配線図の表示事項及び表示方法:第二種電気工事士

第二種電気工事士

第二種電気工事士の筆記試験に初心者の方でも簡単に独学で合格する勉強方法を紹介しています。第二種電気工事士の筆記試験は、過去問から繰り返し出題されていますので、出題分野毎に過去問をまとめて解くことで、効果的な勉強方法となります。このページでは、配線図の表示事項及び表示方法「電気配線図の記号」について、解説しています。

電気配線図の記号

配線図は、負荷(機械器具や照明器具など)や点滅器(スイッチ)などが、どのように配置され、配線がどのように接続されるかを示した電気工事を行う際の設計図になるものです。
また、配線図は、設計・見積もり・施工・検査・維持管理等多くの場面で、多くの人に利用されるものであるため、誰が見ても分かるようにする必要があります。そのため、表示方法等に基準が設けられています。この基準を理解しなければ、配線図を正しく読み取ることができません。

第二種電気工事士の筆記試験では、配線図の問題が20問出題されます。配線図を読み取るためには、基準化された図記号を覚える必要があります。

(財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士の筆記試験に出題された配線図です。

引込口や分電盤の図記号

電力会社からの送電線が住宅などに引込まれる個所を受電点といいます。受電点には電力会社が電力量計を設置し、電気料金を算出します。その後、分電盤に入り各部屋に配線され、電気が供給されます。

図記号名称写真
受電点
引込口のことです。
電力量計
使用した電力量を測定します。
分電盤
家庭内(屋内)の配線へ電気を分けます。
※ 似ているので注意
引込用配線の固定

電柱から架空線で電線を引込む際は、引込用ビニル絶縁電線(DV線)が使用されます。この電線は、壁に直接固定はできませんので、平形がいしを使って固定します。

平形がいし

電工2種の試験では、次のようなパターンで出題がされています。

DV 線を引き留める場合に使用するものは

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-23.png

イ:がいし引き工事で使用する「ノップがいし」です。

ロ:ネオン管の支持に使用する「チューブサポート」です。

ハ:DV線を引き留めるために使用するの「平形がいし」です。正解です。

ニ:電柱の引留めに使用する「玉がいし」です。

遮断器などの図記号

配線用遮断器は、過電流などの大電流が流れた時に、自動的に電路を遮断する機器です。漏電遮断器は、電源から接地への漏えい電流を検出した際(漏電)に回路を遮断する遮断器です。感電防止の目的で設置されます。

図記号名称写真
配線用遮断器
過電流や短絡電流を遮断することができます。
漏電遮断器
過電流と漏電を遮断することができます。

電動機保護兼用配線用遮断器(モーターブレーカ)
電動機の始動電流で動作しません。

遮断器などの図記号には、極数・フレームの大きさ・定格遮断電流・定格感度電流などが記載されます。

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配線の方法を表す図記号

配線の方法を表す図記号は次のように記します。この図記号に、電線の種類や太さ、本数、電線管の種類などが付記されています。

図記号名称

(実線)
天井隠ぺい配線
天井内で見えない配線

(破線)
床隠ぺい配線
床内で見えない配線

(点線)
露出配線
露出した見える配線

(一点鎖線)
地中配線
地中に埋めた配線
立上り
上の階への配線
引下げ
下の階への配線
素通し
下の階から上の階への配線

電線の種類や太さ、本数、電線管の種類は次のように記します。

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電線やケーブルの図記号

電線やケーブルには多くの種類がありますが、第二種電気工事士試験の配線図問題によく出題される電線やケーブルについてまとめました。

図記号電線名称と用途写真

600Vビニル絶縁電線
IV:インドアビニル
屋内配線用
連続使用最高温度60℃
DV引込用ビニル絶縁電線
DV:ドロップワイヤビニル
屋外引込用
VVF600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形)
VVF:ビニル絶縁ビニル外装フラット
屋内・屋外配線用
連続使用最高温度60℃
VVR600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(丸形)
VVR:ビニル絶縁ビニル外装ラウンド
屋内・屋外配線用
連続使用最高温度60℃
CV600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
CV:クロスリンクドポリエチレンビニル
屋内・屋外配線用
連続使用最高温度90℃
EM-EEF600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル
EM:エコ・マテリアル
屋内・屋外配線用
連続使用最高温度75℃

