接地抵抗の計算【電験3種-法規(施設管理)】

法規

電験3種の法規で出題される接地抵抗の計算について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

低圧電路地絡時の等価回路

 低圧電路で地絡が起こると、電動機などの金属製外箱に取り付けられた、D種接地に地絡電流が流れます。高圧から低圧に変電する変圧器の二次側巻線にはB種接地が施されていますので、地絡電流は大地を経由して、変圧器のB種接地を通り、変圧器に戻ります。

 このとき、地絡した電動機の外箱に誘導される電圧は、二次側電源電圧をB種接地の抵抗 $E_B$[Ω] とD種接地の抵抗 $E_D$[Ω]より分圧した値となります。地絡時の金属製外箱の対地電圧 $V_D$[V]は、

$V_D=\displaystyle \frac{ E_D }{E_B+E_D}×E$

で、求めることができます。

B種接地工事の接地抵抗値

 B種接地工事は、高圧または特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器の低圧側中性点の接地に適用されます。このB種接地工事の目的は、高圧または特別高圧電路と低圧電路が混触したとき、低圧電路の対地電圧が危険電圧まで上昇しないようにするためです。混触時の低圧側電位上昇の限度を150[V]以下として、接地抵抗値が決められています。尚、混触の際に高圧電路を1秒を超え2 秒以内に遮断すれば、低圧側電位上昇の限度を 300[V]以下、1秒以内に遮断すれば、600[V]以下としています。

遮断時間B種接地抵抗値
2秒以上$\displaystyle \frac{ 150 }{線路の1線地絡電流 }$[Ω]以下
1~2秒$\displaystyle \frac{ 300 }{線路の1線地絡電流 }$[Ω]以下
1秒以内$\displaystyle \frac{ 600 }{線路の1線地絡電流 }$[Ω]以下

1線地絡電流

 B種接地抵抗値を計算するには、1線地絡電流が必要です。1線地絡電流 $I$[A]は、次の式で求めることができます。

$I=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L-100 }{150 }+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L’-1 }{2 }$[A]

$I$ は、1線地絡電流(単位:[A]、小数点以下は切り上げ)
$V$ は、電路の公称電圧を1.1で除した電圧(単位:[kV])
$L$ は、同一母線に接続される高圧電路のケーブル以外の電路延長(単位:[km])
$L’$ は、同一母線に接続される高圧電路のケーブルの線路延長(単位:[km])

電験3種-法規(施設管理)過去問題

1999年(平成11年)問11

公称電圧6.6[kV]の変電所の母線に接続された三相3線式中性点非接地式の、こう長10[km]の架空配電線路(絶縁電線)3回線と、こう長3[km]の地中配電線路(ケーブル)2回線とがある。「電気設備技術基準の解釈」の記述に基づくと、これらの配電線路に接続される柱上変圧器の低圧側に施すB種接地工事の接地抵抗値は何オーム以下でなければならないか。正しい値を次の内から選べ。
ただし、高圧側電路の1線地絡電流の計算は次式によるものとし、また、変圧所引出口には高圧側の電路と低圧側の電路が混触した場合、1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を設けてあり、混触時における低圧側電路の対地電圧の上昇限度を600[V]まで許容できるものとする。

$I=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L-100 }{150 }+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L’-1 }{2 }$

$I$ は、1線地絡電流([A]を単位とし、小数点以下は切り上げとする。)
$V$ は、電路の公称電圧を1.1で除した電圧([kV]を単位とする。)
$L$ は、同一母線に接続される高圧架空電線路の電線延長([km]を単位とする。)
$L’$ は、同一母線に接続される高圧地中電線路の線路延長([km]を単位とする。)

(1)8 (2)30 (3)45 (4)60 (5)75

1999年(平成11年)問11 過去問解説

題意より

$V=\displaystyle \frac{ 6.6 }{1.1 }=6$ [kV]
$L=10km×3線×3回線=90$ [km]
$L’=3km×2回線=6$[km]

したがって、

$I=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ 6 }{3 }×90-100 }{150 }+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ 6 }{3 }×6-1 }{2 }=7.03$[A]

1線地絡電流 $I$ は小数点以下切り上げなので $8$[A]となります。

答え(1)

