タイマーリレーとは、電気的または機械的に入力を与えると、あらかじめ定められた時間までの残り時間を表示し(カウントダウン)、残り時間ゼロとなったときに、回路を電気的に”開”または”閉”にするような接点を持ったリレーです。このページでは、シーケンス制御に使われているタイマーリレーについて、初心者の方でも解りやすいように、詳しく解説しています。
タイムスイッチとタイマーリレー
シーケンス回路上では、スタート信号が入ってから、あらかじめ設定した時間になると出力信号を切り替える制御装置として「タイムスイッチ」と「タイマーリレー」というものがあります。
タイムスイッチとは?
タイムスイッチは、設定した時刻になったタイミングで接点をON/OFFしたり、設定した時刻になったタイミングで接点をON/OFFするための信号を送信する制御機器です。タイムスイッチ本体に大きな電流を流すことができる接点を持ち、照明やファンなどの負荷を直接ON/OFFできるタイプのものと、マグネットスイッチなど別の継電器をON/OFFさせるための信号を送るタイプの二種類があります。
タイムスイッチの種類としては、毎日同じ動作を設定する24時間タイムスイッチ、週間の動作を設定する週間タイムスイッチ、一年を通して動作を設定する年間タイムスイッチなどがあり、用途によって使い分けをします。
タイマーリレーとは?
タイマーリレーとは、入力信号が入ってから、あらかじめ定められた時間を経過したタイミングで接点をON/OFFするための信号を送信する制御機器です。タイマーリレーのことを、「限時継電器」ともいいます。
タイマーリレーは基本的にはリレーと同じ働きをする制御機器です。コイル端子間に電圧がかかると接点が動きます。ただし、「接点が動くタイミングに遅れがある」ということを、まずは理解をしておいてください。シーケンス制御では入力と出力に時間差があることを、タイムディレイ(time delay)といいます。日本語では遅延と呼ばれています。この時間差を作り出す制御機器がタイマーリレーです。
| デジタルタイマー キー操作で時間を設定します。作業者による設定誤差は発生しにくいのですが、時間設定には操作に慣れることが要求されます。 | |
| アナログタイマー ダイヤルで時間を設定をします。すばやく簡単に調節できるのですが、 作業者による設定誤差が発生しやすいです。 |
タイマーリレーのしくみ
タイマーリレーのしくみについて説明します。タイマーリレーの中は、大まかに「電源部、入力部、計時部、出力部」の4つの部分で成り立っています。

① 電源部・・・与えられた電圧を内部へ供給します。
② 入力部・・・入力機器からの信号を受取り、計時部に信号を出します。
③ 計時部・・・時間を計り、決められた時間になると出力部へ信号を出します。
④ 出力部・・・出力機器へ信号を出します。
タイマーリレーは、時間を任意に設定できます。この設定した時間のことを「整定時間」といいます。タイマーリレーが動作し、整定時間を経過したときを、「タイムアップ」といいます。タイマーリレーは、時計のように針が動かないので、時間経過の様子がわかりません。そのため、タイマーリレーには2つの動作表示灯があり、ここを見ることでタイマーリレーの状態がわかるようになっています。
タイマーリレーの動作には、「オンディレイ」「オフディレイ」「フリッカ」 「インターバル」といった4つの基本的な動作があります。タイマーリレーの動作については、文面ではわかりにくいと思いますので、タイムチャートを追うと理解しやすいと思います。
オンディレイタイマーの(限時動作・瞬時復帰)動作
オンディレイのことを日本語で「限時動作・瞬時復帰」といいます。オンディレイは接点が動作するときに時間の遅れがあり、接点が復帰するときは瞬時に行われるタイマーの動作です。
入力信号を「ON」してから、出力信号の出るタイミングが「遅れる(ディレイ)」ということで、この名前が付いています。シーケンス回路で使用される動作モードの中では、この「オンディレイ動作」がもっとも多く使われています。


タイマーのオンディレイ動作とは、入力信号を受けると、整定時間だけ遅れて出力が動作します。入力信号がなくなれば瞬時に出力は復帰します。
身近な例で言えば、押ボタン式の信号機はスイッチを押すと、ある程度遅れてから信号機が赤から青に切り替わります。このようなところで、オンディレイ動作は使われています。
オフディレイタイマーの(瞬時動作・限時復帰)動作
オフディレイのことを日本語で「瞬時動作・限時復帰」といいます。オフディレイは接点が動作するときは瞬時に行われ、接点が復帰するときは時間の遅れがあるタイマーの動作です。
入力信号が「OFF」してから、出力信号が切れるタイミングが「遅れる(ディレイ)」ということで、この名前が付いています。


タイマーのオフディレイ動作とは、入力信号を受けると瞬時に出力が動作して、入力信号がなくなると整定時間だけ遅れて出力が復帰します。
身近な例で言えば、自動扉は人が近づくとすぐに扉が開き、人がいなくなった後、一定時間後に扉が閉まります。このようなところで、オフディレイ動作は使われています。
タイマーのフリッカ動作
タイマーのフリッカ動作とは、入力信号を受けると出力が設定時間ごとにON/OFFを繰り返すタイマーの動作です。
身近な例で言えば、点滅信号機は、一定の間隔で黄色か赤色の信号灯を点滅させています。このようなところで、フリッカ動作は使われています。


タイマーのインターバル動作
タイマーのインターバル動作とは、入力信号を受けると同時に出力がONし、設定時間後に出力がOFFするタイマーの動作です。
身近な例で言えば、観光地などに置いているコイン式の双眼鏡は、お金を入れると何分間か見ることができます。このようなところで、インターバル動作は使われています。


タイマーリレーのスタート方法
タイマーリレーを動作させるには、スタートの方法が2通りあります。オンディレイ動作を例にすると、「信号オンディレー動作」と「電源オンディレー動作」があります。
◇ 信号オンディレー動作

あらかじめタイマーの電源部に電圧を加えた状態で、入力部に入力が入ると、タイムカウントを始めます。
◇ 電源オンディレー動作

タイマーの電源部に電圧を加えるとタイムカウントを始めます。
タイマーリレーの計時部は、電源を入れてからしばらくしないと安定しないこともあり、一般的には信号スタートの方が精度が良いといわれています。
タイマーリレーの図記号
タイマーリレーの図記号は駆動部と出力接点の記号とを組み合わせて表します。駆動部は、一般の電磁リレーと同じ記号が流用されています。

タイマーリレーもリレーと同じように、コイルに電圧がかかると接点が動きます。ただし、接点が動くタイミングに遅れがあるということを理解をしておいてください。その接点が動くタイミングについては、タイムチャートを思い出すとわかりやすいと思います。


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