交流の性質と交流電源を得る方法【電気設備】

電気設備

これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「交流の性質と得る方法」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。

交流とは

時間とともにたえず大きさが変わり、方向を反転し、しかもその変化が周期的にくり返される電圧、電流をそれぞれ交番電圧、交番電流といいます。交流とはこれら交番電圧、電流に共通の性質を考える場合に用いる略称で、ときには交番電流を交流ということもあります。

交流の性質

交流には次の性質があります。

位相差

交流電圧をコイルやコンデ ンサに加え、その電圧と電流の経時変化を調べると第1図のように両者の波形が時間的にずれます。一周期を $2π$〔rad〕としてそのずれを電圧波形を基準に角度で考えると

  • コイルの場合、電流は $\displaystyle \frac{ π }{ 2 }$〔rad〕遅れる
  • コンデ ンサの場合、電流は $\displaystyle \frac{ π }{ 2 }$〔rad〕進む

ことになります。 このように両者の波形に時間的な差がある場合を位相が異なるといい、角度で表わした時間的な差を位相差または相差角といいます。交流では最大値とともに常にこの位相差を考慮する必要があります。

第1図

インピーダンス

抵抗が $0$ の理想導線でコイルを作り、これに直流電流を流すとコイルには電圧降下が生じませんが、コイルに交流電流 $i$ を通じると $e=\displaystyle \frac{ Ldi}{ dt }$ で定まる電圧降下が生じます。 (ここで $L$ はインダクタンスといわれるコイル個有の定数)。換言すれば交流に対してコイルは一種の抵抗として作用します。

また、コンデンサに直流電圧を印加すると、印加初期においては充電電流が流れますが、時間が十分経過するとその充電電流は $0$ となり、コンデ ンサは直流電流を通さない性質を示します。これに対し、交流電 $V$ をコンデンサに印加すると、$i=\displaystyle \frac{Cdv}{dt}$ で定まる電流が流れます (ここで $C$ はキヤパシタンスといわれるコンデンサ個有の定数)。 したがってコンデンサも交流に対しては一種の抵抗要素として作用しています。

このように交流では抵抗要素として抵抗のみでなくコイルやコンデンサも考慮する必要があり、これらの抵抗作用を総称してインピーダンスといいます。

変圧が容易

直流では、ある直流電圧を他の異なった値の直流電圧とする場合、複雑な電子回路から成る DC一 DC コンバータを必要とし、かつ、その変換効率も 80~ 90% 程度でありますが、交流の場合、変圧器を用いることにより簡単に昇圧、降圧が可能で、かつ、変換効率も 97% 以上と極めて高いのが特徴です。

交流の種類

交流には、第2図に示す種類があります。

第2図

単相交流

第3図(a)のように電源電圧の波形が一種類のものをいい、家庭用の交流電圧は単相交流です。

二相交流

第3図 (b)のように位相差が $\displaystyle \frac{ π }{ 2 }$ の電源電圧2個を有する交流をいい、電動機を回すための回転磁界を得る場合に用いられますが、一般配電には使用されていません。

三相交流

第3図(c)のように位相差が $\displaystyle \frac{ 2π }{ 3 }$、$\displaystyle \frac{ 4π }{ 3 }$ の三つの電源電圧を有する交流をいい、電力会社の送電・ 配電および自家用変電設備の動力用電源として最も多く用いられています。

第3図

交流電源を得る方法

三相交流を得る方法

三相交流は三相交流同期発電機などによって得ることができます。三相交流同期発電機の原理は第4図のように三つの固定子巻線と、直流電流により励磁された回転電磁石から成っています。

第4図

回転電磁石を原動機により回転すると、固定子各巻線には電磁誘導作用により起動力が発生しますが、各巻線の巻かれている位置がそれぞれ $\displaystyle \frac{ 2π }{ 3 }$ ずつ異なるため、最大電圧の発生する時刻は $\displaystyle \frac{ 2π }{ 3 }$〔rad〕ずつずれることになります。したがって各巻線の端子を外部に引出せば三相交流電圧が得られます。私達が電力会社から受電している三相交流は、このようにして得られたものです。

単相交流を得る方法

単相交流は、第4図の固定子巻線3個のうち2個を取外した発電機で得ることもできますが、実際には三相交流から得ています。それは第5図のように三相交流の各相から電源線を取り出せばいいことになります。この場合、単相交流電源 A, B および C はそれぞれ位相が異なるので、相互を勝手に接続することはできません。

第5図

三相交流が多く採用される理由

工場やビルなどの配電には三相交流が主力として用いられていますがその理由は次のとおりです。

  1. 単相交流が容易に得られる
    前述のように三相交流から単相交流を得るのは簡単ですが、逆に単相交流から三相交流を得るのは困難です。 したがって両者が必要な場合には三相交流の方が有利です。
  2. 送電電力が大きい
    線間電圧 $V$〔V〕 と送電電力 $P$〔W〕を同一とした場合、単相 2線式の電流 $I_1$ は $\displaystyle \frac{ P }{ V }$〔A〕、三相3線式の電流 $I_3$ は $\displaystyle \frac{P}{\sqrt{3}}$〔A〕となり、三相交流の方が電線サイズが $\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}$ 、総電線量も少なくて済みます。したがって、同一電線量を使用した場合、送電電力を大きくできます。
  3. 回転磁界が容易に得られる
    交流電動機が回転する原理は、第6図に示すアラゴの円板によっていますが、このアラゴの円板で回転する磁石に相当する回転磁界を三相交流では容易に作れます。第7図のように三つのコイル C1、C2 および C3 を空間角 $\displaystyle \frac{ 2π }{ 3 }$〔rad〕ずつずらして配置し、このコイルに三相交流を通ずると、時刻 $t_0$ から $t_3$ までの間の各コイルの合成磁界の向きは第8図のようになります。この図より時間の経過とともに磁界の向きが回転していくのがわかります。したがってこの回転磁界の中に金属導体を置けば、その導体は磁界の回転する方向にひきづられて回転することになります。三相交流ではこのように回転磁界を容易に得られますが単相交流では回路に特別の工夫をしないと回転磁界が得られません。
第6図
第7図
第8図
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