このページでは、照明工学の基礎知識について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の機械科目で、実際に出題された照明工学の基礎知識の過去問題の解き方も解説しています。
放射量と測光量
放射とは、電磁波や光子によってエネルギーが放出または伝達される現象です。単位時間にある面を通過する放射エネルギーの量を放射束 $P$ といい、単位はワット[W]で表します。放射束から導き出される量を放射量といい、放射照度,放射輝度,放射強度などがあります。
放射束を標準視界度に基づいて評価した量を光束 $ϕ$ といい、単位はルーメン[lm]で表します。光束から導き出される量を測光量といい、照度,光度,輝度などがあります。
放射量 | 測光量 |
放射束 $P$[W:ワット] ある領域に単位時間当たりに放射する光のエネルギー | 光束 $ϕ$[lm:ルーメン] ある領域に単位時間当たりに放射する光のエネルギー。放射束に標準比視感度を乗じて可視光波長領域で積分したもの |
放射照度 $E$[W/m2] 単位面積当たりに放射する光の放射束 | 照度 $E$[lx:ルックス]=[lm/m2] 単位面積当たりに放射する光の光束 |
放射強度 $I$[W/sr] 単位立体角当たりに放射する光の放射束 | 光度 $I$[cd:カンデラ]=[lm/sr] 単位立体角当たりに放射する光の光束 |
放射輝度 $L$[W/sr・m2] 光の放射方向から見た単位発光面積から単位立体角当たりに放射する光の放射束 | 輝度 $L$[nit:ニット]=[cd/m2]=[lm/sr・m2] 光の放射方向から見た単位発光面積から単位立体角当たりに放射する光の光束 |
可視光線と視感度
可視光線とは、眼に入って明るさや色を感じさせる放射のことで、一般的には光のことです。放射とは、電磁波や粒子の形によって伝わるエネルギーのことです。放射はその波長によって電波,赤外線,光,紫外線、ガンマ線などに区分され、それぞれ特有の性質を持っています。
光の波長範囲は 380~760[nm:ナノメートル]ですが、さらに眼は波長のわずかな相違によって種々の色を感じます。図は波長と放射の関係を示したものです。
視感度
光に対する目の感度を視感度といいます。視感度は波長によって異なり、波長 $λ$ が 555[nm]で最も強くなります。このときを基準にして、相対的に表された視感度を比視感度と言います。なお、波長 $λ=555$[nm]の放射束 $P=1$[W]は、光束 $ϕ=683$[lm]に相当します。
熱放射とルミネセンス
放射を発生させるには、それぞれの波長に応じた方法がありますが、光を発生させるには熱放射(温度放射)によるものと、ルミネセンスによるものの2種類の方法があります。照明器具が発光するのは、これらの方法による可視光の波長(380~760nm)の放射を利用しています。
熱放射は、熱せられた物質が内部エネルギーを電磁波の形で放出する現象です。 温度放射、熱輻射、放射伝熱ともいいます。 低温では赤外線が放射され、高温になると明るく感じられる可視光が含まれるようになります。
熱放射以外の発光を総称してルミネセンスといいます。ルミネセンスは、物体が電磁波や光,電子などのエネルギーを吸収して、放射エネルギーを放射する現象のことです。 ルミネセンスを生じさせるには何らかの刺激を与える必要があります。
- 熱放射
物体を高温に過熱して発光。 白熱電球(フィラメント),ハロゲン電球など
- ルミネセンス
- 放射ルミネセンス … 紫外線やX線などの照射によって発光。蛍光灯,夜光塗料など
- 電気ルミネセンス … 気体の放電に伴う発光。水銀灯,ナトリウム灯,ネオン管など
- 電界ルミネセンス … 電界の作用による固体の発光。ELランプなど
- 陰極線ルミネセンス … 電子線が物体に衝突したとき発光。ブラウン管,オスログラムなど
- その他ルミネセンス … LED(発光ダイオード)など
白熱電球の種類と特徴
コイル状のタングステンフィラメントに電流を流すことにより高温度にして白熱光を放射する光源です。フィラメントの安定化用に不活性ガスが封入されています。
白熱電球の種類
- 一般照明用電球
ガラス球の内面に自色塗装(シリカなど)したものと、透明のものがあります。封入ガスは窒素とアルゴンの混合ガスが用いられています。
- 反射形電球
ガラス球の内面がアルミニウム蒸着の反射鏡になっている電球で、反射形投光電球とシールドビニム形投光電球とがあります。シールドビーム形には前面レンズに赤外反射膜をつけて、熱線を減少させたものもあります。
