電験三種の法規で出題される電気工事士法について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。
- 電気工事士法
- 電験三種-法規(電気関係法令)過去問題
- 1998年(平成10年)問9
- 1998年(平成10年)問9 過去問解説
- 2002年(平成14年)問1
- 2002年(平成14年)問1 過去問解説
- 2003年(平成15年)問2
- 2003年(平成15年)問2 過去問解説
- 2006年(平成18年)問2
- 2006年(平成18年)問2 過去問解説
- 2008年(平成20年)問3
- 2008年(平成20年)問3 過去問解説
- 2010年(平成22年)問2
- 2010年(平成22年)問2 過去問解説
- 2014年(平成26年)問3
- 2014年(平成26年)問3 過去問解説
- 2014年(平成26年)問4
- 2014年(平成26年)問4 過去問解説
- 2015年(平成27年)問2
- 2015年(平成27年)問2 過去問解説
電気工事士法
電気工事士は、一般用電気工作物を設置しまたは変更する工事の作業に従事するための資格(第1種・第2種)です。また、第1種電気工事士、特種電気工事資格者および認定電気工事従事者は、自家用電気工作物のうち 500[kW]未満の需要設備を設置し、または変更する工事の作業に従事することもできます。
電気工事士法は義務を定め、電気工事の欠陥による人身事故、火災事故および波及事故等の災害の発生の防止を図るために制定された法律です。 電気工事士法を施行するため、政令として電気工事士法施行令、省令として電気工事士法施行規則があります。
電気工事士法の目的
この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。
電気工事士法第1条
電気工事士の工事範囲
電気工事士は、一般用電気工作物の工事を行う第2種電気工事士、自家用電気工作物のうち 500[KW]未満の需要設備の工事を行うことができる第1種電気工事士があります。その他にネオン工事、非常用予備発電装置工事の工事ができる特種電気工事資格者があります。
尚、第1種電気工事士は、第2種電気工事士の工事ができる範囲の工事を行うことができます。また、第1種電気工事士の工事ができる範囲のうち、電圧 600[V]以下で使用する自家用電気工作物に係る簡易電気工事(電線路に係るものは除く)については、認定電気工事従事者の資格があれば工事を行うことができます。
*注 ネオン用として設備する分電盤、主開閉器、タイムスイッチ、点滅器、ネオン変圧器、ネオン管およびこれらの付属設備
**注 非常用予備発電装置として設置する原動機、発電機、配電盤およびこれらの付属設備
電気工事士法に基づく「自家用電気工作物」
電気工事士法に基づく「自家用電気工作物」とは、電気事業法に規定する自家用電気工作物から、発電所、変電所、最大電力 500[kW]以上の需要設備、送電線路{発電所相互間、変電所相互間又は発電所と変電所との間の電線路(専ら通信の用に供するものを除く。)及びこれに附属する開閉所その他の電気工作物をいう。}及び保安通信設備を除いたものをいいます。
電気工事業の業務の適正化に関する法律
電気工事業の業務の適正化に関する法律は、電気工事業を営む者の登録および通知等を義務付け、その業務について規制を行い、一般用電気工作物および自家用電気工作物(500[kW]未満の需要設備)の保安の確保を図るために制定された法律です。
この法律において、「電気工事業」とは、電気工事士法に規定する電気工事を行う事業をいいます。「登録電気工事業者」とは、経済産業大臣又は都道府県知事の登録を受けて電気工事業を営む者をいいます。また、「通知電気工事業者」とは、経済産業大臣又は都道府県知事に電気工事業の開始の通知を行って、電気工事士法に規定する自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいいます。
電験三種-法規(電気関係法令)過去問題
1998年(平成10年)問9
「電気工事士法に基づく自家用電気工作物(最大電力 500[kW]未満の需要設備)の電気工事の作業に従事することができる者の資格と電気工事に関する次の記述のうち、正しいのは次のうちどれか。
- 認定電気工事従事者は、200[V]で使用する電動機に至る低圧屋内配線工事の作業に従事することができる。
- 第一種電気工事士は、非常用予備発電装置として設置される原動機及び発電機の電気工事の作業に従事することができる。
- 第二種電気工事士は、受電設備の低圧部分の電気工事の作業に従事することができる。
- 第二種電気工事士は、ネオン用として設置される分電盤の電気工事の作業に従事することができる。
