指示計器【電験3種-理論】

理論

電験3種の理論で出題される指示計器について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験3種の試験で、実際に出題された過去問題も解説しています。

指示計器の構成

電気量を直接に指針の振れなどで表示する電気計器を指示電気計器といます。指示電気計器の種類としては、可動コイル形、可動鉄片形、電流力計形、静電形、誘導形、整流形、熱電形などがあります。指示電気計器は、駆動装置,制御装置,制動装置などにより構成されており、駆動には外部からの電源が不要です。尚、指示電気計器が、測定値を指示した指示値には、平均値や実効値などがあります。

駆動装置とは

入力された電気量に応じた駆動トルクを発生させ、指針に回転力を与える装置です。電気計器の最も重要な構成要素といえます。駆動装置には、次の要件が必要となります。

  • 駆動トルクが被測定量の変化に従って正しく変化する。
  • 少ない消費電力で、十分な駆動トルクを生じることができる。

制御装置とは

駆動トルクに対して逆向きにトルクを発生させる装置です。駆動トルクと制御トルクの力が釣り合う時点で指針が停止するように制御します。制御トルクの発生には、ばねや重力、渦電流などが利用されています。

制動装置とは

駆動トルクと制御トルクが釣り合う点に指針が速やかに到達するように指針に適度なブレーキをかける装置です。電磁制動や空気制動、流体制動などがあります。

指示計器の原理と特徴

駆動方式による各種指示計器の原理と特徴を示します。

可動コイル形計器

固定された永久磁石の磁界と、可動コイルに流れる電流との間に生じる力によって駆動させる方式です。指示計器の中では、一番よく使われており、感度がよく、周波数特性に優れているのが特徴です。

  • 使用回路 … 直流
  • 用途 … 電圧計、電流計
  • 指示値 … 平均値

整流形計器

ダイオードなどの整流素子を用いて交流を直流に変換し、可動コイル形の計器で指示させる方式です。感度がよく、周波数特性に優れていますが、波形のひずみで誤差が大きくなるのが特徴です。

  • 使用回路 … 交流
  • 用途 … 電圧計、電流計
  • 指示値 … 平均値

電流力形計器

固定コイルに流れる電流の磁界と、可動コイルに流れる電流との間に生じる力によって、可動コイルを駆動させる方式です。交流及び直流の電力測定に適した計器です。

  • 使用回路 … 直流、交流
  • 用途 … 電圧計、電流計、電力計
  • 指示値 … 実効値

誘導形計器

うず電流による回転子の回転数で測定値をさせる方式です。電力量計などの積算形計器に使用されています。

  • 使用回路 … 交流
  • 用途 … 電圧計、電力計
  • 指示値 … 実効値

静電形計器

異なる電位を与えられた固定電極と可動電極との間に生じる起電力によって、可動電極を駆動させる方式です。低い電圧では駆動トルクが小さく誤差が大きくなるため、交流および直流の高電圧測定用の電圧計として用いられています。

  • 使用回路 … 直流、交流
  • 用途 … 電圧計、電力計
  • 指示値 … 実効値

熱電形計器

発熱線に流れる電流によって熱せられる熱電対に生じる起電力を、可動コイル形の計器で指示させる方式です。熱電対形計器は交直両用で使用され、測定可能周波数は直流から数十MHzの高周波まで測定できます。

  • 使用回路 … 直流、交流
  • 用途 … 電圧計、電力計
  • 指示値 … 平均値

可動鉄片形計器

固定コイルに流れる電流の磁界と、その磁界によって磁化された可動鉄片との間に生じる力により、または固定コイルに流れる電流によって固定鉄片及び可動鉄片を磁化し、両鉄片間に生じる力により可動鉄片を駆動させる方式です。丈夫で安価であるため商用周波数用に広く用いられています。主に交流で使用されます。

  • 使用回路 … 直流、交流
  • 用途 … 電圧計、電流計
  • 指示値 … 実効値

ディジタル計器

ディジタル計器は、測定値を直流に変換しさらに、AーD変換器(アナログーディジタル変換器)を用いてパルスをカウントし、十進法による数字で不連続に表示する計器です。ディジタル計器には、コンピュータに接続して測定結果をコンピュータに入力できるものがあります。ディジタル計器には、次のような特徴があります。

  • 入力インピーダンスが高く、被測定系への影響が小さい
  • 高精度で測定でき、読み取り誤差が少ない
  • 高度な処理が容易にできる
  • 多くの測定項目を1台で測定できる
  • 測定には電源が必要となる

電験3種-理論(電気・電子計測)過去問題

1998年(平成10年)問10

指示電気計器の動作原理について次の記述のうち、誤っているのはどれか。

(1)整流形:ダイオードなどの整流素子を用いて交流を直流に変換し、可動コイル形の計器で指示させる方式
(2)熱電形:発熱線に流れる電流によって熱せられる熱電対に生じる起電力を、可動コイル形の計器で指示させる方式
(3)永久磁石可動コイル形:固定コイルに流れる電流の磁界と、可動コイルに流れる電流との間に生じる力によって、可動コイルを駆動させる方式
(4)静電形:異なる電位を与えられた固定電極と可動電極との間に生じる起電力によって、可動電極を駆動させる方式
(5)可動鉄片形:固定コイルに流れる電流の磁界と、その磁界によって磁化された可動鉄片との間に生じる力により、又は固定コイルに流れる電流によって固定鉄片及び可動鉄片を磁化し、両鉄片間に生じる力により可動鉄片を駆動させる方式