- ハロゲン電球
封入ガスとして、微量のよう素,臭素などのハロゲン物質を不活性ガスとともに封入したタングステン電球です。ハロゲン物質による蒸発したタングステンをフィラメントに戻す作用(ハロゲンサイクル)により、管壁の黒化を防止し、電球の寿命や光束維持率を改善しています。
白熱電球の特徴
- 点光源に近く、光の制御が容易。
- 演色性が極めて優れ,暖かい白色光である。
- 点灯が簡単で安定器が不要(電球以外は安定器が必要)。
- 調光が連続的にできる。
- 光束維持率がよい。
- 効率が低く(15~20[lm/W])、寿命が短い。
- 電源電圧の影響を受けやすい(特に寿命)。
- 熱線(赤外線)放射が多い。
蛍光ランプの原理と特徴
蛍光ランプは低圧水銀蒸気の放電によって発生する紫外線が蛍光体を励起して発光する放電ランプです。ガラス管内壁に蛍光体が塗布され、管の両端にあるコイル状のフィラメントに電子放射物質(エミッタ)が塗布されています。管内には少量の水銀とアルゴンガスが封入されています。点灯の際エミッタから発生する大量の熱電子が水銀原子と衝突して紫外線を発生します。紫外線が蛍光体を励起して可視光に変換されます(この現象を放射ルミネセンスといいます)。
周囲温度と光束
蛍光ランプは周囲温度が 25[℃]のとき、発光効率が最大になるように設計されています。したがって、これより高くても低くても光束が低下します。特に寒冷地では点灯後明るくなるまで時間がかかることがあります。
蛍光ランプの特徴
- 効率が高く(40~80[lm/W])、長寿命である。
- 光色の種類が多い。
- ランプは管状で、表面輝度が低くまぶしさが少ない。
- ランプの表面温度が低い。
- 周囲温度の影響を受けやすい。
- 電源周波数の2倍のチラツキが生ずる。
- 安定器を含む点灯回路を必要とする。
高圧水銀ランプの原理と特徴
100~1000[kPa]の水銀蒸気中の放電による放射を利用した光源で、一般に水銀ランプといいます。発光管は石英ガラスの両端に電子放射物質が充填された主電極と点灯を容易にするための補助電極が封止され、その内部に水銀とアルゴンガスが封入されています。補助電極は高抵抗を通じて反対側の主電極に接続されています。外管には構成部品の保護とランプ特性の安定化のため、窒素が封入されています。
種類と特性
種類としては、水銀ランプ(透明形:H形),蛍光水銀ランプ(HF形),安定器内臓形水銀ランプ及びそれらの反射形があります。透明形は水銀特有の青白い光であり、演色性もよくありませんが、蛍光水銀ランプは蛍光体により赤色光が増え、演色性が改善されています。安定器内臓水銀ランプはタングステンフィラメントを発光管と直列に接続して外管内に封止して、安定器の役目もさせるとともにフィラメントの発光も利用しています。電球ソケットにそのまま使用でき、演色性がよいですが、水銀ランプより効率,寿命は劣ります。
高圧水銀ランプの特徴
- ランプの発光部が小形で、光の制御が容易である。
- 大きさ(ワット)の種類が多い(40[W]~20[kW])。
- 寿命が長い。
- 始動,再始動に時間がかかる。
- 演色性が不十分である。
- 調光は段階的のみ可能
メタルハライドランプの原理と特徴
メタルハライドランプは構造的には水銀ランプと似ていますが、発光管内に水銀,アルゴンなどの希ガスのほかに金属ハロゲン化物が封入されています。点灯中はこれらの物質は蒸発して、放電アーク中の金属ハロゲン化物は金属とハロゲンに分解され、金属は高温のアーク内で励起されて、金属特有の光を放射します。発光金属の種類によって、種々の光色が得られます。
一般照明に使用されている発光金属は、ナトリウム(Na),タリウム(Tl),インジウム(In),スカンジウム(Sc),ジスプロシウム(Dy),すず(Sn)などで、これらが数種類組み合わされて投入されています。
メタルハライドランプの特徴
- ランプの発光部が小形で,光の制御が比較的容易である。
- 種々の大きさ(ワット)のものがある(50[W]~2[kW])。
- 種々の光色があり、高演色のものもある。
- 始動,再始動に時間がかかる。
- 点灯時間の経過に伴い光色のばらつきが生じることがある。
- 調光ができない。
高圧ナトリウムランプの原理と特徴
10[kPa]程度のナトリウム蒸気圧中の放電による光を利用したランプです。発光管は透光性多結晶アルミナセラミックスを使用し、その両端に電子放射物質が充填された電極をニオブ金属で封止し、ナトリウムと水銀のアマルガムとキセノンガス(ネオン,アルゴンのものもある)が封入されています。外管内は真空です。