2000年(平成12年)問12

図のように、単相変圧器の低圧側電路に施設された使用電圧200[V]の金属製外箱を有する電動機がある。高圧電路の1線地絡電流を10[A]とし、変圧器の低圧側の中性点に施したB種接地工事$E_B$の接地抵抗値は、高低圧混触時に中性点の対地電位が150[V]になるような値とする。
また、電動機の端子付近で1線の充電部が金属製外箱に接触して完全地絡状態となった場合を想定し、当該外箱の対地電位が25[V]以下となるようにD種接地工事$E_D$を施設する。この場合、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a)$E_B$の接地抵抗値[Ω]として、正しいのは次のうちどれか。

(1)5 (2)10 (3)15 (4)30 (5)60

(b)$E_D$の接地抵抗の最大値[Ω]として、正しいのは次のうちどれか。

(1)5 (2)10 (3)30 (4)50 (5)100

2000年(平成12年)問12 過去問解説

(a)B種接地工事は、変圧器内部の高低圧混触事故時に低圧側の電圧が上昇しないように施設します。高圧電路の1線地絡電流を10[A]とし、B種接地工事$E_B$の接地抵抗値は、高低圧混触時に中性点の対地電位が150[V]になるような値とするとありますので、

$E_B=\displaystyle \frac{ 150 }{10 }=15$[Ω]

(b)電動機の完全地絡状態時の地絡電流を $I$[A]とすると、

$I=\displaystyle \frac{ 100 }{E_B+E_D }=\displaystyle \frac{ 100 }{15+E_D}$

電動機の金属製外箱の対地電圧を $V$[V] とすると、

$V=I×E_D=\displaystyle \frac{ 100 }{15+E_D}×E_D$

対地電位 $V$[V] が25[V]以下となるには、

$V=\displaystyle \frac{ 100 }{15+E_D}×E_D<25$

$100E_D<25(15+E_D)$

$4E_D<15+E_D$

$E_D<5$[Ω]

答え(a)-(3)、(b)-(1)

2004年(平成16年)問13

変圧器によって高圧電路に結合されている使用電圧100[V]の低圧電路がある。この変圧器のB種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された電動機の金属製外箱のD種接地抵抗値に関して、次の(a)及び(b)に答えよ。 ただし、次の条件によるものとする。
(ア)高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150[V]を超えた場合に、1秒以内で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられている。
(イ)変圧器の高圧側電路の1線地絡電流は8[A]とする。

(a)変圧器の低圧側に施されたB種接地工事の接地抵抗値について、「電気設備技術基準の解釈」で許可される最高限度値[Ω]の値として、正しいものは次のうちどれか。

(1)18.7 (2)37.5 (3)56.2 (4)75.0 (5)81.1

(b)電動機の完全地絡事故が発生した場合、電動機の金属製外箱の対地電位が30[V]を超えないようにするために、この金属製外箱に施すD種接地工事の最高限度値[Ω]の値として、最も近いのはつぎのうちどれか。
ただし、B種接地工事の接地抵抗値は、上記(a)で求めた最高限度値[Ω]に等しい値とする。

(1)3.75 (2)5.00 (3)25.0 (4)30.0 (5)32.1

2004年(平成16年)問13 過去問解説

(a)B種接地工事で、1秒以内に遮断される場合の最高電圧は600[V]です。B種接地工事の接地抵抗値を $E_B$[Ω]とすると、変圧器の高圧側電路の1線地絡電流は8[A] なので、

$E_B=\displaystyle \frac{ 600 }{8 }=75$[Ω]

(b)電動機の金属製外箱の対地電圧を $V$[V]、金属製外箱のD種接地工事 $E_D$[Ω]とすると、

$V=I×E_D=\displaystyle \frac{ 100 }{75+E_D}×E_D$

対地電位 $V$[V] が30[V]以下となるには、

$V=\displaystyle \frac{ 100 }{75+E_D}×E_D<30$

$100E_D<30(75+E_D)$

$10E_D<225+3E_D$

$E_D<32.1$[Ω]

答え(a)-(4)、(b)-(5)

