第二種電気工事士の筆記試験に初心者の方でも簡単に独学で合格する勉強方法を紹介しています。第二種電気工事士の筆記試験は、過去問から繰り返し出題されていますので、出題分野毎に過去問をまとめて解くことで、効果的な勉強方法となります。このページでは、点検の方法「絶縁抵抗測定と接地抵抗測定の方法」について、解説しています。
点検の方法:第二種電気工事士 過去問
(財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士の筆記試験に出題された問題です。
絶縁抵抗の測定
電路や大地間や電線相互間は、電気的に絶縁が保たれなければなりません。電気設備技術基準では、開閉器や遮断器で区切ることのできる低圧電路の絶縁抵抗値が定められています。
絶縁抵抗値の測定には、絶縁抵抗計(メガー)が使用されます。測定によって、電気配線や電気機器の絶縁不良を発見し、火災や感電を防止します。
絶縁抵抗計(電池内蔵)
電池内蔵型の絶縁抵抗計には、アナログ形とディジタル形があります。使用する前には、電池の残量を確認する必要があります。また、正確に測定するためには、測定回路に電源電圧が加わっていない(無電圧)の状態にして、定格測定電圧(出力電圧)は直流電圧で測定します。定格測定電圧を守らなければ機器が破損する恐れがあります。
電線と大地間の絶縁抵抗測定方法
- スイッチは閉じる
- ランプは取り付ける
- 電気機器はコンセントに取り付ける
- 絶縁抵抗計のL端子は電線に、E端子は接地線にあてて測定する
電線相互間の絶縁抵抗測定
- スイッチは閉じる
- ランプは取り付はずす
- 電気機器はコンセントから取りはずす
- 絶縁抵抗計のL端子とE端子を電線相互間にあてて測定する
低圧三相誘導電動機と大地間の絶縁抵抗測定
- 絶縁抵抗計のL端子は電動機の口出し線に、E端子は接地線にあてて測定する
屋内配線の絶縁抵抗値
屋内の低圧電路は、技術基準により分岐回路ごとに所定の絶縁抵抗値を維持していることが必要です。
漏えい電流による絶縁性能の確認
定期検査などで、分岐回路が停電できないなど絶縁抵抗測定が困難な場合、使用電圧が加わった状態で漏えい電流により絶縁性能を確認することができます。
漏えい電流は、クランプ形電流計で測定します。絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値 1[mA] です。
接地抵抗の測定
電気機器の金属製外箱を小さな抵抗値で大地と接続していれば、電気機器から漏電した場合、電流が地面に流れ、人が触れた場合でも感電の危険を少なくすることができます。また、漏電遮断器を確実に動作させることができます。このように、大地と接続することを接地といい、低圧機器に施設する場合は、C種接地工事とD種接地工事があります。
接地抵抗計
接地抵抗は接地抵抗計(アーステスタ)で測定をします。電池内蔵型の接地抵抗計には、アナログ形とディジタル形があります。使用する前には、電池の残量を確認する必要があります。また、正確に測定するためには、地電圧(E-P間の電圧)が基準値以下かどうかを確認します。定格測定電圧(出力電圧)は交流電圧で測定します。
接地抵抗計には、補助接地棒と接続用の電線が3本付属しています。接地極 E と補助接地極 P,C が EPC の順に、ほぼ一直線になるように配置し、間隔は10m程度にします。
接地抵抗の測定方法
- 接地抵抗計の電池容量が正常であることを確認
- 端子間を短絡し,指示計の零点の調整する
- 補助極を適正な位置に配置する
- 接地極の地電圧が許容値以下であることを確認
- 接地抵抗を測定する
接地抵抗値
接地抵抗値は、技術基準により定められた値を維持していることが必要です。
工事種別 | 接地抵抗値 |
---|---|
C種接地工事 | 10Ω以下 |
D種接地工事 | 100Ω以下 |
ただし、C種接地工事,D種接地工事とも、低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω以下にすることができます。
点検の方法:第二種電気工事士 過去問