種類と特性
高圧ナトリウムランプのランプ効率は 100~150[lm/W]と、一般照明用光源の中で最も高いです。一般形は色温度 2100[K]で、平均演色評価数 Rα は25と低いです。高圧ナトリウムランプは始動電圧が高いため、始動にはパルス幅 10~100[μs]で 3000[V]程度のパルス電圧を印加する必要があります。
高圧ナトリウムランプの特徴
- 一般照明用光源(近白色光源)の中で総合効率が最も高い(50~120[lm/W])。
- ランプの発光部が小形で,光の制御が比較的容易である。
- 種々の大きさ(ワット)のものがある(35[W]~1[kW])。
- 寿命が長く、光束維持率も優れている。
- 始動,再始動に時間がかかる。他のHIDランプより短い。
- 一般形の光色は黄白色で、演色性は低い。高演色形もある。
- 電源電圧変動による光束の変化が大きい。
- 調光は段階的のみ可能。
低圧ナトリウムランプ
0.5[Pa]程度のナトリウム蒸気圧中の放電による光を利用したランプです。ランプ効率は最も高いのですが(180[lm/W])、橙黄色(波長 589[nm])の単色光のため演色生は極めて悪く、色の判別は不可能です。したがって一般照明用には使用されず、トンネル照明などに使用されるにすぎません。
電験三種-機械(照明)過去問
1998年(平成10年)問6
蛍光ランプに関する次の記述のうち、誤っているのはちどれか。
- 蛍光ランプの発光原理は、ホトルミセンスである。
- 蛍光ランプの寿命は、電圧が定格値より高くなると短くなり、定格値より低くなると長くなる。
- 3波長形蛍光ランプは、効率と演色性を改善したランプである。
- 蛍光ランプ表面の輝度は低い。
- 一般に発光効率は、周囲温度の影響を受ける。
1998年(平成10年)問6 過去問解説
蛍光ランプは供給電圧が定格電圧より高くなっても、低くなっても寿命は短くなります。したがって(2)の記述が誤りです。
答え (2)
2001年(平成13年)問10
コンパクト形蛍光ランプは、ガラス管を折り曲げ、接合などして発光管をコンパクトな形状に仕上げた( ア )の蛍光ランプである。コンパクト形蛍光ランプの発光管は、一般の直管形蛍光ランプに比べて管径が細く、輝度は( イ )。コンパクト形蛍光ランプでは、発光管内の水銀の( ウ )を最適な状態に維持するために水銀をアマルガムの状態で封入してある。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に記入する字句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 片口金 | 高い | 温度 |
(2) | 片口金 | 低い | 蒸気圧 |
(3) | 両口金 | 高い | 蒸気圧 |
(4) | 片口金 | 高い | 蒸気圧 |
(5) | 両口金 | 低い | 温度 |
2001年(平成13年)問10 過去問解説
コンパクト形蛍光ランプは、ガラス管を折り曲げ、接合などして発光管をコンパクトな形状に仕上げた( 片口金 )の蛍光ランプである。コンパクト形蛍光ランプの発光管は、一般の直管形蛍光ランプに比べて管径が細く、輝度は( 高い )。コンパクト形蛍光ランプでは、発光管内の水銀の( 蒸気圧 )を最適な状態に維持するために水銀をアマルガムの状態で封入してある。
蛍光ランプの一種のコンパクト形蛍光ランプは、蛍光ランプをコンパクトな形状にしたもので、直管蛍光灯に比べて管径が小さく、輝度が高いのが特徴です。また、管内の水銀の蒸気圧を維持するため、水銀をアマルガムの状態で封入しています。
答え (4)
2004年(平成16年)問11
発光現象に関する記述として、正しいのは次のうちどれか。
- タングステン電球からの放射は、線スペクトルである。
- ルミネセンスとは黒体からの放射をいう。
- 低圧ナトリウムランプは、放射の波長が最大視感度に近く、その発光効率は蛍光ランプに比べて低い。
- 可視放射(可視光)に比べ、紫外放射(紫外線)は長波長の、また、赤外放射(赤外線)は短波長の電磁波である。
- 蛍光ランプでは、管の内部で発生した紫外放射(紫外線)を、管の内壁の蛍光物質にあてることによって、可視放射(可視光)を発生させている。
2004年(平成16年)問11 過去問解説
- タングステン電球からの放射は、物が燃焼して発生する光なので線スペクトルでありません。