2006年(平成18年)問11

6.6[kV]の中性点非接地式高圧配電線路に、総容量750[kVA]の変圧器(二次側が低圧)が接続されている。高低圧が混触した場合、低圧側の対地電圧をある値以下に抑制するために、変圧器の二次側にB種接地工事を施すが、この接地工事に関して「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、高圧配電線路の電源側変電所において、当該配電線路及びこれと同一母線に接続された配電線路はすべて三相3線式で、当該配電線路を含めた回線数の合計は7回線である。その内訳は、こう長15[km]の架空配電線路(絶縁電線)が2回線、こう長10[km]の架空配電線路(絶縁電線)が3回線及びこう長4.5[km]の地中配電線路(ケーブル)が2回線とする。
なお、高圧配電線路の1線地絡電流は次式によって求めるものとする。

$I=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L-100 }{150 }+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L’-1 }{2 }$

$I$ は、1線地絡電流([A]を単位とし、小数点以下は切り上げる。)
$V$ は、配電線路の公称電圧を1.1で除した電圧([kV]を単位とする。)
$L$ は、同一母線に接続される架空配電線路の電線延長([km]を単位とする。)
$L’$ は、同一母線に接続される地中配電線路の線路延長([km]を単位とする。)

(a)高圧配電線路の1線地絡電流の値[A]として、正しいのはどれか。

(1)10 (2)12 (3)13 (4)21 (5)30

(b)このとき、これらの変圧器に施すB種接地工事の接地抵抗の値[Ω]は何オーム以下でなければならないか。正しい値を次のうちから選べ。
ただし、変電所引出口らは高圧側の電路と低圧側の電路が混触したとき、1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

(1)12.5 (2)25 (3)40 (4)50 (5)75

2006年(平成18年)問11 過去問解説

題意より

$V=\displaystyle \frac{ 6.6 }{1.1 }=6$ [kV]
$L=15km×3線×2回線+10km×3線×3回線=180$ [km]
$L’=4.5km×2回線=9$[km]

したがって、

$I=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ 6 }{3 }×180-100 }{150 }+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ 6 }{3 }×9-1 }{2 }=11.23$[A]

1線地絡電流 $I$ は小数点以下切り上げなので $12$[A]となります。

(b)B種接地工事で、1秒以内に遮断される場合の最高電圧は600[V]です。B種接地工事の接地抵抗値を $E_B$[Ω]とすると、高圧配電線路の1線地絡電流は12[A] なので、

$E_B=\displaystyle \frac{ 600 }{12 }<50$[Ω]

答え(a)-(2)、(b)-(4)

2010年(平成22年)問12

変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧 100 [V] の金属製外箱を有する空調機がある。この変圧器の B 種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された空調機の金属製外箱の D 種接地抵抗値に関して、次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、次の条件によるものとする。
(ア)変圧器の高圧側電路の 1 線地絡電流は 5 [A] で、B 種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」 で許容されている最高限度の$\displaystyle \frac{ 1 }{3 }$に維持されている。
(イ)変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が 150 [V] を超えた場合に、0.8 秒で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている。

(a)変圧器の低圧側に施された B 種接地工事の接地抵抗値 [Ω] の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)10 (2)20 (3)30 (4)40 (5)50

(b) 空調機に地絡事故が発生した場合、空調機の金属製外箱に触れた人体に流れる電流を 10[mA]以下としたい。このための空調機の金属製外箱に施す D 種接地工事の接地抵抗値 [Ω] の上限値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、 人体の電気抵抗値は 6000[Ω] とする。 

(1)10 (2)15 (3)20 (4)30 (5)60

2010年(平成22年)問12 過去問解説

(a)B種接地工事で、1秒以内に遮断される場合の最高電圧は600[V]です。B種接地工事の接地抵抗値を $E_B$[Ω]とすると、変圧器の高圧側電路の1線地絡電流は5[A] なので、

$E_B=\displaystyle \frac{ 600 }{5 }=120$[Ω]

B 種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」 で許容されている最高限度の$\displaystyle \frac{ 1 }{3 }$に維持されているので、

$E_B=120×\displaystyle \frac{ 1 }{3 }=40$[Ω]

