低圧幹線の施設:第二種電気工事士

第二種電気工事士

第二種電気工事士の筆記試験に初心者の方でも簡単に独学で合格する勉強方法を紹介しています。第二種電気工事士の筆記試験は、過去問から繰り返し出題されていますので、出題分野毎に過去問をまとめて解くことで、効果的な勉強方法となります。このページでは、配電理論及び配線設計「低圧幹線の施設」について、解説しています。

過電流遮断器

配線に過電流が流れたとき、瞬時に電気を遮断する装置を過電流遮断器といいます。過電流遮断器には、ヒューズ配線用遮断器の2種類があります。

配線用遮断器は、次の表のとおり、動作時間が定めれれています。

配線用遮断器の動作時間

定格電流定格電流の1.25 倍定格電流の2 倍
30 A以下60 分2 分
30 Aを超え50 A以下60 分4 分

漏電遮断器

電路に地絡が生じたときに電線もしくは電気機器の損傷、感電または火災のおそれがないように漏電遮断器で電路の遮断をします。内蔵の零相変流器が地絡電流を検出します。漏電遮断器には、地絡電流を模擬したテスト装置があります。

漏電遮断器は、使用電圧が60V以上で金属製外箱の電気機器を、簡易接触防護装置を施さないで使う場合、施設しなければなりません。ただし、次のような例外もあります。

漏電遮断器を省略できるケース

  1. 乾燥した場所で使用。
  2. 対地電圧が150V以下。
  3. 電気用品安全法適用の二重絶縁構造。
  4. 接地抵抗3Ω以下で接地。

屋内幹線の施設

電力会社の低圧配電線から、引込線で建物で電気を送る配線を低圧屋内配線といいます。低圧屋内配線は幹線分岐回路に分けることができます。

幹線は、引込線から分岐回路の一次側までのことで、家庭用の分電盤では、大きなブレーカーまでが幹線です。そして、小さなブレーカーそれぞれが、分岐回路になります。

低圧幹線の許容電流

幹線の許容電流は、分岐回路に接続された負荷の定格電流の合計で決まります。このとき、負荷が電灯とコンセントの場合と、電動機(モーター)が含まれている場合で、計算方法が異なります。

電動機は始動時に大きな電流が流れるため、これに耐えられる許容電流にしなければならないためです。

低圧幹線の許容電流

  • 電動機以上に、その他の負荷の定格電流が大きい場合は、各負荷の定格電流の合計
  • 電動機定格電流の方が大きく、電動機の定格電流が50A以下の場合
    1.25×IM+IH
  • 電動機定格電流の方が大きく、電動機の定格電流が50A以上の場合
    1.1×IM+IH

過電流遮断器の定格電流

過電流遮断器の定格電流は、幹線の許容電流以下になるように選定しなければなりません。ただし、電動機が含まれる場合は次のようになります。

電動機が含まれる場合の過電流遮断器の定格電流

3×IM+IH もしくは 2.5×IA

配電理論及び配線設計:第二種電気工事士 過去問

(財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士の筆記試験に出題された問題です。

過電流遮断器の性能

低圧電路に使用する定格電流 20[A]の配線用遮断器に 40[A]の電流が継続して流れたとき、この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間[分】の限度(最大の時間)は。

イ. 1 ロ. 2 ハ. 4 二. 60

配線用遮断器の動作時間は次の通りです。

定格電流定格電流の1.25 倍定格電流の2 倍
30 A以下60 分2 分
30 Aを超え50 A以下60 分4 分

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2008年(平成20年)問10
2011年(平成23年)上期 問9
2014年(平成26年)下期 問11
2019年(令和元年)下期 問15 類似

過電流遮断器の性能

低圧電路に使用する定格電流が 20[A]の配線用遮断器に 25[A]の電流が継続して流れたとき、この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間[分】の限度(最大時間)は。

イ. 20 ロ. 30 ハ. 60 二. 120

配線用遮断器の動作時間は次の通りです。

定格電流定格電流の1.25 倍定格電流の2 倍
30 A以下60 分2 分
30 Aを超え50 A以下60 分4 分

答え(ハ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2012年(平成24年)下期 問12
2015年(平成27年)下期 問11
2018年(平成30年)上期 問11

漏電遮断器の性能

漏電遮断器に内蔵されている零相変流器の役割は。

  1. 地絡電流の検出
  2. 短絡電流の検出
  3. 過電圧の検出
  4. 不足電圧の検出

漏電遮断器は、電路に地絡が生じたときに電線もしくは電気機器の損傷,感電または火災のおそれがないようにする機器です。内蔵の零相変流器で地絡電流を検出します。

答え(イ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2007年(平成19年)問11
2012年(平成24年)上期 問12
2015年(平成27年)上期 問12

漏電遮断器の性能

漏電遮断器に関する記述として、誤っているものは

  1. 高速形漏電遮断器は、定格感度電流における動作時間が 0.1 秒以下である。
  2. 高感度形漏電遮断器は、定格感度電流が 1,000 mA 以下である。
  3. 漏電遮断器は、零相変流器によって地絡電流を検出する。
  4. 漏電遮断器には、漏電電流を模擬したテスト装置がある。

高感度形漏電遮断器は、定格感度電流が 30 mA 以下の漏電遮断器です。

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2016年(平成28年)下期 問11
2018年(平成30年)下期 問12

