変圧器の損失と効率【電験3種-法規(施設管理)】

法規

電験3種の法規で出題される変圧器の損失と効率について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

変圧器の損失

 変圧器の損失には、鉄損と銅損があります。鉄損は、鉄心中の磁束に変化による損失で、変圧器の負荷の大きさに関係なく一定です。銅損は、1次巻線と2次巻線の抵抗による損失で、負荷電流の2乗に比例します。

 力率100%で、変圧器の鉄損を$P_i$[kW]、定格負荷時の銅損$P_c$[kW]とし、24時間定格運転する変圧器の一日中の鉄損電力量 $ W_i$[kWh]と銅損電力量 $W_c$[kWh]は、

$W_i=P_i×24$[kWh]
$W_c=P_c^2×24$[kWh]

また、変圧器の損失電力量は $W$[kWh]は、一日中の鉄損電力量 $ W_i$[kWh]と銅損電力量 $W_c$[kWh]の合計になります。

$ W=W_i+W_c$[kWh]

変圧器の効率

変圧器の効率η〔%〕は、出力と入力との比の百分率で定義されます。冷却設備の損失などは除外されますが、標準として各損失を測定し、次の規約効率により算出します。

$η=\displaystyle \frac{ 出力 }{ 出力+損失 }×100$

また、変圧器の1日の平均的な効率として、全日効率 $η_d$〔%〕が定義されています。

$η_d=\displaystyle \frac{ W_d }{W_d+W }×100$

$W_d$[kWh]:一日中に出力する電力量
$W$[kWh]:変圧器の損失電力量

その他の公式

$日負荷率=\displaystyle \frac{ 平均負荷 }{最大負荷 }×100$

$過負荷率=\displaystyle \frac{ (負荷 – 設備容量) }{ 設備容量 }×100$

電験3種-法規(施設管理)過去問題

1998年(平成10年)問11

定格容量10[kVA]、定格二次電流100[A]、定格負荷時の銅損330[W]、定格電圧時の鉄損120[W]の単相変圧器がある。この変圧器の二次側の日負荷曲線が図のような場合、1日の損失電力量[kWh]の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、負荷の力率は100[%]とする。

(1)3.6 (2)5.3 (3)7.6 (4) 8.8 (5)10.8

1998年(平成10年)問11 過去問解説

変圧器の鉄損は、負荷の有無にかかわらず一定です。銅損は、負荷率の2乗に比例して増減します。 一日中の鉄損電力量を $ W_i$[kWh]、銅損電力量 $W_c$[kWh]とすると、題意より

$ W_i=0.12×24=2.88$[kWh]

$\begin{eqnarray}W_c &=& \left[\left(\displaystyle \frac{ 2 }{ 10 }\right)^2×6+\left(\displaystyle \frac{ 6 }{ 10 }\right)^2×6+\left(\displaystyle \frac{ 8}{ 10 }\right)^2×6+\left(\displaystyle \frac{ 4 }{ 10 }\right)^2×6\right]×0.33 \\\\ &=& (0.04+0.36+0.64+0.16)×6×0.33 \\\\ &≒&2.38 [kWh] \end{eqnarray}$

損失電力量 $W$[kWh]は、一日中の鉄損電力量と銅損電力量の合計ですので、

$W=W_i+W_c=5.26$[kWh]

答え(2)

2001年(平成13年)問12

負荷設備の合計容量400[kW]、最大負荷電力250[kW]、遅れ力率0.8の三相平衡の動力負荷に対して、定格容量150[kV・A]の単相変圧器3台をΔ-Δ結線して供給している高圧自家用需要家がある。この需要家について、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a)動力負荷の需要率[%]の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)50.0 (2)55.2 (3)62.5 (4)78.1 (5)83.3

(b)いま、3台の変圧器のうち1台が故障したため、2台の変圧器をV結線して供給することとしたが、負荷を抑制しないで運転した場合、最大負荷時で変圧器は何パーセント[%]の過負荷となるか。正しい値を次のうちから選べ。

