電動機を保護する方法【電気設備】

電気設備

これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「電動機を保護する方法」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。

電動機の保護

電動機の故障は、相手機械や装置を停止させるだけでなく、ときには電源系統にまで影響を及ぼすことがあります。電動機の保護装置は、異常状態を検出し、事故の発生を未然に防止するとともに、もし事故発生の場合は、これの拡大を防止するために設けられます。電動機を含めての電動機回路全体からみた保護目的をあげると、次のようになります。

短絡保護

電動機の主回路または巻線が短絡すると、電源電圧、回路インピーダンスおよびその系統につながる電動機の発電作用により決まる大きな短絡電流が流れますので、電動機巻線の事故拡大、電源装置への事故波及の防止に、急速に回路をしゃ断する必要があります。

電動機の短絡保護としては、一般に配線用しゃ断器が用いられています。配線用しゃ断器の引きはずし方式には、完全電磁式と熱動電磁式とがあり、過負荷時には、前者は油で制動されたプランジャ、後者はバイメタルの動作により限時に引きはずしを行い、短絡時にはいずれも可動鉄片の動作により瞬時引きはずしを行います。第1図は、配線用しゃ断器の電磁引きはずし方式の原理を示したものです。

配線用しゃ断器の引外し方式
第1図 配線用しゃ断器の引外し方式〔例〕

過負荷保護

電動機が過負荷になり、入力電流が定格値をこえる状態で運転を続けると、巻線温度はじだいに上昇し、ついに規定の温度上昇限度をこえ絶縁材料の劣化が促進され、さらには、焼損や短絡事故へと拡大するおそれがあります。

過負荷に対する保護方式には、電流検出方式と温度検出方式とがあります。電流検出方式としては、第2図のような誘導形過電流継電器やサーマルリレーなどがあります。また、温度検出方式としては、電動機巻線にサーミスタなどの感熱素子を取付け、その温度を直接検出して、電動機外部で増幅制御する方式をいいます。

誘導形過電流継電器
第2図 誘導形過電流継電器〔例〕

欠相・反相保護

電動機の欠相は、始動開閉器の故障や誤操作あるいはケーブル断線、接触不良などによりおこります。欠相状態で始動開閉器を閉路しても、電動機は始動せず、定格電流の4~ 5倍の電流が2相に流れ、また、電動機が運転中に欠相し、運転を継続する場合は、3相健全時の2倍ぐらいの電流が2相に流れます。

電動機の入力電源の相回転が逆になると、電動機は逆転します。これに対する保護を反相保護といいます。反相保護は、電動機の保護というより、相手機械の逆転による故障あるいは危険防止を目的としています。

電動機の欠相・反相および過負荷保護と三つの保護を行うものとして、一般に3Eリレーが用いられています。

サーマルリレーの選び方

サーマルリレーは、電磁開閉器として第3図のように、電磁接触器と組み合わせて使用され、電動機の過負荷保護装置として、最も多く普及しています。

過電流保護としてのサーマルリレー
第3図 過電流保護としてのサーマルリレー

サーマルリレーは、第4図のようにヒータとバイメタルからなるヒートエレメントと速切接点機構より構成され、一般に3相のうち2相にヒータが設けられています。電動機の電流は、ヒータに流れ、この部分の温度を上昇させ、熱伝導によリバイメタルを加熱して、わん曲させます。このわん曲量が大きいと、押し板を介して、速切接点機構を動作させます。

サーマルリレーのしくみ
第4図 サーマルリレーのしくみ

サーマルリレーは、電動機の全負荷電流に一致したヒータ定格電流のものを使用します。サーマルリレーには、調整つまみがあるので、電動機の全負荷電流そのものの値がないときは、この調整つまみで調整します。サーマルリレーの動作特性は、第5図のように電動機の熱特性に近似させることが必要です。

電動機の熱特性と保護特性
第5図 電動機の熱特性と保護特性

3相の欠相時に1相の電流が零になることを利用して、欠相検出し欠相保護をするとともに、過電流保護の二つを目的としたのを、2E式サーマルリレーといいます。

電動機の過負荷・短絡保護回路

電動機の短絡保護に配線用しゃ断器を用い、過負荷保護にサーマルリレーを用いた保護回路の1例を示したのが、第6図です。

電動機の過負荷・短絡保護回路
第6図 電動機の過負荷・短絡保護回路〔例〕

電動機回路が、短絡事故となると、短絡電流が配線用しゃ断器MCBの引外しコイルに流れると、瞬時に可動鉄片が吸引され、しゃ断動作をし、電動機を電源から切り放します。

電動機回路が、過負荷となると、サーマルリレーのヒータTHRが加熱して、バイメタルをわん曲し、速切接点(b接点)THRを動作させて開路します。したがって、電磁接触器のコイルMCに電流が流れず、復帰するので、主接点MCが開いて、電源から電動機を切り放します。

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