1998年(平成10年)問10 過去問解説

永久磁石可動コイル形計器には、固定コイルはなく、永久磁石の磁界と可動コイルに流れる電流によって発生する電磁力を利用しています。 したがって(3)が誤りです。

答え(3)

2000年(平成12年)問1

直流電流から数十MHz程度までの高周波電流まで測定できる指示電気計器の種類として、正しいものは次のうちどれか。

( 1 )誘導形計器 ( 2 )電流力形計器 ( 3 )静電形計器 ( 4 )可動鉄片形計器 ( 5 )熱電形計器

2000年(平成12年)問1 過去問解説

(1)誘導形計器はうず電流で回転力を得るため交流専用で、電力計、電圧計及び電流計に使用されます。
(2)電流力形計器は交直両用に使用され、主な測定周波数は20~600Hzぐらいです。
(3)静電形計器は交直両用の高圧に使用され、主な測定周波数は20~10MHzぐらいです。
(4)可動鉄片形計器は主に交流用に使用され、主な測定周波数は20~600Hzぐらいです。
(5)熱電形計器は交直両用で使用され、測定可能周波数は直流から数十MHzぐらいです。

答え(5)

2004年(平成16年)問14

交流の測定に用いられる測定器に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。

(1)静電形計器は、低い電圧では駆動トルクが小さく誤差が大きくなるため、高電圧測定用の電圧計として用いられる。
(2)可動鉄片形計器は、丈夫で安価であるため商用周波数用に広く用いられている。
(3)振動形周波数計は、振れの大きな振動片から交流の周波数を知ることができる。
(4)電流力形電力計は、交流及び直流の電力を測定できる。
(5)整流形計器は、測定信号の波形が正弦波形よりひずんでも誤差を生じない。

2004年(平成16年)問14 過去問解説

整流形計器は、交流をダイオードで整流して、平均値を表示する可動線輪形計器で測定します。目盛は測定値の1.11(波形率)倍となっています。したがって、波形がひずむと波形率に誤差が生じて、正確な測定ができなくなります。

答え(5)

2005年(平成17年)問13

商用周波数の正弦波交流電圧 $v=100\sqrt{2}sinωt$ [V] をダイオードにより半波整流して、100[Ω]の抵抗負荷に供給した。このとき、抵抗負荷に流れる電流を熱電形電流計で測定すると( ア )[mA]、可動コイル形電流計で測定すると( イ )[mA]を示す。
ただし、ダイオードは理想的なものとし、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。

上記記述中の空白箇所(ア)、(イ)に記入する数値として、最も近いものを組合せたのは次のうちどれか。

  (ア) (イ)
(1)450  707
(2)450  900
(3)900  450
(4)707  900
(5)707  450

2005年(平成17年)問13 過去問解説

半波整流の最大値、実効値、平均値は

最大値:$\displaystyle\frac{100\sqrt{2}}{100}=\sqrt{2}$ [A]

実効値:$\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}$ [A]

平均値:$\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{π}$ [A]

熱電形電流計は実効値が指示値になり、可動コイル形電流計は平均値が指示値になりますので、

実効値:$\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}≒707$ [mA]

平均値:$\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{π}≒450$ [mA]

答え(5)

2005年(平成17年)問14

図は( ア )の可動鉄片形計器の原理図で、この計器は構造が簡単なのが特徴である。固定コイルに電流を流すと可動鉄片及び固定鉄片が( イ )に磁化され、駆動トルクが生じる。指針軸は渦巻きばね(制御ばね)の弾性によるトルクと釣り合うところまで回転し停止する。この計器は、鉄片のヒステリシスや磁気飽和、渦電流やコイルのインピーダンスの変化なので誤差が生じるので、一般に( ウ )の電圧、電流の測定に用いられる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に記入する語句として、正しいものを組合せたのは次のうちどれか。

(ア)(イ)(ウ)
(1)反発形同一方向商用周波数
(2)吸引形逆方向直 流
(3)反発形逆方向商用周波数
(4)吸引形同一方向高周波及び商用周波数
(5)反発形逆方向直 流

2005年(平成17年)問14 過去問解説

図は( 反発形 )の可動鉄片形計器の原理図で、この計器は構造が簡単なのが特徴である。固定コイルに電流を流すと可動鉄片及び固定鉄片が( 同一方向 )に磁化され、駆動トルクが生じる。指針軸は渦巻きばね(制御ばね)の弾性によるトルクと釣り合うところまで回転し停止する。この計器は、鉄片のヒステリシスや磁気飽和、渦電流やコイルのインピーダンスの変化なので誤差が生じるので、一般に( 商用周波数 )の電圧、電流の測定に用いられる。