(1)4.2 (2)8.3 (3)14.0 (4)20.3 (5)28.0

2001年(平成13年)問12 過去問解説

(a) 需要率は、最大需要電力と設備容量の合計との比のことです。題意より、

$ 需要率=\displaystyle \frac{ 最大需要電力 }{ 設備容量の合計 }×100=\displaystyle \frac{ 250 }{ 400 }×100=62.5[%]$

(b)$S$[KVA]の2台の単相変圧器をV結線としたときの三相出力 $W$[KVA]は、

$W=\sqrt{3}S=\displaystyle \frac{ 250}{ 0.8 }$

$S=\displaystyle \frac{ 250}{ 0.8\sqrt{3} }=180.43$

$過負荷率=\displaystyle \frac{ (負荷 – 設備容量) }{ 設備容量 }×100$ですので、

$過負荷率=\displaystyle \frac{ (180.43 – 150) }{150 }×100=20.28$[%]

答え(a)-(3)、(b)-(4)

2002年(平成14年)問11

定格容量100[KV・A]、鉄損900[W]及び全負荷銅損1.2[KW]の変圧器がある。この変圧器を1日のうち無負荷で10時間、定格電流50[%](力率1.0)で6時間、定格電流(力率0.85)で8時間使用するときに、次の(a)及び(b)に答よ。

(a)この変圧器の1日の全損失電力量[KW・h]の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)80 (2)66 (3)55 (4)46 (5)33

(b)このときの全日効率[%]の値として、最も近いものは次のうちどれか。

(1)60.5 (2)75.2 (3)80.5 (4)96.7 (5)99.3

2002年(平成14年)問11 過去問解説

変圧器の鉄損は、負荷の有無にかかわらず一定です。銅損は、負荷率の2乗に比例して増減します。 一日中の鉄損電力量を $ W_i$[kWh]、銅損電力量 $W_c$[kWh]とすると、題意より

$ W_i=0.9×24=21.6$[kWh]

$W_c = 1.2×(0.5^2×6+1^2×8)=11.4$[kWh]

損失電力量 $W$[kWh]は、一日中の鉄損電力量と銅損電力量の合計ですので、

$W=W_i+W_c=33.0$[kWh]

(b)この変圧器の一日中に出力する電力量 $W_d$[kWh]は、

$W_d=100×0.5×6+100×0.85×8=980$[kWh]

したがって全日効率 $η_d$ は、

$η_d=\displaystyle \frac{ W_d }{W_d+W }×100=\displaystyle \frac{ 980 }{980+33 }×100=96.7$

答え(a)-(5)、(b)-(4)

2007年(平成19年)問12

配電線路に接続された、定格容量20[kV・A]、定格二次電流200[A]、定格電圧時の鉄損150 [W]、定格負荷時の銅損270 [W]の単相変圧器がある。この変圧器の二次側の日負荷曲線が図のような場合について、次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、負荷の力率は100[%]とする。

(a)変圧器の1日の損失電力量[kWh]の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)3.68 (2)3.91 (3)5.43 (4)7.00 (5)7.50

(b)変圧器の全日効率[%]の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)96.8 (2)97.0 (3)97.7 (4)98.4 (5)99.0

2007年(平成19年)問12 過去問解説

(a)変圧器の鉄損は、負荷の有無にかかわらず一定です。銅損は、負荷率の2乗に比例して増減します。 一日中の鉄損電力量を $ W_i$[kWh]、銅損電力量 $W_c$[kWh]とすると、題意より

$ W_i=0.15×24=3.6$[kWh]

$\begin{eqnarray}W_c &=& \left[\left(\displaystyle \frac{ 4 }{ 20 }\right)^2×6+\left(\displaystyle \frac{ 12 }{ 20 }\right)^2×6+\left(\displaystyle \frac{ 16}{ 20 }\right)^2×6+\left(\displaystyle \frac{ 6}{ 20 }\right)^2×6\right]×0.27 \\\\ &=& (0.04+0.36+0.64+0.09)×6×0.27 \\\\ &≒&1.83 [kWh] \end{eqnarray}$

損失電力量 $W$[kWh]は、一日中の鉄損電力量と銅損電力量の合計ですので、

$W=W_i+W_c=5.43$[kWh]

