これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「電動機を制御する機器と役割」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。
電気用図記号とは
電動機を制御するに必要な機器として、押しボタンスイッチ、電磁リレー、電磁接触器、サーマルリレー、タイマ、表示灯などがありますが、これら機器の動作原理と電気用図記号について説明します。電気用図記号というのは、機器を図面に表わすときに用いるもので、機器の機構関係を省略し、電気回路の一部の要素を簡略化して、その動作状態がすぐ理解できるようにしたもので、通称シンボルといいます。
ボタンスイッチの動作原理と図記号
ボタンスイッチとは、ボタンを押している間だけ、接点が開または閉となり、ボタンから手を放すとスイッチの内部にあるばねの力でもとにもどる制御用操作スイッチをいいます。
ボタンスイッチのc接点とは、第1図のように、ボタンを指で押さない状態で、固定接点と可動接点とが閉路しているb接点部と、固定接点と可動接点とが放れて開路しているa接点部とからなります。また、ボタンを指で押すと、b接点部は開路し、a接点部は閉路します。
電磁リレーの動作原理と図記号
電磁リレーとは、電磁コイルに電流を流すと、電磁力によって接点が開閉し、電磁コイルの電流を切ると、復帰ばねの力により、もとに戻るものをいいます。
電磁リレーのc接点とは、第2図のように、電磁コイルに電流が流れない状態で、固定接点と可動接点とが、閉路しているb接点部と、固定接点と可動接点とが、開路しているa接点部とからなります。また、電磁コイルに電流を流すと、b接点部は開路し、 a接点部は閉路します。
電磁接触器の動作原理と図記号
電磁接触器は、電磁リレーと動作原理を同じくしますが、開閉する回路の電力が大きい電力回路に用いられます。電磁コイルに電流が流れると第3図のように、固定鉄心が電磁石となり、可動鉄心を吸引し、これに連動して主接点および補助接点の開閉が行われます。
電動機を制御する各種機器の特徴と役割
電動機を制御するに必要な機器を,実際面からその機能と役割を説明します。
配線用しゃ断器の役割
配線用しゃ断器は、低圧屋内配線から分岐して、電動機に電力を供給するための分岐開閉器あるいは手元開閉器として、電源電圧の開閉に用いられます(第4図)。
配線用しゃ断器は、電動機回路の負荷電流の開閉はもとより、過負荷および短絡などの事故の場合にも、自動的にしゃ断するようになっています。
ボタンスイッチの役割
ボタンスイッチは、電動機に始動および停止の信号を与えるためのものです。一般に、始動信号用としては、ボタンスイッチのa接点を用いて、押すことにより電磁接触器のコイルに通電し動作させ、また、停止信号用としては、b接点を用いて、押すことにより電磁接触器のコイルの通電を切り復帰させるようにします(第5図)。
電磁リレーの役割
電磁リレーは、ボタンスイッチなどの開閉信号により、動作・復帰して、電磁接触器に制御信号を送るはたらきをします。一般に、電磁リレーは、与えられた入力信号を新たな出力信号に変換する一種の信号中継要素として用いられています。制御回路には、小形化されたミニチュアリレーが多く用いられています(第6図)。
電磁接触器の役割
電磁接触器は、電動機主回路の電流を遠方操作により、開閉することによって、電動機を始動・停止するはたらきをするとともに、その補助接点により、表示灯回路のランプを点滅して、運転表示を行います。
また、電磁接触器は、電動機を運転・停止する開閉器ですから、電動機の始動電流を投入およびしゃ断ができ、多数回の始動・停止に耐える充分な寿命のあるものを用いる必要があります(第7図)。
表示灯の役割
表示灯は、電動機の運転・停止状態を、その点滅によって表示するためのものです(第8図)。