(財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士の筆記試験に出題された問題です。
測定器の名称
写真に示す測定器の名称は。
- 絶縁抵抗計
- 漏れ電流計
- 接地抵抗計
- 検相器
絶縁抵抗計です。
答え(イ)
測定器の名称
写真に示す測定器の用途は。
- 接地抵抗の測定に用いる。
- 絶縁抵抗の測定に用いる。
- 電気回路の電圧の測定に用いる。
- 周波数の測定に用いる。
接地抵抗計です。補助接地棒2本とリード線がついている。
答え(イ)
絶縁抵抗計(電池内蔵)
絶縁抵抗計(電池内蔵)に関する記述として,誤っているものは。
- 絶縁抵抗計には,ディジタル形と指針形(アナログ形)がある。
- 絶縁抵抗計の定格測定電圧(出力電圧)は,交流電圧である。
- 絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
- 電子機器が接続された回路の絶縁測定を行う場合は,機器等を損傷させない適正な定格測定電圧を選定する。
絶縁抵抗計の定格測定電圧(出力電圧)は,直流電圧です。
答え(ロ)
絶縁抵抗を測定する方法
分岐開閉器を開放して負荷を電源から完全に分離し,その負荷側の低圧屋内電路と大地間の絶縁抵抗を一括測定する方法として,適切なものは。
- 負荷側の点滅器をすべて「切」にして,常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたままで測定する。
- 負荷側の点滅器をすべて「切」にして,常時配線に接続されている負荷は,すべて取り外して測定する。
- 負荷側の点滅器をすべて「入」にして,常時配線に接続されている負荷は,使用状態にしたままで測定する。
- 負荷側の点滅器をすべて「入」にして,常時配線に接続されている負荷は,すべて取り外して測定する。
電線と大地間の絶縁抵抗測定方法は次のとおりです。
- スイッチは閉じる
- ランプは取り付ける
- 電気機器はコンセントに取り付ける
- 絶縁抵抗計のL端子は電線に、E端子は接地線にあてて測定する
答え(ハ)
絶縁抵抗を測定する方法
アナログ形絶縁抵抗計(電池内蔵)を用いた絶縁抵抗測定に関する記述として,誤っているものは。
- 絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
- 絶縁抵抗測定の前には,絶縁抵抗測定のレンジに切り替え,測定モードにし,接地端子(E:アース)と線路端子(L:ライン)を短絡し零点を指示することを確認する。
- 被測定回路に電源電圧が加わっている状態で測定する。
- 電子機器が接続された回路の絶縁測定を行う場合は,機器等を損傷させない適正な定格測定電圧を選定する。
絶縁抵抗測定は,被測定回路に電源電圧が加わっていない状態で測定しなければなりません。
答え(ハ)
絶縁抵抗を測定する方法
絶縁抵抗計を用いて,低圧三相誘導電動機と大地間の絶縁抵抗を測定する方法として,適切なものは。
ただし,絶縁抵抗計の L は線路端子(ライン),E は接地端子(アース)を示す。
絶縁抵抗計のL端子は電動機の口出し線に、E端子は接地線にあてて測定します。
答え(ハ)
接地抵抗計(電池式)
接地抵抗計(電池式)に関する記述として,誤っているものは。
- 接地抵抗計には,ディジタル形と指針形(アナログ形)がある。
- 接地抵抗計の出力端子における電圧は,直流電圧である。
- 接地抵抗測定の前には,接地抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
- 接地抵抗測定の前には,地電圧が許容値以下であることを確認する。
接地抵抗計の出力端子における電圧は,交流電圧です。
答え(ロ)
接地抵抗計(電池式)
接地抵抗計(電池式)に関する記述として,誤っているものは。
- 接地抵抗測定の前には,接地抵抗計の電池容量が正常であることを確認する。
- 接地抵抗測定の前には,端子間を開放して測定し,指示計の零点の調整をする。
