接地工事の方法:第二種電気工事士

第二種電気工事士

第二種電気工事士の筆記試験に初心者の方でも簡単に独学で合格する勉強方法を紹介しています。第二種電気工事士の筆記試験は、過去問から繰り返し出題されていますので、出題分野毎に過去問をまとめて解くことで、効果的な勉強方法となります。このページでは、電気工事の施工方法「接地工事の方法」について、解説しています。

接地工事とは

電気設備を使用するとき、漏電による感電や火災を防止し、漏電遮断器や漏電警報器などの保護装置を確実に動作させるなどのために、接地工事が必要となります。

接地とは、電気機器の外箱や鉄台と大地とを電線で電気的に接続することをいいます。大地に埋め込む接地用の金属板や金属棒を接地極といいます。

電気機器の外箱や鉄台は電路と絶縁されていますが、電路の絶縁劣化により、電路から外箱などに漏電すると感電や火災が発生します。そのため、発生した漏電電流を接地線を介して大地に流し、感電や火災を防止します。

接地工事の種類

接地工事はA種、B種、C種、D種の4種類が定められています。使用電圧により、対応した種類の接地工事をする必要があります。第2種電気工事士試験では、C種とD種の接地工事が出題されます。

接地工事の種類接地工事の対象接地抵抗接地線の太さ
C種300Vを超える低圧の機器等10Ω以下*直径1.6mm以上
D種300V以下の低圧の機器等100Ω以下*直径1.6mm以上
*電路に地絡を生じたとき0.5秒以内に自動遮断する漏電遮断器を施設した場合は500Ω以下

接地抵抗と接地線

接地抵抗は、接地工事の電気抵抗です。接地抵抗値が大きいと、漏電時に外箱や鉄台に流れる電流が大きくなり、感電や損傷の危険が高くなるため、接地抵抗は使用電圧が高いほど低くする必要があります。

接地線は、太いほうが許容電流が大きいため、損傷しにくく、かつ強度も大きくなりますので、太いほうが望ましいです。

移動して使用する電気機器の接地線は、可とう性や耐久性を考慮して、次の電線を使用することが定められています。

  • 断面積1.25㎟以上の可とう性を有する軟鋼より線
  • 多心コードのうち、断面積0.75㎟以上の1心

接地工事の省略と緩和

次の場合には、接地工事を省略や緩和をすることができます。

電気機器の接地工事の省略

  • 対地電圧が150[V]以下の機械器具を乾燥した場所に施設する場合
  • 低圧の機械器具を乾燥した木製の床絶縁性の物の上で扱う場合
  • 二重絶縁構造の機械器具を施設する場合
  • 絶縁変圧器(二次電圧が300V以下で、容量が3KVA以下)を施設し、変圧器の負荷側の電路を接地しない場合
  • 水気のある場所以外で、漏電遮断器(定格感度電流15mA以下、動作時間0.1秒以内)を施設する場合

配線工事における接地工事の省略と緩和

金属管工事

  • 使用電圧が300V以下で、金属管の長さが4m以下のものを、乾燥した場所に施設する場合は接地工事を省略することができる。
  • 対地電圧150V以下(直流の場合は300V以下)で、金属管の長さが8m以下のものを、人が容易に触れる恐れがないように施設する場合、または乾燥した場所に施設する場合は、接地工事を省略することができる。
  • 300Vを超える低圧電路で接触防護措置を施す場合、C種接地工事をD種接地工事に緩和できる。

金属可とう電線管工事

  • 対地電圧が300V以下で管の長さが4m以下の場合は接地工事を省略することができる。
  • 300Vを超える低圧電路で接触防護措置を施す場合、C種接地工事をD種接地工事に緩和できる。

ライティングダクト工事

  • 対地電圧が150V以下でダクトの長さが4m以下の場合は接地工事を省略することができる。

電気工事の施工方法:第二種電気工事士 過去問

(財)電気技術者試験センターが作成した第二種電気工事士の筆記試験に出題された問題です。

接地工事の施工方法

床に固定した定格電圧 200 V、定格出力 2.2 kW の三相誘導電動機の鉄台に接地工事をする場合、接地線(軟銅線)の太さと接地抵抗値の組合せで、不適切なものは
ただし、漏電遮断器を設置しないものとする。

  1. 直径 2.6 mm,75 Ω
  2. 直径 2.0 mm,50 Ω
  3. 直径 1.6 mm,10 Ω
  4. 公称断面積 0.75 mm²,5 Ω

接地線は引張強さ0.39 kN以上の金属線又は直径1.6 mm以上の軟銅線を用いる必要があります。

答え(二)

第二種電気工事士試験 出題年度

2006年(平成18年)問24 類似
2008年(平成20年)問23 類似
2016年(平成28年)上期 問20
2019年(令和元年)上期 問22

接地工事の施工方法

D 種接地工事の施工方法として、不適切なものは

  1. ルームエアコンの接地線として、直径 1.6 mm の軟銅線を使用した。
  2. 地中に埋設され、かつ、大地との間の絶縁抵抗が 3 Ω 以下の値を保っている金属製水道管を接地極として使用した。
  3. 低圧電路に地絡を生じた場合に 1 秒以内に自動的に電路を遮断する装置を設置し、接地抵抗値が 600 Ω であった。
  4. 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱の接地線として、多心キャプタイヤケーブルの断面積 0.75 mm² の 1 心を使用した。

