆動トルクの小さい計器ほど誤差は大きくなります。このことから、(90°の振れを生ずるに要する駆動トルク)/(可動部の摩擦トルク)のが大きいほど、機械的に優れていると考えられています。

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