- 接地抵抗測定の前には,接地極の地電圧が許容値以下であることを確認する。
- 接地抵抗測定の前には,補助極を適正な位置に配置することが必要である。
接地抵抗測定の前には,端子間を短絡して測定し,指示計の零点の調整します。
答え(ロ)
接地抵抗の測定
直読式接地抵抗計を用いて,接地抵抗を測定する場合,被測定接地極 E に対する,2 つの補助接地極 P (電圧用)及び C (電流用)の配置として,最も適切なものは。
接地極 E より 10 m 離れた場所に補助接地極(電圧極) P を打ち込み,さらに 10 m 離れた場所に補助接地極(電流極) C を打ち込みます。
答え(ハ)
接地抵抗の測定
直読式接地抵抗計(アーステスタ)を使用して直読で接地抵抗を測定する場合、補助接地極(2箇所)の配置として、適切なものは。
- 被測定接地極を端とし、一直線上に2箇所の補助接地極を順次1m程度離して配置する。
- 被測定接地極を中央にして、左右一直線上に補助接地極を5m程度離して配置する。
- 被測定接地極を端とし、一直線上に2箇所の補助接地極を順次10m程度離して配置する。
- 被測定接地極と2箇所の補助接地極を相互に5m程度離して正三角形に配置する。
接地抵抗の測定方法は、被測定接地極から10m離れた位置に1つ目の補助設置極を、さらに一直線上の10m程度離れた位置に2つ目の補助設置極を打ち込みます。
答え(ハ)
絶縁抵抗値
単相 3 線式 100 / 200 V の屋内配線において,開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとの絶縁抵抗の最小値として,「電気設備に関する技術基準を定める省令」に規定されている値 [MΩ] の組合せで,正しいものは。
- 電路と大地間 0.2,電線相互間 0.4
- 電路と大地間 0.2,電線相互間 0.2
- 電路と大地間 0.1,電線相互間 0.2
- 電路と大地間 0.1,電線相互間 0.1
答え(二)
絶縁抵抗値
低圧屋内配線の電路と大地間の絶縁抵抗を測定した。「電気設備に関する技術基準を定める省令」に適合していないものは。
- 単相 3 線式 100/200 V の使用電圧 200 [V] 電動機回路の絶縁抵抗を測定したところ,0.12 [MΩ] であった。
- 三相 3 線式の使用電圧 200 [V](対地電圧 200 [V])電動機回路の絶縁抵抗を測定したところ,0.18 [MΩ] であった。
- 単相 2 線式の使用電圧 100 [V] 低圧屋内配線の絶縁抵抗を,分電盤で各回路を一括して測定したところ,1.2 [MΩ] であったので個別分岐回路の測定を省略した。
- 単相 2 線式の使用電圧 100 [V] 電灯分岐回路の絶縁抵抗を測定したところ,2.1 [MΩ] であった。
電路の使用電圧の区分が対地電圧 150 [V]より大きく,300 [V] 以下の場合,絶縁抵抗値は 0.2 [MΩ] 以上でなければなりません。
答え(ロ)
絶縁抵抗値
次表は,電気使用場所の開閉器又は過電流遮断器で区切られる低圧電路の使用電圧と電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗の最小値についての表である。
A・B・C の空欄にあてはまる数値の組合せとして,正しいものは。
- A 0.1,B 0.2,C 0.4
- A 0.1,B 0.3,C 0.5
- A 0.2,B 0.3,C 0.4
- A 0.2,B 0.4,C 0.6
答え(イ)
漏えい電流による絶縁性能の確認
使用電圧が低圧の電路において,絶縁抵抗測定が困難であったため,使用電圧が加わった状態で漏えい電流により絶縁性能を確認した。「電気設備の技術基準の解釈」に定める,絶縁性能を有していると判断できる漏えい電流の最大値 [mA] は。
- 0.1
- 0.2
- 1
- 2
絶縁抵抗測定が困難な場合においては,当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流は,1mA 以下です。
答え(ハ)
接地工事の種類及び施設方法