- 第二種電気工事士は、100[V]で使用する照明器具に至る低圧屋内配線工事の作業に従事することができる。
1998年(平成10年)問9 過去問解説
第2種電気工事士は、電気工事士法に基づく自家用電気工作物(最大電力500[kW]未満の需要設備)の電気工事の作業に従事することができません。非常用予備発電装置の電気工事を行うには、特種電気工事資格者が必要です。認定電気工事従事者は、200[V]で使用する電動機に至る低圧屋内配線工事の作業に従事することができます。
答え (1)
2002年(平成14年)問1
次の文章は、「電気事業法」、「同法に基づく政省令」及び「電気工事士法」に定められた保安に関する規定の記述であるが、不適切なものは次のうちどれか。
- 「電気事業法」では、主任技術者について、「事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、 主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。」とされている。
- 「電気事業法施行令」では、電気工作物から除かれる工作物として「電圧 30[V]未満の電気的設備であ って、電圧 30[V]以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの。」とされている。
- 「電気設備技術基準」では、電圧の区分のうち、高圧の範囲について、「直流にあっては、750[V]を、交流にあっては 700[V]を超え、7,000[V]以下のもの。」とされている。
- 「電気関係報告規則」では、「事故の発生を知つた時から24時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して 30日以内に様式第十三の報告書を提出して行わなければならない。」とされている。
- 「電気工事士法」では、「この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。」とされている。
2002年(平成14年)問1 過去問解説
交流の高圧の範囲は 600[V]を超え、7,000[V]以下のものです。
答え (3)
2003年(平成15年)問2
次の文章は、「電気工事士法」に基づく同法の目的及び電気工事士免状等に関する記述である。
この法律は、電気工事の( ア )に従事する者の資格及び( イ )を定め、もって電気工事の( ウ )による災害の発生の防止に寄与することを目的としている。
この法律に基づき自家用電気工作物の工事(特殊電気工事を除く。)に従事することができる( エ )電気工事士免状がある。また、その資格を認定することにより非常用予備発電装置に係る工事に従事することができる( オ )資格者認定証がある。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に記入する語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) | |
(1) | 業務 | 権利 | 事故 | 第二種 | 簡易電気工事 |
(2) | 作業 | 義務 | 欠陥 | 第一種 | 特種電気工事 |
(3) | 作業 | 条件 | 事故 | 自家用 | 特種電気工事 |
(4) | 仕事 | 権利 | 不良 | 特殊 | 第三種電気工事 |
(5) | 業務 | 条件 | 欠陥 | 自家用 | 簡易電気工事 |
2003年(平成15年)問2 過去問解説
この法律は、電気工事の( 作業 )に従事する者の資格及び( 義務 )を定め、もって電気工事の( 欠陥 )による災害の発生の防止に寄与することを目的としている。
この法律に基づき自家用電気工作物の工事(特殊電気工事を除く。)に従事することができる( 第一種 )電気工事士免状がある。また、その資格を認定することにより非常用予備発電装置に係る工事に従事することができる( 特種電気工事 )資格者認定証がある。
答え (2)
2006年(平成18年)問2
次の文章は、「電気事業法」、「同法施行令」、「同法施行規則」、「電気設備技術基準」及び「電気工事士法」に基ずく保安に関する説明の一部である。 不適切なものは次のうちどれか。
- 電気事業者が供給する電気の電圧の値は、標準電圧 100[V]を供給する場合においては、101[V]の上下 6[V]を超えない値に維持するように努めなければならない。
- 100[V]回路に変圧器で接続された 24[V]の警報回路は、電気工作物に該当しない。
- 単独で設置する電圧 200[V]、出力 10[kW]の太陽電池発電設備は、小出力発電設備である。
