検電器の構造と使い方【電気・電子計測】

計測

このページでは「検電器の構造と使い方」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気計測の基礎知識を解説しています。

検電器とは?

検電器は,回路電圧が加わっているか,いないかを知るための機器です。したがって,電圧の大きさを知ることはできませんが,使い方が簡単で,速やかにチェックできますから,設備を保全する際に回路の電圧を確認し,安全な作業ができるかどうかを調べたり,装置を運転する際に各配線に電圧が加わっているかどうかなどを調べるために使います。

検電器は一般的には交流低圧用(照明,電動機用) の検電器が使用され,常時ポケットに携帯して安全な作業を行うため照明や電動機負荷の配線機器点検のとき用いるものです。取り扱い区分としては,交流低圧用,高圧用,特別高圧用など電圧に応じたものを使用しなければなりません。

検電器を点検電圧と検出原理で区分すると,次のようになります。

点検電圧による区分

  1. 低圧用
  2. 高圧用
  3. 高低圧両用

検出原理による区分

動作原理によって種々のものがありますが、一般的に用いられているのは,ネオン管の放電による発光により電気がきているか否かを確かめます。測定器がこわれていたりして電気が洩れると人命にかかわることもあり,信頼のおけるものを使用しなければなりません。ネオン管式では明るいところではやや見にくいということもあり,ネオン管が点滅したり音を出したりして電気がきているのを知らすものがあります。

  1. 発光式(ランプ式)
    電圧が加わっている場合,ランプを点灯させる方式です。この方式では,ネオンランプを使うものが多いのですが,ネオンランプは,低い電圧では発光しませんから,AC100〔V〕以上のやや高い電圧の 点検に使います。ネオン管式検電器を内蔵したねじ回しを便利に使っている人もいます。
     
  2. 発音式(ブザー式)
    電圧が加わっている場合,音を出す方式です。この方式では,検出できる電圧をかなり幅広くできますので,低圧用や高低圧両用の検電器を作ることができます。この方式の利便性は,検電器自体を見なくても音で確認できますから,チェックに要する時間を短くできる利点があります。
     
  3. 発光・発音両用式
    この方式は,電圧を検出した際に,ランプを点灯させるとともに音も出すようにしたものです。

図1は,低圧用検電器の動作原理の例です。この例では,電路で検出した電流は,高抵抗Rを通り導電性キャップから流れていきます。導電性キャップを通つて流れる電流経路は,直接,接地してもよいのですが,測定者の体を通して流す方式は離れた場所を移動して測定するのに便利なので,一般的です。

図1

使用上の注意事項

検電器は,検出するときに流れる電流を測定者の体を通じて流す方式が多いので,回路電圧に適合した検電器を使いませんと,感電の恐れがあって非常に危険です(その検電器の検出電圧範囲内では,人体を流れる検出電流は,高抵抗で制限されており,危険のないように作られています)。尚、手や検電器がぬれているときは,感電の恐れがありますから,使わないでください。

人体に電流を流して電圧を検出する場合,握り部に手を触れないと検出できません。しかし,電圧検出端子に直接触れると感電しますから,絶対に触れてはいけません。

  1. 低圧回路(照明,電動機など電圧100Vあるいは200V)には定格電圧に応じたものを使用する。 低圧用の検電器を高圧用(3000V以上)に用いて大けがをした例などもある。
  2. 使用する前に他の電気がきているところでテストして正常であることを確認する。
  3. 単相配線(照明100V)で接地されている1線,三相配線(電動機200V)で接地されている1線 (3線の内1線)は検電器では点灯しないのでよく知っておくこと。
  4. 電動機を遠方操作で運転するため配管内に数多くの配線がある場合で,その内の何本かに電気がきているような場合,電磁誘導作用で電圧を誘導しており検電器に電気がきているが,ネオン管の発光が少し弱いので注意を要する。
  5. 絶縁台(ゴム板,乾燥した木台)の上にのって測定した場合発光が弱いか,または発光しないことがある。
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