漏電遮断器の省略

低圧の機械器具に簡易接触防護措置を施してない(人が容易に触れるおそれがある)場合、それに電気を供給する電路に漏電遮断器の取り付けが省略できるものは。

  1. 100 [V] ルームエアコンの屋外機を水気のある場所に施設し、その金属製外箱の接地抵抗が 100 [Ω] であった。
  2. 100 [V] の電気洗濯機を水気のある場所に設置し、その金属製外箱の接地抵抗値が 80 [Ω] であった。
  3. 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を屋外に施設した。
  4. 工場で 200 [V] の三相誘導電動機を湿気のある場所に施設し、その鉄台の接地抵抗値が 10 [Ω] であった。

漏電遮断器を省略できるケースは、

  1. 乾燥した場所で使用。
  2. 対地電圧が150V以下。
  3. 電気用品安全法適用の二重絶縁構造。
  4. 接地抵抗3Ω以下で接地。

したがって、(ハ)が該当します。

答え(ハ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2010年(平成22年)問10 類似
2013年(平成25年)上期 問9

漏電遮断器の省略

低圧の機械器具を人が容易に触れるおそれのある場所に施設する場合、それに電気を供給する電路に漏電遮断器の取り付けが省略できないものは。

  1. 使用電圧 200[V]の三相誘導電動機を工場の乾燥した場所に施設し、その鉄台の接地抵抗値が 10[Ω]であった。
  2. 使用電圧 100[V]のルームエアコンを住宅の和室に施設した。
  3. 使用電圧 100[V]の電気洗濯機を水気のある場所に施設し、その金属製外箱の接地抵抗値が 10[Ω]であった。
  4. 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を屋外に施設した。

漏電遮断器を省略できるケースは、

  1. 乾燥した場所で使用。
  2. 対地電圧が150V以下。
  3. 電気用品安全法適用の二重絶縁構造。
  4. 接地抵抗3Ω以下で接地。

イ. は乾燥した場所なので、接地抵抗値が10[Ω]であっても省略できます。
ロ. は特に問題がないので省略できます。
ハ. は水気のある場所で、金属製外箱の接地抵抗値が10[Ω]なので省略出来ません。
ニ. は二重絶縁構造なので省略できます。

答え(ハ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2007年(平成19年) 問10

屋内幹線の施設

図のように、電動機(M)と電熱器(H)が幹線に接続されている場合、低圧屋内幹線を保護する①で示す配線用遮断器の定格電流の最大値[A]は。
ただし、幹線は 600Vビニル絶縁電線 8[mm2](許容電流 61[A])で、需要率は 100 [%] とする。

イ. 50 ロ. 75 ハ. 100 二. 150

過電流遮断器の定格電流は、3×IM+IH もしくは 2.5×IA を超えてはいけませんので、

3×20+15=75 もしくは 2.5×61=152.5

つまり、IB[A]は 、小さいほうの値 75[A]です。

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2006年(平成18年)問9

屋内幹線の施設

図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし、需要率は 100 [%] とする。

イ. 75 ロ. 81 ハ. 90 二. 195

電動機等の定格電流の合計が 50 A 以上の場合は、IW=1.1×IM+IHですので、

IW=1.1×60+15=81[A]

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2011年(平成23年)下期 問9 類似
2014年(平成26年)上期 問8
2017年(平成29年)上期 問8 類似
2017年(平成29年)下期 問8 類似

屋内幹線の施設

図のような電熱器(H)1台と電動機(M)2台が接続された単相 2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する根拠となる電流 IW[A]と幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流 IB[A]の組合せとして、適切なものは
ただし、需要率は 100 [%] とする。

  1. IW = 25[A],IB = 25[A]
  2. IW = 27[A],IB = 65[A]
  3. IW = 30[A],IB = 65[A]
  4. IW = 30[A],IB = 75[A]

電動機等の定格電流の合計が 50 A 以下の場合は、IW=1.25×IM+IHですので、

IW=1.25×20+5=30[A]

過電流遮断器の定格電流は、3×IM+IH もしくは 2.5×IA を超えてはいけませんので、

3×20+5=65 もしくは 2.5×30=75

つまり、IB[A]は 、小さいほうの値 65[A]です。

答え(ハ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2013年(平成25年)下期 問9

屋内幹線の施設

図のような電熱器(H)1台と電動機(M)2台が接続された単相 2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する根拠となる電流 IW[A]と幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流 IB[A]の組合せとして、適切なものは
ただし、需要率は 100 [%] とする。

  1. I= 27[A],IB = 55[A]
  2. IW = 27[A],IB = 65[A]
  3. IW = 30[A],IB = 55[A]
  4. IW = 30[A],IB = 65[A]

電動機等の定格電流の合計が 50 A 以下の場合は、IW=1.25×IM+IHですので、

IW=1.25×20+5=30[A]

過電流遮断器の定格電流は、3×IM+IH もしくは 2.5×IA を超えてはいけませんので、

3×20+5=65 もしくは 2.5×30=75

つまり、IB[A]は 、小さいほうの値 65[A]です。

答え(ハ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2008年(平成20年)問9

屋内幹線の施設

定格電流 12 A の電動機 5 台が接続された単相 2 線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値 [A]は。
ただし、需要率は 80 [%]とする。

イ. 48 ロ. 60 ハ. 66 二. 75

電動機の定格電流の合計は 60 [A]です。

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2009年(平成21年)問10 類似
2012年(平成24年)下期 問9 類似
2015年(平成27年)上期 問8

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