保護継電器の役割と動作機構【電気設備】

電気設備

これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「保護継電器の役割と動作機構」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。

保護継電器の役割

ビルや工場の需要家における受変電設備の重要性は大きく、設備規模の増大と需要家内の各設備の電気への依存度の増加に伴って、この傾向はますます強くなりつつあります。つまり、もし受変電設備に事故が発生して停電するようなことがあると、ビルにおいてはその機能が停止し、工場にあっては生産が停止してしまい、損害だけでなく安全上の問題も生じてきます。

したがって受変電設備は高度の安全性と信頼性を有していることが必要で、このような見地からも保護継電器の果たす役割は重かつ大となります。

保護継電方式の基本的な考え方

保護継電器の目的および機能は、電力系統または機器に事故が発生した場合にこれを迅速に検出して、自己の保護すべき範囲の事故であることを正確に判断し、その故障区間だけを選択しゃ断することです。したがって保護継電方式の選定にあたっては、

  1. 異常を確実に検出し除去すること
  2. 事故の検出除去区間を最小限とすること
  3. 経済的に行えること

を基本的条件として考慮し、適用に際しては不保護区間をなくし相互に保護区間をラップするように心掛け
ることが大切です。

受変電設備の保護の対象

保護の対象となるのは一般には次のとおりです。

  1. 受電回路の短絡および地絡保護
  2. 変圧器の内部故障および過負荷保護
  3. 配電線の短絡および地絡保護
  4. 進相コンデンサ設備の保護

このように各部分についての保護を考えると同時に常に全体的な保護協調のもとで検討を加え合理的な保護がなされていなければなりません。

高圧受変電設備の保護

高圧受電の場合、電力会社の高圧配電線が直接需要場所に接続されるため、波及事故を起こす場合もしばしばあるので注意しなければなりません。第1図は高圧受電回路の保護方式の一例で、一般には過電流継電器による短絡および過電流保護と地絡継電器と零相変流器を組合わせた地絡保護が行われています。

高圧受電回路の保護方式例
第1図 高圧受電回路の保護方式例

短絡保護については電力会社配電用変電所の配電線保護継電器と需要家構内負荷設備の保護継電器の間にあって、相互に協調のとれた保護がなされなければなりません。地絡保護に関しては、高圧配電系統が非接地であるため高感度の地絡継電器が必要です。この場合構内高圧系統の充電々流が大きい場合には地絡継電器を誤動作させることがありますので、 このようなときには方向性地絡継電器が用いられます。

特別高圧受電用変圧器の保護

特別高圧用変圧器の保護に関しては、電気設備技術基準で5000kVA以上の変圧器について、内部に故障が生じた場合に自動的に電路からしゃ断する装置を設けることが規定されていますが、これの保護には一般に機械的保護継電器としてブッフホルツ継電器、圧力継電器がありますが、比率差動継電器による電気的保護装置が多く用いられています。

比率差動継電器は第2図のように変圧器に流入する電流と変圧器から流出する電流との差(比率)を利用して変圧器の内部故障を検出するもので、その適用にあたっては変圧器を電源に投入する場合の励磁突入電流によって誤動作しない対策についての考慮が必要です(変圧器を電源に投入すると、その電源電圧のどの位で変圧器が投入されるか、また、鉄心の磁気飽和の程度によって異なりますが、励磁電流は直ちに定常状態にならずに過渡現象を生じ、その波高値は定格電流の5倍を超えることもあります。この過渡電流を励磁突入電流といい、この電流は変圧器が内部故障を生じたときの電流と判別が困難で差動継電器を誤動作させることがあります)。

比率差動継電器
第2図 比率差動継電器

保護継電器の動作機構と施設例

過電流継電器の設定

高圧受電設備の過電流保護には2個の変流器と2個の過電流継電器を使用します。誘導形過電流継電器には、継電器内の上部には電流タップを選ぶプラグがあり、そのすぐ下に動作時間を設定するタイムレバーがあります。高圧受電の過電流継電器の設定は一般的には次のようにするのが標準となっています。

  1. タップ値:契約電力における電流の約150%
  2. レバー値:継電器の電流回路に40~ 50A(タップ値の10倍程度)を通電し、継電器が動作して、しゃ断器の引外しが完了するまでの時間が0.2~ 0.25秒程度となるように継電器のレバーを設定する。この場合接点間隔が狭くて振動などで誤動作する心配があるときは0.3秒程度とする。

いま、受電電圧6600V,契約電力150 kWの場合の過電流継電器の設定値は上記の方法によって、次のように選ぶことができます(ただし変流器は30/5A、継電器の電流タップは4,5,6,7,8,10,12Aとする)。

受電設備の最大負荷電流$=\displaystyle\frac{150×10^3}{\sqrt{3}×6600}=13.1$A

継電器に流れる最大負荷電流$=13.1× \displaystyle\frac{5}{30}=2.2$A

継電器タップの選定目標値$=2.2× 1.5=3.3$A

このタップ選定目標値に近い継電器のタップは最低の 4A であるので 4A を選びます。なお、 4A に選んだ場合の実際の動作電流は、 4×30/5=24A であり、これは最大負荷電流の 24/13.1≒1.84(184%) となります。

地絡継電器の誤動作防止

高圧受電設備に設ける地絡継電器は、一般には零相電流だけで動作する方向性のない地絡継電器が用いられますが、自家用電気設備内の高圧ケーブルの亘長が比較的長く、ごの対地静電容量が大きくなると外部の事故まで自分の地絡継電器が誤動作することがあるので注意しなければなりません。

第3図はこの場合をわかりやすく系統図に示したもので、零相変流器の設置点から負荷側の充電電流が 350 mA流れるとすると、その電流は外部故障の際には、図のようにその故障点から構内の対地静電容量を通って零相変流器に流れるので地絡継電器を誤動作させるわけです。したがってこのような場合には電力会社と相談して設定値を大きくするか、第4図のような方向性のある地絡方向継電器を使う必要があります。図において外部地絡を生じた場合、接地変圧器の二次開放三角結線の抵抗の端子間に零相電圧が現われますので、この電圧と零相電流の方向によって継電器を動作させるので、このような方法によれば誤動作を防止することができます。

系統図
第3図 系統図
地絡方向継電器
第4図 地絡方向継電器
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