- ルミネセンスは、物体が電磁波や光,電子などのエネルギーを吸収して、放射エネルギーを放射する現象のことです。
- 低圧ナトリウムランプは蛍光ランプに比べると発光効率はよい。
- 紫外線は可視光線より波長が短く、赤外線は紫外線より波長は長くなります。
- 正しい記述です。
答え (5)
2005年(平成17年)問11
蛍光ランプの始動方式の一つである予熱始動方式には、電流安定用のチョークコイルと点灯管より構成されているものがある。点灯管には管内にバイメタルスイッチと( ア )を封入した放電管式のものが広く利用されてきている。点灯管は蛍光ランプのフィラメントを通してランプと並列に接続されていて、点灯回路に電源を投入すると、点灯管内で( イ )が起こり放電による熱によってスイッチが閉じ、蛍光ランプのフィラメントを予熱する。スイッチが閉じて放電が停止すると、スイッチが冷却し開こうとする。このとき、チョークコイルのインダクタンスの作用によって( ウ )が発生し、これによってランプが点灯する。この方式は、ランプ点灯中はスイッチは動作せず、フィラメントの電力損がない特徴を持つが、電源投入から点灯するまでに多少の時間を要すること、電源電圧や周囲温度が低下すると始動し難いことの欠点がある。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に記入する語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | アルゴン | グロー放電 | 振動電圧 |
(2) | ナトリウム | アーク放電 | インパルス電圧 |
(3) | 窒素 | アーク放電 | スパイク電圧 |
(4) | ナトリウム | 火花放電 | 振動電圧 |
(5) | アルゴン | グロー放電 | スパイク電圧 |
2005年(平成17年)問11 過去問解説
蛍光ランプの始動方式の一つである予熱始動方式には、電流安定用のチョークコイルと点灯管より構成されているものがある。点灯管には管内にバイメタルスイッチと( アルゴン )を封入した放電管式のものが広く利用されてきている。点灯管は蛍光ランプのフィラメントを通してランプと並列に接続されていて、点灯回路に電源を投入すると、点灯管内で( グロー放電 )が起こり放電による熱によってスイッチが閉じ、蛍光ランプのフィラメントを予熱する。スイッチが閉じて放電が停止すると、スイッチが冷却し開こうとする。このとき、チョークコイルのインダクタンスの作用によって( スパイク電圧 )が発生し、これによってランプが点灯する。この方式は、ランプ点灯中はスイッチは動作せず、フィラメントの電力損がない特徴を持つが、電源投入から点灯するまでに多少の時間を要すること、電源電圧や周囲温度が低下すると始動し難いことの欠点がある。
答え (5)
2009年(平成21年)問11
ハロゲン電球では、( ア )バルブ内に不活性ガスとともに微量のハロゲンガスを封入してある。点灯中に高温のフィラメントから蒸発したタングステンは、対流によって管壁付近に移動するが、管壁付近の低温部でハロゲン元素と化合してハロゲン化物となる。管壁温度をある値以上に保っておくと、このハロゲン化物は管壁に付着することなく、対流などによってフィラメント近傍の高温部に戻り、そこでハロゲンと解離してタングステンはフィラメント表面に析出する。このように、蒸発したタングステンを低温部の管壁付近に析出することなく高温部のフィラメントヘ移す循環反応を、( イ )サイクルと呼んでいる。このよぅな化学反応を利用して管壁の( ウ )を防止し、電球の寿命や光束維持率を改善している。
また、バルブ外表面に可視放射を透過し、( エ )を( オ )するような膜(多層干渉膜)を設け、これによって電球から放出される( エ )を低減し、小形化,高効率化を図ったハロゲン電球は、店舗や博物館などのスポット照明用や自動車前照灯用などに広く利用されている。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) | |
(1) | 石英ガラス | タングステン | 白濁 | 紫外放射 | 反射 |
(2) | 鉛ガラス | ハロゲン | 黒化 | 紫外放射 | 吸収 |
(3) | 石英ガラス | ハロゲン | 黒化 | 赤外放射 | 反射 |
(4) | 鉛ガラス | タングステン | 黒化 | 赤外放射 | 吸収 |
(5) | 石英ガラス | ハロゲン | 白濁 | 赤外放射 | 反射 |