- 特別高圧とは、7000[V]を超える電圧をいう。
- 第一種電気工事士免状の交付を受けている者は、最大電圧 500[kW]未満の自家用電気工作物の電気工事(特殊電気工事を除く)の作業に従事することができる。
2006年(平成18年)問2 過去問解説
30[V]未満の電気設備であっても、30[V]以上の電気的設備に接続されているものは、電気工作物に該当します。
答え (2)
2008年(平成20年)問3
「電気工事士法」において、電気工事の作業内容に応じて必要な資格を定めているが、作業者の資格とその電気工事の作業に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
- 第一種電気工事士は、自家用電気工作物であって最大電力 250[kW]の需要設備の電気工事の作業に従事できる。
- 第一種電気工事士は、最大電力 250[kW]の自家用電気工作物に設置される出力 50[kW]の非常用予備発電設備の発電機に係る電気工事の作業に従事できる。
- 第二種電気工事士は、一般用電気工作物に設置される出力 3[kW]の太陽電池発電設備の設置のための電気工事の作業に従事できる。
- 第二種電気工事士は、一般用電気工作物に設置されるネオン用分電盤の電気工事の作業に従事できる。
- 認定電気工事従事者は、自家用電気工作物であって最大電力 250[kW]の需要設備のうち 200[V]の電動機の接地工事の作業に従事できる。
2008年(平成20年)問3 過去問解説
非常用予備発電装置の発電機に係る電気工事の作業は、特種電気工事資格者が必要です。
答え (2)
2010年(平成22年)問2
自家用電気工作物について、「電気事業法」と「電気工事士法」において、定義が異なっている。
電気工事士法に基づく「自家用電気工作物」とは、電気事業法に規定する自家用電気工作物から、発電所、変電所、( ア )の需要設備、( イ ){発電所相互間、変電所相互間又は発電所と変電所との間の電線路(専ら通信の用に供するものを除く。)及びこれに附属する開閉所その他の電気工作物をいう。}及び( ウ )を除いたものをいう。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 最大電力 500[kW]以上 | 送電線路 | 保安通信設備 |
(2) | 最大電力 500[kW]未満 | 配電線路 | 保安通信設備 |
(3) | 最大電力 2000[kW]以上 | 送電線路 | 小出力発電設備 |
(4) | 契約電力 500[kW]以上 | 配電線路 | 非常用予備発電設備 |
(5) | 契約電力 2000[kW]以上 | 送電線路 | 非常用予備発電設備 |
2010年(平成22年)問2 過去問解説
電気工事士法に基づく「自家用電気工作物」とは、電気事業法に規定する自家用電気工作物から、発電所、変電所、( 最大電力 500[kW]以上 )の需要設備、( 送電線路 ){発電所相互間、変電所相互間又は発電所と変電所との間の電線路(専ら通信の用に供するものを除く。)及びこれに附属する開閉所その他の電気工作物をいう。}及び( 保安通信設備 )を除いたものをいう。
答え (1)
2014年(平成26年)問3
電圧 6.6kVで受電し、最大電力 350kWの需要設備が設置された商業ビルがある。この商業ピルには出力 50kWの非常用予備発電装置も設置されている。
次の(1)~(5)の文章は、これら電気工作物に係る電気工事の作業(電気工事士法に基づき、保安上支障がないと認められる作業と規定されたものを除く。)に従事する者に関する記述である。
その記述内容として、「電気工事士法」に基づき、不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。なお、以下の記述の電気工事によって最大電力は変わらないものとする。
- 第一種電気工事士は、この商業ビルのすべての電気工作物について、それら電気工作物を変更する電気工事の作業に従事することができるわけではない。
- 第二種電気工事士は、この商業ビルの受電設備のうち低圧部分に限った電気工事の作業であっても従事してはならない。
- 非常用予備発電装置工事に係る特種電気工事資格者は、特殊電気工事を行える者であるため、第一種電気工事士免状の交付を受けていなくても、この商業ビルの非常用予備発電装置以外の電気工作物を変更する電気工事の作業に従事することができる。
- 認定電気工事従事者は、この商業ビルの需要設備のうち 600V 以下で使用する電気工作物に係る電気工事の作業に従事することができる。
- 電気工事士法に定める資格を持たない者は、この商業ビルの需要設備について、使用電圧が高圧の電気機器に接地線を取り付けるだけの作業であっても従事してはならない。