(b)この変圧器の一日中に出力する電力量 $W_d$[kWh]は、

$W_d=4×6+12×6+16×6+6×6=228$[kWh]

したがって全日効率 $η_d$ は、

$η_d=\displaystyle \frac{ W_d }{W_d+W }×100=\displaystyle \frac{ 228 }{228+5.43 }×100=97.7$

答え(a)-(3)、(b)-(3)

2007年(平成19年)問13

負荷設備(低圧のみ)の容量が600[kW]、需要率が60[%]の高圧需要家について、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a)下表に示す受電用変圧器バンク容量[kVA]が選択できる。

この中から、この需要家に設置すべき必要最小限の変圧器バンク容量[kVA]として選ぶとき、正しいのは次のうちどれか。ただし、負荷設備の総合力率は 0.8 とする。

(1)375 (2)400 (3)500 (4)550 (5)600

(b)年負荷率を55[%]とするとき、負荷の年間総消費電力量[MW・h]の値として,最も近いのは次のうちどれか。ただし、1年間の日数は365日とする。

(1)1665 (2)1684 (3)1712 (4)1734 (5)1754

2007年(平成19年)問13 過去問解説

(a)最大電力を $P_m$[kW]とすると、

$P_m=600×0.6=360$[kW]

力率が 0.8 なので、変圧器容量を $S$[kVA]とすると、

$S=\displaystyle \frac{ P_m }{0.8 }=\displaystyle \frac{ 360 }{0.8 }=450$[kVA]

よって、変圧器の最小バンク容量は 500[kVA]になります。

(b)年間の平均電力を $P_a$[kW]とすると、年負荷率は 55[%]なので、

$P_a=P_m×0.55=360×0.55=198$[kW]

負荷の年間総消費電力量を $W$[MW・h]とすると、

$W=P_a×24×365×10^{-3}≒1734$[MW・h]

答え(a)-(3)、(b)-(4)

2011年(平成23年)問11

ある需要家設備において定格容量 30[kVA]、鉄損 90[W]及び全負荷銅損 550[W]の単相変圧器が設置してある。ある1日の負荷は、
24〔kw〕,力率 80〔%〕で4時間
15〔kw〕,力率 90〔%〕で8時間
10〔kw〕,力率 100〔%〕で6時間
無負荷で6時間
であった。この日の変圧器に関して、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) この変圧器の全日効率 [%] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 97.4  (2) 97.6  (3) 97.8  (4) 98.0  (5) 98.2

(b) この変圧器の日負荷率 [%] の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 38  (2) 48  (3) 61  (4) 69  (5) 77

2011年(平成23年)問11 過去問解説

(a)変圧器の鉄損は、負荷の有無にかかわらず一定です。銅損は、負荷率の2乗に比例して増減します。 一日中の鉄損電力量を $ W_i$[kWh]、銅損電力量 $W_c$[kWh]とすると、題意より

$ W_i=0.09×24=2.16$[kWh]

$\begin{eqnarray}W_c &=& \left[\left(\displaystyle \frac{ \frac{ 24 }{ 0.8 } }{ 30 }\right)^2×4+\left(\displaystyle \frac{ \frac{ 15 }{ 0.9 } }{ 30 }\right)^2×8+\left(\displaystyle \frac{ \frac{ 10 }{ 1 }}{ 30 }\right)^2×6\right]×0.55 \\\\ &=& (4+2.47+0.67)×0.55 \\\\ &≒&3.93 [kWh] \end{eqnarray}$

この変圧器の一日中に出力する電力量 $W_d$[kWh]は

$W_d=24×4+15×8+10×6=276$[kWh]

したがって全日効率 $η_d$ は、

$η_d=\displaystyle \frac{ W_d }{W_d+W_i+W_c }×100=\displaystyle \frac{ 276 }{276+2.16+3.93 }×100=97.8$

(b)$日負荷率=\displaystyle \frac{ 平均負荷 }{最大負荷 }×100$ ですので、

$日負荷率=\displaystyle \frac{ \displaystyle \frac{ 276 }{24 } }{24 }×100=47.9$ [%]

答え(a)-(3)、(b)-(2)

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