第二種電気工事士の筆記試験に初心者の方でも簡単に独学で合格する勉強方法を紹介しています。第二種電気工事士の筆記試験は、過去問から繰り返し出題されていますので、出題分野毎に過去問をまとめて解くことで、効果的な勉強方法となります。このページでは、配電理論及び配線設計「低圧屋内配線の分岐回路の施設」について、解説しています。
低圧屋内分岐回路の施設
幹線から分岐して負荷までの配線のことを分岐回路といいます。分岐回路に接続できるコンセントの大きさや電線の太さは、過電流遮断器の定格電流ごとに、次のように分類されています。
低圧屋内分岐回路の施設
直径 2.6[mm]≒ 断面積 5.5[mm² ]
分岐回路の許容電流と過電流遮断器の施設位置
低圧屋内配線で幹線から分岐した場合、基本的には分岐回路にも過電流遮断器を施設しなければなりません。
分岐回路の許容電流と過電流遮断器の施設位置
- 原則、幹線分岐点より3m以下の場所に過電流遮断器を施設します。
- 分岐回路の許容電流が幹線用過電流遮断器の定格電流の 35%以上なら、8m以下の場所に過電流遮断器を施設できます。
- 分岐回路の許容電流が幹線用過電流遮断器の定格電流の 55%以上なら、任意の場所に過電流遮断器を施設できます。
配電理論及び配線設計:第二種電気工事士 過去問
(財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士の筆記試験に出題された問題です。
問1 接続できるコンセントの組合せ①
定格電流 30[A]の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと、接続できるコンセントの図記号の組合せとして、適切なものは。
ただし、電流減少係数は無視できるものとする。
定格電流 30[A]の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さは 2.6[mm](断面積 5.5 mm² )以上で、接続できるコンセントは 20A~30A です。
イ. 直径 2.0[mm]なので 不適
ロ. コンセントの定格が 1.5[A]なので不適
ハ. 適切
二. コンセントの定格が 1.5[A]なので 不適
答え(ハ)
問2 接続できるコンセントの組合せ②
定格電流 30[A]の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと、接続できるコンセントの図記号の組合せとして、適切なものは。
ただし、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
定格電流 30[A]の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さは 2.6[mm](断面積 5.5 mm² )以上で、接続できるコンセントは 20A~30A です。
イ. コンセントの定格が 1.5[A]なので 不適
ロ. コンセントの定格が 1.5[A]なので 不適
ハ. 適切
二. 直径 2.0[mm]なので 不適
答え(ハ)
問3 分岐回路の施設①
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用の遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし、分岐回路から配線用遮断器までは 3[m]、配線用遮断器からコンセントまでは 8[m]とし、配線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
イ. 適切
ロ. 30Aの配線用遮断器には、電線の太さが 2.6 mm以上のため不適。
ハ. 20Aの配線用遮断器には、コンセント 20A 以下のため不適。
ニ. 30Aの配線用遮断器 には、コンセント 20~30A のため不適。
答え(イ)
問4 分岐回路の施設②
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、不適切なものは。
ただし、分岐点から配線用遮断器までは 3[m]、配線用遮断器からコンセントまでは 8[m]とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
イ. 適切
ロ. 30Aの配線用遮断器には、電線の太さが 2.6 mm以上のため不適。
ハ. 適切
ニ. 適切
答え(ロ)
問5 分岐回路の施設③
図のように定格電流 60[A]の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、5 [m]の位置に過電流遮断器を施設するとき、a-b 間の電線の許容電流の最小値[A]は。
イ. 15 ロ. 21 ハ. 27 二. 33
分岐回路から 5 [m] の位置に過電流遮断器を施設しますので、分岐点 a から過電流遮断器の点 b までの電線の許容電流 IB [A]を、幹線保護の過電流遮断器の定格電流
IA[A]の 35%以上の場合は、a‐b 間を 8m 以下にすることができますので、
IB ≧ 0.35×60=21[A]
答え(ロ)
問6 分岐回路の施設④
図のように定格電流 60[A]の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、10[m] の位置に過電流遮断器を施設するとき、a-b 間の電線の許容電流の最小値[A]は。
イ. 15 ロ. 21 ハ. 27 二. 33
分岐回路から 10 [m] の位置に過電流遮断器を施設しますので、分岐点 a から過電流遮断器の点 b までの電線の許容電流 IB [A]を、幹線保護の過電流遮断器の定格電流
IA[A]の 55%以上の場合は、a‐b 間を任意( 8m以上)にすることができますので、
IB ≧ 0.55×60=33[A]
答え(二)
a-b 間の電線の許容電流の最小値 [A] は,0.55 × 60 A = 33 A となる。よって,答えは二.である。
問7 分岐回路の施設⑤
図のように定格電流 150[A]の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線から太さ 5.5[ mm²]の VVF ケーブル(許容電流 34[A])で低圧屋内電路を分岐する場合、a-b 間の長さの最大値[m]は。
ただし、低圧屋内幹線に接続される負荷は、電灯負荷とする。
イ. 3 ロ. 5 ハ. 8 二. 制限なし
分岐点 a から過電流遮断器の点 b までの電線の許容電流 IB=34[A]と、幹線の定格電流 IA=150[A]の比は、
$\displaystyle\frac{I_B}{I_A}=\displaystyle\frac{34}{150}≒0.226$
IB が IA の 35%以上の場合は、a‐b 間を 8m 以下にすることができますが、この範囲を下回っていますので、原則とおり 3m以下となります。
答え(イ)
問8 分岐回路の施設⑥
図のように定格電流 50[A]の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線から VVR ケーブル太さ 8[ mm²](許容電流 42[A])で低圧屋内電路を分岐する場合、a-b 間の長さの最大値[m]は。
ただし、低圧屋内幹線に接続される負荷は,電灯負荷とする。
イ. 3 ロ. 5 ハ. 8 二. 制限なし
分岐点 a から過電流遮断器の点 b までの電線の許容電流 IB=42[A]と、幹線の定格電流 IA=50[A]の比は、
$\displaystyle\frac{I_B}{I_A}=\displaystyle\frac{42}{50}=0.84$
IB が IA の 55%以上の場合は、a‐b 間を 任意にすることができますので、制限なしとなります。
答え(二)