C種およびD種接地工事で、電路に地絡を生じたとき0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置(漏電遮断器)を設けたとき、接地抵抗値を500Ω以下にすることができます。

答え(ハ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2006年(平成18年)問20

接地工事の施工方法

D 種接地工事の施工方法として、不適切なものは

  1. ルームエアコンの接地線として、直径 1.6 mm の軟銅線を使用した。
  2. 単相 100 V の電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流 30 mA 、動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので、接地工事を省略した。
  3. 低圧電路に地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に自動的に電路を遮断する装置を設置し、接地抵抗値が 300 Ω であった。
  4. 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱の接地線として,多心キャプタイヤケーブルの断面積 0.75 mm² の 1 心を使用した。

水気のある場所以外で、漏電遮断器(定格感度電流15mA以下、動作時間0.1秒以内)を施設する場合は、接地工事を省略することができます。

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2017年(平成29年)上期 問23

接地工事の施工方法

機械器具の金属製外箱に施す D 種接地工事に関する記述で、不適切なものは

  1. 三相 200 [V] 電動機外箱の接地線に直径 1.6 [mm] の IV 電線を使用した。
  2. 単相 100 [V] 移動式の電気ドリル(一重絶縁)の接地線として多心コードの断面積 0.75 [mm²] の 1 心を使用した。
  3. 一次側 200 [V],二次側 100 [V],3 [kV·A] の絶縁変圧器(二次側非接地)の二次側電路に電動丸のこぎりを接続し、接地を施さないで使用した。
  4. 単相 100 [V] の電動機を水気のある場所に設置し、定格感度 15 [mA]、動作時間 0.1 秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので、接地工事を省略した。

【答え】

水気のある場所以外で、漏電遮断器(定格感度電流15mA以下、動作時間0.1秒以内)を施設する場合は、接地工事を省略することができます。

答え(二)

第二種電気工事士試験 出題年度

2010年(平成22年)問19
2014年(平成26年)上期 問20
2018年(平成30年)下期 問22

接地工事の施工方法

簡易接触防護措置を施した(人が容易に触れるおそれがない)乾燥した場所に施設する低圧屋内配線工事で、D 種接地工事を省略できないものは

  1. 三相 3 線式 200 [V] の合成樹脂管工事に使用する金属製ボックス
  2. 単相 100 [V] の埋込形蛍光灯器具の金属部分
  3. 単相 100 [V] の電動機の鉄台
  4. 三相 3 線式 200 [V] の金属管工事で、電線を収める管の全長が 10 [m] の金属管

使用電圧が300V以下で、金属管の長さが4m以下のものを、乾燥した場所に施設する場合は接地工事を省略することができます。

答え(二)

第二種電気工事士試験 出題年度

平成25年度(2013年度) 下期 問19

接地工事の施工方法

D 種接地工事を省略できないものは
ただし、電路には定格感度電流 30 [mA]、動作時間 0.1 [秒] の漏電遮断器が取り付けられているものとする。

  1. 乾燥した場所に施設する三相 200 [V] 動力配線を収めた長さ 4 [m] の金属管。
  2. 乾燥したコンクリートの床に施設する三相 200 [V] のルームエアコンの金属製外箱部分。
  3. 乾燥した木製の床の上で取り扱うように施設する三相 200 [V] 誘導電動機の鉄台。
  4. 乾燥した場所に施設する単相 3 線式 100/200 V 配線を収めた長さ 8 [m] の金属管。

コンクリートの床は種接地工事を省略することができません。

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2011年(平成23年)下期 問20
2018年(平成30年)上期 問22 類似
2019年(令和元年)下期 問22 類似

接地工事の施工方法

D 種接地工事を省略できないものは。
ただし、電路には定格感度電流 15 [mA]、動作時間が 0.1 秒以下の電流動作型の漏電遮断器が取り付けられているものとする。

  1. 乾燥した場所に施設する三相 200 [V](対地電圧 200 [V])の動力配線の電線を収めた長さ 3 [m] の金属管。
  2. 水気のある場所のコンクリートの床に施設する三相 200 [V](対地電圧 200 [V])誘導電流機の鉄台。
  3. 乾燥した木製の床の上で取り扱うように施設する三相 200 [V](対地電圧 200 [V])空気圧縮機の金属製外箱部分。
  4. 乾燥した場所に施設する単相 3 線式 100/200 V(対地電圧 100 [V])の配線の電源を収めた長さ 7 [m] の金属管。

水気のある場所やコンクリートの床は種接地工事を省略することができません。

答え(ロ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2007年(平成19年)問20
2012年(平成24年)下期 問20
2015年(平成27年)下期 問22

器具の用途

写真に示す器具の用途は。

  1. 地絡電流を検出し、回路を遮断するのに用いる。
  2. 過電圧を検出し、回路を遮断するのに用いる。
  3. 地絡電流を検出し、警報を発するのに用いる。
  4. 過電流を検出し、警報を発するのに用いる。

写真の機器は漏電火災警報器です。地絡電流を零相変流器(付属品)で検出し、警報を発報します。

答え(ハ)

第二種電気工事士試験 出題年度

2012年(平成24年)下期 問17

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