絶縁材料と絶縁区分【電気設備】

電気設備

これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「絶縁材料と絶縁区分」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。

主な絶縁材料と性質

絶縁材料には、「気体絶縁材料」、「液体絶縁材料」、「個体絶縁材料」があります。それぞれの絶縁材料の種類と特徴について説明します。

気体絶縁材料

気体絶縁材料には「空気」と「六フッ化イオウ($SF_6$)ガス」が主に使われています。それぞれの気体絶縁材料の性質は次のとおりです。

空気

気体絶縁材料として最も多く利用されています。その絶縁強度は1気圧20 ℃の平等電界下において約30[kV/cm]です。この値は気圧が上昇すると増加し、温度が上昇すると低下します。空気が絶縁破壊するとオゾンや窒素酸化物が発生し、付近の絶縁物や金属を腐食します。

六フッ化イオウ(SF6)

常温では無色無臭の気体で、化学的・熱的に安定しており、その絶縁強度は1気圧20℃において空気の約2.1~2.4倍、熱伝導率も大きいです。$SF_6$は圧力を3~5気圧にするとその絶縁強度は空気の10倍程度になりますので、導体間の絶縁間隔を小さくすることができ、機器のコンパクト化が可能となります。$SF_6$は1気圧における沸点が-62 ℃と比較的高いので、寒冷地においてはガスの液化に留意することが必要です。

液体絶縁材料

気体絶縁材料には「絶縁用鉱油(絶縁油)」と「シリコンオイル(合成油)」が主に使われています。それぞれの液体絶縁材料の性質は次のとおりです。

絶縁用鉱油(絶縁油)

原油から分解精製して得られます。JISでは、粘度・流動点・体積抵抗率などの性状の差に応じて次の3種類を定めています。

  • 1号:油入コンデンサ、油入ケーブルなどに用いる
  • 2号:油入変圧器、油入遮断器などに用いる
  • 3号:厳寒地以外の場所の油入変圧器、油入遮断器に用いる

絶縁油の管理上、特に重要な事項は絶縁破壊電圧、全酸化および体積抵抗率で、次のようになります。

  • 絶縁破壊電圧:図1のように球ギャップ間に電圧を加えた場合30kV以上であること
  • 全酸化:絶縁油1gの酸性度を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の必要量mgをもってあらわし、0.02以下であること
  • 体積抵抗率:導体の抵抗率に相当するもので、絶縁油1号の場合は $10^{13}$ [Ωcm](80℃)、2号の場合は $5×10^{12}$ [Ωcm](80℃)以上であること
図1

シリコンオイル(合成油)

鉱油に比べ温度変化による粘度変化が小さく、難燃性で化学的に安定しています。誘電率 2.58、体積抵抗率 $7.9^{11}$ [Ωcm]で鉱油と大差がありませんが、誘電正接($tanδ$)著しく小さいのが特徴です。

個体絶縁材料

個体絶縁材料には無機系と有機系があります。それぞれの個体絶縁材料の性質は次のとおりです。

無機系個体絶縁材料の種類と用途

  • マイカ … 高電圧回転機のコイル絶縁、整流子絶縁体
  • ガラス … 電球、屋内用乾式変圧器の巻線絶縁体
  • 磁器 … 碍子、ブッシング
  • マグネシア … MIケーブルの絶縁体
  • アルミの酸化皮膜 … ケミカルコンデンサ

有機系個体絶縁材料の種類と用途

  • 紙 … ケーブル絶縁、コンデンサの誘電体、回転機巻線のスロット絶縁体
  • ゴム … 絶縁電線やケーブルの絶縁体
  • ビニル樹脂 … 絶縁電線やケーブルの絶縁体
  • ポリエチレン … 絶縁電線やケーブルの絶縁体
  • マイラ(テトロン) … 回転機巻線のスロット絶縁体、コンデンサ絶縁体
  • テフロン … 絶縁電線やケーブルの絶縁体、精密測器の絶縁体
  • ベークライト … 絶縁基板
  • メラミン樹脂 … エナメル線用の焼き付け絶縁ワニス
  • シリコン樹脂 … H種絶縁用ワニス

絶縁種別

絶縁物はその使用温度が高くなると劣化が促進されます。一般的には温度が10℃高くなると寿命が半減するといわれています。したがって、各種絶縁材料を最高使用温度の観点から、段階的に分類して絶縁種別としています。

Y種絶縁

最高許容温度90℃のもので、木綿・絹・紙などの材料で構成されています。ワニス類を含浸していなく、また油中に浸さないものをいいます。

A種絶縁

最高許容温度105℃のもので、Y種絶縁物をワニス類を含浸、または油中に浸したものをいいます。

E種絶縁

最高許容温度120℃のもので、エナメル線用ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などをいいます。

B種絶縁

最高許容温度130℃のもので、マイカ、ガラス繊維などの材料を接着材料と共に用いたものをいいます。

F種絶縁

最高許容温度155℃のもので、B種絶縁材料をシリコン・アルキッド樹脂などの接着材料と共に用いたものをいいます。

H種絶縁

最高許容温度180℃のもので、F種絶縁材料をシリコン樹脂と同等以上の接着材料と共に用いたものをいいます。

C種絶縁

マイカ、磁器などを単独で用いたもので最高許容温度は定められていません。

絶縁材料が使われている例

変圧器や電動機、開閉装置などで、絶縁材料がどのように使われているのかを説明します。

変圧器の絶縁種別の例

油入変圧器

油入変圧器のコイル絶縁は紙や綿が使用されています。さらに鉄心とコイル全体には絶縁と冷却の目的で油中に入れています。油入変圧器の絶縁種別はA種です。

モールド変圧器

コイル導体のまわりにエポキシ樹脂を高真空下で含浸させ、さらにその周りに機械的強度の高いエポキシ樹脂を注型して同時に熱硬化したもので、E種絶縁種別の変圧器です。モールド変圧器は屋内用として使用されています。

H種乾式変圧器

コイル絶縁にマイカやガラス繊維などの高耐熱性絶縁物を使用し、H種ワニスを含浸させたコイルになっています。絶縁種別はH種で、配電盤内に収納する変圧器に多く使われています。

電動機の絶縁種別の例

電動機として最も多く使われている誘導電動機を例にしますと、低圧ではE種またはF種絶縁が主流で、高圧ではB種またはF種絶縁が主流です。

ガス絶縁開閉装置

ガス絶縁開閉装置(Gas Insulation Switchgear)は、断路器、遮断器およびそれらを接続する導体を鉄やアルミニウム製の容器に収め、容器内部を3~5気圧の$SF_6$ガスで封入したものです。空気露出型に対して、設置面積が小さく、安全性や信頼性が高いのが特徴です。

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