熱を発生させる電化製品の基礎知識

熱を発生させる電化製品の基礎知識

電気から熱を発生させるには?

電気から熱を発生させる方法は色々とありますが、家庭用電化製品に的を絞ると、抵抗加熱・高周波加熱・電磁誘導加熱に分けられます。

抵抗加熱とは、電熱線に電流を流したときに、電流の流れを妨げようとする電気抵抗が、熱エネルギーとして現れる現象を利用したものです。一般にヒーターと呼ばれるものはこの現象を利用したもので、数々の家庭用電化製品に利用されています。

高周波加熱とは、電気を通さない物体に周波数の高い電磁波をあててやると、物体の分子が振動しその摩擦の力によって加熱される現象を利用したものです。この高周波加熱を利用した家庭用電化製品が電子レンジです。

電磁誘導加熱とは、電線をぐるぐる巻きにしたコイルを作り、そのコイルに電流を流すと、磁力を発生させます。この磁力の力が影響する範囲内に磁石でくっつくような金属を置くと、金属内にうず状の電流が流れ、金属内の内部抵抗の働きにより熱が発生するものです。IHと表記されている家庭用電化製品はこの原理を利用したものです。

ヒーターの種類

ヒーターに使われる電熱線は一般的には鉄クロム線やニクロム線(ニッケルクロム線)が使用されています。又、一口にヒーターと言っても色々な種類がありますので紹介します。

ボビン式ヒーター

耐熱性の陶器などの枠(ボビン)に電熱線に巻きつけたヒーターです。電気あんかなどに利用されています。

コイル式ヒーター

耐熱性の絶縁体に溝をつくり、その溝内にコイル状の電熱線を納めたり、板状の絶縁体で枠をつくり、コイル状の電熱線を巻きつけたヒーターです。ドライヤーなどに利用されています。

コイル式ヒーター

耐熱性の絶縁体に溝をつくり、その溝内にコイル状の電熱線を納めたり、板状の絶縁体で枠をつくり、コイル状の電熱線を巻きつけたヒーターです。ドライヤーなどに利用されています。

マイカヒーター

マイカと呼ばれる石の一種に、帯状に電熱線を巻きつけた板状にヒーターです。アイロンなどに利用されています。

スペースヒーター

マイカヒーターを金属板で囲んだヒーターです。防水性能をもたすことができます。ポットなどに利用されています。

シーズヒーター

金属製のパイプの中に、電熱線をコイル状にしたものを通し、金属パイプと電熱線が接触しないように、絶縁粉末を詰めて密封したヒーターです。電熱線が直接空気に触れないため寿命が長く、水中でも使用できます。炊飯器などに利用されています。

石英管ヒーター

コイル状の電熱線を石英と呼ばれるガラスの一種でできた管の中に納めたヒーターです。電気ストーブやオーブントースターなどに利用されています。

コードヒーター

ガラス繊維などの芯に電熱線を巻き、その上に耐熱性のビニールなどで被覆したコード状のヒーターです。電気カーペットなどに利用されています。

温度の調節機能

熱を発生させる電化製品には、温度を一定に保つ機能が必要です。この温度を自動的にコントロールする部品はサーモスタットと呼ばれています。

サーモスタットにはバイメタルと呼ばれる2種類の金属を張り合わせ、金属の熱膨張の温度差を利用しスイッチをON-OFFさせるものや、金属に磁石をくっつけた際、常温では金属は引き寄せられるが、温度が高くなると磁石にくっつきにくくなる性質を利用してスイッチをON-OFFさせるものや、半導体などの電子部品を利用した電子サーモなどがあります。今ではこの電子サーモ方式が使われる事が非常に多いです。

又、サーモスタットは設定温度を変更できるものと、変更できないものがあります。電気カーペットやアイロンなどは設定温度が変更できますし、炊飯器などは変更できない電化製品です。使用目的にあわせて分類されています。

電化製品はこのサーモスタットからの信号を読み取ってON-OFFや強-弱をヒーターに伝え、温度を制御しています。

電熱家電の安全装置

熱を発生させる電化製品には、万が一サーモスタットの不調でヒーターに電気が流れっぱなしになると異常加熱してしまい、大変危険な状態になります。そんな異常加熱を防止するために必ず安全装置が設けられています。

代表的な安全装置は温度フューズです。温度ヒューズは異常な温度上昇を感知すると、ヒューズ部分が溶断します。この温度ヒューズを電気回路中に組み込み万が一、異常な温度上昇になると溶断しヒーターに電気が流れないようにします。温度フューズは一度溶断すると、再び使用することができません。

又、サーモスタットでも説明したバイメタルを利用した安全装置もあります。サーモスタットの最高設定温度以上の設定のバイメタルを組み込み使用します(リミットスイッチといいます)。リミットスイッチは動作した後、温度が下降すれば自動的に復帰するものと、リセットスイッチを押して復帰させるものとがあります。

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