これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「モーターを制御する機器と役割」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。
モーターの始動制御回路
モーターをじか入れ始動法により、始動・停止する場合の制御回路を示したのが、第1図です。電源スイッチとして、配線用しゃ断器MCBを用い、モーター回路の開閉は、電磁接触器MCとサーマルリレーTHR(第2図参照)を組み合わせた電磁開閉器MSで行います。そして、この電磁開閉器の開閉操作は、始動および停止の2個のボタンスイッチSTーBS,STPーBSで行い、モーターの運転表示を赤色ランプRL、停止表示を緑色ランプGLで行います。
モーターの始動動作のしかた
(a) 電源スイッチである配線用しゃ断器MCBを入れると、緑色ランプGLが点灯し、始動が可能であることを示します(第2図)。配線用しゃ断器MBCを入れると、緑色ランプGLが点灯し、始動が可能であることを示します(第2図)。
(b) 始動ボタンSTーBを押すと電磁接触器のコイルMCに電流が流れ動作して、モーター回路の主接点MCが閉じて、モーターMに電源電圧が印加し、始動します。
(c) 電磁接触器が動作すると、補助b接点MCが開き、停止表示の緑色ランプGLが消灯し、補助a接点MCが閉じ、運転表示の赤色ランプRLが点灯します。
モーターの停止動作のしかた
(a) 停止ボタンSTPーBSを押すと、電磁接触器のコイルMCに、電流が流れなくなり復帰します(第3図)。
(b) 電磁接触器が復帰すると、モーター回路の主接点MCが開いて、モーターMに電源電圧が印加されなくなるので、モーターは停止します。
(c) 電磁接触器が復帰すると、補助b接点が閉じ、停止表示の緑色ランプGLが点灯し、補助a接点が開いて、運転表示の赤色ランプRLが消灯します。
なぜ電磁接触器のコイルを接地側にするか
モーターの始動・停止制御回路において、電磁接触器のコイルMCが、制御電源のS相(接地)側に接続されています。
これは操作回路のボタンスイッチなどが、ゴミや湿気などで絶縁が悪くなったり、地絡事故をおこすと、第4図(a)のように、コイルが電圧側のR相に接続されていると、RーMC1ーA(地絡事故地点)一接地E一E2(電源のB種接地)の回路が形成されます。したがって、ボタンスイッチSTを押さなくても、コイルに電流が流れますので、電磁接触器は動作し、停止中のモーターは突然回り出すことになります。
また、運転中に地絡事故をおこすと、停止ボタンスイッチSTPで、回路を切ろうとしても、停止できないことになります。そこで、第4図(b)のように、コイルを接地側のS相に接続しておけば、地絡事故が生じてもコイルには電流が流れないので、安全ということになります。
モーターを初めて運転するには
実際にモーターを初めて運転するときには、その前に次の事項を充分に確かめてから行うことが大切です。これは始動時の事故を防止するうえから、非常に大切なことです。
(a) 電源電圧は正規の電圧がきているかを確認する(第5図)。
(b) モーターの主回路および制御回路配線に誤りがないかどうかを、テスタなどで導通をみながら確認する(第6図)。
(c) 各部の締付けが弱いと、振動などの原因になるので、スパナなどで締め増しを行う(第7図)。
(d) モーターおよび配線の絶縁抵抗をメガーで測定する(第8図)。