答え(1)

2006年(平成18年)問14

図の破線で囲まれた部分は、固定コイルA及びC、可動コイルBから構成される( ア )電力計の原理図で、一般に( イ )の電力の測定に用いられる。
図中の負荷の電力を測定するには各端子間をそれぞれ( ウ )のように配線する必要がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組合せたのは次のうちどれか。

(ア)(イ)(ウ)
(1)電流力計形交流及び直流aと1、aと2、bと4、cと3
(2)可動コイル形交流及び直流aと1、aと4、bと2、cと3
(3)熱電形高周波aと2、bと3、bと4、cと1
(4)電流力計形高周波aと3、aと4、cと1、cと2
(5)可動コイル形商用周波数aと1、aと2、bと4、cと3

2006年(平成18年)問14 過去問解説

図の破線で囲まれた部分は、固定コイルA及びC、可動コイルBから構成される( 電流力計形 )電力計の原理図で、一般に( 交流及び直流 )の電力の測定に用いられる。
図中の負荷の電力を測定するには各端子間をそれぞれ( aと1、aと2、bと4、cと3 )のように配線する必要がある。

答え(1)

2009年(平成21年)問14

可動コイル形直流電流計$A_1$と可動鉄片形交流電流計$A_2$の2台の電流計がある。それぞれの電流計の性質を比較するために次のような実験を行った。
図1のように$A_1$と$A_2$を抵抗100[Ω]と電圧10[V]の直流電源の回路に接続したとき、$A_1$の指示は100[mA]、$A_2$の指示は( ア )[mA]であった。
また、図2のように,周波数50[Hz]、電圧100[V]の交流電源と抵抗500[Ω]に$A_1$と$A_2$を接続したとき、$A_1$の指示は( イ )[mA]、$A_2$の指示は200[mA]であった。
 ただし、A1とA2の内部抵抗はどちらも無視できるものであった。

上記の記述中の空白箇所(ア)及び(イ)に当てはまる最も近い値として、正しいものを組み合わせたものは次のうちどれか。

  (ア)  (イ)
(1)  0   0
(2) 141  282
(3) 100   0
(4)  0  141
(5) 100  141

2009年(平成21年)問14 過去問解説

可動コイル形計器は直流専用で平均値を指示します。可動鉄片形計器は交直両用で実効値を指示します。

図1は直流ですので、$A_1$と$A_2$は同じ指示値となります。
図2は交流ですので、$A_1$は指示しません。

答え(3)

2012年(平成24年)問14

電気計測に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)ディジタル指示計器(ディジタル計器)は、測定値が数字のディジタルで表示される装置である。
(2)可動コイル形計器は、コイルに流れる電流の実効値に比例するトルクを利用している。
(3)可動鉄片形計器は、磁界中で磁化された鉄片に働く力を応用しており、商用周波数の交流電流計及び交流電圧計として広く普及している。
(4)整流形計器は感度がよく、交流用として使用されている。
(5)二電力計法で三相負荷の消費電力を測定するとき、負荷の力率によっては、電力計の指針が逆に振れることがある。

2012年(平成24年)問14 過去問解説

可動コイル形計器は直流専用で平均値を指示します。したがって(2)が誤りです。

答え(2)

2013年(平成25年)問14

ディジタル計器に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)ディジタル交流電圧計には、測定入力端子に加えられた交流電圧が、入力変換回路で直流電圧に変換され、次のA-D変換回路でディジタル信号に変換される方式のものがある。
(2)ディジタル計器では、測定量をディジタル信号で取り出すことができる特徴を生かし、コンピュータに接続して測定結果をコンピュータに入力できるものがある。
(3)ディジタルマルチメータは、スイッチを切り換えることで電圧、電流、抵抗などを測ることができる多機能測定器である。
(4)ディジタル周波数計には、測定対象の波形をパルス列に変換し、一定時間のパルス数を計数して周波数を表示する方式のものがある。
(5)ディジタル直流電圧計は、アナログ指示計器より入力抵抗が低いので、測定したい回路から計器に流れ込む電流は指示計器に比べて大きくなる。

2013年(平成25年)問14 過去問解説

(5)の記述はディジタルとアナログの特徴が反対に記述されています。したがって(5)が誤りです。

答え(5)

2016年(平成28年)問14

ディジタル計器に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)ディジタル計器用のA-D変換器には、二重積分形が用いられることがある。
(2)ディジタルオシロスコープでは、周期性のない信号波形を測定することはできない。
(3)量子化とは、連続的な値を何段階かの値で近似することである。
(4)ディジタル計器は、測定値が数字で表示されるので、読み取りの間違いが少ない。
(5)測定可能な範囲(レンジ)を切り換える必要がない機能(オートレンジ)は、 測定値のおよその値が分からない場合にも便利な機能である。

2016年(平成28年)問14 過去問解説

ディジタルオシロスコープでは、周期性のない信号波形を測定することは可能です。したがって(2)が誤りです。

答え(2)

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