ジョイントボックス内で電線相互の接続を圧着接続するときにはリングスリーブを使います。リングスリーブ(E形)には 『小』、『中』、『大』3種類の大きさがあります。 接続する電線本数や太さなどの組み合わせにより大きさを使い分けます。尚、第2種電気工事士の技能試験では『大』は使用されません。

リングスリーブ

リングスリーブで電線を接続するときは、リングスリーブ用圧着工具(持ち手が黄色)でリングスリーブを潰して接続します。その際には圧着工具の適切な場所を使用しなければなりません。リングスリーブ用圧着工具には、「特小」「小」「中」「大」のリングスリーブに適合した圧着位置があります。

尚、適切な圧着後の接続性能を確保するため、接続する「電線の径」と「接続する本数」に応じて,正しいリングスリーブを選択する必要があります。


次表に、JIS C 2806 に規定されたリングスリーブと圧着する電線との組合せを示します。実際の接続においては、正しい組合せを選択出来るようにしてください。

差込形コネクタは、圧着をする必要がなく差込むだけで電線相互の接続ができます。また、接続の変更も容易にできます。 実際の電気工事では2本用から8本用を使用しますが、第2種電気工事士の技能試験では2本用から4本用までが使用されています。

電線やケーブルを接続する際に必要な工具類を示します。

電工ペンチ
電線やケーブルを切断するときに使う工具です。
ケーブルカッタ
太い電線やケーブルを切断するときに使う工具です。
ボルトクリッパ
太い電線やワイヤなどを切断するときに使う工具です。
電工ナイフ
絶縁電線やケーブルの被覆をはぎ取るときに使う工具です。
ケーブルストリッパ
ケーブルの外装被覆や絶縁被覆をはぎ取るときに使う工具です。
圧着端子用圧着工具
圧着端子に電線を接続(圧着接続)するときに使う工具です。持ち手が赤色です。
絶縁被覆付圧着端子用圧着工具
絶縁被覆付圧着端子に電線を接続(圧着接続)するときに使う工具です。持ち手が青色です。
手動油圧式圧着器
圧着端子に太い電線を接続(圧着接続)するときに使う工具です。

電線管などの図記号

電線管は電線類を保護するための管です。電線管は大きく分けて、金属製管と合成樹管の2種類があります。電線管を配線図で表すには、電線を表す図記号の後ろに、電線管の種類を表す記号と太さを()で囲んで付け加えます。

図記号配管の種類写真
なしねじつき鋼製電線管
図記号は無く、太さを表わす数字だけ書きます。薄鋼電線管と厚鋼電線管があり、薄鋼電線管は管の外径を奇数で、厚鋼電線管は管の内径を偶数で表示します。
Eねじなし鋼製電線管
管端にネジが付いていない鋼製電線管で、管の記号から「E管」とも呼ばれます。呼び方は管の外径サイズを基準とし、奇数で「E19」や「E25」と呼びます。
PF合成樹脂製可とう電線管(PF管)
曲げることができる合成樹脂製の電線管です。自己消火性があります。
CD合成樹脂製可とう電線管(CD管)
曲げることができる合成樹脂製の電線管です。CD管はオレンジ色の電線管で、コンクリートに直接埋め込んで使われます。PF管やCD管を切断するときは、樹脂フレキシブル管カッタで切断します。
VE硬質塩化ビニル管(VE管)
PF管やCD管には可とう性がありますが、VE管には可とう性がなく直線であることが特徴的です。VE管を切断するときは、合成樹脂管用カッタ(塩ビカッタ)を使用し、曲げるときはトーチランプで熱して曲げます。同種のものに、耐衝撃性硬質塩化ビニル電線管(HIVE)があります。
F22種金属製可とう電線管
曲げることができる金属製の電線管です。プリカチューブとも言いいます。切断するときはプリカナイフを使って切断します。
MM11種金属線ぴ
メタルモールジングとも言います。室内のコンセントやスイッチを設置する際にケーブルを収めます。壁や天井に露出配線できます。
MM22種金属線ぴ
ワイヤーモールドとも言います。天井のない室内で照明器具を設置する際に用いられるます。
HIVE耐衝撃性硬質塩化ビニル電線管
FEP波付硬質合成樹脂管
衝撃や圧力に強くゆるやかに屈曲することができるため、主に地中埋設配管として用いられます。
ライティングダクト