2014年(平成26年)問3 過去問解説
非常用予備発電装置の発電機に係る電気工事の作業は、特種電気工事資格者が必要です。
答え (3)
2014年(平成26年)問4
次の文章は、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に規定されている電気工事業者に関する記述である。
この法律において、「電気工事業」とは、電気工事士法に規定する電気工事を行う事業をいい、「( ア )電気工事業者」とは、経済産業大臣又は( イ )の( ア )を受けて電気工事業を営む者をいう。
また、「通知電気工事業者」とは、経済産業大臣又は( イ )に電気工事業の開始の通知を行って、( ウ )に規定する自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいう。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 承認 | 都道府県知事 | 電気工事士法 |
(2) | 許可 | 産業保安監督部長 | 電気事業法 |
(3) | 登録 | 都道府県知事 | 電気工事士法 |
(4) | 承認 | 産業保安監督部長 | 電気事業法 |
(5) | 登録 | 産業保安監督部長 | 電気工事士法 |
2014年(平成26年)問4 過去問解説
この法律において、「電気工事業」とは、電気工事士法に規定する電気工事を行う事業をいい、「( 登録 )電気工事業者」とは、経済産業大臣又は( 都道府県知事 )の( 登録 )を受けて電気工事業を営む者をいう。
また、「通知電気工事業者」とは、経済産業大臣又は( 都道府県知事 )に電気工事業の開始の通知を行って、( 電気工事士法 )に規定する自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいう。
答え (3)
2015年(平成27年)問2
次の文章は、「電気工事士法」及び「電気工事士法施行規則」に基づく、同法の目的、特殊電気工事及び簡易電気工事に関する記述である。
- この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の( ア )による( イ )の発生の防止に寄与することを目的とする。
- この法律における自家用電気工作物に係る電気工事のうち特殊電気工事(ネオン工事又は( ウ )をいう。)については、当該特殊電気工事に係る特種電気工事資格者認定証の交付を受けている者でなければ、その作業(特種電気工事資格者が従事する特殊電気工事の作業を補助する作業を除く。)に従事することができない。
- この法律における自家用電気工作物(電線路に係るものを除く。以下同じ。)に係る電気工事のうち電圧( エ )V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事については、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者は、その作業に従事することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | |
(1) | 不良 | 災害 | 内燃力発電装置設置工事 | 600 |
(2) | 不良 | 事故 | 内燃力発電装置設置工事 | 400 |
(3) | 欠陥 | 事故 | 非常用予備発電装置工事 | 400 |
(4) | 欠陥 | 災害 | 非常用予備発電装置工事 | 600 |
(5) | 欠陥 | 事故 | 内燃力発電装置設置工事 | 400 |
2015年(平成27年)問2 過去問解説
- この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の( 欠陥 )による( 災害 )の発生の防止に寄与することを目的とする。
- この法律における自家用電気工作物に係る電気工事のうち特殊電気工事(ネオン工事又は( 非常用予備発電装置工事 )をいう。)については、当該特殊電気工事に係る特種電気工事資格者認定証の交付を受けている者でなければ、その作業(特種電気工事資格者が従事する特殊電気工事の作業を補助する作業を除く。)に従事することができない。
- この法律における自家用電気工作物(電線路に係るものを除く。以下同じ。)に係る電気工事のうち電圧( 600 )V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事については、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者は、その作業に従事することができる。
答え (4)