工場の三相 200 [V] 三相誘導電動機の鉄台に施設した接地工事の接地抵抗値を測定し,接地線(軟銅線)の太さを検査した。「電気設備の技術基準の解釈」に適合する接地抵抗値 [Ω] と接地線の太さ(直径 [mm])の組合せで,適切なものは。
ただし,電路に施設された漏電遮断器の動作時間は,0.1 秒とする。
- 100 [Ω],1.0 [mm]
- 200 [Ω],1.2 [mm]
- 300 [Ω],1.6 [mm]
- 600 [Ω],2.0 [mm]
300 [V] 以下ですので,D種接地が該当します。また,電路に施設された漏電遮断器の動作時間は,0.1 秒なので接地抵抗値は 500 [Ω]以下となります。また,C種接地およびD種接地に用いる接地線は直径 1.6 mm以上の軟銅線を用いなければなりません。
答え(ハ)
絶縁抵抗と接地抵抗値
次の空欄 (A),(B) 及び (C) に当てはまる組合せとして,正しいものは。
使用電圧が 300 V を超える低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は区切ることのできる電路ごとに (A) [MΩ] 以上でなければならない。また,当該電路に施設する機械器具の金属製の台及び外箱には (B) 接地工事を施し,接地抵抗値は (C) [Ω] 以下に施設することが必要である。
ただし,当該電路に施設された地絡遮断装置の動作時間は 0.5 秒を超えるものとする。
- (A) 0.4,(B) C 種,(C) 10
- (A) 0.4,(B) C 種,(C) 500
- (A) 0.2,(B) D 種,(C) 100
- (A) 0.4,(B) D 種,(C) 500
300 [V] を超えるので,C種接地が該当します。C 種接地工事の接地抵抗値は,10 Ω以下です。ただし、低圧電路において,地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは,500 Ω以下にすることができます。
答え(イ)
絶縁抵抗と接地抵抗値
工場の 200 V 三相誘導電動機(対地電圧 200 V)への配線の絶縁抵抗値 [MΩ] 及びこの電動機の鉄台の接地抵抗値 [Ω] を測定した。電気設備技術基準等に適合する測定値の組合せとして,適切なものは。
ただし,200 V 電路に施設された漏電遮断器の動作時間は 0.1 秒とする。
- 0.2 MΩ,300 Ω
- 0.4 MΩ,600 Ω
- 0.1 MΩ,200 Ω
- 0.1 MΩ,50 Ω
絶縁抵抗値は 0.2 MΩ 以上,接地抵抗値は 500 Ω 以下になります。
答え(イ)
絶縁抵抗と接地抵抗値
使用電圧 100 V の低圧電路に,地絡が生じた場合 0.1 秒で自動的に電路を遮断する装置が施してある。この電路の屋外に D 種接地工事が必要な自動販売機がある。その接地抵抗値 a [Ω] と電路の絶縁抵抗値 b [MΩ] の組合せとして,「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「電気設備の技術基準の解釈」に適合していないものは。
- a = 600,b = 2.0
- a = 500,b = 1.0
- a = 100,b = 0.2
- a = 10,b = 0.1
絶縁抵抗値は 0.1 MΩ 以上,接地抵抗値は 500 Ω 以下になります。したがって(イ)が適合していません。
答え(イ)
絶縁抵抗と接地抵抗値
工場の 200 [V] 三相誘導電動機(対地電圧 200 [V])への配線の絶縁抵抗値 [MΩ] 及びこの電動機の鉄台の接地抵抗値 [Ω] を測定した。電気設備技術基準等に適合する測定値の組合せとして,適切なものは。
ただし,200 [V] 電路に施設された漏電遮断器の動作時間は 0.1 秒とする。
- 0.1 [MΩ], 50 [Ω]
- 0.4 [MΩ],600 [Ω]
- 0.1 [MΩ],200 [Ω]
- 0.2 [MΩ],300 [Ω]
絶縁抵抗値は 0.2 MΩ 以上,接地抵抗値は 500 Ω 以下になります。
答え(二)