PLC(プログラマブルロジックコントローラー)のプログラミング言語であるラダー図で使用される基本的な表現方法を説明します。通常、ラダー図はパソコンの専用アプリケーションで作成します。専用アプリケーションで作成するラダー図は、リレーシーケンスと非常によく似ています。そのラダー図作成に使ったアプリケーションの機能を使いPLCと通信ケーブルでPLCに転送します。
PLCをこれから学ぶ方からすれば、何を言っているのか分からないと思います。ひとまず、「こんな感じか!」と思って頂ければと思います。
ラダー図の図記号
ラダー図は、「 接点,コイル,図式表現の機能,機能ブロック,データ要素,ラベル及び連結要素による,左及び右(任意)母線内の一つ以上のネットワーク」とJIS規格で定義されています。
ラダー図は、PLCのプログラミングを作成するための言語の一つで、リレーシーケンスとよく似ています。つまり、リレーシーケンス制御についての知識がある人向けに、作られた言語ともいえます。ラダー図ははしご状の回路図で、左右の母線との間に接点やコイル、図式表現された機能などを接続します。ラダー図は、回路図をそのままラダーシンボル記号に変換するだけですので、ラダー図から命令語に変換することが簡単です。変換は、通常はソフトウエアで変換しますので、回路図のまま残すことができ、シーケンスの流れや動きを目で確かめることが容易にできます。
ラダー図の図記号は、規格化された図記号を用いて作成しますが、PLCのメーカーによって表記の仕方が少し異なることがあります。ただし、どのメーカーもJIS規格に準拠した図記号が使われます。
ラダー図の母線と接続線
ラダー図は、多数のリレーやタイマ、カウンタの集合体と考えることができますので、プログラミングは回路
の信号線を結んでいくようなものといえます。
ラダー図の母線は、ラダー回路の個々の回路の起点と終点を表し、垂直の実線で表します。ラダー回路の個々の回路は、左母線と右母線の間に表現するのですが、右母線は省略されることがあります。尚、左側が電源で、右側が 0V とみなします。
ラダー図の接続線には、水平接続線と垂直接続線があります。接続線は実線で表します。水平接続線は、左側の情報を右側に伝え、水平接続線の情報が伝わった後に、垂直接続線に伝えます。この約束事が命令です。
ラダー図の入力リレーと出力リレーの接点
シーケンス図では押しボタンスイッチ、リミットスイッチ、光電スイッチ、リレーなど各々部品としてのシンボル記号で表わしますが、ラダー図では、入力信号のすべてを同じ記号で表わします。 また、入力の否定(b接点)の場合も同じ記号で表します。
接点についてもう少し勉強をしたい方はこちらの記事をお読みください。補助リレーは、外部に出力しないプログラム上のリレーです。アドレスは入力リレーの場合は入力ユニットの端子番号、出力リレーの場合は出力ユニットの端子番号、タイマー・カウンター・補助リレー等の場合は、PLCの機種により割り当てられた番号に対応したアドレスとなります。
ラダー図で表現する接点やリレーなどの機器は、全て実在しない仮想的なものです。プログラム上で動作を行わせます。
出力リレー
出力リレーや補助リレーの仮想コイルです。出力リレーの場合は出力ユニットの端子番号、補助リレーの場合は、PLCの機種により割り当てられた番号に対応したアドレスとなります。出力表示も同じ記号で表わしますが、タイマ、カウンタ記号は、記号数字を変えて区別をします。
タイマー
PLCの内部リレーでタイマー機能を持つもの。タイマーに入力が入ってから一定時間後に接点が動作するまでの時間を設定できます。アドレスはPLCの機種により割り当てられた番号に対応したアドレスとなります。
カウンター
PLCの内部リレーでカウンタ機能を持つもの。設定したカウント数だけ、入力されると、接点が動作します。アドレスはPLCの機種により割り当てられた番号に対応したアドレスとなります。
命令を順序よく実行するために多数のリレーやタイマを機能別に識別し整理しておくとわかりやすくなります。この識別番号のことをアドレスといいます。アドレスは、入力リレーならX〇〇、出力ならY〇〇といった記号(要素記号)を頭に付けるとわかりやすくなります。
ラダー図のアドレス
PLCのプログラミングでは、リレーにアドレスを割り当てます。アドレスには初めから決められたアドレスを割り当てるリレーと、自分でアドレスを割り当てるリレーがあります。
初めから決められたアドレスを割り当てるリレーは、入力リレーと出力リレーです。この2つのリレーについては、アドレスは端子番号になります。
自分でアドレスを割り当てるリレーは、入力リレーと出力リレー以外のリレーです。これらのリレーは内部リレーといい、法則に従って自分でアドレスを割り当てます。尚、内部リレーの割り当て方は、PLCの機種により異なります。ただし、プログラムは専用のアプリケーションソフトで作成しますので、違いについてはあまり気にしなくても大丈夫です。
ラダー図で使うアドレスの要素記号例
- 入力リレー(X) … 外部入力信号で、読み込み(入力)専用
- 出力リレー(Y) … 外部出力信号で、書き込み(出力)読み込み共にできる
- タイマ(T) … 指定時間後にONする
- カウンタ(C) … 指定回数の入力後にONする
- 補助リレー(M) … 上記の要素記号だけではシーケンス回路を構成するのが大変であり、そのため内部的に使用できるように用意されたリレー
ラダープログラムのしくみ
ラダープログラムは、命令語とアドレスが多数集まって構成されています。命令には順番に番号が付けられ、これをステップ番号といいます。このとき使う「命令」には、「命令語 +アドレス」で構成されます。ただし、命令語にはアドレスを伴わない命令もあります。
命令は 0 ステップからEND命令までが繰返して実行されます。これをサイクリック演算といい、一巡に要する時間をスキャンタイムといいます。 演算周期はプログラムの内容や実際の処理順序により変化しますが、通常数 ms ~数十ms程度です。
ラダー図で作成したシーケンスプログラムは、シーケンサ内ではプログラムリストとして認識します。ラダー図とプログラムリストは、ソフトウェアで、相互変換が行われています。
ラダープログラムで使う命令語は多数ありますが、基本命令をしっかりと覚えておくと、いろいろと応用が効きます。次に、ラダー図でよく使う基本命令の一覧を示します。