(b)空調機の金属製外箱の対地電圧を $V$[V]、金属製外箱のD種接地工事 $E_D$[Ω]、とすると、人体の電気抵抗値を $R= 6000$[Ω]とすると、図のように考えることができます。

図より

$V=RI_2=6000×0.01=60$[V]
$I=\displaystyle \frac{ E-V }{E_B}=\displaystyle \frac{100-60 }{40}=1$[A]
$I_1=I-I_2=1-0.01=0.99$[A]
$E_D=\displaystyle \frac{ V }{I_1}=\displaystyle \frac{ 60 }{0.99}≒60.6$[Ω]

答え(a)-(4)、(b)-(5)

2012年(平成24年)問10

公称電圧 6600 [V] の三相 3 線式中性点非接地方式の架空配電線路(電線はケーブル以外を使用)があり、そのこう長は 20 [km] である。この配電線路に接続される柱状変圧器の低圧電路側に施設される B 種接地工事の接地抵抗値 [Ω] の上限として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、高圧電路と低圧電路の混触により低圧電路の対地電圧が 150 [V] を超えた場合に、 1 秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を施設しているものとする。
なお、高圧配電線路の 1 線地絡電流 $I_1$ [A] は、次式によって求めるものとする。

$I_1=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L-100 }{150 }$

$V$ は、配電線路の公称電圧を 1.1 で除した電圧 [kV]
$L$ は、同一母線に接続される架空配電線路の電線延長 [km]

(1)75 (2)150 (3)225 (4)300 (5)600

2012年(平成24年)問10 過去問解説

題意より

$V=\displaystyle \frac{ 6.6 }{1.1 }=6$ [kV]
$L=20km×3線=60$ [km]

したがって、

$I_1=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ V }{3 }L-100 }{150 }=1+\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ 6 }{3 }×60-100 }{150 }=1.133$

1線地絡電流 $I$ は小数点以下切り上げなので $2$[A]となります。B種接地工事で、1秒以内に遮断される場合の最高電圧は600[V]です。B種接地工事の接地抵抗値を $E_B$[Ω]とすると、

$E_B=\displaystyle \frac{ 600 }{2 }=300$[Ω]

答え(4)

2013年(平成25年)問13

変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧 100 [V] の金属製外箱を有する電動ポンプがある。この変圧器の B 種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された電動ポンプの金属製外箱の D 種接地抵抗値に関して、次の(a)及び (b)の問に答えよ。
ただし、次の条件によるものとする。
(ア)変圧器の高圧側電路の 1 線地電流は 3 [A] とする。
(イ)高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が 150 [V] を超えた場合に、1.2 秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられている。

(a)変圧器の低圧側に施された B 種接地工事の接地抵抗値について、「電気設備技術基準の解釈」 で許容されている上限の抵抗値 [Ω] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)10 (2)25 (3)50 (4)75 (5)100

(b) 電動ポンプに完全地絡事故が発生した場合、電動ポンプの金属製外箱の対地電圧を 25 [V] 以下としたい。このための電動ポンプの金属製外箱に施す D 種接地工事の接地抵抗値 [Ω] の上限値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、 B 種接地抵抗値は、上記 (a)で求めた値を使用する。 

(1)15 (2)20 (3)25 (4)30 (5)35

2013年(平成25年)問13 過去問解説

(a)B種接地工事で、1秒以内に遮断される場合の最高電圧は300[V]です。B種接地工事の接地抵抗値を $E_B$[Ω]とすると、変圧器の高圧側電路の1線地絡電流は3[A] なので、

$E_B=\displaystyle \frac{ 300 }{3 }=100$[Ω]

(b)電動ポンプの金属製外箱の対地電圧を $V$[V]、金属製外箱のD種接地工事 $E_D$[Ω]とすると、

$V=I×E_D=\displaystyle \frac{ 100 }{100+E_D}×E_D$

対地電位 $V$[V] が25[V]以下となるには、

$V=\displaystyle \frac{ 100 }{100+E_D}×E_D<25$

$100E_D<25(100+E_D)$

$4E_D<100+E_D$

$E_D<33.3$[Ω]

答え(a)-(5)、(b)-(4)

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