これだけは知っておきたい電気計測の基礎知識をご紹介します。このページでは「接地抵抗の測定方法」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気計測の基礎知識を解説しています。
接地工事の種類(電気設備技術基準による)
A種接地工事(接地抵抗10Ω 以下)
特別高圧用機器(電圧7000V以上),変成器(メーター用トランス),の二次側特別高圧混触予1防装置(接触予防), 避雷器,特別高圧または高圧(600V以上, 7000V以下)の電路に施工します。
B種接地工事
変圧器の高圧側または特別高圧側の電路の一線が地に流れた電流数で150を除した値に等しいオーム数以下(ただし高圧側と低圧側が混触の際に高圧電路2秒以内にてしゃ断すればよい。接地した場所の電位が 600V以下300Vまで上昇してもよい値に等しいオーム数以下)。
高圧または特別高圧が低圧と混触するおそれがある場合に低圧を電路の保護のために施工します。以上は変圧器,変成器など特別高圧線と高圧線,低圧線,あるいは高圧線と低圧線の混触が心配されるので事故防止のため決められています。
C種接地工事(接地抵抗値10Ω 以下)
300Vをこえる低圧用機器の鉄台および金属製外箱など漏電すると人体に危険度の大きい場所,その他定められている事項に施工します。
D種接地工事(接地抵抗値100Ω 以下)
300V以下の低圧機器の鉄台および金属製外箱など,感電を減少させる場所,その他定められた事項に施工します。
接地抵抗の測定と取扱い
第1図のように接地された場所と一直線に補助接地棒をうめて計器のバランスをとることにより,メーターを直読することができます。注意事項は次の通りです。
- 接地棒の埋込具合,接地状況の確認,水,食塩水をかけて接地抵抗を安定させます。
- 測定の場合は、電気をとめて測定します。
- 共同接地あるいは深く接地された場合などメーター誤差ができるのでEの接地とCの接地棒をできるだけ離すことが必要です。
- 接地棒が使えない所は深く入った水道管などを利用します。
接地抵抗計と測定個所
ビル内での電気機器配線などに接地されているものを掲げてみると,下記のようなものがあります。
特高設備(電圧7000V以上)に接地されているもの
- 受電用ケーブル
- 特高用キュービクル(空気しゃ断器,ガスしゃ断器,区分開閉器,乾式変圧器,電圧変成器,変流器),
- 特高変圧器(一次側特別高圧,二次側高圧あるいは低圧)鉄台
高圧設備(電圧600V以上7000V以下)に接地が施されているもの
- しゃ断器,変流器,電圧変成器(メーターおよび継電器用)鉄外箱,鉄台
- 高圧変圧器(一次側高圧.二次側低圧)およびコンデンサ,避雷器鉄台,鉄外箱
- 高圧ケーブル線
- 高圧電動機鉄台,付属機器(電圧変成器,変流器,ケーブル線,柱上開閉器)取り付け鉄骨組(パイプ)
低圧設備(600V以下)に接地が施されているもの
- 変圧器二次側配線
- 低圧用キュービクル(メインスイッチ,変流器,抵抗器,メーター類)鉄台,鉄外箱
- フロア分電盤,手元開閉器,配管,電動機の鉄外箱,鉄台骨組(パイプ)
第2図は接地抵抗を測定するのに,適当な補助接地がとりにくかった場合に簡易な方法として実施するものです。
第3図はアース板の接続の状況を示したものです。アース板については電線と銅板の接続部分が動いて接触不良がおこらないよう,ボルト締めなど各種の方法で接続されています。とくに腐食等を防ぐために,しんちゅうボルトを使用して固く締めつけられています。
第4図は電動機の鉄台に接地をとり,C種接地工事がまちがいなくとれているかを測定するため補助接地棒を10m間隔で2個所設けて,自動式接地抵抗計に3線を接続して指示を読みとります。測定値が電気技術基準に示された値であれば,測定は完了ですが,抵抗が規定値にならないときは,地盤を深くほって金網あるいは炭を入れ水を注いで規定値にまでもっていくことが必要です。