2009年(平成21年)問11 過去問解説
ハロゲン電球では、( 石英ガラス )バルブ内に不活性ガスとともに微量のハロゲンガスを封入してある。点灯中に高温のフィラメントから蒸発したタングステンは、対流によって管壁付近に移動するが、管壁付近の低温部でハロゲン元素と化合してハロゲン化物となる。管壁温度をある値以上に保っておくと、このハロゲン化物は管壁に付着することなく、対流などによってフィラメント近傍の高温部に戻り、そこでハロゲンと解離してタングステンはフィラメント表面に析出する。このように、蒸発したタングステンを低温部の管壁付近に析出することなく高温部のフィラメントヘ移す循環反応を、( ハロゲン )サイクルと呼んでいる。このよぅな化学反応を利用して管壁の( 黒化 )を防止し、電球の寿命や光束維持率を改善している。
また、バルブ外表面に可視放射を透過し、( 赤外放射 )を( 反射 )するような膜(多層干渉膜)を設け、これによって電球から放出される( 赤外放射 )を低減し、小形化,高効率化を図ったハロゲン電球は、店舗や博物館などのスポット照明用や自動車前照灯用などに広く利用されている。
答え (3)
2011年(平成23年)問11
照明用光源の性能評価と照明施設に関する記述として、誤っているものを 次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- ランプ効率は、ランプの消費電力に対する光束の比で表され, その単位は[m/W]である。
- 演色性は、物体の色の見え方を決める光源の性質をいう。 光源の演色性は平均演色評価数(Ra)で表される。
- ランプ寿命は、ランプが点灯不能になるまでの点灯時間と光束維持率が基準値以下になるまでの点灯時間とのうち短い方の時間で決まる。
- 色温度は、光源の光色を表す指標で、これと同一の光色を示す黒体の温度[K]で示される。色温度が高いほど赤みを帯び、暖かく感じる。
- 保守率は、照明施設を一定期間使用した後の作業面上の平均照度の、新設時の平均照度に対する比である。なお、照明器具と室の表面の汚れやランプの光束減退によって照度が低下する。
2011年(平成23年)問11 過去問解説
色温度は、光源の色を光の色の等しい黒体の温度で表わします。温度が高いほど青味を増し、温度が低いほど赤味を増します。したがって、(4)の記述が誤りです。
答え (4)
2013年(平成25年)問11
次の文章は、照明用 LED (発光ダイオード)に関する記述である。
効率の良い照明用光源としてLEDが普及してきた。LEDに順電流を流すと、LEDの pn 接合部において電子とホールの( ア )が起こり、光が発生する。LEDからの光は基本的に単色光なので、LEDを使って照明用の白色光をつくるにはいくつかの方法が用いられている。代表的な方法として、( イ )色LEDからの( イ )色光の一部を( ウ )色を発光する蛍光体に照射し、そこから得られる( ウ )色光にLEDからの( イ )色光が混ざることによって擬似白色光を発生させる方法がある。この擬似白色光のスペクトルのイメージをよく表しているのは図( エ )である。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 分離 | 青 | 青緑 | A |
(2) | 再結合 | 赤 | 黄 | A |
(3) | 分離 | 青 | 黄 | B |
(4) | 再結合 | 青 | 黄 | A |
(5) | 分離 | 赤 | 青緑 | B |
2013年(平成25年)問11 過去問解説
効率の良い照明用光源としてLEDが普及してきた。LEDに順電流を流すと、LEDの pn 接合部において電子とホールの( 再結合 )が起こり、光が発生する。LEDからの光は基本的に単色光なので、LEDを使って照明用の白色光をつくるにはいくつかの方法が用いられている。代表的な方法として、( 青 )色LEDからの( 青 )色光の一部を( 黄 )色を発光する蛍光体に照射し、そこから得られる( 黄 )色光にLEDからの( 青 )色光が混ざることによって擬似白色光を発生させる方法がある。この擬似白色光のスペクトルのイメージをよく表しているのは図( A )である。
白色 LED は、白色を発光しているのではなく、青色の LED からの青色の一部の光を黄色を発光する蛍光体に照射して黄色を作り出して、青色と混ぜることにより白色にしています。青色のスペクトルは、400~500nm で、黄色のスペクトルは 550~600nm 付近が中心的です。
答え (4)