漏電しゃ断器と漏電警報器【電気設備】

電気設備

これだけは知っておきたい電気設備の基礎知識をご紹介します。このページでは「漏電しゃ断器と漏電警報器」について、維持管理や保全などを行う電気技術者の方が、知っておくとためになる電気の基礎知識を解説しています。

漏電しゃ断器と漏電警報器

漏電しゃ断器、漏電警報器とも電路に地絡が生じたとき、その地絡電流を検出して電路をしゃ断したり、警報を出したりする装置で、その目的とするところは漏電しゃ断器にあっては主として感電防止ですが、火災防止にも適用でき、漏電警報器にあっては火災防止がその目的です。

したがって漏電しゃ断器については主として電気設備技術基準、働安全衛生規則により、電警報器に関しては主として消防法によって規定されています。

漏電しゃ断器の定格

一般の漏電しゃ断器は、配線用しゃ断器に地絡保護の機能をもたせたものです。したがって漏電しゃ断器の定格は,、定格電圧、定格電流および定格感度電流と動作時間で表わされます。定格電圧と定格電流は配線用しゃ断器の場合と同じですが、定格感度電流は高感度形では 15mA と 30mA がありますが 30mA が標準となっており、中感度形は 50mA~ 1000mA 程度まで約5種類あります。

動作時間は 0.1 秒以下と 0.1 秒超過の2種類に分かれており、30 msおよび 100 msのものが多いです。漏電しゃ断器を感電防止のうえから選定する場合、感電による人体のショックは人体に流れる電流と、通過時間によって表わされており、一般には 30 mAs(感電のショックは人体の通過電流と、その時間の積に比例すると考えられているので〔mAs〕が用いられています)が安全の限界として漏電しゃ断器の性能の基準としています。

なお、人体が触れても安全な電圧の限度(許容接触電圧)は人体のおかれた状況によって相違し、人体の大部分が水にぬれているとき、または人体が金属に接触している状態のときは25V、上記以外の普通の状態では50Vが安全な接触電圧の限度とされています。

漏電しゃ断器の構造と機能

漏電しゃ断器は配線用しゃ断器と組合せて、貫通形零相変流器と、ここで検出された零相電流を増幅して開閉機構を動作させる部分とを一体として構成したもので、外形は漏電しゃ断機構の部分が付加されているため、それだけ長くなっています。なお、漏電しゃ断器では、漏電しゃ断機能が正常であるかどうかを確かめるために試験用押釦を備えています。

次に漏電しゃ断器の動作の一例は第1図のようで、主として電流動作が一般となっています。図において、もし、電動機で漏電があった場合、零相変流器の二次側を流れる電流は、$I_a+I_b+I_c≠ 0$( $=I_g$ )となりますので、この電流が動作電流以上であれば、引外し装置が動作してしゃ断器をトリップさせるようになっています。

漏電しゃ断器例
第1図 漏電しゃ断器例

漏電警報器の構造と機能

漏電警報器の主目的は電路の漏電電流を検出して自動的に警報を出し、火災を未然に防止しようとするもので、漏電警報器の構成は零相変流器、受信器、音響装置などからなっています。零相変流器は漏電しゃ断器の場合と同様で、線路電流の流れる電線を貫通させて、この線路で地絡が生じた場合に、零相変流器の二次側に零相電流を検出して、これを受信器に導く役目をします。

受信器に伝えられた地絡信号は増幅されて音響装置(一般にはブザー)によって警報を発するようになっており、この警報は常時人がいる守衛室または監視室などでよく聞きとれるようにします。なお、警報装置の音量は1m離れた位置で70ホン以上となっています。

第2図は単相電路の引込部分に漏電警報器を設置した場合の回路の構成を示したもので、この操作電源の開閉器は専用のものを使うことが規定されています。

漏電警報器例
第2図 漏電警報器例

漏電火災を防止するための地絡保護装置の感度の設定は、漏電火災がどの程度の地絡電流によって生ずるかを知ることが必要ですが、わが国では火災を起こす地絡電流の最小値として1Aを採用するのが合理的と考えられています。

漏電しゃ断器の定格感度電流の選定

漏電しゃ断器を設置する目的によって異なりますが、感電防止を主目的とする場合であれば、定格感度電流は30mA以下のものを使用します。いま第3図の例について考えてみると、被保護機器はD種接地工事で接地され100Ω であるとします。このとき被保護機器で地絡が生じ、これに人(人体の抵抗を900Ω とする)が触れた場合、地絡電流が $I_g$ アンペアとすると、人体に分流する電流 $I$ は、

第3図

$I=\displaystyle\frac{100}{100+900}×I_g=\displaystyle\frac{1}{10}I_g$ A

この電流が人体の安全限界の電流 30 mAに等しいとすると、地絡電流 $I_g$ は、

$30×10=300$ mA

となり、この場合 30 mAで動作する漏電しゃ断器を設ければ、人体に分流する電流は 3 mAとなり、感電防上の効果は十分達することができます。

また、感電防止を許容接触電圧の面からみると、この許容電圧を 50 Vとし、定格感度電流を 30 mAとすると、D種接地抵抗 $R_D$ は、

$R_D≦\displaystyle\frac{50V}{30mA}=1600$Ω

となり、100 Ω の接地抵抗としても、30 mAの定格感責電流のものを選べば接触電圧は 3 Vとなり、感電防上の効果は十分であることがわかります。

次に漏電しゃ断器で火災防止も目的としたい場合を考えると、一般に考えて地絡電流の許容値は数百mA以下ならば安全であると判断できますので、 500 mA、または 1000 mA以下の中感度形の漏電しゃ断器が適用でまする。

接地されていない電路への漏電しゃ断器の適用

低圧電路でその系統が接地されていない場合は、漏電しゃ断器を取付けても地絡電流はほとんど流れないため、このままでは地絡しても漏電しゃ断器は動作しません。

したがって、漏電しゃ断器の取付点の電源側に接地変圧器を取付けてその中性点を接地し、その二次側の解放三角結線の端子に抵抗(400V系統の場合は約1kΩ、200V系統であれば約500Ω )を接続する方法をとるか、各線と大地間にコンデンサ(400V系統の場合は約5μF、200V系統の場合は約10 μF)を接続すると500 mA程度の地絡電流を得ることができるので、このような方法によるのが一般的です(第4図参照)。

第4図

漏電しゃ断器と漏電警報器の用途

漏電しゃ断器の設置は電気設備技術基準による「 金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具であって、人が容易に触れるおそれがある場所に施設する電路」その他がありますが、この中で非常照明装置、非常用昇降機、誘導灯、鉄道用信号装置その他、その停止が公共の安全の確保に支障を生ずるおそれのある機械器具に電気を供給するものには漏電警報でもよいことが規定されており、漏電しゃ断器とその使いわけを明らかにしています。

次に漏電警報器の設置は消防法で定められており、劇場,集会場,キャバレー,遊技場,飲食店,百貨店,旅館,病院,救護施設,学校,図書館,浴場,神社,寺院,工場,作業場,地下街,重要文化財その他広範囲にわたり建物の面積によって設置が義務づけられています。

漏電警報器の設置方法は、第5図のようにB種接地工事の接地線に変流器を接続して、ここを流れる零相電流を検出して漏電を警報する方法もよく行われています。

第5図
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