ライティングダクトとは、照明器具やコンセントなどを取り付けることができるダクトで、取り付けた照明器具などはダクトの自由な位置に配置することができます。

図記号ダクトの種類写真
ライティングダクト
照明器具が移動できるダクト

電工2種の試験では、次のようなパターンで出題がされています。

で示す図記号のものは。

イ:合成樹脂線ぴです。

ロ:ライティングダクトです。正解です。

ハ:1種金属線ぴです。

ニ:ケーブルラックです。

金属管を切断する工具

金切りのこ
金属管や太い電線を切断するときに使う工具です。
パイプカッタ
金属管を切断するときに使う工具です。
高速切断機
金属管を切断するときに使う工具です。
プリカナイフ
2種金属製可とう電線管(プリカチューブ)を切断するときに使う工具です。

金属管を加工する工具

パイプベンダ
金属管を曲げるときに使う工具です。
やすり
金属管を切断したときに、バリを取るときに使う工具です。

クリックボールとリーマ
クリックボールは先端にリーマや羽根ぎりを取り付けて使用します。
リーマは、クリックボールの先端に取り付けて、金属管内側の面取りをするときに使う工具です。
ねじ切り器
金属管にねじを切るときに使う工具です。

その他金属管工事で使う工具

パイプレンチ
ネジ部を締めたり緩めたりする場合などにパイプを挟んだり、回したりするときに使う工具です。
ウォータポンププライヤ
金属管工事や合成樹脂管工事でロックナットを締め付けるときに使う工具です。
パイプバイス
金属管を切断するときや、金属管にねじを切るときに、金属管を固定ときに使う工具です。

合成樹脂管を切断する工具

合成樹脂管用カッタ(塩ビカッタ)
硬質塩化ビニル電線管を切断するときに使う工具です。
樹脂フレキシブル管カッタ
合成樹脂製可とう電線管を切断するときに使う工具です。

合成樹脂管を加工する工具

トーチランプ
硬質塩化ビニル電線管を曲げるときに使う工具です。
面取器
硬質塩化ビニル電線管(VE管)の管端部の面取りをするときに使う工具です。

ボックスの図記号

ケーブルや電線の配線工事で、配線の分岐・接続などに用いるためのボックスの図記号は次のように記します。

図記号名称写真
プルボックス
金属管等の電線管が集まる箱。ノックアウトパンチャなどを使って必要なところに穴をあけ、電線管やケーブルを通します。
ジョイントボックス(アウトレットボックス)
電線の接続箱などに用いる。ジョイントボックスは打ち抜くことができる穴があり、その穴を使って電線管やケーブルを通します。
VVFジョイントボックス
VVFケーブルの接続箱です。

プルボックスなどの金属板に穴をあける工具


電動ドリルとホルソ
電動ドリルの先端にホルソを取り付けて金属板に穴をあけます。
ノックアウトパンチャ
金属板などに穴をあけるときに使う工具です。
注意!

間違いやすい工具を示します。

木工用ドリルビット
電動ドリルに取り付けて、木材に穴をあけるときに使う工具です。
コンクリート用ドリルビット
振動ドリルに取り付けて、コンクリートに穴をあけるときに使う工具です。
羽根ぎり
羽根ぎりは、クリックボールの先端に取り付けて、木材に穴をあけるときに使う工具です。
タップ
金属板にねじを切るときに使う工具です。

照明器具の図記号

照明器具の図記号は次のように記します。

図記号名称写真
壁付白熱灯
壁側を塗る
ペンダント
天井から吊り下げる照明器具
シーリングライト
天井に直付けする照明器具
シャンデリア
装飾を兼ねた照明器具
ダウンライト
天井埋込照明器具

引掛けシーリング
角型・丸形
水銀灯
M:メタルハライド灯
N:ナトリウム灯
蛍光灯
天井取付
蛍光灯
壁面取付
蛍光灯
プルスイッチ付
屋外灯
庭園灯など
非常用照明
誘導灯

コンセントの図記号

コンセントの図記号は次のように記します。

図記号コンセントの種類写真

15A125Vコンセント
◇はワイド型
15A125V2口コンセント

20A125Vコンセント
(20A以上は定格電流を表記する)

15A125V接地極付コンセント
15A125V接地極付2口コンセント
20A125V接地極付コンセント
15A125V接地端子付コンセント
15A125V接地極付接地端子付コンセント
20A125V接地極付接地端子付コンセント
(写真は15A20A兼用)
15A250V接地極付コンセント
20A250V接地極付コンセント
20A250V接地極接地端子付コンセント
15A125V抜け止め形コンセント
15A125V抜け止め形接地極付2口コンセント
15A125V漏電遮断器付きコンセント
防雨型コンセント


フロアコンセント
3極20Aコンセント
3極20A接地極付コンセント

コンセント受刃の形状まとめ

スイッチの図記号

スイッチの図記号は次のように記します。

図記号スイッチの種類写真
単極スイッチ
よく見かけるスイッチで、照明をON/OFFするスイッチとしてよく使われています。
2極スイッチ
単相200Vの機器などを ON/OFF するスイッチです。
3路スイッチ
2箇所から1つの電灯を ON/OFF するためのスイッチです。
4路スイッチ
3か所以上のスイッチで1つの電灯を ON/OFF するために使うスイッチです。
位置表示灯内蔵スイッチ(蛍スイッチ)
スイッチが OFF のときは内臓の表示灯は点灯し、スイッチがON のときは内臓の表示灯は消灯するスイッチです。
(覚え方 Hotaru の “H” )
確認表示灯内蔵スイッチ
スイッチが ON のときに内蔵表示灯も点灯するスイッチです。
(覚え方 Light の “L”)
位置表示灯内蔵3路スイッチ
位置表示灯が付いている3路スイッチです。
遅延スイッチ
スイッチをOFFにした後、一定時間、機器が動作してから自動で停止するスイッチです。
(覚え方 Delay の “D”)
調光器
白熱灯などの照明の明るさ調節ができるスイッチです。
熱線センサ付自動スイッチ(人感センサー)
人の動きを捉えて、照明器具などを自動で ON/OFF するスイッチです。
プルスイッチ
ひもを引くことで照明器具などを ON/OFF するスイッチです。
自動点滅器(EEスイッチ)
周りが明るいときには OFF で、暗くなると自動で ON になるスイッチです。デーライトやフォトスイッチと呼ばれることもあります。
防雨形スイッチ
雨水の浸入を防ぐスイッチです。
電磁開閉器用押しボタン
電磁開閉器を ON/OFF する用のボタンスイッチです。
確認表示灯付電磁開閉器用押しボタン
電磁開閉器を ON/OFF する用の確認表示灯付きのボタンスイッチです。
フロートスイッチ
水面に浮かべた浮き球が、水面の高さの変化に応じて ON/OFF するスイッチです。
フロートレススイッチ電極
液面のレベルを検出する接触式のセンサーで、フロート(浮き)を使用していないスイッチのセンサー部です。
開閉器
電路を開閉するスイッチです。
電流計付箱開閉器
電流計が付いている開閉器で、電動機 の手元開閉器などに使われます。
タイムスイッチ
ON/OFFの時間を設定できるスイッチです。

リモコンスイッチの図記号

リモコンスイッチは、照明器具などを遠隔操作で ON/OFF できるスイッチで、大きな店舗やオフィスなどで、管理人室から、全ての照明を一斉に ON/OFF させる場合などに使用するスイッチです。

リモコンスイッチの図記号は次のように記します。

リモコンスイッチ
リモコンセレクタスイッチ
リモコンリレー
リモコン変圧器

機器や器具の図記号

その他、機器や器具の図記号には、次のようなものがあります。

図記号名称写真
電動機
コンデンサ
換気扇(壁付)
換気扇(天井付)
小型変圧器
(チャイム用変圧器)
ネオン変圧器
接地端子
接地線を結線する端子
接地極
大地に設置する極
ルームエアコン(室外機)
ルームエアコン(室内機)
電熱器
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